茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記26年11月29日「生理不順と悪(お)血?」

2014-11-29 07:13:35 | 日記

当院では鍼灸による不妊症の治療をしていますが、不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」です。

先週「生理不順」と言う事で治療にみえられた方も左下腹部が硬く冷たく「冷え」と「瘀(お)血」が強く感じられ典型的な「「瘀(お)血」の証」と思えました。

今週再度お見えになられ『先週治療を受けてから程無く生理が来ました。』と報告を頂きました。

先週の治療は「腎虚証」で全体治療を行い、標治法で四満・腰陽関・血海などを使用しました。


今日は「瘀(お)血」について説明してみたいと思います。

「瘀(お)血」は悪血・古血とも呼ばれています。


当院では腹診で証を立てそれに従い鍼灸治療をしていますが、肩こり・のぼせ・冷え性・生理不順・不妊症等の症状で来院される方の中には左下腹部に圧痛や硬血や冷感域があることが多く「瘀(お)血」の症状が見られることがあります。

東洋医学では流れが悪く滞りがちな血液を「瘀(お)血」と呼び、血液が正常な状態に比べて粘度が強く流れが悪く、よどんだ状態の事を言います。

また東洋医学では左下腹部の圧痛や硬結や冷感域を特に「瘀(お)血の証」と呼んでいます。


不妊症の治療では「肝・腎・脾」の3臓を調えることが重要となります。

「瘀(お)血」の関係が深い臓も「肝・腎・脾」となりますが、肝は血を蔵し(肝蔵血)、肝血が不足すると月経量が少なくなりひどい場合は閉経したりします。

また肝不蔵血の場合は月経量が多くなりひどいと不性器出血が起きます。

肝の血流調節の機能は蔵血と疏泄機能のバランスが保たれて初めて正常に行われるもので、肝の疏泄機能が衰えると生理不順・生理痛が起きやすく、「瘀(お)血」が出来やすいのです。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・瘀(お)血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、瘀(お)血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

この瘀(お)血の状態が進むと、頭痛・めまい・肩凝り・のぼせ・生理不順・生理痛・月経前のイライラ・冷え性等の症状が現れ、また不妊症の原因ともなります。




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壽堂日記26年11月26日「メニエール病に鍼は良く効く?」

2014-11-26 07:36:30 | 日記

当院の「メニエール病の治療」のブログを読まれて、遠くから治療にお見えになられている方の調子が良くて、問診の時にお話を聞いていてとても嬉しく思います。

10年近く「メニエール病」で悩まれていた方が週一回の鍼灸治療で薬を飲まずに症状をコントロール出来るのですから、個人差はありますが鍼灸は「メニエール病」にとても効果があります。

車で片道2時間掛けて治療を受けに来られる価値があると言う事ですね。

現代医学的には「メニエール病」は、内リンパ液の生産と吸収のバランスが崩れることで起こり、内リンパ液の過剰生産により、音を伝える「蝸牛」、平衡感覚を司る「半規管」「耳石器」に内リンパ液が溜まって腫れ上がる「内リンパ水腫」が原因だと考えられています。

内リンパ液の過剰生産の原因は不明ですが、一般的には、ストレス、疲労、あるいは睡眠不足などが引き金になって起こることが多い様です。また神経質とか凡帳面な人に多く見られます。

東洋医学的には耳は「腎」と密接な関係があります。「腎の気」が衰えると難聴や耳の閉塞感が起こります。

当院では最初に「本治法」で体全体の気血水の流れを調え、虚している臓の気を補います。補う気は「腎の気」であったり「脾の気」であったりと診察の結果で変わります。その後で「標治法」で耳・頸部・肩部・顔面部に鍼を刺します。

耳・顔面部の鍼は「美容鍼」用の鍼を使用しますので痛くありません。

当院で「メニエール病」の治療を受けている方々は皆様、症状が安定しており「メニエール病」には鍼がよく効くと改めて思いました。

 


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壽堂日記26年11月24日「不育症とストレスの関係は?」

2014-11-24 09:55:55 | 日記

当院では東洋医学的な考え方に基づき「不妊症」「不育症」の鍼灸治療を行っております。

当院では「不妊症」「不育症」のいずれも「体の冷え」と「ストレス」と「瘀血」が大きく影響していると考えています。

西洋医学的には「女性不妊」の主な原因といわれているのが、「子宮筋腫・子宮内膜症」「卵管障害」「排卵障害」「高プロラクチン血症」「黄体機能不全」などです。

「不育症」では「染色体異常」「子宮異常」「内分泌異常」「凝固系異常」「免疫異常」など様々な原因があげられています。

また、西洋医学でも要因として不妊症・不育症の原因といわれているのが「体の冷え」と「ストレス」です。

体が冷えていたり、ストレスで緊張していたりすると、体は委縮し、血液の循環が悪くなってしまいます。

その結果として、子宮内の血流が滞ったり免疫力の低下やホルモンバランスが崩れるなどの、変化が起こってしまうのです。

「不育症とストレス」の関係についてですが

「ストレス状態」の時に視床下部から神経伝達物質としてセロトニンが多く分泌され、その刺激によりプロラクチンの分泌が促進されます。

プロラクチンは子宮内の免疫細胞を活性化させ、その結果として免疫伝達物質が放出され、胎盤組織における血管細胞の障害を引き起こし、凝固系が活性化し、微小血栓形成による虚血が起き、胎児死亡が引き起こされることがあります。

また「ストレス状態」の時に、女性ホルモンの分泌が低下すると、細胞免疫が活性化してナチュラルキラー細胞(NK細胞)が活性化されます。

アドレナリンの分泌亢進でもナチュラルキラー細胞(NK細胞)は活性化されます。

NK細胞が活性化すると子宮内の血管内胎児細胞が障害されその結果として胎盤内腔が高圧となることもあります。

「不育症とストレス」は密接な関係があります。西洋医学的な治療を受けつつ東洋医学で「体の冷え」と「ストレス」と「瘀血」の改善を図る事も治療の選択肢の一つでは無いかと考えます。


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壽堂日記26年11月23日「がんの疼痛緩和ケア・元気が出るお灸。」

2014-11-23 08:08:39 | 日記

「がんの疼痛緩和」についてお問い合わせがありましたので簡単に説明してみたいと思います。

 

当院では「鍼灸」「ビワの葉温灸」と各種療法を組み合わせ、「がんの疼痛緩和ケア」を行っております。

鍼灸は疼痛だけでなく、抗癌剤の服用による吐き気・食欲不振・倦怠感など様々な症状の緩和に効果があります。

お問い合わせに中に鍼による播種を心配される方が居られましたが、当院では刺さない鍼を使用する「積聚治療」と言う手技で全体治療(本治法)を行いますので鍼による播種の心配はありません。



当院では本治法の後に、お灸で「虚労」や「補胃益脾」などの配穴を用いて食欲を増進させ「元気」を増す治療をして、その後に「ビワの葉温灸」を行います。


「虚労」とは、東洋医学で「極度に疲労した状態」をいいます。

またここで言う「元気」とは気の種類である、元気(げんき)=正気(せいき)、宗気(そうき)、衛気(えき)、神気(しんき)、の中の「元気」の事です。

「元気」の源は「胃気」であるとされており、「胃気」を補うことでしか「元気」を増すことは出来ません。


「虚労」治療の配穴例としては「五華の灸」などが有名ですが身柱・膏肓・膈兪を五角形に結びお灸をします。

また「補胃益脾」は膏肓・気海・関元・足三里・内関などにお灸をします。

「元気」を増すお灸をすると患者さんから

『お灸は怖いと思っていましたが、とても気持ちが良い物ですね。』

と言われます。

当院では漢方成分を配合したモグサを使用してお灸をしていますが、お灸の熱が染み透るととても気持ちが良いそうです。

鍼灸治療は「がんの疼痛緩和」のためアメリカ国内では広く行われており、米国食品医薬品局(FDA)は、アメリカ国内におけるがん治療での鍼灸の使用を承認しています。

鍼灸を行うことで、神経細胞、下垂体、脳各部に身体的反応が起き、これらの反応が起きることで、様々な身体機能を調節する蛋白やホルモ ン・脳内化学物質を体が分泌するようになります。

このようにして、鍼灸を行うことで、血圧や体温に効果が現れ、免疫系の機能を活発化させるとともに、エンドルフィンのように、体が本来持っている痛み止め成分を分泌させます。

国民の二人に一人が生涯に一度はがんになる時代ですので治療院に来院される患者さんの中にもがんの体験者はおられ、術後の疼痛緩和・体調管理・化学療法の症状の緩和など様々な理由で治療を受けに来られます。

当院では患者さんお一人お一人に合わせた治療を行っております。


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壽堂日記26年11月22日「頸椎症・風寒の邪?」

2014-11-22 05:47:42 | 日記

患者さんから「頸椎症の治療は出来ますか?」とお問い合わせを頂きました。

当院では「頸椎症」の治療も行っております。「交通事故ですか?」とお訊ねしたところ違うとの事です。

当院は交通事故による「むち打ち症」の治療も得意としております。最近当院のブログに「不妊症」とか「不育症」の記事が多いので誤解されているようですが、整形外科・外科疾患の治療もいたしております。

「頸椎症」の治療ですが、多くは「肝腎不足」により筋骨が栄養を失い、そこに風寒を外感することで、「気滞血瘀」となり発症するとされており、本治法での治療が大切です。

東洋医学の古典「黄帝内経(こうていだいけい)では、「通則不痛、不通即痛」と記載されています。これは「通じれば即ち痛まず、通じざれば即ち痛む」と言う意味になります。


つまり、何らかの原因によって、体の正常な「気血」の流れに詰まりを生じた時に痛みを生じるという考えです。

 

さて今回の患者さんですが、一週間前に頸椎を痛め、別の治療院に通院したそうですが「温めと電気だけで一向に良くならない。」とのことです。

「温めと電気治療」は当院でもいたしますが、まず本治法で「肝腎気虚」を補うことが必要です。

その後に標治法として天柱・風池・風門・大椎にお灸をしました。これは患部の近位を治療することで、風寒の邪を払い、経絡上の気血の流れを良くするのが目的です。

「風邪」のお灸については前回書きましたので、興味があればそちらをご覧下さい。

治療後は手足もポカポカしてきて調子が良いと言う事でした。これから寒さが本格的になりますので「風・寒」の邪にはお気お付け下さい。


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