茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年10月31日「鍼灸による頸椎症と関連痛の治療。」

2016-10-31 20:07:45 | 日記

「頸椎症と関連痛」の治療について当院の治療例を御紹介したいと思います。

頸椎症とは頸椎の変形(椎間板、椎間関節、Luschka関節、椎体縁のどの狭小や骨棘の形成など)に伴い、その周囲の神経、血管(脊髄、洞神経、後枝内側枝、神経根、椎骨動脈、頸部交換神経などに)障害を合併する疾患です。

当院では頸椎症の中の関連痛型と神経根症状を鍼灸の適応症として治療しております。同じ頸椎症でも脊髄症型、バレー症状型については専門医での診察をお勧めしております。

当院では頸肩背部の痛みや凝り、また上肢の痛みや痺れで来院される患者様が多く、鍼灸治療で一定の効果を上げております。

では具体的に治療例に従って御紹介いたします。
患者様は40代男性、学生時代にスポーツで転倒、以来20年に渡り
頸肩部、背部の疼痛、凝り感、圧迫感、頸椎の運動制限とそれに伴う放散痛に悩まされ、最近は上肢の疼痛、痺れ、脱力感などの症状が出現されたとのことで来院されました。

受傷当時、整形外科を受診されC4ヘルニアとの診断だったそうですが、通院せず年数が経ってしまったそうです。

1まず最初にタオルの上から頸部、肩背部、脊柱起立筋を軽く擦って体の状態を診ると、左側の板状筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋、脊柱起立筋の緊張が分かります。

2触診するとC4付近の後頸部痛と肩背部、肩甲間部の肩中兪・肩外兪・曲垣・へい風・じゅ兪・天宗・肩貞・の凝りと痛みが著明でした。

3鍼が初めてと言うことなので、一番鍼(太さ0.16mm)を使用する事しました。

4具体的な治療(筋に対するアプローチ)
筋緊張および圧痛硬結部へ鍼管を使い刺入後、置鍼としました。
患者様に聞くと、刺入したことも分からなかったとの答えでした。
経穴名で言えば、
天柱 :頭半棘筋・頭板状筋・僧帽筋
へい風:僧帽筋・棘上筋
曲垣 :僧帽筋・棘上筋
肩外兪:僧帽筋・肩甲挙筋
肩中兪:僧帽筋・肩甲挙筋 
天宗 :棘下筋
じゅ兪:棘下筋
肩貞 :小円筋・大円筋
完骨 :胸鎖乳突筋・頭板状筋
などを使い、さらに背部の菱形形筋上の附分、魄戸、膏肓も使用しました。
曲垣・肩外兪・肩中兪・附分、魄戸、膏肓は頸横動脈が走っており、風池は深部に椎骨動脈が走行しております。
上記の場所に置鍼することにより、筋肉の緊張、硬結が緩むのみならず、血管が拡張する作用により頸部頭部の症状が改善します

風池は深部に椎骨動脈が走行しておりますので刺鍼に注意が必要ですが、深刺でない事と、鍼が細いことから危険性はありません。

治療経過ですが、週2回の治療を一ヶ月続けたところ、当初、青黒かった顔色も正常なピンク色となり、頸部・肩部・背部の筋の緊張硬結も他覚的、自覚的に改善し上肢の症状もなくなり、患者さまからも「最近髪の色艶が良くなった。」との報告がありましたので治療終了としました。

上記に上げた治療・経穴名は局所治療であり、局所治療の前提として本治治療を行っております。


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壽堂日記28年10月29日「手汗に鍼は効果がある?」

2016-10-29 07:52:31 | 日記

『手汗が凄いので鍼で何とかなりませんか?』と患者さんがご相談に見えられました。

生理学的には手掌の発汗は皮膚表面に分布している汗腺(エクリン腺)から行われ、汗腺は交感神経によって支配されており、交感神経が亢進すると発汗が盛んになります。

発汗は視床下部の体温調節中枢により統御されている「温熱性発汗」と大脳皮質によって統御されている「精神性発汗」があります。

ご相談の内容から手汗は「精神性発汗」ではないかと思われます。

 

東洋医学的に「汗」を考えますと「汗」は五液の中の一つで「発汗」は「心」の機能を反映するものとされています。

また「腎」は「水を主る」とされ、水分代謝の異常に深く係わりがあり「腎」は「津液」を主り全身の水分代謝を調節しています。

ここでいう「心」と「腎」は西洋医学的な臓器の「心臓」「腎臓」とは異なります。

人体の正常な水分を「津液」と総称しますが、「汗」も「津液」に含まれます。また「衛気」は体表を循行する「気」で汗腺の開閉を調節しています。

「心」の気が減退した場合に

①衛気の減退は発汗過度をもたらし。

②気の固摂作用の低下は多汗をもたらし。

③衛気の運行失調による、衛気の供給不足も発汗過度をもたらします。

何をしなくても、汗が出るのは、汗を止める気力が弱い事を示しています。

ご相談された方のお体を拝見すると、背部の「魄戸穴」「心兪穴」付近の凝りが顕著で精神的なストレスが交感神経の亢進を起こしているのではと思われます。

治療方針としては気・血・津液の過不足を調え、循行を良くし、寧心安神作用の鍼を行うと過度な発汗は治まると考えられます。


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壽堂日記28年10月21日「授乳期間の腕の痛みと背中の凝り。」

