茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年11月19日「頸凝り・肩凝り・背部痛・腰痛・胃痛・目眩の治療。」

2016-11-19 07:21:29 | 日記

『頸・肩・背中・腰・胃が痛く、目眩もします。』と患者さんがお見えになりました。

最初に「本治法」で病の大本を治療し、その後に「標治法」で局所に鍼と灸を行うこととしました。

鍼灸治療は慢性の痛みや凝りの緩和に良く効きます。今回お体を拝見すると頚部と肩部の凝りが著明で目眩は頚と肩の凝りにより頭部への気血の流れが阻害された事が原因では無いかと思われました。

目眩に関してはメニエール病の治療に準じた鍼、胃痛に関しては、胃の六つ灸をベースにしました。

「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。

つまり「気」の異常が「痛み」であると考えます。

さらに今回は鍼灸にビワの葉温灸を加えてみました。「ビワの葉温湿布」はビワの葉が肌に直接触れる面積が大きく、またお灸ほど熱くない為、点では無く面で開いた毛穴から「ビワの生葉」の有効成分が熱によってじんわりと体内深く浸透します。

疼痛緩和の場合は痛みや凝りがある場所に行います。

びわの葉の薬効は科学的にも、下記のような効果確認されています。

①白血球の活動を活発にし、免疫力を高める
②赤血球や血小板などの血液成分の働きが旺盛になる
③血液を弱アルカリ性にする
④グローミューを再生・強化する

グローミューというのは、動脈と静脈を結んでいる毛細血管のバイパスの役割をするもので、全身のいたるところに存在し、このグローミューがしっかりとしていることで、血行が良くなり体の隅々まで酸素を送り、組織のガス交換を促進させ、新陳代謝を活発にさせます。

鍼灸治療+ビワの葉温灸+MT温灸器による経絡トリートメントで治療後は痛みと凝りが和らぎ目眩も治まりました。今回は気候の変化で気血が阻滞、気・血・精の不足などで痛みと凝りが起きたようです。


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壽堂日記28年11月17日「頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛・冷えのぼせの治療。」

2016-11-17 07:49:32 | 日記

女性に多い「冷えのぼせ」について当院の治療を御紹介したいと思います。

患者さんは、肩凝りが辛いと言うことで来院されましたが、顔面が紅潮し、問診すると頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状を訴えられました。

主訴は「冷えのぼせ」で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛は典型的な「血の道」の症状ですね。

つまり、気が体の上部に昇ることで、気が充満した部分で肩凝り・頭痛・肩背部痛等が起き、気が虚した下部で虚痛が起こるわけです。その根本は「冷え=精気の虚」が原因であると考えます。

今回は「本治法」は刺さない鍼を使う「積聚治療」で治療しました。

脈診したところ、脈は遅脈で左の脈が全体的に沈み、陽気不足、虚寒で新陳代謝が衰えていることが伺えました。

具体的な治療は最初に腹部に接触鍼をして、腹部の最も浅い気を補います。鍼は刺さりません、患者さんも『全然痛く無いです。』と言うことでした。
次に脈診をして脈調整を行います、今回は左手の脈全体がマイナスなので、心包経の原穴である大陵に鍼をしましたが、鍼は先を当てる程度で刺入せず、気がいたるのを待って抜鍼します。

その後一番大切な証を立てるため、腹診します。「積聚治療」では腹診で証を立てます。

今回は臍の周りに圧痛と硬結が有り、特に臍の下一寸の圧痛・硬結が強いので「脾積脾虚証」として治療を進めることにしました。
経絡治療的には「脾虚肝実お血」による「冷え」であろうかと思います。臍下まで圧痛・硬結があるので「お血」が古いと考えられます。脈が遅脈なのも「お血」が多く血流が悪いためです。

下腹部の「お血」があると冷えのぼせ、肩凝り、頭痛、ノイローゼ、血の道症、高血圧、動脈硬化、不妊症、月経不順などの各種婦人に罹り易くなります。

不妊症は「冷え」と「お血」が原因であることが多いですよね。

背部で全体に接触鍼をして「積聚治療」の「脾虚」の順治で治療していきます。右肩の肩井、天宗の凝り、圧痛が著明のため、その部分を指標として、鍼を背部の兪穴に当てて治療していくと、段々指標の部分の凝りが緩んできます。患者さんが『のぼせていたのが、すうーと下がりました。頭が痛いのが治まりました。』と教えてくれました。


「本治法」なので凝り・圧痛のある右肩の肩井、天宗の部分には鍼を刺しません。原因はあくまで「脾虚」であり「脾虚」を治すことで全ての症状が治ると考えるのが「本治法」です。
背部の治療を終了した段階で頭痛・腰痛・上肢痛・肩背部痛、冷えのぼせ等の症状は改善しましたので、再度仰臥位で腹部を確認すると、先ほどの臍下の圧痛、硬結が無くなっていたので「脾虚=精気の虚」は補われたと判断し、今回は治療終了としました。


