茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記28年5月28日「患者さんから妊娠しましたとご報告を頂きました。」

2016-05-28 05:07:32 | 日記

当院で「不妊治療」を受けられた方から『お蔭様で妊娠しました。』とご報告とお花を頂きました。

前回の治療を受けた後暫くお見えにならないので心配していたのですが、お話を伺うと

『鍼灸治療を受けた後に体がぽかぽか、お腹が温かくなり、その晩はしばらくぶりに熟睡できました、後で逆算すると、治療を受けた直後に妊娠したようです。』

との事です。

当院では不妊症の原因は「冷え」と「お血」と「ストレス」と考えています。

西洋医学的には鍼灸治療が不妊症に効果があるのか疑問視される方もおられますが、ストレスが人体に影響を与えることは「ストレス学説」で提唱されており、ストレスの緩和が女性の体に良い影響を与えることは間違いありません。


現代の様なストレス社会において、人は常にストレスに曝されています。ストレスは気・血・水の流れの変調をもたらします。

鍼灸治療は気・血・水の流れ・陰陽バランスを調える治療ですから、鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。


では具体的に「不妊症」の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

東洋医学において、大きく分けて肝・脾・肺・腎の4つが、妊娠に影響すると言われています。

昔から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。

そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとされています。

腎は、生殖用の精も貯蔵しています。

生殖用の精が不足すると、妊娠ができない様々な症状となって出てきます。
男の精と女の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。

腎の力は成長と同時にその力も高まっていきます。

中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。

 女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。
21歳で体格は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈が空虚になり、月経が停止する」

 最近CMで見かける女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。

生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若くても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

また肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。肝はストレスが影響を与えやすい臓腑であると考えられます。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。


鍼灸を用いて、経脈上のツボを刺激することによって女性が本来持っている力を引出し、卵巣と子宮の機能が高まると、妊娠し易い体質へと改善されていきます。

また黄体機能不全、卵巣過剰刺激症候群などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。


当院では東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては現代医学との併用が有効と考えます。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「ストレス」「お血」「体の冷え」を治療し妊娠し易い体を造ることを目標とし治療をしております。


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壽堂日記28年5月26日「目が覚めたら腰が痛くて起きられない?」

2016-05-26 06:41:28 | 日記

『目が覚めたら腰が痛くて起きられなかった。』と患者さんがお見えになりました。

「何か前日に心当たりがありますか?」とお尋ねしたところ、介護施設にお勤めで入所者のお世話で腰に負担が掛かることがあるそうです。

背部と腰部を拝見すると脊柱起立筋が凝って盛り上がっていて仙骨付近に圧痛が顕著で、ふくらはぎも痛みがあります。

今回は澤田流太極療法を使い、背部・腰部・下肢の膀胱経に鍼をして、仙骨部分に箱灸を行った後に「ビワの葉温灸」を行い有効成分をじんわりと患部に浸透させ仕上げに温灸器で経絡の流れを調えました。

治療を終えますと『足がすっきり軽い。腰の痛みが和らぎました。』とのことです。

 


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壽堂日記28年5月16日「顔の筋肉が強張る?」

2016-05-16 06:03:43 | 日記

『顔の筋肉が強張ります。』と患者さんがお見えになりました。

最初に本治法で体全体の気血の流れを調え、今回の顔鍼は陽白・魚腰・太陽・四白・地倉を浅く刺し、置鍼しました。

顔面の気血の流れが改善され、顔の筋肉の凝りが短時間で緩み、顔面の強張りが改善しました。

この技術は美容鍼にも応用可能なものです。アナウンサー等の沢山喋る職業の人は顔面の筋肉が凝るそうですが、鍼灸治療は凝りをほぐすのに良 く効きます。

今回の治療穴の作用と美容的効果をまとめてみました。

「四白」:
作用
眼を明るくし風邪を去る(明目去風)
美容的効果は
目の周囲のくま、顔面浮腫、中高年の下瞼の浮腫、ニキビ、吹き出物を皮膚を潤沢して改善する。        
眼瞼の張力を向上させる。

「陽白」:
作用
風邪を去り熱を清する(去風清熱)
頭をスッキリさせて眼を明るくする。  
美容的効果は
額部のたるみ、しわ、くすみを改善する、眼周部のくま、眼瞼下垂を改善する。

「魚陽」:
作用
熱を清し眼を明るくする(清熱明目)
痙攣を静めて痛みを止める(解痙止痛)    
美容的効果は
眼瞼痙攣、眼瞼下垂、目の周囲のくま、額部と眼周囲のしわの改善、
額のニキビ、吹き出物、口や眼の歪み、額の色艶を良くする(悦沢面容)
眉毛が生えるのを促進する。

