茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和2年7月8日「自律神経失調症の鍼灸治療。」

2020-07-08 08:06:42 | 日記

『自律神経失調症に鍼灸は効果がありますか?』とお問い合わせがありました。

WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には

【神経系疾患】では 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーが挙げられており、「自律神経失調症」も含まれています。

当院では東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」に経絡的な治療を行っております。

ここで簡単に自律神経について説明すると。

自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。

全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。

呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割であり、こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が「自律神経失調症」です。

自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。

ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。

また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「のぼせ(ホットフラッシュ)・火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。

鍼灸やマッサージなどの外的刺激は、過緊張状態に陥った自律神経の働きを和らげることが出来ます。

さらに、皮膚刺激を通して脳の視床下部にも良い影響を与えて、ホルモン分泌のバランスを整えることにもつながります。

最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。

鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、眠くなったり、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからだと思われます。

「自律神経失調症」は、目眩・肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。

当院は、東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」の患者さんが抱える具体的な症状に合わせて、お一人お一人に合わせた治療いたしております。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

壽堂日記令和2年7月7日「気象病と鍼灸治療。」

2020-07-07 06:56:32 | 日記

低気圧が日本に接近する時や梅雨の長雨により体調が悪くなり治療院にお見えになる方が多くなりました。

東洋医学では病の原因を「内因・外因・不内外因」に分けて考え、外因は六淫(外邪)と疫癘(急性伝染病)に分けられます。

 

六淫(外邪)とは風・暑・湿・燥・寒・火の6種類の外邪の総称ですが、気候の変化が異常な場合を外邪と言います。

猛暑や低気圧や台風が日本に接近する時の気象の変化で体調が悪くなる多くは外因(外邪)が原因である事が多いのです。

この考え方は宋代の1174年に序文が書かれた古医学書『三因極一病証方論(さんいんきょくいちびょうしょうほうろん)』に述べられています。

 

この様な症状は現代医学でも「気象病」と呼ばれ、近年は一般に認知されつつあります、気象の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称とされます。

代表的なものとして、「天気が悪いと古傷がうずく」天気痛、メニエール病、喘息、眩暈症、うつ病、頭痛、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、じんましん、吐き気、心臓発作、脳出血などが知られています。

メカニズムの詳細は不明とされ、気圧を感じるセンサーからの信号により自律神経系のバランスが交感神経優位となり、それがストレス刺激となってさまざまな疾患のメカニズムを惹起するという推論がされています。

また、気圧の低下により人体の押される力が減り血管が拡張しやすくなるのが原因とされています。

主な治療法は、「規則正しい生活」、「十分な睡眠」や「正しい食生活」などがあげられています、また体力のない人が「気象病」になりやすいとされています。

 

東洋医学的には猛暑や低気圧・梅雨の長雨や台風が接近する時に体調が変化する場合は「暑邪」や「湿邪」を先ず疑います。

暑邪」は「湿邪」を伴いやすく、湿邪を伴うと頭や体が重く、四肢倦怠感、体重節痛(湿邪が関節に滞り関節が痛み腫れる。)、胸苦しさ、悪心嘔吐、下痢などを引き起こし、また湿は「脾胃」を犯しやすく、尿量減少、腹水、、水腫が起こりやすいとされています。

「気象病」の概念は東洋医学では「病因論」の基本であり多くの処方が存在しています。

「気象病」でお悩みの方は鍼灸治療を受けて見ては如何でしょうか、鍼と灸で気血水の流れや自律神経のバランスを調えストレスを緩和して症状を緩和することが出来ます。

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする