茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記3月30日「育児中の肩凝り・腕の痛みの治療。」

2012-03-31 06:18:27 | 日記
今日は、子供の大学で「東日本大震災」で延期されていた平成23年度の入学式が「東日本大震災」の犠牲者の追悼式のあとで挙行され、春休み中の子供も久しぶりに大学に出かけました。
すでに一年間大学生活を送ったあとの入学式ですが、節目として延期されていた入学式を挙行してくれた大学に感謝しています。子供に聞くと、春休み中にも関わらず殆どの学生が追悼式から出席し、私は治療で参加出来ませんでしたが、多くの保護者も出席していたということです。人生の通過儀礼として入学式は重要なイベントでありますね。

今日私が治療した患者さんのお一人は、子供をだっこしたのが原因と思われる、肩凝りと上肢痛でした。
多くの育児中のお母さんが体験するのではと思います。
治療例を順序に従って御紹介してみたいとおもいます。

問診したところ、右の肩凝り・上肢痛・脇の下の痛みと言う症状でした。
子供をだっこすると言う動作を考えると、腕を下に降ろし、肘を曲げると言う姿勢ですよね。
その場合に負担がかかるのは筋肉では三角筋・僧帽筋・腕橈骨筋になります。
三角筋は物を持ち上げるのに重要な働きをする筋肉です
僧帽筋は、三角筋の働きを助け肩甲骨を安定させますが、重い物を持つ時は、肩甲骨が下に下がるのを防ぐ作用もあります。
僧帽筋は肩凝りの主要な原因筋であり、英語では肩凝りを僧帽筋の筋肉痛「Trapezius Myalgia」とよぶこともあります。
よく英語では「肩凝り」に相当する言葉が無い、欧米人は肩凝りにならないといわれますが「stiff neck」とか「stiff shoulders」とか言うみたいです。
腕橈骨筋は前腕の屈筋ですから、肘を曲げてお子さんをだっこすると筋肉疲労が起きるのは当然ですね。
触診すると、三角筋が凝り、肩甲骨の背部も痛みがあり、上腕は関節部と腕橈骨筋に痛みがありました。

今回の治療は刺さない治療法である、「積聚治療」で行いました。
・最初に腹部全体に接触鍼と言う技法の鍼を行います。鍼は刺入せず、接触するだけで痛みも全くありません。これで体表面の気を調えます。
・次に脈診をして、脈調整という技法を行います。手首の虚している経絡に優しく鍼を当てます。ここでも刺入はしません。気が動くのを感じたらそこで脈調整を終えます。
この段階で「患者さんから、腕が軽くなった。」と報告がありました。
・腕橈骨筋の先ほど痛かった所を確認すると「今は痛くありません。」と患者さんから返事が返って来ました。
・その後に「腹診」で症を立てたところ「脾虚症」ということで腹ばいになって貰い、背部の治療にうつります。
・背部は右の肩甲骨の上部と下部とに反応があり、押すと痛いと言うことでした。肩甲骨には棘上筋・棘下筋がありますが、その上を肩凝りの筋である僧帽筋が薄く覆っています。
・背部全体を腹部と同様に接触鍼をした後に、痛い右側の反対に順序に従って鍼を行います。痛い所でなく反対に鍼を刺すのを巨刺と言います、東洋医学的の古典的な手法のひとつですね。鍼は皮膚に当てるだけで刺入はしません。鍼を当てながら、痛い右の部分を優しく指で押して、気が動くことにより、硬結が緩む具合を見ながら一穴・一穴丁寧に反応を見て進めていきます。
・最終的に肩甲骨の凝りと痛みが取れたので治療終了としました。
今回は肩凝りと上肢痛と脇の痛みと言うことでしたが、痛いところに直接鍼を刺入する事なく痛みがとれました。患者さんも治療後「痛みが抜けました。」と喜んでくれました。
今回使用した「積聚治療」と言う治療法は基本的に鍼を体に刺入しないので、鍼を刺入するのに抵抗のある方にお勧めの治療法であると思います。
肩凝り、腕の凝りにお悩みの育児中のお母さん、鍼治療を一度受けてみて下さい。
 

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壽堂日記3月29日「鍼灸による花粉症の治療(3)」

2012-03-29 13:00:30 | 日記
今日は暖かいですね。花粉も沢山飛んでいます。しばらく花粉症の方にはつらい季節が続きますね。
実は私も花粉症なのですが、鍼灸を使った「花粉症」の治療についてご紹介したいと思います。

