茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記26年12月29日「鍼灸による不妊治療とは?」

2014-12-29 07:24:05 | 日記

今日は朝から冷たい雨が降っています。風邪・寒邪に注意して体を冷やさないようにご注意ください。

「ことぶき堂鍼灸院」では東洋医学的な人体観に基づき鍼灸による「不妊症」治療を行っております。

私は「不妊症」の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」が関係していると考えています。

治療内容は患者さん一人一人のオーダーメイドですが、基本となる東洋医学的な考え方をご紹介したいと思います。


現代の様なストレス社会において、人は常にストレスに曝されています。ストレスは気・血・水の流れの変調をもたらします。

鍼灸治療は気・血・水の流れ・陰陽バランスを調える治療ですから、鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。

では具体的に「不妊症」の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

東洋医学において、大きく分けて肝・脾・肺・腎の4つが、妊娠に影響すると言われています。

昔から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。

そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとされています。

腎は、生殖用の精も貯蔵しています。

生殖用の精が不足すると、妊娠ができない様々な症状となって出てきます。
男の精と女の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。

腎の力は成長と同時にその力も高まっていきます。

中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。

 女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。
21歳で体格は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈が空虚になり、月経が停止する」

 最近CMで見かける女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。

生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若くても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

また肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。肝はストレスが影響を与えやすい臓腑であると考えられます。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。


鍼灸を用いて、経脈上のツボを刺激することによって女性が本来持っている力を引出し、卵巣と子宮の機能が高まると、妊娠し易い体質へと改善されていきます。

また黄体機能不全、卵巣過剰刺激症候群などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。
当院では東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては西洋医学との併用が有効と考えます。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「ストレス」「お血」「体の冷え」を治療し妊娠し易い体を造ることを目標としております。





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壽堂日記26年12月28日「寝違えで手が痺れる?」

2014-12-28 07:40:32 | 日記

朝8時前に患者さんから『頸を寝違えて痺れて手が動きません。頸椎が原因で症状が出ていると思うんですが診て頂けますか?』との電話がありました。

朝起きたら右手が痺れて動かないので、慌てててネットで調べたそうです。

考えられるのは脳疾患 ・神経根障害・脊髄病変 ・胸郭出口症候群・手根管症候群・肘部管症候群などです。

診察すると右手の小指と薬指の小指側半分が痺れ、手先が非常に冷たく赤黒い状態です。

頸椎を診察しても顕著な凝りは認められません、今回は尺骨神経の障害による肘部管症候群ではないかと思われます。

肘部管症候群の原因として、睡眠中に肘関節をまげて、手を枕のかわりにして長時間寝ていると起きることがあります。

治療としては頸部、肩部に鍼とお灸をしてから肘部と尺骨神経の走行ライン上に鍼とお灸、さらに八邪穴に置鍼すると冷たかった手が暖かくなり、色も赤黒い状態が改善して来ました。

抜鍼後に温灸器で丁寧に経絡に沿って気血を流して治療終了としました。脳疾患 ・神経根障害・脊髄病変の可能性もありますので大事を取って病院で診察を受ける様にお願いしました。


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壽堂日記26年12月23日「東洋医学的な不妊治療とは?」

2014-12-23 08:54:33 | 日記

遠方から東洋医学的な考え方による「不妊治療」を受けに患者さんがお見えになりました。

お話を伺うと東洋医学的な考え方で「不妊症」の治療を行う治療院はとても少ないのだそうです。

 

鍼とお灸を使用して治療しても、現代西洋医学的な発想に基づいて鍼灸治療を行えば、これは西洋医学的な鍼灸です。

 

では東洋医学的な鍼灸とは?

東洋的な発想に基づいた鍼灸治療とは「気の概念」を基盤に置いた治療法であり、「気と陰陽」と言う観点から人体を捉える医学が東洋医学です。

当院では「積聚治療」と言う治療法を使用して「不妊症」の治療を行うのですが、「積聚治療」では人体を気の総体、組織の違いを気の重層構造としてとらえ、また病を気の偏りや滞りとして、治療とはその状態を補正する事と考えます。

 

「不妊症」」の原因は「冷え」と「お血」であることが多いのですが。この場合の「冷え」とは「冷え症」の「冷え」とは意味が異なります。

「冷え」とは先天的、後天的な様々な原因から人体に生じる「生命力の低下」であり根源的な病因と考えます。


ここで言う「冷え」とは「精気の虚」や四診で判断できる「虚」を「冷え」と表現するもので、単に温度感覚的な冷たいという内容に留まらず「陰の気の虚」「精気の虚」を含めた概念なのです。

もちろん自覚的・他覚的な冷たい感覚も含みますので「冷え症」も「冷え」の一つの症状でありますが、その背後に「陰気の虚」「精気の虚」があり、それを「冷え」と表現します。

