茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和5年1月23日「がんの疼痛緩和ケアと元気を増すお灸。」

2023-01-23 11:31:07 | 日記

国立がん研究センターの最新がん統計(2022年11月16日更新)によると

2019年に新たに診断されたがんは99万9千例、日本人が一生の内にがんと診断される確率は

 男性65.5パーセント

 女性51.2パーセント

です。

当院では「鍼灸」「ビワの葉温灸」と各種療法を組み合わせ、「がんの疼痛緩和ケア」を行っております。

鍼灸は疼痛だけでなく、抗癌剤の服用による吐き気・食欲不振・倦怠感など様々な症状の緩和に効果があります。

お問い合わせに中に鍼による播種を心配される方が居られましたが、当院では刺さない鍼を使用する「積聚治療」と言う手技で全体治療(本治法)を行いますので鍼による播種の心配はありません。

当院では本治法の後に、お灸で「虚労」や「補胃益脾」などの配穴を用いて食欲を増進させ「元気」を増す治療をして、その後に「ビワの葉温灸」を行います。

「虚労」とは、東洋医学で「極度に疲労した状態」をいいます。

またここで言う「元気」とは気の種類である、元気(げんき)=正気(せいき)、宗気(そうき)、衛気(えき)、神気(しんき)、の中の「元気」の事です。

「元気」の源は「胃気」であるとされており、「胃気」を補うことでしか「元気」を増すことは出来ません。

「虚労」治療の配穴例としては「五華の灸」などが有名ですが身柱・膏肓・膈兪を五角形に結びお灸をします。

また「補胃益脾」は膏肓・気海・関元・足三里・内関などにお灸をします。

「元気」を増すお灸をすると患者さんから『お灸は怖いと思っていましたが、とても気持ちが良い物ですね。』と言われます。当院では漢方成分を配合したモグサを使用してお灸をしていますが、お灸の熱が染み透るととても気持ちが良いそうです。

鍼灸治療は「がんの疼痛緩和」のためアメリカ国内では広く行われており、米国食品医薬品局(FDA)は、アメリカ国内におけるがん治療での鍼灸の使用を承認しています。

鍼灸を行うことで、神経細胞、下垂体、脳各部に身体的反応が起き、これらの反応が起きることで、様々な身体機能を調節する蛋白やホルモ ン・脳内化学物質を体が分泌するようになります。

このようにして、鍼灸を行うことで、血圧や体温に効果が現れ、免疫系の機能を活発化させるとともに、エンドルフィンのように、体が本来持っている痛み止め成分を分泌させます。

国民の二人に一人が生涯に一度はがんになる時代ですので治療院に来院される患者さんの中にもがんの体験者はおられ、術後の疼痛緩和・体調管理・化学療法の症状の緩和など様々な理由で治療を受けに来られます。

当院では患者さんお一人お一人に合わせた治療を行っております。


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壽堂日記令和5年1月22日「疼痛緩和・大腿の痛み。」

2023-01-22 08:10:08 | 日記

当院では「疼痛緩和」に対する治療を行っております。

「大腿の痛み」で患者さんが見えられました。

お話を伺うと『去年の12月頃から太腿が痛み初め病院で診てもらいました。いろいろな検査をしましたが異常が無いと言われましたが徐々に膝も痛くなり今は足首まで痛みが広がってきました。』との事です。

痛むところを診察すると胃経と脾経に沿って痛みが広がっている様です。

「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。

つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。

東洋医学に対して西洋医学では「痛み」は感覚神経の異常、あるいは神経の異常興奮だという考え方があります。

鍼の刺激により異常興奮の神経を鎮静させるというのが西洋医学の鍼理論です。

刺鍼による「軸索反射」が血流を促進して疼痛物質を排除し痛みや、凝り、筋疲労が改善されるわけです。


私の治療院では、鍼を刺す深さは、浅く切皮程度ですが、「不通則痛」「不栄則痛」を改善する補法の際の鍼法として使用しています。
この鍼法は気血を対象として、陰虚や衰弱の強い人、深部の痛み、麻痺、悪感、痺れなどに良く効きます。

今回は仰臥位で胃経と脾経に鍼と灸をして、更に伏臥位で膀胱経を治療しました。

治療終了後は足の痛みと浮腫が治まり『足の痛みが楽になりました。』と満足してお帰りになりました。

 


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壽堂日記令和5年1月14日「妊活・E2(エラストラジオール)の数値」

2023-01-14 08:00:50 | 日記

当院では東洋医学的な立場から鍼灸による不妊症の治療を行っています。

患者さんから『病院でE2の数値が低いと言われました。』と相談を受けました。ここでホルモンについて整理してみます。

不妊症の検査では、血液中の女性ホルモンの値を調べます。

対象となるのは、FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体化ホルモン)、E2(エラストラジオール)といった3つの女性ホルモンです。

これらのホルモンの値を見ることで、卵巣機能を調べることができます。

E2(エラストラジオール)は卵巣から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の一種で卵胞ホルモン(E2)は卵胞の中にあり卵子を取り囲む「顆粒膜細胞」が産生分泌します。卵子自身が分泌しているホルモンではありませんが、卵子の成熟度を間接的に示しています。

卵胞ホルモンには
 エストロン(E1)
 エストラジオール(E2)
 エストリオール(E3)  

