茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和5年5月16日「冷えのぼせの治療。」

2023-05-16 07:45:19 | 日記

女性に多い「冷えのぼせ」について当院の治療を御紹介したいと思います。

患者さんは、肩凝りが辛いと言うことで来院されましたが、顔面が紅潮し、問診すると頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状を訴えられました。

主訴は「冷えのぼせ」で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛は典型的な「血の道」の症状ですね。

つまり、気が体の上部に昇ることで、気が充満した部分で肩凝り・頭痛・肩背部痛等が起き、気が虚した下部で虚痛が起こるわけです。その根本は「冷え=精気の虚」が原因であると考えます。

今回は「本治法」は刺さない鍼を使う「積聚治療」で治療しました。

脈診したところ、脈は遅脈で左の脈が全体的に沈み、陽気不足、虚寒で新陳代謝が衰えていることが伺えました。

具体的な治療は最初に腹部に接触鍼をして、腹部の最も浅い気を補います。鍼は刺さりません、患者さんも『全然痛く無いです。』と言うことでした。
次に脈診をして脈調整を行います、今回は左手の脈全体がマイナスなので、心包経の原穴である大陵に鍼をしましたが、鍼は先を当てる程度で刺入せず、気がいたるのを待って抜鍼します。

その後一番大切な証を立てるため、腹診します。「積聚治療」では腹診で証を立てます。

今回は臍の周りに圧痛と硬結が有り、特に臍の下一寸の圧痛・硬結が強いので「脾積脾虚証」として治療を進めることにしました。
経絡治療的には「脾虚肝実お血」による「冷え」であろうかと思います。臍下まで圧痛・硬結があるので「お血」が古いと考えられます。脈が遅脈なのも「お血」が多く血流が悪いためです。

下腹部の「お血」があると冷えのぼせ、肩凝り、頭痛、ノイローゼ、血の道症、高血圧、動脈硬化、不妊症、月経不順などの各種婦人に罹り易くなります。

不妊症は「冷え」と「お血」が原因であることが多いですよね。

背部で全体に接触鍼をして「積聚治療」の「脾虚」の順治で治療していきます。右肩の肩井、天宗の凝り、圧痛が著明のため、その部分を指標として、鍼を背部の兪穴に当てて治療していくと、段々指標の部分の凝りが緩んできます。患者さんが『のぼせていたのが、すうーと下がりました。頭が痛いのが治まりました。』と教えてくれました。


「本治法」なので凝り・圧痛のある右肩の肩井、天宗の部分には鍼を刺しません。原因はあくまで「脾虚」であり「脾虚」を治すことで全ての症状が治ると考えるのが「本治法」です。
背部の治療を終了した段階で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状は改善しましたので、再度仰臥位で腹部を確認すると、先ほどの臍下の圧痛、硬結が無くなっていたので「脾虚=精気の虚」は補われたと判断し、今回は治療終了としました。


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