当院では鍼灸による不妊症の治療をしていますが、不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」です。
先週「生理不順」と言う事で治療にみえられた方も左下腹部が硬く冷たく「冷え」と「瘀(お)血」が強く感じられ典型的な「「瘀(お)血」の証」と思えました。
今週再度お見えになられ『先週治療を受けてから程無く生理が来ました。』と報告を頂きました。
先週の治療は「腎虚証」で全体治療を行い、標治法で四満・腰陽関・血海などを使用しました。
今日は「瘀(お)血」について説明してみたいと思います。
「瘀(お)血」は悪血・古血とも呼ばれています。
当院では腹診で証を立てそれに従い鍼灸治療をしていますが、肩こり・のぼせ・冷え性・生理不順・不妊症等の症状で来院される方の中には左下腹部に圧痛や硬血や冷感域があることが多く「瘀(お)血」の症状が見られることがあります。
東洋医学では流れが悪く滞りがちな血液を「瘀(お)血」と呼び、血液が正常な状態に比べて粘度が強く流れが悪く、よどんだ状態の事を言います。
また東洋医学では左下腹部の圧痛や硬結や冷感域を特に「瘀(お)血の証」と呼んでいます。
不妊症の治療では「肝・腎・脾」の3臓を調えることが重要となります。
「瘀(お)血」の関係が深い臓も「肝・腎・脾」となりますが、肝は血を蔵し(肝蔵血)、肝血が不足すると月経量が少なくなりひどい場合は閉経したりします。
また肝不蔵血の場合は月経量が多くなりひどいと不性器出血が起きます。
肝の血流調節の機能は蔵血と疏泄機能のバランスが保たれて初めて正常に行われるもので、肝の疏泄機能が衰えると生理不順・生理痛が起きやすく、「瘀(お)血」が出来やすいのです。
肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。
東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。
肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。
つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・瘀(お)血が出現します。
女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、瘀(お)血という形で滞った悪い血が溜まってきます。
この瘀(お)血の状態が進むと、頭痛・めまい・肩凝り・のぼせ・生理不順・生理痛・月経前のイライラ・冷え性等の症状が現れ、また不妊症の原因ともなります。