茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記平成28年11月30日「肩こりの鍼灸治療。」

2016-11-30 08:44:24 | 日記

数日前「肩こり」の治療をした患者さんとお話する機会がありました。

「具合はいかがですか」とお尋ねすると『肩こりはすっかり取れました。以前も鍼灸治療を受けましたが、こんなに効果があったのは初めてです。』と驚かれていました。

「肩こり」は鍼灸治療で良く扱う症状ですが、実は治すことが難しく、治療家は「肩こり」治せれば一人前と言われています。

この患者さんは、数週間「肩こり」が直らず来院されたのですが、壮年で体格が立派、色が日に焼けて黒く、血が濃くて粘稠で気のめぐりが渋って遅く、凝りが頚部・肩背部・腰部まで膀胱経に沿って広がっていること事を考慮し「澤田流太極療法」で治療しました。

治療点は「澤田流」の基本穴を使用した全身的な処置を行い。局所の直接治療も行いました。

局所は天柱・風池・肩井・肩外兪・肺兪・膏肓などを使用し、凝りの強いところに置鍼して、経絡的に膀胱経の変動が原因と思われるので、膀胱経の経穴を加え治療し最後の仕上げにMT温灸器を使い経絡を温灸トリートメントしました。

治療終了後『すごく肩が軽い。』と喜んでお帰りになりましたが、『一晩寝ると鍼の効果が一層効果が実感できました。』感想を話して頂きました。


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壽堂日記28年11月29日「腰痛の治療。」

2016-11-29 06:10:30 | 日記

ことぶき堂鍼灸院は「積聚治療」の鍼灸院です。どんな治療法か「腰痛」の治療を例に説明して見ます。

「積聚治療」の最大の特徴はその使用する鍼にあります、専用に開発された「積聚鍼」という銀製の鍼一本で基本治療(=本治法)と補助治療(=局所治療)を行います。

治療の順序に沿って説明しますと
①最初に望診・聞診・問診・切診を行います。

②主訴の腰痛以外に顔が赤く上実しており。中府・孔最・太衝の圧痛と頸部の凝りと下肢の冷えが著明でした、上実下虚の状態の様です。これから「気を動かして冷えを取る」治療を行います。

③まず腹部の観察をして、硬結、圧痛、冷え、熱感、肌の色艶などを観察し、その後腹部に接触鍼を行い、腹部の浅い気を調えます。

④脈診をして虚脈に補法の鍼をして脈状を調えます。今回は肺の脈が虚していたので、太淵を使用し脈を調えました。脈調整の間に上実していた気が下がってきたと患者さんから答えがありましたので気が動いたと判断し、脈調整を終了し次の段階に移ります。

⑤脈を調えた後に、腹診をして証を立てます。今回は曲骨上の圧痛が一番強かったので「腎積腎虚」と証を立て治療方針を立てます。

⑥証を立てた後に背臥位になって貰い、積聚治療の手順に従い、背部兪穴に鍼を軽く当て、気がいたるのを待ちます。今回は上実の症状が見られたので逆治を用いました。鍼は深く刺すことはありません。

⑦鍼を背部の兪穴に当てる程度の刺激ですが、兪穴から仙骨まで響くと患者さんから報告があったので、背部は兪穴四穴のみとし督脈上(脊椎線上)の圧痛点である腰の付近の命門上に箱灸による灸を置き熱を浸透させ、頸部に凝りが残っているので委中に鍼を軽く当て、頸部の凝りに意識を置き鍼を操作すると頸部の凝りが緩んで来ると同時に、足先を確認、『足先まで暖かくなってきました。』患者さんが教えてくれたので足先を触って確認し、仰臥位に戻り、曲骨上の圧痛が消えているのを確認し、最後にベット上に体を起こして貰い、気の最終調整の為「肩井穴」に鍼をして治療終了としました。


