坐骨神経痛の患者さんから「痛い所が移動するんですけど?」と質問されました。
夜寝ていると痛みが下肢を上下して眠ることが出来ないそうです。
診察すると胆経のライン上を痛みが移動するとことが分かりました。胆経は下腿の外側を流れている経絡です。
まず考えられるのは「痺症」という症状です。
東洋医学では「風」「寒」「湿」の三邪が同時に身体を襲い、営衛の気の循環が悪くなり発生する病を「痺(ひ)」と呼び、症状として痛み・痺れ・腫れ・重怠い感じなどが出ます。
「痺」の中でも痛い部位が遊走するのを「行痺」と言います。
中国医学の古典である「霊枢」周痺篇「素問」痺論篇では「周痺」と記載されていて、経脈の流れに沿って上が痛んだり、下が痛んだりする症状です。
「坐骨神経痛」の時に稀にみられる症状で、最初は腰が痛く、次は臀部が痛み、その次に下肢が痛くなり、腰部を治療すると段々上部から症状が緩解して行きますが、腰の痛みが無くなっても、下肢が痛かったりします。
治療に際しては下肢の痛む場所だけでなく、腰部も併せて治療すると「痺症」も改善されますのでご安心下さい。