世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

ヤマルリソウ

2015-08-12 05:37:08 | 言霊ノート

その頃私は厳しい試練の中にいて、孤独の底でだれにも言えない苦しみをひたすらかみしめる毎日でした。大人になれば、だれでもそういう悲哀は抱いているもので。自分が心と顔の二層に分かれ、顔はいつも笑っていながら、胸の底には鉛のようなうつろがうずいていて、墨のような闇が孤独の輪郭ばかりを濃く深めてゆく。

(2006年4月、花詩集35号)




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