「頭痛・肩凝り」の患者さんがお見えになりました。
「頭痛」に鍼?と思うかも知れませんが、頭痛薬でも鎮める事が出来ない「頭痛」でも鍼灸治療は良く効きます。
今回は刺さない鍼を使用する「積聚治療」で治療しました。
何故刺さない鍼で効果が出るのかと言うと、鍼灸の治療効果と鍼の刺さる深さは比例するものでは無いからです。
刺さない鍼で治療効果を出すには一定の治療方式に従い、体の気を徐々に動かしていく事が求められます。
刺さない鍼は「接触鍼法」と云う手技で色々な流派がありますが、私は「積聚治療」の「積聚会」に所属しています。
具体的な治療に沿って説明しますと。
最初に問診・脈診をします。次に腹部に対して軽く「接触鍼」をして体表の気を調えます。
その後、脈を診て脈状を判断します。
今回は「肺」の脈が沈で戻りが弱いので、肺経の原穴「太淵」を選択し鍼を皮膚にあて「気」が至のを待ちます。
腹部を診て、証を立てます。今回は曲骨上際の圧痛が一番強く「腎虚証」で治療を進める事としました。
頭痛で「腎虚証」というのは意外な感じがするかも知れませんが、陰の気が虚すことで、陽の気が上部に集まり「頭痛・肩凝り」などの症状がでます。
次に今度はうつ伏せになって貰い、背部に「接触鍼」をします。
背中の気を調えてから、「腎虚証」の治療方式に従い、鍼を背部を走行する太陽膀胱経の経穴にあてます。今回もあてるだけで刺しません。鍼を操作して「気」が至のを待っていると、凝っていた肩・背中の筋肉が徐々に緩んで来ます。
背部の治療を終えた段階で患者さんに状態を尋ねたら『頭痛は感じません。肩も調子が良いです。』というので背部の治療を終了し、仰向けに寝てもらい、さっき痛かった曲骨上際の圧痛を尋ねると2割位残っていたので、その圧痛を取るため「腎経」の復溜に鍼をあて「気」を動かし変化を尋ねると『あれ?痛くない。』と云うので「腎の虚」が補われたと判断し治療終了としました。
治療後は「頭痛・肩凝り」は解消していました。