等がありますがE2が子宮内膜、子宮筋に対する生物学的活性が最も強いステロイドホルモンとされます。

E2は主として卵巣より分泌されLH・FSHの分泌刺激を受けています。

E2(エストラジール)の主なはたらきは、卵巣、子宮、腟など女性生殖器の発育を促すこと。

月経時の子宮内膜もこの働きによって厚みを増します。また、精子が通り易いよう子宮頚管粘膜を分泌したり、コレステロールを抑え、肌の新陳代謝を促す作用もあります。

また排卵前にE2の数値を調べる事で、おおよその排卵日の予想がつきます。

排卵後のE2値からは、卵子の成熟度を間接的に読みとることができます。ただし卵子が複数の場合には、正確な指標として読みとれない場合もあります。
排卵誘発剤を用いた刺激周期にはE2の値が上がりますが、一定値を超えるとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の危険性が高まります。

E2の数値が低いという事ですがE2の基準値は次の通りになります。

●月経周期
卵胞期前期:11~82pg/ml
卵胞期後期:52~230 pg/ml
排卵期:120~390 pg/ml
黄体期:9~230 pg/ml

●妊娠中
妊娠前期:2300~7400 pg/ml
妊娠中期:9700~18400 pg/ml
妊娠後期:16500~32400 pg/ml

●閉経後:22 pg/m以下

E2が基準値よりも低いと、卵巣機能が低下していることを意味し、無排卵や無月経という症状のほかに、更年期に入ったことを示唆することもあります。

E2が基準値よりも高いと、卵巣機能は高まっているものの、エストロゲン産生腫瘍などの病気が疑われます。

E2の数値については体内の複雑なシステムが関係しておりますので検査を受けたお医者さんとよくご相談する様にお話しいたしました。

 
 

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壽堂日記令和5年1月11日「妊活・冷え性の治療。」

2023-01-11 08:45:26 | 日記

「寒中」で寒い日が続きますね。

「妊活」のため当院の鍼灸治療を定期的に受けている患者さんから

『治療を受けるようになって、夫から今年の冬は私の体が去年に比べて温かいと言われました。』とお話がありました。

当院では「妊活」には「冷え」「お血」「ストレス」の改善が重要と考えていますが、冷え性の原因の一つとしては「腎の温煦作用」の低下が考えられます。温煦作用とは身体を温める働きの事です

この方の場合は手足と腰・お腹の冷えが強く感じられ、腎の気が虚している「腎虚証」として治療していました。

「腎虚証」の中の「腎陽虚」であるため温煦作用、気化作用の低下が起こり腰や膝の軟弱化と冷え、四肢の冷えが起きたようです。

鍼灸では「手足の症状には体幹部を刺し」「体幹部の症状には手足を刺す」というのが基本です。

「冷え」の症状が強く、体幹部と手足の症状が出ているので「本治法」は積聚治療で五臓の気を補い局所は「澤田流太極療法」を使い治療しています。

鍼を刺すと患者さんから「手足がじわ~として来ました。暖かい物が指先に動いていくのが分かります。」と言われます。

背部の腎のツボに鍼と灸をして、更に「ビワの葉温湿布」をすると手足の先まで気血が流れ「ぽかぽか」します。

鍼灸治療は気血水の滞りによる、各種の痛みや冷え性によく効きます。

 
 

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壽堂日記令和5年1月8日「鍼灸治療でアンチエイジング。」

2023-01-08 07:37:58 | 日記

「鍼灸治療と老化」=アンチエイジングについて考えてみたいと思います。 

東洋医学では、老化現象は腎気(腎精)の衰えによって起こると考えます。
つまり腎に蔵されている先天の精が少なくなることにより老化が起こります。
腎気不足の症状として骨や歯がもろくなる、腰痛、下肢のだるさ、下腹部の無力などがあります。
では腎気を補えば老化現象が止まるのか?止まることはないけれども、老化の速度が遅くはなるのではと思います。

先天の精は、食物から創られる後天の精で補充されていますが、病気などで気・血・陰陽が消耗すると老化が早まります。
病気が原因で「精気の虚」が起きた場合は、気を補うと、本来の年齢のレベルまで「精気の虚」は回復しますが、年齢が老化の原因の場合は「精気の虚」はその年齢以上に回復はしません。
しかし、鍼灸治療で全身の気血の流れを調える事で、臓腑の機能を活性化し、「後天の精」を補う事である程度の年齢まで若々しい体を保つ事は可能です。
鍼灸治療はアンチエイジングの思想の原点であるかも知れませんね。

私が治療するのは60代・70代の方が多いのですが、年齢に比べ外見が若々しい方が多いですね。
毎週何回か鍼灸治療を受けているのが秘訣であろうと思います。

では具体的に何を目的に鍼灸治療をするのかを考えますと
1、廃用性症候群の予防:腰、膝の痛みを軽減することで活動性を高める。
2、未病を治す:全身調整により免疫力、自然治癒力を高める。
3、生活の質を高める:心身の状態をより快適に保つ。
4、心身の安らぎをはかる:心理的な安心巻、充足感を与える。
などをが上げられます。

私は上記の四点を目的に鍼灸治療を行っていますが、具体的には「腎虚」であれば本治法で腎気を補い、さらに標治法で局所の症状に対して治療を行います。

鍼灸治療で痛みを軽減するだけで、生活の質(QOL)は格段に向上するし、活動的な生活を送れると思います。
慢性の疼痛でお悩みの方は、一度、鍼灸治療を受けて見られることお勧めいたします。

 

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