治療の結果、腰痛は勿論、上実と下虚・足の冷えも改善されています。
「積聚治療」は刺さない鍼なので、刺す鍼に抵抗がありる方でも安心して治療を受ける事ができます。


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壽堂日記平成28年11月27日「前立腺肥大症と腎虚証と鍼灸治療。」

2016-11-28 07:35:22 | 日記

「前立腺炎」について以前ブログに書きましたが「前立腺肥大症」の方から鍼灸治療についての問い合わせがありました。

鍼灸治療は「前立腺肥大症」にも効果があります。

東洋医学的には「前立腺肥大症」は「二陰の病」に含まれ「腎の病症」の一つとされています。

「二陰」とは前陰が生殖器と小便口を指し、後陰とは肛門を意味していますので「前立腺肥大症」は前陰の病ですね。

「腎の病症」とされる「前立腺肥大症」の方は「腎虚証」であることが多いので「腎虚証」について簡単に説明してみたいと思います。

「腎虚証」とは「腎」が虚している状態のことですが東洋医学の「腎」と西洋医学での「腎臓」とは異なります。

東洋医学では「腎」は
①精を蔵する
②津液を主る
③骨を主る
④髪に反映する
⑤耳と二陰に開竅する
⑥液は唾である
⑦志は恐驚である
⑧納気を主る
⑨腎は五臓の本
⑩腎は先天の本
⑪腎は腰の府
とされています。

具体的に例を挙げると、腎の気が弱まると頻尿・尿閉・生殖器関係の異常・慢性疲労・体温低下・月経異常・不妊症・ED・浮腫・腰痛・腰膝のだるさ・耳鳴り・難聴・白髪・脱毛などの症状が起きることがあります。

当院の「前立腺肥大症」の具体的な治療については先ず刺さない鍼を使用する「積聚治療」で虚している「腎の気」を補い、それから標治法で治療しますが直接「前立腺」に鍼を刺すことはありませんのでご安心ください。

標治法では関元・中極・曲骨・殷門・風市等の反応のある経穴を使用し、漢方成分入りの棒灸とビワの葉灸を併用するとより効果が出ます。


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壽堂日記28年11月26日「上気症状と頭痛・脳を醒めさせる鍼。」

2016-11-26 07:11:58 | 日記

「上気症状」と「全身の慢性疼痛」と「頭痛」に「右手の痺れ」の症状をお持ちの患者さんが来院されました。

特に頑固な頭痛にお悩みとのことで「醒脳開竅法」をお願いしたいとのこと。

先ず「上気症状」の気を降ろすために本治法で「積聚治療」の腎虚証で丁寧に鍼をしていきます。鍼をする事で全身の筋肉が緩み疼痛が緩和すると共に、体の上部に昇り降りてこなかった気が下がりはじめました。

膀胱経と脊柱脊際穴の治療を終えると上気症状は殆ど治まりましたので、次は脊柱上の督脈のお灸に移ります。
私は背面を治療する前に背面を軽擦して背部の状態を観察するのですが、この方は肩甲骨間の神堂・心兪・神道に違和感を感じました。

督脈のお灸は神堂穴と澤田流命門穴に行いました。

今回は「腎虚証」で治療を進めましたが証としては「心腎不交証」では?と考えています。

「心腎不交証」を簡単に説明いたしますと、正常な場合は心陽(火)は腎に下降して腎水を温めており、また腎陰(水)は上に作用して「心火」が亢進しすぎないように「心火」を養っており腎(水)と心(火)がお互いに助けあっています。
この状態を東洋医学では心腎相交と言います。

しかし病や疲労や不規則な生活などにより腎水が不足したために心火が亢進したり、ストレスなどにより思慮過敏や情志が失調し心火が上部で亢進したため、下にある腎と相交できなくなると「心と腎の陰陽と火水の協調関係」が失調して心煩・不眠・心悸・健忘・頭痛・眩暈・耳鳴り・腰のだるさ・五心煩熱・咽乾・口燥などの症状が出ます。

