茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記27年9月30日「瘀(お)血と不妊症の関係は?」

2015-09-30 05:16:07 | 日記

当院では鍼灸による不妊症の治療をしていますが、不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」と考えます。

「生理不順」と言う事で治療にみえられた方のお腹を診察したら下腹部が硬く冷たく「冷え」と「瘀(お)血」が強く典型的な「瘀(お)血」の証でした。

再度お見えになられ『先週治療を受けてから程無く生理が来ました。』と報告を頂きました。

前回の治療は「腎虚証」で全体治療を行い、ビワの葉温灸や標治法で四満・腰陽関・血海などを使用しました。

びわの葉の薬効は科学的にも、下記のような効果確認されています。

①白血球の活動を活発にし、免疫力を高める
②赤血球や血小板などの血液成分の働きが旺盛になる
③血液を弱アルカリ性にする
④グローミューを再生・強化する

グローミューというのは、動脈と静脈を結んでいる毛細血管のバイパスの役割をするもので、全身のいたるところに存在し、このグローミューがしっかりとしていることで、血行が良くなり体の隅々まで酸素を送り、組織のガス交換を促進させ、新陳代謝を活発にさせます。


今回は「瘀(お)血」について簡単に説明してみたいと思います。

「瘀(お)血」は悪血・古血とも呼ばれています。


当院では腹診で証を立てそれに従い鍼灸治療をしていますが、肩こり・のぼせ・冷え性・生理不順・不妊症等の症状で来院される方の中には左下腹部に圧痛や硬血や冷感域があることが多く「瘀(お)血」の症状が見られることがあります。

東洋医学では流れが悪く滞りがちな血液を「瘀(お)血」と呼び、血液が正常な状態に比べて粘度が強く流れが悪く、よどんだ状態の事を言います。

また東洋医学では左下腹部の圧痛や硬結や冷感域を特に「瘀(お)血の証」と呼んでいます。


不妊症の治療では「肝・腎・脾」の3臓を調えることが重要となります。

「瘀(お)血」の関係が深い臓も「肝・腎・脾」となりますが、肝は血を蔵し(肝蔵血)、肝血が不足すると月経量が少なくなりひどい場合は閉経したりします。

また肝不蔵血の場合は月経量が多くなりひどいと不性器出血が起きます。

肝の血流調節の機能は蔵血と疏泄機能のバランスが保たれて初めて正常に行われるもので、肝の疏泄機能が衰えると生理不順・生理痛が起きやすく、「瘀(お)血」が出来やすいのです。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・瘀(お)血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、瘀(お)血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

この瘀(お)血の状態が進むと、頭痛・めまい・肩凝り・のぼせ・生理不順・生理痛・月経前のイライラ・冷え性等の症状が現れ、また不妊症の原因ともなります。

当院では鍼とお灸を使い体の陰陽バランスを調え、妊娠しやすい体造りをお手伝いします。



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壽堂日記27年9月26日「鍼灸治療は免疫力を高める?」

2015-09-26 06:18:13 | 日記

当院では鍼灸とビワの葉温灸による「がん疼痛緩和ケア」を行っております。

『鍼灸は免疫作用を高めますか?』と良く質問されます。

鍼灸施術の治療的作用の中には「鎮痛作用」「防衛作用」「免疫作用」があります。

「鎮痛作用」は内因性モルヒネ様物質あるいは下行性抑制などの機序により、鎮痛作用が発現するとされています。

「防衛作用」とは白血球や大貪食細胞などを増加させて、各種疾患の治癒機能を促進させ、生体の防御機能を高めるとされています。

「免疫作用」とは免疫能を高める作用ですが、鍼刺激による免疫系への影響は神経系、内分泌系および免疫系の応答による末梢の反応に加えて、中枢の関与による相補的な効果と考えられています。

血液中の生体防御機構として働く補体系、肥満細胞、プロスタグランジン、サイトカイン、B細胞、T細胞、リンパ球に対するβーエンドルフイン、NK細胞など様々な要素がありますが、鍼刺激により血中へのT細胞やNK細胞の移行が促進することが動物やヒトで報告されています。

