【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

嘘が おまえを騙す

2007年07月28日 14時26分07秒 | トカレフ 2 
  



悶々として眠れずに、寝たフリしてただけの、長い一夜


まだ明けやらぬ夜明け途中の薄い明かりは、閉じた目蓋の裏側、赤くいたします。

カーテンを閉め忘れていたので、外の薄い明るさが、
閉じた目蓋の裏側映す網膜、眩しくさせ、夜明けが近いと気づかされた。

災厄な、悪夢のような、長い夜が終わった。


目蓋を薄く開け見上げる天井には、古い雨漏りの染み痕がボンヤリと観えた。
自分、なにか不吉さを暗示する影のようだと。
雨漏りの痕なんか、今まで何回も目覚めて見慣れたはずなのに
どうして今朝は、雨漏りの沁み痕が気になるのか、っと。

目脂で翳む目を指腹で擦り、雨漏りの痕を見上げます。
すると、昨夜の悔やむものが脳裏に戻ってきてた。

ッチ!っと舌打ち、朝の挨拶代わりに出てしまった。

思わずに吐き出した溜め息、今朝は久しぶりに気温が低いのか
息、白い蒸気の様になって天井にと、昇って逝きながら消えてゆく。


深夜の踏み切りでの騒動、如何にも忘れることなんかできず
懊悩となって一晩中、脳味噌を支配し悶々とさせ、眠らせてはくれなかった。
今も懊悩、頭の奥にどっしりと居座ってた。
脳味噌の気分、鉛色した鈍い重さのような、痺れた麻痺感覚。

眠らなければと目蓋は、意識して閉じてたが、
夜明けの眩しさ感じる以前から、脳はフル稼動状態。


自分いつもなら、昼ごろまでは布団の中で愚図グズしていた。


だけど今朝は、サッサと起きてしまいたかった。
昨夜の如何しようもない出来事のせいで、眠気なんかぁ寝る前からマッタクなかったから。
何とかしなければとの思いで、一晩眠れずに色々考え続け、ヤット如何にか為るかもぅ、っと。
考えが纏まりかけたのが、今サッキの目蓋の眩しさを感じ始めた時。

今布団から出ると、やっと拙い頭で必死で考へ、せっかく纏まりかけたものが
今起きだして躯を動かせば、ヤヤッコシイことを考えた事が、何処かに逝ってしまう気がした。

眠たフリして身動きせずにジット我慢。
忘れまいぞと躯、堅く固まらせていました。
もどかしかったです、自分。

だけど耳は勝手に、早朝の新聞配達が鉄の階段駆け上がる靴音や
牛乳配達のガラス瓶が擦れあう、微か音に反応し、拾ってた。

叩けば歪むかとナ薄い玄関の鉄扉、その新聞受け口の小さな蓋扉
軋んだような音発てゝ押し開けられ、玄関土間に朝刊が落ちる音ッ・・・・?
ッガするはずが、今朝はしなかった。

ッチッ!黒革ボストン、玄関土間に置きっぱなしやッ!

確かぁ夕べぇやったかぁ? なかった事には為らないもんかぁ?とッ!
無かった事だと、否定したいと願う現実に在った災厄事。
虚実だったんだと思い込もうとしても、叶わぬ願望。

昨夜の悉くが、嘘ゴトにはぁ為らないものかぁ・・・・


仕方ない、さぁ起きるかッ!

背中を布団から持ち上げるとき、躯は正直だった。
起きて布団から出ることを嫌がるように、益々な気だるさ
全身に、圧し掛かってるようだった。


兎も角、コンクリ土間の艶消しな黒色革ボストン。
本物の災厄なんだよと、重たい感じで土間に蹲ってた。

ボストンの二つの握りの間の、金属チャックが引かれ大口開いたその中の
鋼鉄で造られた観たくもない、タクサンの玩具の上に、場違いな感じで乗っかってました。
新聞受け口の幅に、丁寧に折りたたまれた朝刊誌。


裸足で冷たい土間に。
新聞誌ヒッタクルようにして取り上げ、台所に。

黒く焼け焦げた瓦斯コンロに載ってる、蓋のない薬缶の中の昨日の水
安物ステンレスシンクに棄て中に置き、蛇口を捻った。
水が溜まるまでと、口に銜えてた畳んだ新聞誌広げ、表紙の一面をザット観する。
観たいと想ってた目的の記事は、どこを探しても載ってない。
社会面や地方面、上から下まで覗き込んで観るが、載ってなかった。

そぉかぁ、あの時間なら、新聞載るんやったら夕刊かぁ?

いつのまにか水道水、薬缶の縁から溢れていた。


水が滴る薬缶を瓦斯コンロに置き、瓦斯栓廻しながら点火スイッチを押す。
薬缶の底を包むように、不完全燃焼の炎が取り囲んだ。
瓦斯栓で火加減調整をしたら、炎が青くなった。
ッデ、蓋代わりのアルミの灰皿で、薬缶に蓋をした。

新聞広げ直し観ながら部屋に戻ると、脚の脛に卓袱台が当たった。
そのまま畳みに胡坐すわりして、ユックリト新聞を見直そうと卓袱台に
広げてた新聞置くと、真ん中がコンモリト盛り上がる。
掌で押さえ、平坦にしようとしたら堅いものがッ! 

ッゲ!置いたままやッ! テッポォウ・・・・・ックッソゥッ!

バッ!ット新聞紙、跳ね除けたかったが、ユックリト退ける。
疵ダラケの卓袱台の上に、細長い空の弾倉と、その弾倉を抜き取られた拳銃ッ!

朝日が窓から差す、明るい自然な光で照らされている鉄砲。

生まれて初めて本物の拳銃を、夜更けの暗い電燈の下で観たときの
頭の中を、おぞましげな物で冒されたと、感じたのとは違い。
部屋中の空気、何処までも透明な水晶で造られたかのような
冷たく透き通った氷の中で、マッタク身動きが取れないような冷たく醒めた感覚

自分の冷め切った意識の何処かでは、溺れろ、溺れてみろ
っと、妖しく誘われていたようにと、憶えていました。

悔やむもの、甚だしくも胸いっぱいにぃ だた。



底ない沼に堕ちたもの 拾うに拾えず なくした理由はただ一言

もぉぅ 棄てた

其処から拾えぬ言ゝ訳 嘘で幾千あるけど

嘘がで騙す心算が もぉぅ手遅れなんだろうかと

歯痒い胸の内の心ノ底 邪気で落ち着かせずにと狂わせられました



自分嘘話、言い通そうとして、嘘に溺れるかもッ!

アホッ!目ぇ~!




   

おとなになろうとした

2007年07月21日 01時03分59秒 | 無くした世界 
  



十七の冬 大人に為りたくて仕方がなかった
だから気分だけでもと 大人の真似をした 


土曜の晩に 親に隠れて煙草を吸った

吸い方は知りもしなかったけど ただ 粋がって闇雲に吹かしてた 
勿論 勢いよくと胸の奥になんか トテモトテモ・・・・・

それでも 頭の中の何処かが 麻痺したようになっていた
煙草を燻らすとか 味を味わうとか そんな余裕なんかなかった

閉め切った部屋の中に 想ったよりも煙が漂ってしまった
煙を逃がすために窓を開け放った

暖かかった部屋の空気は 吹き込む風で煙と共に渦巻いた
慌てゝ窓を閉めると 冷たい空気で一杯に為ってしまいました 

一番初めに買った煙草は 十本入りのショートピース
最初の一本 唇尖がらせてスーハースーハー っと煙を吹かすだけだった

鼻から煙を出せたのが チョット新鮮な感覚だったけど
煙たくて 涙目になった

それだけでも口の中の粘膜 嫌さな味がしていた
だから大人な一歩 初体験の感想は なんとも言いようが


十本入りの小さなショッポの箱 折り蓋閉じ

 もぉぅやめようか・・・・ 

暫く つくづくと掌の白いショッポの箱 見つめてた
自分 後悔じゃぁない何かを飲みこんでた

だけど自分 大人なんだからと閉じた蓋あけ
銀紙開いて 二本目指先でつまんだ

ようやく喉の奥深くへと吸い込んだ

直ぐに肺が煙にやられてしまい 暴れだす
喉も気管支もが 狂ったように騒ぎ出した

我慢しても咳が止まずにつづき 煙が上がる煙草持つ指先
必死で躯から遠ざけようと 腕をあげていた
引き攣るように咳をすると 頭に灰が降ってきた

肺は煙に溺れ 気管支はニコチンで爛れ
粋がる気分は 悶えながら悲鳴をあげていた

躯の芯から苦しさがで背を曲げ 咳する躯は熱もち暑かった
息苦しさは旺盛で 止め処ないかとナ喘ぎは
目蓋瞑りながらの涙目にしてくる

苦しかったけど 大人な気分になった

だけど胸の心は咎め 気持ちは醒めていってた


部屋の中 外と同じ冬の寒さが満ちてた



明くる日の夜 生まれて初めての飲酒を試みた

国産ウイスキーの ポケット瓶のアルミの螺子蓋切るときの手応え
大人な感じなんだと 錯覚してた

指先で摘んだ小さな蓋に 小瓶の中の琥珀色の液体 零れないようにと注ぎ
学校サボッテ悪友と観にいった 西部劇映画の酒場の場面想い出し

顎を咄嗟ナ感じで上げ 蓋に注がれたウイスキー
喉の奥にと放り込むように 呷った

飲み込むと直ぐに 喉が火傷かと思ってしまった
息を吸うことができずに 死ぬかと想ってしまった

鳩尾辺りの腹の中に 其れまで感じたこともないような高熱が生まれた
ためた息吐き出すと 自分の躯の中のなにかが抜けるような感覚がした

その日の夜は それ以上飲めなかった

眠ることだけが 大人の世界から自分を救うことができた


或る日の夜

親と離れて暮らしてる連れの家で
騒ぎ友達な悪友が集まり 大人な真似事に耽った

夜半過ぎに 近所からの通報で駐在所のお巡りさんがやってきた

仲間の一人が急性アルコール中毒で酔いつぶれていたのがバレ
駐在の連絡でやってきた救急車で 何処かに運ばれていった

明け方に親父が 警察の本署まで自分の身柄を引き取りにきた

自分 まともに親父の顔が視れなくて俯いていました
それでも 親父が何度も頭を下げて謝っていたのが分かった

家に帰る道々 何も話さなかったです
自分 親父の後姿を見ながら歩いていました


家の玄関扉の前で 親父が初めて振り返りました

「酒ば飲んで煙草ば吹かすとやったら お前も大人たい 気張らんかッ!」

自分 涙が溢れてしまいました

うんうん って頷くだけしかできませんでした


大人になった気は 今でもしませんけど
自分の躯の何処かで

「もぉう馬鹿ばしたらいけんッ!」

っと叱る声が微かやけど 今でも聴こえてくるような気がいたします


自分 人は覚えてしまったものは習慣になってしまうって
そんなことは簡単なんだって 大人になる前に解ってしまいました




    

夜の重さは手の中に

2007年07月17日 16時16分15秒 | トカレフ 2 
   


晩冬の夜更けに、冷え切った黒色ナ空気を、薄い星明りで透かし視ます。
暗さナ線路の、レールを載せてる枕木の下で、厚く盛られ敷かれている砂利
無垢な鉄肌輝きのレールが、暗闇の向こうまで伸び消えて逝くのと同じで
その砂利も暗さナ中、夜目にも仄白い影となり真っ黒な闇の向こう側にと
見え無くなって逝きます

だから、そこに何処までもと並んでいる枕木、防腐の為に塗られてる黒いタールのせいで
仄白さな砂利なんだから、夜の中に黒く浮き上がって観えていました。


自分、無理矢理に疲れを知らない外人に、砂利の地面まで引き寄せられていました。
そのとき自分の顔、地面スレスレでしたけど目の隅には、夜行列車の前照灯の輝き、入ってきていた。
腹這いになっている砂利地面から、自分の腹に伝わる震動次第にハッきりと大きくなって
夜行列車が近づいてくるのを感じていました。

枕木に塗られている防腐タールの臭い、地面スレスレで腹這いになって嗅ぐと
列車から垂れ流しの糞便の臭いと混ざり、目に沁みるくらい臭かった。

自分、焦る気持ちよりも、如何にでも為れと諦めなもの、心に広がって着ていました。

此の侭やったら、何もかもが片付くなぁ・・・・

逃げへの想いは、なんだか簡単なんだよ。

叶うよと、誘うよぉでした。



≪夜は、逃がさない≫

怒りに任せて如何にかしてやりたいほど頑丈な、化け物外国人。
黒い地面から湧き出てくるような呻き声えさせ、苦しげな小さな咳をした。
酒臭い咳の飛沫が、よけきれない自分の顔に飛んできた。
外人、首が折れるかと上向きに首を折り曲げ、己の頭の上辺りをしきりに見まわし
叢めがけてもう片方の腕を伸ばし、指差しながら呻き喋り。

自分、地面まじかで何か喋りかけられても、異国言葉は解らんッ!
ただ、言葉の端々に聴こえた。

「・・・・・ダワイ・・・・ダワイッ!」 っと。

「なんやッダワイがなんやッ!お前、なにが言いたいねんッ!」

地面の暗さな中に外人の、星明りに照らされた、対の青い眼が光って浮き上がってッ!
自分、また、妖しげな化け物がッと、地面の下から見上げているッ!っと。

砂利敷きの地面に腹ばいになった自分、目線の隅には赤の点滅ッ!
夜行列車、警笛を連続鳴らしッ! 腹には、砂利を伝わってくる震動がぁ!
次第に、段々とぅ大きくなってくるっ!


突然、急に躯が持ち上げられたッ!

横たわった外人、躯の何処に残っていたのかッ! なックソ力で投げ飛ばされた。
無数の枯れ茎が顔面を襲って、皮膚に刺さりきれずに折れた。
直ぐに、顔面に、激しい鈍痛ッ!
硬く瞑った目蓋が、溜まった涙でパンクしそうッ!
躯が地面に落ちたとき、心も何処かに落ちたように感じた。

情けなさが、もぉぅ十分にッ! やったッ

顔面は革の鞄でシコタマにぃ! 打ったッ
革のボストンの中に詰まってる何か? 硬い物でッ!
自分このとき物凄く頭にきたッ!

だからヨロケながらもナントカ起き上がり、怒りに任せて勢いよくボストンの握りを摑んで
外人の頭に叩きつけるつもりだった。 けど、握りを摑んでいた手が滑った。
握りに擦れて手先が、焼けるように痛んだッ!

「ぁつ!・・・痛ぅ! 」 怒りは増すばかりッ!

今度は両手で握りを摑んで持ち上げた。心算だけだった。
鞄の中に、デッカイ漬物石ッ!ット自分、驚きながら思いました。

列車の警笛が再びッ!迫ってきます。
それと重なって外人の大声ッ!

「ダワイッ!ダワイッ!ダワイッ!」

鞄、両手で摑んで砂利の上を引きづッテ、外人の側に持っていった。

「コラッ!これをどないせぇちゅうねんッ!」

寝そべってる外人に怒鳴り問いしたら、背後から声が聴こえた。
踏み切りの警鐘と、列車の警笛の中で聴こえてきたので、なにを言ってるのかは解らんッ!

なにが?っと振り返ると、さっきのオート三輪の男二人が
懐中電灯の光を揺らせながら、踏み切りの向こうの下りの線路から
此方に向かって走ってきていた。

懐中電灯を持っていない方の男、右手を腰の後ろに廻し、廻した手を前にしたとき
踏み切りの点滅警告灯の赤い光りを反射させる得物ッ!摑んでるッ!

「クソッ!なんやねんッ!」

自分、どないもならんッ!ッチ!ックショウがぁ!!

「ダワイッ! 」

再び外人を視ると、懐に腕を突っ込んで起き上がろうとしてた。
自分の怒りは、急に萎んで逝きます。 自分、外人の前に跪いた。
っで、助け起こそうとすると、外人が懐から取り出したッ!
直ぐに自分の胸の方に向けられたッ!デッカイ銃口がッ!

「なッなにするねんッ!」

「ダワイッ!」

右の腕、肩の付け根辺りを強烈に叩かれた、左に吹っ飛ばされたのと
耳元で爆発が起きたのとが、殆どイッショだったッ!
発射の閃光が、眼の奥を眩ませたッ!

「・・・・・ダワイッ!ダワイッ!・・・」 遠くで喚いてるッ!

発射の衝撃音で、一時、耳が遠くなってるッ!
視界の中に、発射の閃光の残像が輝き、視にくかったが
外人、銃口を踏み切りの方に向け、しきりに何かを話しかけてくる。

「なんやッ!なにするねんッ!怒アホッ!」

大きな掌の中の大きな拳銃が、自分に向けられた。

「ぁ!撃つなッ!」

直ぐに傍らの革鞄と、自分の方とに、銃口が行ったり来たりッ!

ッデ、一際大声でッ!

「ダワイッ!」

自分、飛び起きて鞄に近づき持ち上げた、腰までッ!
あれほど重たかった革ボストンッ!必死な状況の、馬鹿力ッ!

「ダワイッ!」

デッカイ拳銃が、線路の向こうを何回も指し示す。

もぉぅ其処までッ!ッナ 列車の前照灯、眩しかったし警笛は耳を劈くッ!
自分間々よと、如何にでも為れっと、鞄抱えたままレールを跨いで向こう側にと。
二本目のレールで躓いたッ! 前のめりに為りかけたら、近づく列車が押す風圧ッ!
ッを躯がモロに受け躯が前にとよろける、ット直ぐに背後を列車が通過ッ!
今度は、躯が後ろにモッテ逝かれるッ!

必死で堪える、抱えてる重たい鞄のお陰でッ! なんとかぁ・・・・!

辛くも如何にか持ち堪え、前に倒れこんだ
思わず振り返ると貨物列車の貨車が、次々と何両も過ぎてゆく。
その通過する貨物列車の、幾つも連なった貨車の轟音とは違う
他の、鋭く弾けるような発射音ッ! 何発もッ!

走り逝く列車の車輪の隙間から覗く、レールと枕木の間の空間
発射の音がすると、フラッシュが瞬くようにぃ!
一瞬、車輪が静止して視えたッ!

慌てて起き上がると、今度は登りの線路を跨いだ。
同じように、二本目で躓いてしまう、情けなさが益々ッ!

反対側の鉄条網柵、自分が乗り越える前に、先に革鞄をと
向こう側に投げた心算が、革ボストン柵に引っ掛かりながら、落ちていった。
自分、乗り越える時、安コートとズボンの裾や他の何処も引っ掛けまくって
生地が破れる音聞きながら、なんとか乗り越えることができた。



漸く自分の寝ぐらい帰りついたとき、息も絶え絶えやったッ!
外灯の少ない裏道を、抜けるようにしながら、やっと此処までッ! だった。
安アパートの鉄の階段の下で、息を整えないと二階まで躯が持ちそうになかった。

階段を上がる時、鞄が階段に当たっては、金属音な響きがしていた。
夜中の騒音が、他の住民の迷惑なんかになるとは、想いも由らなかった。

背中の後ろで玄関の薄いドアを閉めると、急に吐き気が襲うッ!
慌てゝ便所に駆け込み胃の中の物、前屈みで吐き戻すと、今度は立ち眩みがッ!
両側の壁に手を突っ張って、なんとか堪えた。

便所の戸を開けっ放しで台所にいって、水道の蛇口に直接口つけ、がぶ飲みした。
その侭倒れてしまいたいのを我慢し、今夜手伝いに行こうとしていた青果店に電話連絡。

「○○の大将ぉ、居ッてかぁ? 」

「ぁ~、まだ着てへんがな、どないしたん? 」

「ぅん、今夜なぁチョット飲み過ぎてもたさかいになぁ、休むって云ってなぁ」

「なんや、そぉかぁ云うとくわ 」

「すまんなぁ 」

「えぇわいな、ホナ、なッ」


この言い訳が、何処まで通じるかは解らんかったけど、この時にはこぅ云うしかなかった。
自分、早く横になって眠りたかったけど、なんとか玄関に。


薄暗い、狭い玄関のコンクリの土間に、黒革のボストン。
静かに、何事もなかったように蹲っていました。
多少、鉄条網の柵で着いた引っかき傷は、ありました。
自分、低い框に胡坐座りして、暫くボンヤリとボストン眺めていた。

今夜飲み食いした物は便所で全部、吐き戻していたので気分は少しは良くなっていた。
だけど、違う気分の悪さが胸の何処かに、新たに湧いてきていた。


ボストン抱えて、部屋の中に持ってゆこうとしても、無理だった。
腕もに力が入らない、躯中が悲鳴を挙げていると、此処で初めて気がついた。
仕方がなかったので、玄関で中身を調べることにした。

突然、頭のどこかでぇ・・・・・

「此れなぁ、中を見ぃひんと警察にぃ届けるんがえぇんとチャウかぁ」

刹那、そぅかと。その方が後々面倒にぃ巻き込まれんでいいよと。


黄色の銅色のジッパー、簡単に引けた。

自分の頭が、玄関の裸電燈の明かりの邪魔をしていて
鞄の中を覗くのを、視にくゝはしていた。
だけど、なにが入っているくらいは、解った。

鉄で造られている、厄介な代物だった。
自分今夜、ヤッパシ逃れられなかったのを、悟りました。

中の一つを摑んで裸電燈に翳すと、鈍い金属輝きしてました。

自分の手に余る、大きな軍用拳銃ッ! 暫く見つめていました。
人を人が殺す為にだけの、単純な機能美ッ!
妖しいぃまでのなにかが、拳銃を握ってる掌から腕を伝い
脳へと、語りかけてくるようでした。

裸電燈に翳してた腕を下げ
銃の重さを腕を上下しながら計りかねると

自分、こぉぅ想いました。


夜の重さは、我の手の中やなぁ・・・・・!



何かが切っ掛けで、人の何かが変わることもあると
この晩に、気づかされました。




    

ヤッパリナァ 出テキタカァ!

2007年07月14日 09時20分00秒 | 大人の寓話
  


≪かぐや姫 追憶記≫

わたくしにはあのような災難が、わたくが一生涯かかっても
決してお返しできないほどの大恩ある、とても大切なお二方に
突然降りかかるなんて、想いもよりませんでした。

あのような出来事を、と或るお方が申してました。

「人の世の、一寸先は想えども解らずに、ただただ暗闇だけがぁ・・・・」

わたくしを善き心で慈しみ、育ててくださいましたお二人に
まさか、あのような御不幸が。

たぶんあのときはお二人で、わたくしを偲んでいてくださってたのでしょう。
心安らかなるお気持ちで、平安に星空を観ていましたのでしょうに。

まさかッ!まさかなんでしょう

わたくしにとって想い出深いあの家に、あんなんものが突き刺さゝった!
っと後から、事情がお分かりいたしました時には、わたくしにできることはただただ
お二方の無事を祈ることしかできませんでした。
遠く離れた異界に住まうわたくしめには、なにもお力にはなれません。

そのことが後々、わたくしには何時までも心苦しゅう御座いました。

 アラアラかしこ

       上記、騒動の後の事情聴衆の折、姫様記す。


そぉでしょぉ?誰があないなんがぁッ!・・・マ・ッタクゥ、想像もしてまへんがなッ!


 ≪ 其の参 ≫

爺様、姥様、お二人とも、秋の頃には見渡す限りのススキの原と為ろうかとな
青く細い葉っぱの萱が群生いたします原っぱに、呆然として立ち尽くしております。
家が燃え上がる炎の照り返しは、二人の皺深い顔を赤く染めていました。

まぁサッキ吹っ飛んでから萱の原ッパを、勢いよくゴロゴロゴロット転がってますからね
その折に散々鋭い萱の葉っぱで、何処もかしこも剥き出しだった皮膚を滅多切りッ!

顔も切り傷だらけッ!
そらぁ!火に照らされんでも、真っ赤になるで~!


天まで焦げよと燃え上がる炎柱と、赤く輝く無数の火の粉が混ざった黒煙。
その煙は暗闇上空で、闇に仄かな影絵のようになってモクモクト広がっています。

地上の燃えてる家の、その炎と黒煙の中から時折、デッカイ≪筒≫ッが見え隠れッ!
≪デッカイ筒≫は、表面が艶々(ツヤツヤ)で綺麗な薄緑色に輝いていました。
火に焙られてるにしては、なんともないようなぁ・・・・!

爺姥が突っ立っている萱の原ッパから観ると、≪デッカイ艶々筒≫は右に少々傾いてました。
傾いてる上側の方角は夜空の、例の幾つもの光が瞬いていた≪天の川≫辺り。

「なんやあれは?・・・・まさかぁ!ナァ・・・」

ット、爺チャンはなんとのぉその時に、お考えしましたそうな。
ッデここで爺チャン、姥様(ババサマ)が気になります、何処やッテ。
サッキ声がしてたから無事なのはお解りですけどなぁット。

萱の群生する原ッパの向こうの方で姥様、呆然と致しておりました。
ナニがナニやら解らずにでしょうか?それとも頭の線が一本切れてしまったのでしょうか?


「婆さんや、えらい事になったやんかなぁ!」

「ぇッ!ぁッ、おじぃさん・・・・」

「ありゃぁ、全部なんもかも炎上やなぁ!」

「炎上ッテ・・・・あんたぁ、わたしのこと心配せぇしませんのッ!」

「ぉ~!済まんスマン、どないや?」

「ハッ!あ~!たったそれだけですのん?」

「なんや?なんぞ言わなあかんのんか?」

「ぁ、あかんッテ・・・・・ィェ、、まぁ・・・」


いッつも元気な婆さま今は流石にね、大爆発で吹っ飛ばされた直後のせいか
どうにも、威勢いがぁ・・・ナイ!

可哀想にぃ姥様うなだれました。
そしてね、緊張して張り詰めていた気持ちが緩んだのか
急にね、ガックシっ!ッテ肩落としてしまいます。

心なしかなんとなくお顔の皺の溝も以前よりも深くなり
益々老け込んだよぅな感じが窺えます。


「婆さんや、そないに気ぃ落さんかてえぇがな、なそれよりどないや調子は?」

「ぅん、おぉきに、どぉもない想うけどもぅ 」

「ほんまかぁ?なんかフラフラしるでぇ? 」

「ぅん、なんかね頭ん中でね、色んな雑音が鳴ってますねん 」

「サッキの衝撃で打ち所でも悪かッテどこぞがイカレテもぅたんとチャンうんかぁ?」

「そやろかぁ?・・・・ホナ、チョットお調べしてみますぅ 」


ッデ姥様、落とした肩を上げ、曲がった腰を伸ばしキッチリ背筋も伸ばしハッタ。
血が滴る切り傷だらけの顎を上向け、切り傷イッパイの額を夜空を仰ぐようにしますとッ!

なんとッ!婆ぁのお目々がッ光りだしたッ!
シカモデッセ、目蓋を閉じてるのにやでッ!

・・・・・コレってなになん?

目蓋の皮膚を透過して輝くなぁ、お光ものッテいったい何なん?
ほんでね、家が燃え上がるメラメラって音、辺りにしてますけども
耳を澄まして聞けば婆様、なにやら小声でお呟きしてますねん。
どっかで聞き覚えがあるなぁって想えば、ぁ~!あれかぁ!

婆ぁまるで、念仏を口の中だけで唱えてるようなぁ・・・・・!

まッコト不思議なッ!婆ぁじゃぁ~!


「ぁ~あッ!全部焼けてしもうたわッ!」

っと爺チャン、想わずに溜め息混じりでね、オシャッタ。
なんだか事務的っとゆうか調査してるってな感じで、仔細に焼け跡を見て廻ってるけど
爺チャンの切り傷だらけの顔は怒ってますネンッ!非常にッ!

ケッコウ御見事なる怒り肩ッ!

≪ナンで股、よりによって儂(ワシ)の家にこんなもんが落下してくるんやッ!ボケッ!・・・≫

っがぁッテね、お怒りデッセ。

解るなぁ、イヤほんまにデッセ、平和な暮らしがねイッペンに悪夢。
いまだに廃材が燻って白い煙が揚がってる焼け跡の真ん中に
おっ立ってますねん、男根がッ! ぁッ!・・・・・スマンケド【】の断り見てね。


【誠に相済まんことに、ここ最近色々と事情がありまして、ワタクシ少々お疲れ状態
 だからね、頭の中と指先がね、チョット違うことしてるみたいなんですよ。
 「又」や「また」なんかが「股」って、「○」が「○」ッテなってたりいたしてます
 これは作者のわたくしの妄想なんかじゃ決して御座いません。単純なるミスですよ
 疲れてるからの、勘違いミスですよ。お願いやから見逃して、ぅッ!じゃぁなくって
 見過ごしてくださいな、お願いやからね。 】


「婆さん、まだなんかぁ・・・・?」

っと、原ッパの婆ぁを観たらいまだに、夜の空に顔向けたままですねん。
瞑ったお目々ぇ光らせてね、天の川の方角に面を向けはってますねん。
吹き始めた穏やかな風に乗ってね、姥様が口の中で唱えはってる念仏唸り
聞き取れますよぉ。

ット、その念仏唸り以外の何かが聴こえたかぁ?

っと爺チャン、聴こえた方角コッチかなぁ?って想い、振り返りますと
≪馬鹿が戦車でやってきた≫ッテなぁ日本映画が昔あったなぁ、懐かしいわぁ~!

ッテなぁ関係なく、何かがおッきな声挙げながら、近づいて着てますネン?

次作爺さん、ありゃぁなんや?こないな夜更けた時間に、イッタイもぅなんやねんッ?
そりゃぁそうですねん、アンサン。もぅコレ以上なんかが起こると

≪堪らん、止めてッ!、煩いがな、困るワイッ!アホかッ!ぼけッ!≫

ッテ色々と悪態ついてますと、段々と近づいてきますねん。
災厄が、ッテゆうかぁ、災難、ッかなぁ?


「ジッちゃん、なんかぁおましたんかぁ? ぅひッ!」
(おじぃちゃん、何かがありましたんですか、ねぇ?)

ッテ声、爺様の上のほうから聴こえます。見上げれば馬鹿デッカイ図ぅ体ッ!、躯ッ!

「ぁ、ィヤ、まぁなぁ・・・・」

「バッちゃん、あげなとこで、アホちゃうんかぁ?」
(おばあさん、どうしてあんな所でボォ~ってしてるのかなぁ?)

「・・・・・ッデ、御用は?」

ット、随分とツレナイお言葉、ジッちゃんオッシャッタ。

「ジちゃん火事やろぅ村中大騒ぎやでぇ、そやからワイに見てこいってゆうねん 」

「観たならもぅ、帰りッ」

「ぁ~!モット居たいわぁ!」

「アカンッ!帰れッ!」

「居たいッ!居りたいッ!居たかとッ!居ッたるわいッいぃ~!」 ッテ、駄々捏ねハッタ

・・・!≪ゲボッ!≫!・・・・

ジッちゃん握り締めた拳骨、眼の前のデッカイ図体が裸の上から着てはる
前掛けの、金文字で≪金≫ッテ書いてる真ん中に減り込ませてハッタッ!