2016-10-21 04:05:20 | 日記

当院で不妊治療をしてた患者さんが久し振りに来院。

子供をだっこしたのが原因と思われる、肩凝り、背中の張り、上肢痛が来院の目的でした。
この症状は多くの育児中のお母さんが体験するのではと思います。

現在授乳しているので筋肉痛の張り薬は使用したくないとの事です。


治療例を順序に従って御紹介してみたいとおもいます。

問診したところ、右の肩凝り・背中の張り・上肢痛・脇の下の痛みと言う症状でした。

子供をだっこすると言う動作を考えると、腕を下に降ろし、肘を曲げると言う姿勢になります。
その場合に負担がかかるのは筋肉では三角筋・僧帽筋・腕橈骨筋になります。

三角筋は物を持ち上げるのに重要な働きをする筋肉です

僧帽筋は、三角筋の働きを助け肩甲骨を安定させますが、重い物を持つ時は、肩甲骨が下に下がるのを防ぐ作用もあります。
僧帽筋は肩凝りの主要な原因筋であり、英語では肩凝りを僧帽筋の筋肉痛「Trapezius Myalgia」とよぶこともあります。
よく英語では「肩凝り」に相当する言葉が無い、欧米人は肩凝りにならないといわれますが「stiff neck」とか「stiff shoulders」とか言うみたいです。

腕橈骨筋は前腕の屈筋ですから、肘を曲げてお子さんをだっこすると筋肉疲労が起きるのは当然ですね。
触診すると、三角筋が凝り、肩甲骨の背部も痛みがあり、上腕は関節部と腕橈骨筋に痛みがありました。

今回の治療は刺さない治療法である、「積聚治療」で行いました。

・最初に腹部全体に接触鍼と言う技法の鍼を行います。鍼は刺入せず、接触するだけで痛みも全くありません。これで体表面の気を調えます。
・次に脈診をして、脈調整という技法を行います。手首の虚している経絡に優しく鍼を当てます。ここでも刺入はしません。気が動くのを感じたらそこで脈調整を終えます。

この段階で「患者さんから、腕が軽くなった。」と報告がありました。

・腕橈骨筋の先ほど痛かった所を確認すると「今は痛くありません。」と患者さんから返事が返って来ました。

・その後に「腹診」で症を立てたところ「脾虚症」ということで腹ばいになって貰い、背部の治療にうつります。

・背部は右の肩甲骨の上部と下部とに反応があり、押すと痛いと言うことでした。肩甲骨には棘上筋・棘下筋がありますが、その上を肩凝りの筋である僧帽筋が薄く覆っています。

・背部全体を腹部と同様に接触鍼をした後に、痛い右側の反対に順序に従って鍼を行います。痛い所でなく反対に鍼を刺すのを巨刺と言います、東洋医学的の古典的な手法のひとつですね。鍼は皮膚に当てるだけで刺入はしません。

鍼を当てながら、痛い右の部分を優しく指で押して、気が動くことにより、硬結が緩む具合を見ながら一穴・一穴丁寧に反応を見て進めていきます。
・最終的に肩甲骨の凝りと痛みが取れたので治療終了としました。

今回は肩凝りと上肢痛と脇の痛みと言うことでしたが、痛いところに直接鍼を刺入する事なく痛みがとれました。患者さんも治療後「痛みが抜けました。」と喜んでくれました。

最後に「二人目を計画しているのでその時も治療をお願いします。」と言われましたが、どうぞお任せください。

今回使用した「積聚治療」と言う治療法は基本的に鍼を体に刺入しないので、鍼を刺入するのに抵抗のある方にお勧めの治療法であると思います。
肩凝り、腕の凝りにお悩みの育児中のお母さん、ぜひ鍼灸治療を受けてみて下さい。


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壽堂日記28年10月20日「冷え性?」

2016-10-20 04:42:34 | 日記

治療院に「冷え症」の患者さんがお見えになりました。「冷え症」を治して体調を調え妊娠に備えたいとの事。

「冷え症」の方は一般的に虚弱体質で貧血の人、胃腸が弱い人、骨盤内臓器の疾患があるとおこりやすく、骨盤内に充血(お血)があるとこの「冷え」の傾向が助長されます。

東洋医学的に「冷え症」を捉えると、冷えの原因は陽虚・血虚・お血・寒湿などです。

気の温煦作用(おんくさよう)・血の温養作用が低下する事により、気血の流れが不足し「冷え」となると考えられています。

温煦作用(おんくさよう)とは内臓が体を温める作用を言います。

東洋医学には気の概念があり、真気(正気)の作用の一つが、温煦(おんく)作用(臓腑器官などの組織を暖め、体温を保持する働き)となます。

実際の治療は当院では「冷え症」はまず本治法を用いて治療します。本治法により治療すると体が温まって来ます。

本治法で治療し気血水の流れが良くなれば他の肩こり・頸凝り・腰痛などの症状も改善します。

「冷え症」に対する特効穴もありますが、「気」を補い、「冷え症」を治療するには最初に本治法を行う事が必要です。


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壽堂日記28年10月18日「温熱トリートメント・リラクゼーション」

2016-10-18 07:39:15 | 日記
ことぶき堂鍼灸院内に女性限定「温熱トリートメント・リラクゼーション」専用のサロン・ド・ジョアンがオープンいたしました。

「サロン・ド・ジョアン」はことぶき堂鍼灸院の中にあるリラクゼーションを目的としたサロンです。

アロマやオイルでの施術もいいですが、温熱療法も極上のリラクゼーション効果を発揮します。

当サロンはハリやお灸を用いず経絡を温熱で温めることにより、トリートメントしてコリをほぐし、体をリラックスさせることを主眼としております。

近年体を温めることの重要性が再認識され温活という言葉も用いられるようになりました。

当サロンでは特殊な温灸器を使って、コリのひどい部分を施術いたします。温熱効果が点ではなく身体の面に広がる温熱器を用いることにより
心地よい温熱とマッサージ効果で、とても気持ち良く、ムクミ、冷え症の方にもおすすめです。

あなたも一度温熱トリートメントのリラックス効果を体験してませんか?

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