今日の配穴は
 印堂・迎香・合谷・足三里・孔最
の5穴です。
 耳穴でも効果があるのですが、あえて東洋医学的な理論の経穴を使ってみました。

花粉症は鼻アレルギーなのですが、東洋医学的に考えると、鼻は肺に関係にする臓腑です。経絡的には陽明経が流れており、その陽明経は脾胃を支配しています。また太陽経も関係しています。
東洋医学的な考え方では花粉症に関係の深い臓腑は「肺」と「脾」と「胃」であるといえます。

では、なぜ花粉症になると鼻水が出るのでしょうか?
鼻水が出るのは、胃にある水が熱によって動かされるためです。熱は外に出て行こうとする性質と上に昇る性質があります。
しかし、体力が無く陽気が不足していると熱を充分に発散する事が出来ず、そのために上焦に熱が多くなってしまいます。
上焦に熱が滞留し、熱が外に出て行こうとして「鼻炎=花粉症」が起こります。
その時に水が動かされて鼻水が出るわけですね。クシャミは熱による刺激のが原因であり、目のかゆみは熱が停滞するのが原因です。

今日の配穴の
 印堂・迎香・合谷・足三里・孔最
について見ていくと、

東洋医学の取穴原則の一つである近部取穴にあたるのが印堂・迎香です。
本当は印堂ではなく上星を使いたいところですが、貼りやすさを考えて印堂としました。
印堂は眉間の中央に位置し鼻根の上方にあり、督脈の経気を刺激し鼻を通す作用があります。
陽明経に熱が多くなって、督脈に溢れ停滞するため鼻の症状が現れるわけですから、印堂を使い督脈の経気を刺激し鼻を通します。
迎香は鼻翼の傍らにあり陽明経の邪気を清泄する作用があります。この2つの経穴を併用すると上下から鼻を挟み込んで経気の流れを良くする働きが強化されます。

東洋医学の取穴原則の一つである遠部取穴にあたるのが合谷・足三里・孔最です。
合谷は手陽明大腸経の原穴であり、「四総穴」の一つで、「面目」つまり顔面部の病を主治する代表的な経穴です。遠位取穴の中の循経取穴にあたりますが、考え方としては「痛みや病変のある場所と経絡で結ばれている経穴を使って治療する方法であり、経絡の通る所は病巣から遠く離れた経穴でも経絡で結ばれていれば治療の効果があると言うことです。」
足三里は足陽明胃経の合土穴であり、「四総穴」の一つですが、疎通経絡・調和気血などの作用があります、「迎香」が手陽明大腸経と足陽明胃経の交会穴であるため、上に「迎香」下に「足三里」を使う事により一上一下の作用により鼻を通す作用は強化されます。
孔最は鼻を支配する手太陰肺経のげき穴であり、肺経の気血が最も深く集まるツボです。作用は清熱解表、宣肺平喘などですが、急性症状に効果があります。
手太陰肺経と手陽明大腸経は表裏関係にあり、大腸経の合谷と肺経の孔最を組み合わせて使うと内熱の症状に効果があります。

今日の治療は全て円皮鍼を貼ってみました。

治療の効果としては、透明な鼻水とクシャミ、目の痒みがすぐに止まりました。
花粉症の人に鍼灸治療はお勧めです。

 

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壽堂日記3月27日「鍼灸治療と老化とアンチエイジング。」

2012-03-27 20:33:14 | 日記
今日は、デイサービスの鍼灸治療に行って来ました。
今回は「鍼灸治療と老化」=アンチエイジングについて考えてみたいと思います。 

東洋医学では、老化現象は腎気(腎精)の衰えによって起こると考えます。
つまり腎に蔵されている先天の精が少なくなることにより老化が起こります。
腎気不足の症状として骨や歯がもろくなる、腰痛、下肢のだるさ、下腹部の無力などがあります。
では腎気を補えば老化現象が止まるのか?止まることはないけれども、老化の速度が遅くはなるのではと思います。

先天の精は、食物から創られる後天の精で補充されていますが、病気などで気・血・陰陽が消耗すると老化が早まります。
病気が原因で「精気の虚」が起きた場合は、気を補うと、本来の年齢のレベルまで「精気の虚」は回復しますが、年齢が老化の原因の場合は「精気の虚」はその年齢以上に回復はしません。
しかし、鍼灸治療で全身の気血の流れを調える事で、臓腑の機能を活性化し、「後天の精」を補う事である程度の年齢まで若々しい体を保つ事は可能です。
鍼灸治療はアンチエイジングの思想の原点であるかも知れませんね。