「モットなぁ、痛かことしたろか?もっと痛ぁにぃ為りとうなかったら、帰れッ!」

ッデ、ジッちゃん拳を手前に引き出しながら想ったさ

「こんなんじゃぁコ奴は参らんやろなぁ?」ット

このまま、おとなしゅうに帰り腐らんやろなぁ・・・・ッケ!
なんせコイツは、≪鉞 金太郎 : マサカリキンタロウ≫の、なれの果てやもんなぁ~!

ぅぅぅ~!ナンで今夜は、ワイの所にバッカシ不運が重なるんやぁ~!



ッテね、可哀想にお爺様。

大変お嘆きしました。ットさぁ~!



中編の前編、此処まで。

≪其の四≫にへと、つづく。

  

姫様 珍妙異聞

2007年07月11日 13時32分37秒 | 大人の寓話


 ≪ 其の弐 ≫

サテぇ、はるか彼方の天界でなにやら、おかしな出来事なんかが勃起しております。

ぁッ!・・・ェ~わたくし只今、出だし早々お間違いなんかいたしました。

スイマセン。 ≪勃起≫じゃぁなくって≪勃発≫です。 ごめんなさい。



「ぁれッ! 爺さんや爺さんッ 今なぁ天の川でなんかぁ光りましたよッ!」

「ハぁあぁ?・・・・婆ぁさんや今なッな、なんて?」

「おッ!じッいぃいさんッ! 天でなんか光りましたんですよッ!」

「ぅわッ!聴こえてるがなッもぅ!アホッ!そないにぃ大ッきぃ声ださんかてッ!ッタクゥ・・・」


只今、爺姥(ジジババ)が会話しております此処はね

絵宙事の天界からは随分とかけ離れております、地面の上。
モノホンの正真正銘の、湿った土の香りがする、地面の上。

ッデお二人は、憧れの(爺様が勝手になんですよ)今ハヤリの自給自足的、田舎生活者です。
一応っでんな、ここん家の主人格、爺様のお名前は ≪次作≫サン。
っで、嫌だ嫌だって何回も言ったけど、次作爺さんに無理にとひっぱられて
いつのまにか数十年も田舎暮らししている、可也なお歳を召されてて
皆からは通称≪トメババ≫って呼ばれております、少々古ぼけた正妻の≪止め婆様≫。

ぁッ!・・・・・まッえっかぁ? トメなんやけど、えっかぁ・・・・


チョット汗ばむ夜に、藁葺き屋根の軒下で、仲睦まじい老夫婦がね
二人仲良く床机に座って風流にも、夜空の星見をと小洒落ています。

ッデこの ≪爺姥:ジジババ≫ なお二方ね、何を隠そうッ!・・・・?
かの有名な ≪かぐや姫≫ さんの育ての親ですねん。


「なにがや、なにが光ったって?」

「爺さんや、天の川の真ん中辺りで、ピカって光りましたんやッ!」

「またぁ、ッチ!婆さん眼ぇが悪いのになぁ、なにが観えるんやッ!この嘘つきがッ!」

「なぁ、なんやってぇ! 」

「ばばぁ!見えもせんもん見てからに、眼ぇがどないかしとるんやろッ!」

「なに言うかッ!惚けたあんたに星見る嬉しさ、叶えてあげようとしてぇック、クソジジィ!」

「ぬかせッ!要らん世話じゃ、どアホッ!酒じゃ、酒が切れたんや持ってこんかいッ!」 ヨッ!春団治ッ!


まぁ元々このお二方、仲はたいそう良かったんですけどなぁ。
ばぁさんが少し誤解しておりますねん。
ホレ、例の、義理娘の≪かぐや姫さん≫のコトで。

婆さんと爺さんの間にはね、お子が居らんかったんですよ。
まぁ、この時代、≪子供は神様からの授かりもの≫って
例えがあるくらいですからね、いつかは授かるかなぁ・・・・って。

ッデも、何時まで経っても授からずに、お互い歳ばかり喰っちゃッテねぇ!

ところが或る日、爺さんがどうしたことか、赤子を連れて帰ってきました。
山の麓の一軒家みたいな所ですからね、そんなに人さんが訪れるはずも無い。
それじゃぁ、何処の何方がこの赤子を捨てはったんかなぁ・・・・?
ッデ姥様、モシカシテ、嘘やろぉ?ぁ、そぉかッ!

確かぁじい様、去年の秋口からナンヤカンヤと理由をつけては
ナにやらメカシコンデふもとの里へと、イソイソト用もないのに何回もッ!

ッケ!・・・・じじぃ色気ついたかッ!

(誤解の無いように言っときますけどなぁ、この時爺様まだまだ壮年期。
  場合によったら、「わしゃぁ未だに現役やんかぁ!」ッナお年ごろでした。)

ッデ、隠し子。爺様のぅ!隠し子ッ!っと。姥ぁ様邪推いたしました。


「あんたッ!この赤ちゃん何処の子なんやッ!」

「知るかッ、竹を切ったらな出てきおった 」

「アホかッ!痔ぃさん、どこぞの世界に青竹切ったら赤子が出るちゅうねんッ!」


ッデこの時、婆さんこぉう考えハッタ。≪爺ぃ、惚けハッタかッ!≫ ット。


【ェットぅ、只今、不適切な漢字表示がありました。
 ≪痔ぃさん≫やのうて、≪爺ぃさん≫ですねん。
 不愉快な想いさせてもて、御免やっしゃでぇ!】


「お前さん、もっとましなことが言えませんかぁ?」

「なにがや?」

「・・・・・・あんた、これなんや?」

「指やがな 」

「ホナこれ? 」

「チョキッ 」

「どや? 」

「パー 」 

「・・・・ハァ~ッ」 ッテ、固めた手ぇに息カケデすねん。

「ぐぅ~ヤンカ、舐めとんかぁワレ? わッ!なに振りかぶってるんやッ!ギヨャッ! 」

爺さん、☆ボクッ!★ッテ頭ぁのテッペン怒突かれたッ!
ババァの握り締めハッタ骨ばった拳骨で、続けてもう片方の拳骨ッ!
今度は、爺さんの反対側の薄毛な側頭部ぅ~!

かんッ!ッテ、可也な硬い塊叩いた音したで~!

「グゥゲッ!・・・・痛ぅ~ぅぅぅイッ痛かばいッ!ナンバすっとかぁ!」

ッテ爺さん頭抱えて蹲り、思わず子供時分に育ったお国訛りが出ますねんッ!

「ぁれ!おかしいなぁ?痛さをお感じしますんかぁ!ホナ、大丈夫なんかぁォ・・・ッカシイナァ? 」

「なにが大丈夫ぅ!ってかぁ?なにさらすんやッ!」

ットここで、頭にきたじぃさん、猛烈痛みを堪え反撃ッってかぁ!
っが、ババァ御見事なる、カウンターパァ~ンチッ!

「げはッ!」ッテもぉぅ!言葉で言い表せないような「げはッ!」ッテ声。
「げほッ!」ッテ方が、ちかい表現かもなぁ・・・・?

「なんばすっとかぁ!ぇ?ぁ!わッ~半紙、半紙やッ!ティッシュやぁ!」

じぃちゃんもぉぅ!鼻から赤い血ぃ垂ら垂らぁ~!


「おじいさんや、もぅチョットお詰めハッタ方が、えぇんとちがいますぅ?」

「ぉッおぉぅ!ほぉかぁ・・・・ 」

鼻の穴に半紙をチッコク丸めたのを、突っ込んでますねん。
鼻血どめになぁ。

まぁぁ、夫婦喧嘩なんてのはなぁ、アンガイこないなもんかなぁって。
何も娯楽がないトッテモ平和な田舎の生活、毎日の暮らしの変化って
たまぁに起こる、夫婦のカァワイイぃ口喧嘩くらいのもんです。

まぁチョット普通の喧嘩からは、逸脱モンやけどなぁ!