鍼灸刺激による免疫系への作用は自律神経を介した作用である可能性が示唆されています。

自律神経は免疫組織に分布しており、免疫組織の血管を支配する事により組織内の血流を調節する関接作用と、免疫担当細胞に直接作用する働きがあります。

鍼灸治療は鍼・灸により自律神経系、内分泌系、免疫系に刺激を与え生体の恒常性維持機構の賦活を導きだす治療法とされています。

当院では「鍼灸とビワの葉温灸」を組み合わせた「がん疼痛緩和ケア」に取り組んでいます。


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壽堂日記27年9月23日「不妊症とストレスの関係は?」

2015-09-23 06:52:17 | 日記

当院では不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」であると考え鍼灸による不妊症の治療に取り組んで居ります。

今日はストレスと不妊症の関係について簡単に説明してみたいと思います。

四診で不妊症の患者様のお体を拝見すると多くに方は「舌は白色または暗赤色」であり、腹診するとお腹が硬かったり冷感がしたりして「冷え」や「瘀(お)血」の症状が出ており、さらに夏でも手足が冷たく、頭がのぼせ肩がこる等のいわゆる「上実下虚」の方が多く、肩甲骨間の筋肉が緊張して凝っています。

舌が白色は「体の冷え」暗赤色は「お血」を示しますが「肩甲骨の間」の緊張はストレスを示します。



肩甲骨の間には精神活動と関係が深い「魄戸」「心兪」「神堂」「巨闕兪」「身柱」などの経穴がありストレスが強いと凝りや圧痛などの諸症状が出ます。

不妊症を治療する上で、重要となるのがこのストレスです。不妊症でお悩みの女性は、精神的なストレスが溜まりやすくなっています。

不妊症には、「冷え」「瘀(お)血」などの様々な原因がありますが「ストレス」も大きな原因となります。



現代のようなストレス社会では、日常生活の中でストレスを感じることが多く、それが不妊症の原因となる場合も多いのです。



ストレスが不妊症の原因となるのは「ストレスによってホルモンバランスが崩れる。」のが原因で、実はストレスに対抗するホルモンを分泌する器官と、生殖活動を行う際に必要となるホルモンを分泌する器官は同じことが多いのです。

モントリオール大学のハンス・セリエ教授が提唱した「ストレス学説」によれば、過度のストレスにさらされると人間の体は防衛反応として視床下部にある自律神経の中枢が興奮を起こし、副腎髄質がホルモンを分泌して「防衛行動=緊急反応」をとります。

妊娠に必要な性腺刺激ホルモンも、この視床下部を通して分泌されています。

そのため、ストレスへの防衛行動が優先されて、生殖活動に必要なホルモンが十分に分泌されない場合があります。そうなると、ストレスで妊娠しづらくなり、その不妊によってさらにストレスが溜まると言う悪循環になります。

不妊症の改善には、ストレス解消が欠かせません。

当院は鍼灸治療で気血水の流れを調え「冷え」「瘀(お)血」「ストレス」を改善し妊娠しやすい母体を創る事を目指しております。


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壽堂日記27年9月22日「美容鍼で男も美活。」

2015-09-22 07:01:42 | 日記

「眼の下のクマ」が気になると男性の方が「北川式美顔鍼」を受けに見えられました。最近、美容鍼を受ける男性が一般的になりました。

美容鍼といっても施術の方式として「全体治療+美容鍼」と「美容鍼」単独の二種類のスタイルがあります。

「全体治療+美容鍼」の施術をするところは少ないようですが当院では「美容鍼」の前に「積聚治療」による全体治療を行い、その後に「北川式美顔鍼」による施術を行うのがスタンダードとなります。

美容鍼の前に全体治療を行うことにより、体全体の気・血・水の流れを調えると、美容鍼の効果と持ちが違います。

今回は「眼の下のクマ」が気になるということでした。お体を拝見すると頸・肩・背中の凝りが強く感じられました。


「東洋医学」では、五臓の状態が顔に表れると言う考え方があり「顔は五臓の鏡」といわれます。

具体的な例を挙げますと、
・肝の働きが悪いと「瘀(お)血」と言われる目の下のくまが出来たり。
・脾の働きが悪いと顔色が黄色く萎びて見えたり。
・肺の働きが悪いと吹き出物・肌荒れが起きたり。
・腎の働きが悪いと顔色が煤けた様に黒くなったり、浮腫んだり、髪が白髪になったりします。

