背中全体の張りと凝りが辛いと患者さんがお見えになりました。喉も痛いと言うのですが寒邪が原因ではないかと思われます。
四診すると手足の先が冷たく、頸部の凝りもあります。
腹診すると臍の周りに硬結があり、若干の表熱があります。
今回は「脾虚証」として刺さない鍼を使用する「積聚治療」で「本治法」を行いました。腹部に接触鍼をすると徐々に足先が暖まってきます。
背中を軽擦して状態を観察すると、頸部から腰部まで脊柱起立筋が緊張していて、痞根の付近の硬結が強く感じられます。
痞根は奇穴と呼ばれる経穴で背中の張りを緩める効果があり、また背中が凝るときに反応が強い場所でもあります。
先ず背部に「脾虚証」で基本治療を行うと徐々に脊柱起立筋が緩んで来ました。患者さんも気持ち良さそうに寝息を立てています。
「標治法」として喉が痛いと言うので大椎穴にお灸をしました。大椎穴は喉の近位治療の意味もありますが手を暖める効果もあります。
その後は痞根穴にお灸をすると背中全体が緩んで来ました。
今回は最後に「脾虚証」なので仰臥位で三陰交と足三里に鍼をして治療は終了です。