鍼灸治療する事により体の「陰陽バランス」を調え、気血を動かし冷えを取ることにより母胎を妊娠し易い状態に改善することが、当院の不妊治療の方針です。

当院では刺さない鍼による「積聚治療」により「冷え」を取る全身治療を行っておりますので、鍼灸による不妊治療を受けて見たいと思われる方は一度お試しください。


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壽堂日記26年12月22日「寝違えて頭痛がする?」

2014-12-22 07:27:58 | 日記

『寝違えで頚が引き攣り頭痛がする。』と患者さんがお見えになりました。

夜遅くまで開院している「指圧」の治療院で電気を流して貰ったそうですが一向に良くならないという事です。

問診すると交通事故で「頸椎症」の治療を受けていたそうです。

「頸椎症」とは頸椎の変形(椎間板、椎間関節、Luschka関節、椎体縁のどの狭小や骨棘の形成など)に伴い、その周囲の神経、血管(脊髄、洞神経、後枝内側枝、神経根、椎骨動脈、頸部交換神経などに)障害を合併する疾患です。

当院では頸椎症の中の関連痛型と神経根症状を鍼灸の適応症として治療しております。

同じ頸椎症でも脊髄症型、バレー症状型については専門医での診察をお勧めしております。

では具体的に今回の治療を説明してみます。


①まず最初にタオルの上から頸部、肩背部、脊柱起立筋を軽く擦って体の状態を診ると、左側の板状筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋、脊柱起立筋の緊張が分かります。

更に確認すると頚椎の4C上に小さな傷跡がみられます。事故の時の傷ですかね?

②触診するとC4付近の後頸部痛と肩背部、肩甲間部の肩中兪・肩外兪・曲垣・へい風・じゅ兪・天宗・肩貞・の凝りと痛みが著明でした。

③具体的な治療(筋に対するアプローチ)
筋緊張および圧痛硬結部へ鍼管を使い刺入後、置鍼としました。


患者様に聞くと、刺入したことも分からなかったとの答えでした。

経穴名で言えば、
天柱 :頭半棘筋・頭板状筋・僧帽筋
へい風:僧帽筋・棘上筋
曲垣 :僧帽筋・棘上筋①
肩外兪:僧帽筋・肩甲挙筋
肩中兪:僧帽筋・肩甲挙筋 
天宗 :棘下筋
じゅ兪:棘下筋
肩貞 :小円筋・大円筋
完骨 :胸鎖乳突筋・頭板状筋
などを使い、さらに背部の菱形形筋上の附分、魄戸、膏肓も使用しました。

曲垣・肩外兪・肩中兪・附分、魄戸、膏肓は頸横動脈が走っており、風池は深部に椎骨動脈が走行しております。
上記の場所に置鍼することにより、筋肉の緊張、硬結が緩むのみならず、血管が拡張する作用により頸部頭部の症状が改善します

風池は深部に椎骨動脈が走行しておりますので刺鍼に注意が必要ですが、深刺でない事と、鍼が細いことから危険性はありません。

鍼とお灸の後にMT温灸器を使用して経絡に沿って気血の流れを調えて治療終了としました。

患者さんは『凝りが解れて頭が痛いのが直りました。視界が明るいです。』との事です。

今回の症状は寒さによる「頚椎症」の古傷が痛んだ為かと思われます。


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壽堂日記26年12月20日「長寿の灸?」

2014-12-20 05:55:16 | 日記

朝晩寒くなりましたね。

先日「疲労回復・元気の出るお灸」について書きましたが今日は「長寿の灸」について取り上げてみたいと思います。

使用する経穴は重複する物が多いのですが、長寿を目的とした治療のポイントは「灸治療で陽気をたすけること。」になります。

古典医書に

「人は晩年に至と陽気が衰えるために、手足が温まらず、下元が疲労して虚すので動作が困難になる。
人は一息の陽気があれば死なない。気とは陽により生ずるものであり、ゆえに陽気が尽きれば死ぬ。人は病の無いときには常に関元・気海・命門・中脘に灸をすれば百余年の寿命を保つ事ができる。」
と記されています。

当院では治療に際しては澤田流の基本穴+関元・気海・命門・中脘・足三里に灸をする事になりますが、後者の中には基本穴にすでに入っているものもありますね。

「気海」は元気の海。
「関元」は足三陰と任脈の交会穴。
「中脘」は胃の募穴
ですので、お灸をすることにより脾胃を健やかにして、後天の精を補い、先天を強健にして気血を活発化させ。その結果体力がつき長生き出来る様にとするのが「長寿の灸」です。

私の母は92歳ですが、頭もはっきりして、お肌も艶々、百余年の寿命を保つ事の手伝いが出来たらと思っています。


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