当院ではお客様の顔に鍼を刺すだけの美容鍼ではなく、根本にある様々な症状の「本」となっている五臓の状態を調える「本治法」により治療し、その後に顔に鍼をする「標治法」により五臓の失調でお顔に生じた症状を改善するのを基本としております。

美容鍼のお客様の多くは「私は体の具合が悪い所はありません。」「美容鍼に来たのに何故体全体に鍼をするのですか?」と質問されます。
しかし良く話しを伺うと、肩こり・頸凝り・頭痛・冷え性などの症状をお持ちの方が多いのです。


眼の下のくま、肌のくすみなどは「肝実お血証」が原因であることが多く、「ただ顔に鍼を刺すだけ」では期待する効果が出にくいのです。

当院では「肝実お血証」の場合は「脾虚証」で治療する事が多いですね。

何故かと言えば「肝」が実することにより相克関係にある「脾」が虚しているからです、東洋医学では「先ず補ってから寫す」というのが原則にあり「脾虚肝実お血証」の場合も「脾」を補してから「肝」を寫す事になります。

全体治療で頸・肩・背中の凝りを緩めた後に「美容鍼」は「北川式美顔鍼」で施術し、短鍼を使い鍼管を使わず二指推鍼法でお顔に30本を刺して置鍼しました。

「全体治療+美容鍼」を終えますと、肌のくすみ、眼の下のクマが改善され、眼も開くようになり、お肌が白くなり透明感が増しました。



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壽堂日記27年9月21日「足先が痺れる?」

2015-09-21 07:17:11 | 日記

季節が秋になり朝晩涼しくなりましたね。シルバーウイーク中に『右足の先が痺れる。』と言う患者さんがお見えになりました。

問診すると『右足の指先からふくらはぎ・太もも・臀部に電気が走る様な痛みと痺れ、左足の脹ふくらはぎも痛み、また下腹部(臍の下の恥骨結合の上縁部)に痛みがある。』との事です。

触診すると右足の膝上に硬結があり足先が氷の様に冷たく、筋肉が凝り固まっている状態です。

痛む場所は坐骨神経の走行ラインと合致している様であり、坐骨神経の症状の様に思えます。

恥骨結合の上縁部は任脈上の曲骨穴と呼ばれるツボがありますが東洋医学の腹診では「腎のエリア」となります。

腎が虚していると此処に痛みが出ることが多いようです。腎の気が虚している事が経絡を通して足先まで影響を与えている様です。

今回は腹診して曲骨穴付近の圧痛が最も顕著であるので「腎虚証」として治療を進めて行く事としました。

腹部接触鍼・脈調整をして背面部に丁寧に鍼をしていくと、徐々に背面と足の筋肉が緩んで来ます。足も暖かくなって来ました。

基本治療を終えて督脈上の腰陽関に箱灸をしながら、臀部と下腿の坐骨神経のラインを意識して鍼をすると患者さんから『足に何かしていますか?足がジュワージュワーとして暖かい物が流れて行きます。』との事。

「鍼をしています。」と答えると『鍼を刺したのに全然気が付きませんでした。』と答えが返って来ました。

鍼をすることで体全体の気血の流れが良くなり、冷えていた足先に気や血流が回復するのでジュワージュワーと感じるのですね。

鍼は痛いと思われ勝ちですが、鍼管を使い細い鍼を刺すと痛みも無く、刺された事に気が付かない事も多いですね。

今度は「腰陽関」にお灸をして熱をじんわり浸透させます。「腰陽関」は下肢の疾患に効果があり、神経痛・関節炎・膝痛・下肢麻痺等の他に腰部と下肢の冷感に効きます。

背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、右足の膝陽関と血海に鍼とお灸、膝陽関も膝関節炎・外側大腿皮神経痛・下腹部の冷え込みを治する名穴とされ腰陽関と膝陽関は響きあう関係と言われています。

膝陽関にお灸をすると患者さんから『そこ気持ち良いですね。』と感嘆の言葉が漏れました。

今回の足先の痺れは冷えと坐骨神経が原因の様でした。患者さんは治療を終えて『足の痺れが無くなりました。』と喜んでお帰りになりました。

 


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