茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年9月28日「鍼灸治療は免疫力を高める?」

2016-09-28 08:12:58 | 日記

当院では鍼灸とビワの葉温灸による「がん疼痛緩和ケア」を行っております。

『鍼灸は免疫作用を高めますか?』と良く質問されます。

鍼灸施術の治療的作用の中には「鎮痛作用」「防衛作用」「免疫作用」があります。

「鎮痛作用」は内因性モルヒネ様物質あるいは下行性抑制などの機序により、鎮痛作用が発現するとされています。

「防衛作用」とは白血球や大貪食細胞などを増加させて、各種疾患の治癒機能を促進させ、生体の防御機能を高めるとされています。

「免疫作用」とは免疫能を高める作用ですが、鍼刺激による免疫系への影響は神経系、内分泌系および免疫系の応答による末梢の反応に加えて、中枢の関与による相補的な効果と考えられています。

血液中の生体防御機構として働く補体系、肥満細胞、プロスタグランジン、サイトカイン、B細胞、T細胞、リンパ球に対するβーエンドルフイン、NK細胞など様々な要素がありますが、鍼刺激により血中へのT細胞やNK細胞の移行が促進することが動物やヒトで報告されています。

鍼灸刺激による免疫系への作用は自律神経を介した作用である可能性が示唆されています。

自律神経は免疫組織に分布しており、免疫組織の血管を支配する事により組織内の血流を調節する関接作用と、免疫担当細胞に直接作用する働きがあります。

鍼灸治療は鍼・灸により自律神経系、内分泌系、免疫系に刺激を与え生体の恒常性維持機構の賦活を導きだす治療法とされています。

当院では「鍼灸とビワの葉温灸」を組み合わせた「がん疼痛緩和ケア」に取り組んでいます。


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壽堂日記28年9月26日「不育症と鍼灸治療。」

2016-09-26 06:58:35 | 日記

当院では「不妊症」の鍼灸治療を行っておりますが「不育症の治療もしていますか?」とお問い合わせ頂くことがあります。

「不育症」の鍼灸治療も行っておりますのでご相談ください。

 

「不育症」は単一の診断名ではなく、複数の病態を含みます。

 

厚生労働科学研究班 では、

 

「妊娠はするけれど2 回以上の流産・死産もしくは生後1 週間以内に死亡する早期新生児死亡によって児が得られない場合」

 

つまり、22 週以前の流産を繰り返す反復流産、習慣流産 に加え、死産・早期新生児死亡を繰り返す場合を含めて「不育症」と定義しています。

 

これらの事例の約半数は偶発的流産で、特別な治療を行わなくても次回妊娠予後は良好ですが、残りの半数に凝固異常や夫婦の染色体異常や、子宮形態異常などの共通のリスク因子が認められることがあります。

 

統計上では毎年妊娠される方のうち、数万人は不育症の可能性があります。

 

妊娠初期の流産の原因の大部分( 約80%) は、胎児( 受精卵) の偶発的な染色体異常とされていますが、流産を繰り返す場合には、その他に、流産のリスクが高まる「リスク因子」を有することがあります。さまざまなリスク因子がありますが、リスク因子がある場合でも、100% 流産するわけではないので、「原因」ではなく「リスク因子」と表現されています。

 反復・習慣流産(不育症) のリスク因子には、夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因として、子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、母体の高齢年齢、ストレスなどが考えられています。

 

現代医学の治療と共に東洋医学的な治療を受けにお見えになる患者様もおられます。

当院では妊娠から出産まで「母体となる女性の身体造りと健康管理」をお手伝いいたします。

 


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壽堂日記28年9月25日「長寿の灸。」

2016-09-25 07:11:55 | 日記

今日は「長寿の灸」について取り上げてみたいと思います。

長寿を目的とした治療のポイントは「灸治療で陽気をたすけること。」になります。

古典医書に

「人は晩年に至と陽気が衰えるために、手足が温まらず、下元が疲労して虚すので動作が困難になる。
人は一息の陽気があれば死なない。気とは陽により生ずるものであり、ゆえに陽気が尽きれば死ぬ。人は病の無いときには常に関元・気海・命門・中脘に灸をすれば百余年の寿命を保つ事ができる。」
と記されています。

当院では「長寿の灸」の治療に際しては澤田流の基本穴+関元・気海・命門・中脘・足三里に灸をする事になりますが、後者の中には澤田流の基本穴にすでに入っているものもありますね。