「地倉」:
作用
風邪を去り気を良く巡らせる(疏風行気)  
美容的効果は
口角のたるみ、ほうれい線と口角のしわの改善、頬部の腫脹、ニキビ、吹き出物を改善する。

「太陽」:
作用
風邪を去り痙攣を静める(去風解痙)   
熱を清し痛みを止める(清熱止痛)      
頭と眼をすっきりさせる(清頭明目)  
美容的効果は
眼周部のしわ、たるみの改善(除皺益顔)     
眼周部のくま、眼瞼下垂  
額部のニキビ、吹き出物、眼や口の歪みを改善する。
以上の5つの経穴左右10ヶ所の鍼を浅く刺し、しばらく置鍼するだけでも顔の血流が良くなり筋肉が緩み美容効果があります。 

 

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壽堂日記28年5月11日「メニエール病と鍼灸治療。」

2016-05-11 08:12:40 | 日記

メニエール病の治療を定期的に受けている患者さんが二週間ぶりに治療に見えられました。

遠くから治療にお見えになられているのですが、GW中は道路が混雑していて治療を受けに来ることが出来なかったそうです。

前回の治療を受けて一週間目は調子が良くて、目眩・ふらつき・耳の聞こえも問題なく薬を服用せず過ごせて、2週間目の後半になると少し体調が怪しくなったそうです。

今回は幸い発作は起きなかったとの事ですので安堵しました。

10年近く「メニエール病」で悩まれていた方が週一回から二週に一回の鍼灸治療で薬を飲まずに症状をコントロール出来るのですから、個人差はありますが鍼灸は「メニエール病」にとても効果があります。

現代医学的には「メニエール病」は、内リンパ液の生産と吸収のバランスが崩れることで起こり、内リンパ液の過剰生産により、音を伝える「蝸牛」、平衡感覚を司る「半規管」「耳石器」に内リンパ液が溜まって腫れ上がる「内リンパ水腫」が原因だと考えられています。

内リンパ液の過剰生産の原因は不明ですが、一般的には、ストレス、疲労、あるいは睡眠不足などが引き金になって起こることが多い様です。また神経質とか凡帳面な人に多く見られます。

東洋医学的には耳は「腎」と密接な関係があります。「腎の気」が衰えると難聴や耳の閉塞感が起こります。

当院では最初に「本治法」で体全体の気血水の流れを調え、虚している臓の気を補います。補う気は「腎の気」であったり「脾の気」であったりと診察の結果で変わります。

頭部の症状ですが足にメニエールの特効穴があり、また「標治法」で耳・頸部・肩部・顔面部に鍼を刺します。

耳・顔面部の鍼は「美容鍼」用の鍼を使用しますので痛くありません。

当院で「メニエール病」の治療を受けている方々は皆様、症状が安定しており「メニエール病」には鍼がよく効くと改めて思いました。


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壽堂日記28年5月8日「東洋医学的な考え方に基づく不妊症の治療とは。」

2016-05-08 08:42:38 | 日記

当院では不妊治療・不育症治療を行っております。今日は当院の不妊に対する東洋医学的な考え方をご紹介いたします。


現代の様なストレス社会において、人それぞれ気・血・水の流れの変調は必ずあります、ですから鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。

 では不妊症・不育症の治療において鍼灸治療はどのような効果を持つのでしょうか。

 東洋医学において、大きく分けて肝・脾・腎の3つが、妊娠に影響すると言われています。

実際に不妊治療を受けている人を診察すると、特に肝・腎の力が不足している人が多く見られます。

昔 から、「腎は精を貯蔵する『作強の官』(生命エネルギーの強さを作り出すもの)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物資である精を貯蔵し、五 臓六腑の要求に応じて随時その精を供給し、それらの健全な働きを維持しているといわれています。そして、全身に精力を与え、粘り強さや根気を生み出すとさ れています。

腎は、生殖用の精も貯蔵しています。生殖用の精が不足すると、妊娠ができないいろいろな症状となって出てきます。男の精と女 の精が合体し、胎児の腎気となり妊娠が成立します。受精した時点で胎児の腎気の強弱が決まっていて、これが持って生まれる「先天の気」です。腎の力は成長 と同時にその力も高まっていきます。中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。


  女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。21歳で体格 は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈 が空虚になり、月経が停止する」
 最近CMでよく見る女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。


生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若かくても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女 性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜 まってきます。このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。

上で書いたように女性の場合は経絡のいずれかが弱っている事により、不妊症の諸症状が出てくることが多いのです。

鍼と灸を用いて、特に腎経・肝経のツボを刺激することによって、女性が本来持っている生命力を再び取り戻し、卵巣と子宮の機能が高まり、妊娠しやすい体質へと改善されていくわけです。卵巣機能不全などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。

しかし東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては西洋医学との併用が有効であると考えます。

当治療院では刺さない鍼を使用する鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「体の冷え」を治療し妊娠しやすい体質に改善をすることを目標といたしております。



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