じぃさん、夜空指差して

「はれぁ!あなかぁあぁるぅあぁわあ・・・・」

ぇ~いッ!じゃまくさいわッ!次作爺さん鼻声やし
おまけになに想うてか口ぃ開けっぱなしで喋るやろぉ!
マッタク、意味解らんッ!

お後の話の流れの都合上、キッチリ翻訳しときます。惚けッ!

「ぁれぇ!なんかぁ明るくなってるでぇ」 ですねんッ!ッタクゥ。


ッデ、二人揃って夜空を見上げました。

「じぃさんや天の川ですよ、ホレわたしがサッキ言いました、光がッ!」

「へッぇ~! ぇッ、ありゃぁ光とチャウでッ、火の玉やんかぁ!」

「サッキはもっと、チッコカッタんですよ・・・・ぁ!また光ったッ!」

観れば、宙の中で次々と光が現れています。

「なんやッ!イッパイ光ってるなぁ?」

二人とも、まぁこの怪奇現象にぃ魅せられてますよぅ・・・・
ッデここで爺様 タブン? ッテお気づいてきます。

「チョット≪とめ≫なんかぁ、あの光ってるんなぁ、だんだん大きゅうなってコッチにぃ・・・」

「ジッじぃさん、こっちにぃ 」

「バッばぁさん、逃げたほぉがッ!ぁ 」

えぇでッて言葉を吐く前に、まぁアンサン二人とも、歳とは想えん敏捷さッ!
速い早いッ!可也な俊足ッ! これが老い惚゛れ老人の身のこなしかッ!
二人キッチリ背筋を伸ばし、無駄口叩かずひたすらサッサト眼の前の
青いススキの原をどこまでもッとね、突っ切ってゆきますねん。

先ズ眼も眩む閃光ですッ!背後からッ!

ッデ、何の光かと想う間もなく襲ってきました。
今まで二人が生きてきた人生で、体験験したことも無い

耳を劈く爆発音ット衝撃波ッ!

ドッカノ男と牛が吹っ飛んだのと同じようにぃデッセ
吹っ飛んでいきますがなッ! 爺姥(ジジババ)がッ!

飛んだものは、いつかは落ちます。
それがタマタマ萱の原やったんです。

爺姥様、剥き出しの手、腕、脚、顔、首、ッの全部ね
鋭い萱の細い葉っぱで、切りまくられながらね

激しくゴロゴロって転がりましたとさ。

まぁこれで二人とも、仲良く≪おじゃんッ!≫かな?

≪おじゃん:ウットコら地方の可也な丁寧語:お終いっとかぁ:済んだッテかぁ:最後≫


暗い夜のしじまの中で、藁葺き屋根の家が激しく燃え上がる音
今はもぅ・・・爺姥がズダみたいに為って横たわるススキの原や
毎日朝早くから耕していた、猫ノ額ほどの田畑ねぇ・・・・!
燃え上がる炎に照らされて、暗闇とおして辺りに聴こえます。

心よりのお悔やみを添え、合掌ぉ・・・・



ッデ、ここで突然ッ!≪とめ婆ぁ様≫声挙げたッ!


「じぃちゃん!家が突き刺さってるッ! 」

「ぁほッ!なんかが家に突き刺さってるッ!やろッボケッ!」



爺姥ッ!

二人とも生きてるやぁ~んッ!




中編、此処まで。

≪其の三≫にへと、つづく。



     

【 おとなの七夕 秘話 】 ≪ 其の壱 ≫

2007年07月10日 11時25分41秒 | 大人の寓話
  



サテ先日の七月七日は、七夕さんでしたよねぇ

ェットォウですねぇ去年か一昨年、七夕で記事ぉチョット

 ッデ今回も、チョット



【 おとなの七夕 秘話 】
  ≪ 其の壱 ≫


≪彦さん:牽牛星≫ と ≪姫さん:織女星≫の

見上げる夜空の、遥か彼方の壮大な宇宙をですね
忙しく駆け巡る、語るも≪卑猥≫な≪逢引≫のお話しですよ。

ぁッ! ごめんなさい。 言い間違いですよ。

語るも≪猥雑≫なお話しでした。ごめんなさい。


まぁあるていど自称≪助平ぇ≫だよ、っと自認しているわたくしには

トッテモ理解不能?なんですよ。

一年に、タッタ一回ッ!・だ・け・のッ 待ちに待った逢瀬。

わたしなんかね、一年の十二ヶ月のデッセ 三百六十五日にッテですよぅ・・・・

タッタ一度のッテあんさん・・・・・マッタク想像すらぁ・・・・ミガモタンッ!


ッデ、暗くて広い宇宙の真ん中を、銀色に輝きながら流れる天の川。
その天の川の真ん中辺りに架かる、トッテモ太くて長い、ぁッ!・・・・チャイマッ!
トッテモ長くって大きな橋が架かっています。
その≪逢瀬橋≫ッテ 名前の橋の真ん中辺りで、彦さんがね歩いています。

≪牽牛黒助≫ッテお名前のですよ、牛といっしゃにね。

可愛さよりも憎たらしげな顔した熟年牛の、真っ黒な鼻先にぶら下っている
ピカピカッテきれいに磨かれてる、真鍮の輪ッ架に通した手綱を引いてます。


彦さん、引っ張ってるデッカイベコを振り返って、懇願致します。


「なぁクロ、すまんけどもぉチョット早ぁにお歩きできへんかぁ?」

「旦那、ワテになに言うてまンの?」

「ナニッてそないに歩くん遅かったらなぁ、夜が明けてまうやんけッ!」

「ハァ?・・・・旦サンそないに秘めごとしたいんかッ?」

「ぇ!・・・・・そらぁお前(ァホッ!ワテにナに言わすねんッ!)したいがな 」

「よッ!コのドスケベッ!エロゴトシッ!」

「ェッエロゴトシってッ!・・・お前なぁ・・・・」


「ヨッ! コラ海老蔵ッ! 金玉屋!」


【注:≪金玉屋≫の≪金玉≫はね
地球で言われているような≪○ン○マ≫じゃないんです
天界での読みはね≪コンギョク≫ッテ言うねん
皆様誤解なされませんよぅにお願いネッ】


彦さん(イッペン川に沈めたろかッ!あ・ぁ~んワレェ!)っと
思いましたが、コイツにナニ言うテモって、直ぐにお諦め。

仕方がないから、再び橋の遥か向こう側目指し、トボトボと牛歩な歩みで進んでゆきます。

(クッソォぅ!いつか喰ってやるッ!)ッテね、思いながらですよ。


まッ コのワン仔。ぁ!チャウチャウ・・・・マタヤッ!

コの牛の ≪クロ≫。 普段から、ケッコウ彦さんのゆうことチットモ聞こうとはいたしません。

まったく手に負えん、厚顔無恥なギュウ野郎です。ハイ


ッデ、逢瀬のお相手方の≪姫ハン≫。
恋焦がれるオットコ前の彦さんが、いつ来るかもぉ来るかッ!
ッテ、お待ち焦がれ状態。

可哀想になぁ・・・・・チカカッタラワテガお相手イタシマスノニナァ・・・ェロッ!ぁ!チャウ、ウフッ!


「彦様、ソロソロお見えに為りはりますえ、ソヤカラ姫様、暫くシバラクのお待ちをぅ 」

ッテね、チュウネン塾女のじっ・・・・・、チャイマッ!侍女の≪艶然奴:エンゼンヤッコ≫
って源氏名の女が、≪逢瀬橋≫の反対側の橋の袂。天突くような高さの欄干近くで
ソワソワして彦さん待ってはります姫ハンに、声掛けハッタ。

っんですけどなぁ、姫ハンの耳にはマッタク入りません。
そりゃぁそうやろなぁ!スキヤンのこしか、頭にはナイナイやからなぁ!