「気海」は元気の海。
「関元」は足三陰と任脈の交会穴。
「中脘」は胃の募穴
ですので、お灸をすることにより脾胃を健やかにして、後天の精を補い、先天を強健にして気血を活発化させ。その結果体力がつき長生き出来る様にとするのが「長寿の灸」です。


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壽堂日記28年9月24日「足先が痺れる?」

2016-09-24 06:48:31 | 日記

季節が秋になり朝晩涼しくなりましたね。『右足の先が痺れる。』と言う患者さんがお見えになりました。

問診すると『右足の指先からふくらはぎ・太もも・臀部に電気が走る様な痛みと痺れ、左足の脹ふくらはぎも痛み、また下腹部(臍の下の恥骨結合の上縁部)に痛みがある。』との事です。

触診すると右足の膝上に硬結があり足先が氷の様に冷たく、筋肉が凝り固まっている状態です。

痛む場所は坐骨神経の走行ラインと合致している様であり、坐骨神経の症状の様に思えます。

恥骨結合の上縁部は任脈上の曲骨穴と呼ばれるツボがありますが東洋医学の腹診では「腎のエリア」となります。

腎が虚していると此処に痛みが出ることが多いようです。腎の気が虚している事が経絡を通して足先まで影響を与えている様です。

今回は腹診して曲骨穴付近の圧痛が最も顕著であるので「腎虚証」として治療を進めて行く事としました。

腹部接触鍼・脈調整をして背面部に丁寧に鍼をしていくと、徐々に背面と足の筋肉が緩んで来ます。足も暖かくなって来ました。

基本治療を終えて督脈上の腰陽関に箱灸をしながら、臀部と下腿の坐骨神経のラインを意識して鍼をすると患者さんから『足に何かしていますか?足がジュワージュワーとして暖かい物が流れて行きます。』との事。

「鍼をしています。」と答えると『鍼を刺したのに全然気が付きませんでした。』と答えが返って来ました。

鍼をすることで体全体の気血の流れが良くなり、冷えていた足先に気や血流が回復するのでジュワージュワーと感じるのですね。

鍼は痛いと思われ勝ちですが、鍼管を使い細い鍼を刺すと痛みも無く、刺された事に気が付かない事も多いですね。

今度は「腰陽関」にお灸をして熱をじんわり浸透させます。「腰陽関」は下肢の疾患に効果があり、神経痛・関節炎・膝痛・下肢麻痺等の他に腰部と下肢の冷感に効きます。

背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、右足の膝陽関と血海に鍼とお灸、膝陽関も膝関節炎・外側大腿皮神経痛・下腹部の冷え込みを治する名穴とされ腰陽関と膝陽関は響きあう関係と言われています。

膝陽関にお灸をすると患者さんから『そこ気持ち良いですね。』と感嘆の言葉が漏れました。

今回の足先の痺れは冷えと坐骨神経が原因の様でした。患者さんは治療を終えて『足の痺れが無くなりました。』と喜んでお帰りになりました。


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壽堂日記28年9月22日「肩凝り・冷え・のぼせ。」

2016-09-22 07:58:21 | 日記

今日は「秋分の日」です。少し肌寒いですね。

「肩凝りと冷え・のぼせ」の患者さんがお見えになりました。

鍼灸治療で「冷え・のぼせ」の治療が出来るのかと思われるかも知れませんが、可能です。


「冷え・のぼせ」の症状は、顔面や頭にのぼせ感や全身の火照り、そして下半身の冷感などですね。肩凝りも「冷え・のぼせ」の随伴症状と考えられます。


台風に伴う「気象病」とも考えられますが、西洋医学では「冷え・のぼせ」は自律神経失調症や更年期障害などが原因とされています。

東洋医学では「上熱下寒」と言い、「心」と「腎」のバランスの失調による「心腎不交」によって起こるとされています。


「心」と「腎」の間で陰陽の遣り取りをして、体内の気血のコントロールをしていますが、内因や外因により気血が滞り、「腎水」が不足して、「心陽」が亢進した状態のことを「心腎不交」と言います。


更年期障害は「血の道」とも呼ばれ女性の「冷え・のぼせ」は「お血」による物が殆どです。


当院では本治法で治療した後に、標治法で治療する事が多いのですが、具体的に使用する経穴としては腎兪・心兪・太谿・大陵・太衝・神門などを使用します。


当院では本治法は積聚治療という、刺さない鍼を使用し、接触鍼と言う「気を補う」手技を使い、その後背部にある兪穴に優しく鍼を当て「気血」を動かし「冷え」を取る治療をしております。刺す鍼に抵抗のある方も安心して治療を受ける事が出来ます。


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