がんの疼痛緩和のため「鍼灸+ビワの葉温灸」の治療を受けに患者さんが来院されました。
お話を伺うと、痛みで眠れない、全身の倦怠感と疲労感、内臓下垂が特に辛いと言う事でした。
「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。
気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。
気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。
つまり東洋医学では「気」の異常が「痛み」であると考えます。
東洋医学に対して西洋医学では「痛み」は感覚神経の異常、あるいは神経の異常興奮だという考え方があります。
内臓下垂と云うと胃下垂、子宮下垂、子宮脱、脱肛など様々な症状がありますが、東洋医学的には内臓下垂は脾の気の減退による昇挙作用の衰えが原因と考えられています。
脾は昇清作用を主り、臓腑が下に下がらない様に脾気が働くのですが脾の気が虚しているため内臓を支えきれず、内臓下垂が起きると考えられています。
がんで胃の手術をされているとの事なので「脾胃の気」が衰えている事が内臓下垂の要因の一つと思われます。
全身の倦怠感と疲労も、脾胃が悪い為に「後天の精」が十分に補充できないのと、長患いの「諸虚労損」が原因の一つと思われます。
今回はリンパ節の廓清も受けられている為、刺さない鍼による全身治療と漢方成分配合のお灸とビワの葉温灸により、脾胃の気を補い、虚労のツボにお灸をして全身の気血を流す治療を行いました。