デイサービスで私が治療するのは80代・90代の高齢者の方が多いのですが、年齢に比べ外見が若々しい方が多いですね。
毎週何回か鍼灸治療を受けているのが秘訣であろうと思います。

では具体的に何を目的に鍼灸治療をするのかを考えますと
1、廃用性症候群の予防:腰、膝の痛みを軽減することで活動性を高める。
2、未病を治す:全身調整により免疫力、自然治癒力を高める。
3、生活の質を高める:心身の状態をより快適に保つ。
4、心身の安らぎをはかる:心理的な安心巻、充足感を与える。
などをが上げられます。

私は上記の四点を目的に鍼灸治療を行っていますが、具体的には「腎虚」であれば本治法で腎気を補い、さらに標治法で局所の症状に対して治療を行います。

鍼灸治療で痛みを軽減するだけで、高齢者の方の生活の質(QOL)は格段に向上するし、活動的な生活を送れると思います。
疼痛でお悩みの方は、一度、鍼灸治療を受けて見られることお勧めいたします。

私の患者様の中には、気持ち良くて歌い出してしまう方もいらっしゃいましたよ。




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壽堂日記3月25日「顔は五臓の鏡」

2012-03-25 06:56:59 | 日記
今日は久しぶりに、良い天気でしたね。早いところでは桜の便りも聞こえてきました。

当治療院では美容鍼を施術しておりますが、東洋医学の考え方で、五臓の状態が顔に現れると言う考え方があります。
東洋医学では「顔は五臓の鏡」といわれます。
具体的な例を挙げますと、
・肝の働きが悪いと、お血と言われる目の下のくまが出来たり。
・脾の働きが悪いと顔色が黄色く萎びて見えたり。
・肺の働きが悪いと吹き出物・肌荒れが起きたり。
・腎の働きが悪いと顔色が煤けた様に黒くなったり、浮腫んだり、髪が白髪になったりします。
当院の美容鍼の考え方として、お客様のお顔に鍼を刺すだけの美容鍼ではなく、根本にある様々な症状の「本」となっている五臓の調子を整える「本治法」により治療し、その後に顔に鍼をする「標治法」により五臓の失調でお顔に生じた症状を改善するのを基本としております。
つまり美容鍼と言うのは、特殊な治療ではないと思うのです、あくまでも治すものは「病気の本」であり、それが改善すれば「顔は五臓の鏡」と言われるように、美容上のトラブルも改善しますし、逆に顔に鍼をすることで五臓の失調を治すことも出来ます。
当治療院が求めるものは「健康的な美しさ」です。
当治療院は、お客様の美と健康をサポートしてまいりたいと思っています。
当治療院は北川毅先生が代表理事を務める日本美容鍼灸協会の協会員でありこれからも「健美」を追求してまいります。

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壽堂日記3月23日「腰痛+花粉症の鍼灸治療」

2012-03-23 21:09:46 | 日記
毎週金曜日は母校の付属治療室で鍼灸治療を担当しています。
今日は季節柄か「腰痛+花粉症」の人が多かったですね。
花粉症でクシャミをして、そのショックで腰痛になったり、結構背筋が攣ることがあるみたいです。
今日の患者さんは全て「積聚治療」の腎積腎虚症でしたが、東洋医学では「腎は腰の府」と言われていますので、セオリー通りと言うことになりますね。
東洋医学では「腰痛」の様な実際の症状は「標」と言い、「本=原因」である腎の気が虚しているのが原因で「腰痛」の症状が出ていると考え、「腎の気の虚」を補うことで「腰痛」も治ると考えます。
具体的には、五行の考え方に基づき「腎=水」とその母である「肺=金」を補います。ここで気づくのは、「花粉症」は鼻アレルギーで、鼻に関係の深い臓器は「肺」であると言うことです、「肺=金」の気が虚しているから、「腎=水」の気が虚して「腰痛=腎虚」が起きたと言うことも一つの見方であると思います。
「積聚治療」の腰痛の治療は前回ブログで御紹介の通りで、膀胱経2行線と脊際と督脈を使用し、最後に四総穴の一つである委中と太谿を遠部取穴し治療したら「腰痛」は直ぐに主訴が取れましたが、問題は「花粉症」でした。
「花粉症」も本治法で治療すれば「冷え=精気の虚」が取れて体が温まり、それだけで治る訳ですが、今日は補助治療で最近使っている、上星・上迎香・合谷・足三里を使用して治療してみました。患者さんから「鼻の通りが良くなった。」と好評でした。


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