治療方針としては心と腎の交通を再開させる事と腎陰を補い亢進している心火を下げる事になりますが、「腎虚証」として「腎虚」を丁寧に補う治療を行うと、亢進していた心火も降下して、心火亢進による諸症状も改善いたします。

本治法で腎陰を補った後に標治法として頭部に鍼をして「醒脳開竅法」を行いました。他院で人中を刺されて大変痛かったそうなので、配穴は数多くありますが今回は古典的な四神聡+百会をを採用し軽くパルスを行いました。

頭に鍼と言うと痛いと考えがちですが、当院の鍼は沿皮鍼なので痛くありません。患者様も「鍼は痛くないし、この刺激は頭痛に効きます。」との事でした。

背部の治療を終了して仰向けで「右手の痺れ」の治療に移ります。
配穴は外関穴・合谷穴・八邪穴を選択しました。

治療終了後は気が下がり、頭痛も緩和して、頭がスッキリしたそうです。


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壽堂日記28年11月25日「線維筋痛症の鍼灸治療。」

2016-11-25 08:51:31 | 日記

「線維筋痛症」の患者様が「冷えのぼせ」「全身の痛み」と「頭痛」の治療に見えられました。

「線維筋痛症」とは全身の広い範囲で強い痛みがある病気で、今のところ原因は不明とされています。

それ故に治療方法も確立されておらず、現代医学では対症療法的な鎮痛剤やステロイド剤が使用される事もありますが、副作用を心配されたり、鎮痛効果があまり効かないと相談を受けました。

東洋医学は現代医学と病に対するアプローチ方法が異なる為に現代医学では原因不明とされる病でも治療方法が用意されている事があります。

東洋医学の最大の特徴は、身体を構成するものを気・血・水と呼ばれる三種のものに分けて考えることです。

「東洋医学では気・血・水のバランスが崩れると病になると考えますが、特に気は「気不通即痛」と言われ「気が通じなくなると痛む。」と東洋医学の古典「黄帝内経」に記述されています。

東洋医学的には「線維筋痛症」の患者さんの場合も体の中の気の異常が痛みを引き起こしているのではないかと考えることが出来ます。

私の治療院では先ず「積聚治療」を用いて「本治法」で治療してから「標治法」で治療しております。

最初に脈診をしてから全身の指標を確認すると腎経の兪府の反応が強く右復溜にも反応がありました。全体的に上部症状が強く気が体の上に昇り頭痛の原因となっていると判断しました。

腹部に丁寧に接触鍼をして腹診をすると臍の左下方に圧痛があり皮膚が冷たく感じられお血があるようです。
心窩部の任脈上にも違和感があります。下腹部の曲骨上の圧痛が一番著明です。

今回は「腎虚証」として治療を進めて行く事となりましたが、治療の組み立てとして最後に八脈交会穴の後谿と申脈を使う事としました。

うつ伏せ状態で背候診して指標を確認すると肩甲骨の間の神堂・心兪・神道に反応があり脊柱起立筋全体に硬さが見られます。

私が治療の際に採用している指標の箇所は「線維筋痛症」の圧痛点診断点18箇所と殆ど同じです。

背部に接触鍼をしてから膀胱経に丁寧に鍼をしていくと、神堂穴で「鍼が響きます。いい感じです。」との事。上部に集まっていた気が下がり始めました。

脊際に鍼をすると完全に気が下がり体全体の痛みも和らいできた様です。

背部の治療を終えて腹臥位で四神聡を行い、最後に八脈交会穴の後谿と申脈に鍼を軽く当てると『この鍼すごく良いです。頭がはっきりして来ました。こんなに効く鍼は初めてです。』と驚いておられました。

八脈交会穴の後谿と申脈の組み合わせは顔面・側頭部・肩甲骨の周囲の疾患(古典では内眼角・耳後・項部・肩甲骨の証)を主治するとされていますが
単独で使用するのではなく、本治法で治療をした後に用いるから、より効果が出る訳です。


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