「エンゼンヤッコ、使者はっどうしたのじゃ?」

「ぇ!姫様、死者ってッ!」

「・・・・エンゼンヤッコ、使者よ 」

「シシャ・・・ぁ~!使者ねッ、ハイ姫様。サキほど爺めが、まだ戻ってはこぬゆえ
   新たな使者をたてましょうかと、そのように申しておりましたが 」

「エンゼンヤッコ、使者はまだ戻ってはきませんとは、なにゆえじゃ?」

「ぅ・・・・・っんとぉ姫様、チョット申し上げにくう御座います 」

「エンゼンヤッコ、ソチとわらわの仲じゃ、良い遠慮は要らぬ、もうしてみよ 」


(エンゼンヤッコ、エンゼンヤッコって毎回毎回ジャマクサイッ!今から省くッ!丁寧語も省くッ!)


「ホナ姫さま、遠慮せんと言いますね 」

「いぃよ、言ってごらん 」

「実は、今まで出した使者ども、いまだにどの使者も戻って来てへんねん」

「ぇ!そぉなん?」

「ぅん、どうしてかは存じまへんけどなぁ、誰一人として戻ってきぃひんねん 」

「どっかで遭難でもしたんやろかぁ?」

「さぁ・・・・途中まで見送らせた者の船も帰ってこんしぃ解らんよぉ 」

「爺はナンって?」

「ぇっとぅジジィが言うんには、いくら韋駄天の船でも、チョットぐらい速くってもアカンかもぅって 」

「へぇ~!アンタそら股どないしてなん?」

「じっチャン呼んできますね、ウチぃあんましカラクリゴトはよぉぅ解らんさかいにぃ」


ッデ、急いで橋の袂まで呼び出された、腰が曲がってゝ長い白髪で頬と顎には豊かな白髭蓄えた
ドナイ視ても博識さが窺われる、恩年ぅん千年は生きてきたやろうッテ感じの爺様。

流石に歳のせいか足元は、少しぃフラついてますッ!

でもね、中年塾女の艶然奴は、別の醒めた見方をいたしております。

【おそらく先ほどまで酒精度数トッテモ高純度な、
  天界名物≪天の白酒:アマノシラサケ≫
  なんかぉ一杯、引っ掛けてハッタッ!】ット。


「姫さま、こたびの使者のこと、如何も出来かねましょうかと 」

「ぇッ!できかねましょうかッテ、どうしてですか?≪天然惚け太郎≫
   ぁッ、イャ!ッ≪千年老け太郎:センネンフケタロウ≫ッ! 」

「ははぁ! 申し上げにくいことなれど実は、我が国の天駆ける船の悉くが残念ながら
  既に旧式に為っておりまする故に、以前のような速さが出来かねておりまする 」

「ぇッ!旧式ぃ? 」

「はッ!残念ながら、申し訳御座いませぬッ!」

「ベッ別にお前が謝らぬともぅよい・・ぃ・・・・」


ッテな遣り取りが、彦さん、今自分が歩いている橋の向こう側の袂で
おこなわれているとも、マッタク露知らずなんですょ。

 まッ、知りえようもないんですよ。

ダッテ、幾ら橋の真ん中辺りって言ってもね、
恋しい姫ハンが、お待ちに為ってはる橋の向こう側の袂までの距離。

≪十数光年ッ!≫なんだもの。

随分と、現実感のない数字ですけども、例えば。

今彦さんが例えばね、Puぅ~ッ!ッテね、屁をこきハッタってデッセ、例えばでっせタトエバッ!
その妙なる音がね、タトエバですよ、もしも向こう側の橋の袂で待ってはる、姫ハンに

届いたとしたらですよ、そのころには姫ハン、もぉぅケッコウナ塾女ハンッ!

やろなぁ・・・・?



「旦サン、休もうなぁ 」 っと、後ろからの声を聞く前に

彦さんが引張っている手綱、ぴーんッテ伸びきってました。
彦さん、なんやろかぁ?っと振り返ると、牛のクロ
橋の上で腹這いになって、ぐったりしています。

「クロ、休むってなぁ、サッキ休んだバッカシとちゃうんかッ!」(ボケッ!)って

続けて口から出そうなのを、グット喉元で堪えてます。彦さん。

「そないにゆうけどスキ者旦さん、あんたは目的があるさかいえぇけどな、ワイはないもんッ 」

「目的ってなんやねん? 」

「助平やんかッ!とぼけはってからに、モォ~!」

「ススッスケベエぇ、ナンヤッテェ!おッおまッお前ぇ・・・・プチッ!」 ット、彦さん頭の線が切れハッタッ!

ほんまにコイツのドタマ、一発喰らわしたろッ!っと、腰の職人帆布袋から
手に馴染んだ木槌を取り出し、クロに近づこうとしましたら
突然ッ! 背後でデッカイ爆発がッ!

何事かと振り替える間もなく、背中を強烈な爆風が襲ったッ!

彦さん頭から吹っ飛ばされ、眼の前のクロとゴッツンコッ! 

「グッ!ギャッ!ぎゃあ~!」

クロ、爆発の閃光をまともに眼に受け、眩しいッ! ッテ想う間もなく
襲ってきた彦さんの石頭で、角と角の間の額を、超激ッ!頭突きッ!
され、爆発の閃光眩しさ以上の、眼の前真っ赤ッカッ!

「モォ~! 」 

まッ、平和なドコゾの牧場で、ノンビリのどかに鳴くような

「モォ~」 ッテなぁ、鳴き声やなかったなッ!


っで、二人とも、ぁ、チャウッ!一頭とお一人はッ!
今まで苦労して歩いてきた方に、橋の上を吹っ飛んでゆきますねん。
彦さん飛ばされながらも大爆破があった方角、見れました。

幅広い≪逢瀬橋≫の真ん中辺りで、キノコ雲型の爆煙モクモクッテ吹き上げかけてたッ!


ッデ、可也な距離を吹っ飛んだ二つの生の物体、橋の渡り板に強烈に叩きつけられたッ!

「ぎゃッ!:もグワッ!おッ^!」 っと重なる悲鳴ッ!


サキに転がるのが止まったのは、流石に重量の重いクロやった。
彦さん、まぁアンガイ小柄な方やったんやけども、爆発の衝撃爆風ッテ恐ろしいもんで
スッゴイッ!速さでクロの中年太りな腹に頭から、ズッコンッ!って大当たりッ!

クロ、今度は「モギュッ!」ヤッタ。



「ダッ・・・ダッ旦さんぅ・・・・ドド退(ド)いたって・・ぇなぁ 」

お見事にも橋の真ん中で、大の字になっているクロ。言いました。

自分の腹の上で、コレもお見事にもクロと同じように
大の字になって完全な気絶状態ッ!の彦さんの背中を
右腕の、ぁ!・・・・・チャイマ、右前脚なんやッ!
その脚の蹄で彦さんの背中を軽く叩きハッタ。

「ぅぅ・・・クロ、今のんなんやぁ!」

「知りませんがな旦はん、それよりワイの腹から降りてもらえんかぁ!」



っで、二人(?)で、なにが起きたんかなぁっと、チョット尻込み気味に為りながら
爆発現場にと、確かめに戻っていきます。
彦さん、なるべくクロの背中に隠れようとします。
ですがクロ、デッカイ図ぅ体ぃしてますけど、これがアンガイ臆病。

「ぁ!旦サン、オッ押さんといてくださいッ!」

「ぁほっ!お前が先に行かんでどないするんやッ!」

「あほッってなんやねん、旦サンの方がヨッポドアホとチャウんかッ!」

「ナンヤッテェッ!もぉぅ切れるデッ! 」

ッデ彦さん、オモイッ糞クロのデッカイケツ、蹴りいれたッ!