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壽堂日記28年11月15日「冷え性と腰痛。」

2016-11-15 06:50:49 | 日記

腰痛の患者さんが来院、寒くなり始めてから冷気が足先から昇ってきて腰が痛いと言うことです。病院で処方された鎮痛剤を服用しているが効かないので当院に来院されたそうです。

毎年冬の時期は「腰痛」の患者様が増えます。それは季節に関係があります。
大地の冷気が足先から下腿を伝わり膝に到来すると「膝痛」が出て、さらに大腿に至ると「腰痛」等の諸症状が出ます。
足先の気血の巡りが悪いのが原因と考えられますが、大本の原因は「五臓の気=陰の気」が虚していることが原因です。

東洋医学的には「陰の気」が衰えることで「気血」の巡りが悪くなると考え、治療は虚している臓腑の経絡を補います。この虚している経絡を補うことで病気を治すことを「本治法」と言います。

今回の患者さんは診察では「腎虚症」でしたので「腎を補う本治法」を行い、標治法として木下晴都先生の腰痛の分類に従い腰部・臀部・大腿・下腿に治療を行い、最後にビワの葉灸とMT温灸器による経絡トリートメントを行いました。

治療を終えると痛み止めの薬でも効果が無かった「腰部の痛み」が軽減し『鍼が良く効きました。』と治療の効果を実感し喜んでお帰りになりました。

鍼灸治療は薬で効果が無い「腰痛」の痛みの緩和に効果があります。当院は鍼灸とビワの葉灸の治療院で疼痛緩和に日々取り組んでおりますので慢性の痛みにお悩みの方はご相談ください。


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壽堂日記28年11月13日「自律神経失調症の鍼灸治療。」

2016-11-13 07:38:06 | 日記

患者さんから『自律神経失調症に鍼灸は効果がありますか?』とお問い合わせがありました。

WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には

【神経系疾患】では 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーが挙げられており、「自律神経失調症」も含まれています。

当院では東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」に経絡的な治療を行っております。

ここで簡単に自律神経について説明すると。

自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。

全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。

呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割であり、こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が「自律神経失調症」です。

自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。

ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。

また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「のぼせ(ホットフラッシュ)・火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。

鍼灸やマッサージなどの外的刺激は、過緊張状態に陥った自律神経の働きを和らげることが出来ます。

さらに、皮膚刺激を通して脳の視床下部にも良い影響を与えて、ホルモン分泌のバランスを整えることにもつながります。

最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。

鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、眠くなったり、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからだと思われます。

「自律神経失調症」は、目眩・肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。

当院は、東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」の患者さんが抱える具体的な症状に合わせて、お一人お一人に合わせた治療いたしております。

 

 
 
 
 
 
 

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壽堂日記28年11月9日「お灸とビワの葉灸だけのがんの疼痛緩和ケア。」

2016-11-09 08:39:42 | 日記

当院では鍼灸とビワの葉温灸を併用した「がんの疼痛緩和ケア」を行っております。

病院でがんの治療を受けている患者さんから『今日はお灸だけで治療して欲しい。』と御要望がありました。

放射線治療などで一時的に血小板が減少して血液凝固作用が衰えている事と播種を心配されているご様子です。

私の治療院では患者さんを「積聚治療」という治療法で治療していますが、この治療法の特徴は鍼を体に刺入しないことです。鍼先を皮膚に押し当てるだけで「気」を動かし「病」を治療します。

鍼灸技術的には「接触鍼」と言われるものですが、鍼を刺さないので、出血する事はありません。

今回は「鍉(てい)鍼」と云われる鍼を使用しましたが、形状は先が丸い金属製の棒状をしており、素材は純金で出来ています。

なぜ「刺さない鍼」で病気が治療できるのかを簡単に説明して見たいと思います。

「刺さない鍼=接触鍼」でなぜ「病」が治るのか、それについては「気」と云う物の理解が欠かせません。

「気」は東洋医学の根幹をなす重要な考え方で、広い意味で人体は「気」そのものです、人間の身体は「気の重層構造」になっていて、「気」の機能が過剰になると、そこにアンバランスを生じ「万病」が生じると考えます。

「気の重層構造」の人体に鍼灸治療を行うことは「気」そのものに鍼灸をすることです、「気」の調和により万病を治すというのが鍼灸治療の大原則です。

「接触鍼」は体表の気に直接触れて治療する技法です、体表には衛気と言う気が流れていますが、その衛気を通じて、経絡の気、臓腑の気、正気、元気、陰陽の気を動かすことで「気」の過不足を調整したり正しい働きに戻すことにより「病」を治療することができるのです。

鍼灸治療と言いますと「刺す鍼=刺入鍼」というイメージが強いのですが、「接触鍼」だけを使用する流派や「接触鍼」「刺入鍼」を使い分ける流派も数多くあり、私の治療院では「本治法」は「接触鍼」で行い、「標治法」は「刺入鍼」も使いますが、今回は「接触鍼」と「漢方成分入りのお灸」「ビワの葉温灸」だけで症状の緩和をいたしました。


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