にのじ@ばよりん的日常

バイオリン弾きにのじの日常生活!
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繋がった時間

2011-04-16 01:28:29 | Weblog
今週の火曜日は題名のない音楽会の収録でした。
本来のプログラムとは違い震災の復興応援プログラムとして行われたのです。

二本分の収録はいつも通り、前半の一本目は祈りを二本目は応援を。
戦争レクイエムの終曲から「Let us sleep now」が最初に演奏されました。
震災の翌日に新宿文化センターで演奏されるはずだった曲です。
最後の最後、バリトンのソロが静かに「もう眠ろうではないか」と語りかけるように歌いだす感動的な部分。
そこだけを抜き出しての演奏でしたが静かな祈りの中に人生を途中で折られてしまった人々への鎮魂の心が浮かび上がるのです。
本当は終わった時に拍手はいらないなとも思ったのですが。
テレビの収録ですから仕方がなかったかな。
レクイエムを演奏するという事は本来特別な事なのです。
特に今回のような時期に、本来の目的である鎮魂の為に演奏されたなら拍手はすべきでは無い。

などと思いながらもステージの上で演奏できた喜びを感じている自分もいた訳です。
我々が本来居るべき所に戻ったのです。
止まっていた時計の針が再び動き出す、その時がやってきて。
事実、秒針が一秒ずつ刻む音が聞こえてきたようでした。

その本番で着ていた燕尾服、シャツ、靴下、靴。
震災当日に千葉で着るはずだった物をそのまま着ました。
眠ったままになっていたこれらの衣装もまたステージの上に出る事ができて。
身の回りの全ての事柄が以前と同じように戻ってきた喜びをひしひしと感じています。

震災の影響で中止になった仕事はまだこの先にもあるのです。
所々穴が開いてはいますがオーケストラは進み始めました。
今日はサントリーホールで定期演奏会も行われました。
この一週間で3回、我々はサントリーホールで演奏した事になります。
これからオペラシティでもオーチャードでも、いつものホールでいつものように演奏会が行われて。
また普段通りの日々が始まっていくのです。