世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

絵本・天使ホミエルの話・5

2015-07-24 05:11:26 | 夢幻詩語

やがてホミエルは目当ての小さな星を見つけました。それは青い太陽の周りを回る、胡桃のような形をした小さな灰色の星でした。普通の岩の星のように見えますが、よく見れば所々に、透きとおったアイオライトの結晶が、ジャガイモの芽のように小さく生えていました。星はヴェールのような半透明な大気に包まれて、神の歌の歓喜に酔い、くるくる回りつつも、自分の軌道を一ミリたりと間違えずにゆっくりと飛んでいました。ホミエルは小さなその星に近づくと、何事かを星にささやきました。すると星はくるくる回るのをやめ、少し考えるようにころりと横に傾いたあと、ホミエルの言葉にやさしくうなずきました。ホミエルはほっとして、神と星に深く感謝をすると、その灰色の星を脇に抱え、再び入り口を通って百合の階段を下り、元の雲の原へ帰ってきたのです。



この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 絵本・天使ホミエルの話・4 | トップ | 絵本・天使ホミエルの話・6 »
最新の画像もっと見る

夢幻詩語」カテゴリの最新記事