【天界用語注訳】

上記の、「彦さん、オモイッ糞クロのデッカイケツ、蹴りいれたッ!」ッテのはね

天界関西方面での、可也な丁寧語ですからね、一般の方々にはチョット訛りがきつくって
理解できかねましょうかと。だからね、下記に翻訳しておきますね。

【訳文;彦様、オモイっきり牽牛黒助の、とっても大きなお尻を蹴られたんですよ。】


ほかにもなんかぁ、関西風の喋り方が多々ありましょうけども
お解りに為らないのならば、御遠慮なく筆者に御一報くださったらね
説明仕らせていただきますからね、何卒宜しゅうお願い致しますよ。



前編、此処まで。

≪其の二≫にへと、つづく。


     

梅雨の晴れまの晩に 独酌酔い

2007年07月10日 00時11分56秒 | 異次元世界 
  



独り孤独な手酌の宵 忘れな遠くを心隠し望むれば

夜が黒くと流るゝ星々の庭に浮かびし 月を頂く影の如くナ黒き山々

静かすぎる侭 何も語らず蹲るが如くナ嶽の山


何処かの 頑なゝ人の心中 おなじ寂しき想いかな

狭き隘路から訪われずとも 願望淵より溢れて来ましょうか  


時折 影山の方角より流れ聴こえし 殷々と夜の中で呼び交わす

逸れ狼どもの群れし遠吠え 微か聴こえてきましょうかと


胸奥 魂魄抜けきりし空なり

心 聴こえを憶えていましょうか


即ち届かぬもの 頼りなきは背に負うことも叶わぬ


生きるに値せぬと多しもの 諦めなと責めな出来事

数々の 胸を焦がしての揉め事

忘れがたき懐かしさ 悲しみと在るから


酌み交わすは 暗きナ夜と 夏の走りな雨音


深間ナ酒の酔い 手より徳利離させました

落下する酒器 堕ちずにと願えば叶うはず

忘却せずにと抱く幻想酔い 幻覚を誘いますから


ただ 空中にとどまること叶わず


酒濡れ畳み 乾けば酒精は匂わずか

この晩の涙乾かぬとも 眠りし観る夢に

飲めば辛きと 白く渦巻く 青きな潮なり



朝に目覚めること 我 願わず




   

夜の暗さは、恐怖を招く。

2007年07月06日 01時06分58秒 | トカレフ 2 
  



自分、心は急(セ)いていました。
ただもぅ、この嫌な状況から早く逃れたかった。
だから今度は突然、左足首を摑まれたときには、自然に体が反応した。

自分の右脚、自分でも驚くほどの素早さで、足首を摑んでる本体に蹴りッ! 飛ばした。
星の明りが黒い影になった外人の、噛み締め剥き出しになった歯を、仄白く照らした。

踏み切りの警鐘連打音鳴り響き、嫌でも耳に入ってくる。
自分、暗い地面を眺めて怒りながら、脚が勝手に激しく蹴り続けるのを
不思議な感覚だなと思っていた。

視界の隅では、踏み切りの両脇で警告灯が、赤く点滅していた。
夜の暗さナ中人の悲鳴、何度も蹴られるたびに黒い影になった躯を
海老が跳ねるように折曲げ、痙攣させながらだった。

列車の車輪に磨かれた二本の鉄の棒は、暗い向こうまで延び
それが暗さで闇に溶け込んで消える遥かから、小さな黄色ナ灯りが次第に近づいてくる。

自分、下りの夜行列車の前照灯だと直ぐにきづいた。

「あほがぁ~ッ!」

舌打ちじゃぁなく、思わず言葉がッ!

今は見た目も徐々にと近づく、列車の前照灯の灯り。
列車の警笛、遠くで間延びしたように二度鳴て消えた。

急に摑まれていた足首の締めつけ感がなくなる。
自分の躯よろけた。 尻もちをつく。
咄嗟に後ろ手で両手を砂利につくと、尖がった砂利で掌が痛かったッ!
その姿勢で、反対側の踏み切りの向こうを観ると、懐中電灯の上下に動く灯りッ!

厄介ごと、なんでこないに続くんやッ!くっそがぁあッ!
っと、胸の中で思っても、悔しさだけがぁ・・・・!

甲高い踏み切り警鐘音、しつこく耳に煩く付きまとっていた。

自分、叫びたかったッ!叫んで如何にかなるものなら、大声で叫びたかったッ!
だけど自分、心臓が止まるかと、驚いたッ!

後ろ手で砂利についてた右手首ッ 摑まれたからッ!


異国の男は、壊れにくい、頑丈だッ!
自分そう理解した瞬間、ほんとうに恐ろしかった。

化け物ッ! 今夜何回目かの化け物ッ!

恐ろしい力で、地面に再び引き寄せられる。
最初は抗ったけど、もぉぅ自分、その力に逆らえなかった。
地面スレスレで聴く、酒臭さナ異国の喋りは、自分には意味ナク聴こえてた。

ただ、異人の必死さだけは伝わってきた。

「なんやッどないせッちゅうねんッ!」

たぶんこの時、自分の口から出た言葉、悲鳴言葉やったと思う。

 
夜行列車、次第に近づいてくるッ!
自分が腹這いに為ってしまった地面の震動が

そぉぅ教えていた。


眼、思わず硬く瞑ったら、目蓋の裏側ッ
踏み切りの、赤の点滅以上に赤かったッ!



   

原爆投下

2007年07月01日 02時41分48秒 | メタルのお話し 
  


先ず最初にお断りしときます。

わたしはね、政治にはあんがい無関心なんですよ。

だからね、政治家が国民が困らないようにさえして下さったら

とやかく言おうなんて、思いません。

何処の政党も、似たり寄ったりだと思いますし

極端に世の中が変わらない限り、今のままでも良いかもなぁ、ってです。



≪久間防衛相 様≫

あなたは、原爆の為に苦しんでいる方々の前で、言えますか。

「あれは、落とされても仕方がなかった」 っと。

後から、あの発言はどうのこうのと言ってますけど、今更なぁって思います。

わたしね、何も偉そうに話す心算はないんですよ。

ただね、一応。 長崎県の佐世保沖の離島出身なんですよ。


わたしの母は、若い頃にその離島の病院で看護婦をしておりました。

わたしが生まれる前、母が勤めていた病院に、原爆に遭われた多くの被災者が運び込まれたそうです。

その時の状況を、わたしは子供のときに母から聞かされました。

わたしは幼くて何も判らなかったんですけどね、恐かった。

そのせいか、わたしは大人に為っても戦争は、絶対駄目ッ!って考えです。

だからね、≪久間防衛相 様≫あなたの原爆を容認する発言には、心が揺れてしまいました。


じゃぁ、あの戦争は仕方がなかったから、始まった。

日本も外国も、戦争で沢山の犠牲者が出たけど、仕方がなかった。

だけど、戦争が終わる為には、原爆の一つや二つ、仕方がないけどまぁ・・・


何処かで人が今も、戦争をしています。

日本も、自衛隊が出かけて、まだ空自の方々が残って戦争のお手伝いをしています。

それは国際貢献ですからね、仕方がないことなんでしょう。

お手伝いですからね、国際的なね。


広島、長崎の原爆投下地にですね、何故ですか?

何故、原爆の碑が在るんでしょうか?

原爆の悲惨な出来事を、いつまでも忘れないようにする為じゃぁないんですか?

あんな残酷なことが、二度と世界の何処でも起こらないようにと、決して忘れてはいけないと。

人が深く思うからじゃぁ、ないんでしょうか?


≪久間防衛相 様≫あなたは、戦争に対して、どのような感覚の持ち主なんですか?

原爆を容認する発言は、わたしには戦争をも容認する発言に聞こえます。


それが、わたしの聞き間違いなのを、わたしは望みます。