【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

託すは数珠

2006年09月30日 13時49分54秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  



【弔い吐き】

清美をおかぁはんとこにぃ

おかぁはんの住居は、
おかぁはんの店から 15分くらい歩いた公園近くの
お菊神社の傍に在りました。


トイレの引き戸の向こうから、おかぁはんと清美のぉ声 聞こえてきます

「清美 ぁんた寒かったやろぉ! はよぉこれ飲みぃ 」
「 すいませぇんぅ・・・おかぁさん真ちゃん堪忍してやってぇ 」
「もぉ言わんでもぇえっ 判っとぉ、わかっとぉさかいにぃ早ぅ飲みぃ 」 
 
 返事は嗚咽ぅ・・・・ 嗚呼とぉ・・・・ 


耳を欹て聞いてるボン、便所のタイル土間にしゃがみ込んで 
さっきから腰掛便座 抱えていました 

清美を、おかぁはんに預けられたっ との想い、
其の安堵感が それまで堪えていた緊張感を緩和し 
元々の酔いが激しく襲ってきた。

そしてぇ・・・今しか出来ない 
吹っ切れる為の最後の足掻きぃ なんでしょぉ


ボン、嘔吐する度に胸の何かも一緒になって吐き出されます。

下顎首筋のぉ筋肉 引き攣る毎にぃ、ホンマは出したらアカンのや!っ
腹筋 内側に引っ込む度に、堪忍してくれぇ~!
喉が胃液で焼ける感覚 知ると、もっと焼けたらえぇ~!
舌がぁ喉の奥がぁ、自分がぁあ!ぁ・・・・っと

 吐瀉物無くなって空吐きになっても ・・・!


便所の引き戸を開くと、玄関框の上に脱ぎ捨てられた革の繋ぎを
床にお膝して綺麗に畳んでる、清美が居ました。

「久保君、どんなんぅ! 」
「大丈夫です 」
「ホンマなんかぁ? 」
「全部出てもたさかいにぃ スッキリしましたわぁ 」
「そやったらぇぇねんけどぉ 」
「はい、 おぉきにです 」

「此処 穴ぁ空いてるぅねぇ 」

聞かれたくないことぅ聴かれました。 ボン
清美の膝の上の黒革には 激しく何かで擦れて、
周りがギザギザに擦り切れたような 穴がぁ・・・・!

「ぇ! ・・・ハァ 」

清美がさっきまで着ていた革繋ぎ服 昔の想い出が纏っていました。
あの日のあの時に、あの場所を通ってしまった自分が創った想い出がぁ・・・!

「姐はんそれなぁ 女が着てましたんやぁ 」
「ぇえ! 彼女ぅさん? 」
「・・・はぃ 」

「・・・・ぁ!ごめんねぇ! 」

ボン、眼ぇ逸らして薄暗い廊下の奥の
明かりが斜めに漏れる角まで、視線を泳がせた
角からはぁおかぁはんの 佇んでいるような影 
綺麗に磨き込まれた床板にぃ映ってました。


「キエ君、あんたしっかりできるんかぁ? 」
「できます おかぁはん心配かけてぇすんません 」
「そやったらえぇ 」
「ホナ、往きますわぁ 」
「此れ持って往き 」

単車に再び跨ったボンの腕掴んで、
ボンの胸前にぃ 突き刺すようにぃお数珠
 
「ハァ? 」
「もしなぁ、真ちゃん見つかったらぁ渡したって 」
「マネ~ジャアにぃですんかぁ 」
「そぉや あの娘の亡くなったぁおかぁさんのんや 」
「! 」
「清美がぁ持って行てやって、ゆうねん・・・・ 」
「姐さんがぁですんか・・・・ぁ 」

玄関横の単車を置いてある狭い駐車場にも、
清美が お風呂を使う水の音 聴こえてきます。

「ホナ・・・」

単車ぁ排気音 近所迷惑にならんように押して 神社の鳥居の前にとっ


キチガイマッハ再び 夜を駆けます
目指す方向は 自分が調べて 
「ちぃふうぅ」 に教えた場所ぉ目差して
ボン、冷たい夜風に眼を瞬きながら 単車に跨っていました。
弔い吐きしたボンのスッキリした顔 風の冷たさがぶつかって来ても
瞳は濡れてきませんでした。 唯ね、他の何かがぁ・・・・

 姿勢低くの背中に載っているようなぁ・・・・




   
  

ブラウスマフラー 

2006年09月28日 22時26分38秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  


 【暗闇回想世界】


「久保君、此れぇ首に巻いときぃ 」

差し出されたのは、清美がさっきまで纏っていたブラウスでした。

「ぇ、なんで? 」
「夜に、そんな革ジャンだけやったら首が寒いことないんかなぁ 」
「ぇ、ハァ そぉですかぁ ・・・・」
「遠慮したらぁ アカンよぉ 」
「ホンナラ お借りします 」

着ていた黒色革ジャン脱いで ブラウス絞るようにして首に巻きました
それから改めて革ジャン着て、前身ごろのジッパー引き上げるとき
窮屈さで胸の息ぃ全部吐き出しました。
 ケッコウナ締め付け感覚がぁ! 
だけど再び脱ぎたいとは 思いませんでした。
女の匂いが 首の辺りからしてましたからね !

忘れた心算の懐かしさの匂いが、胸にこみ上げてましたぁ!


ボン、キチガイマッハのアクセル 手首イッパイまで回し切っていました
清美、振り落とされまいとボンの背中に 必死で抱きついています。
ボン背中で、女の温もりを憶えたのは 随分前のぉ・・・っと


無理にと忘れ 心の奥で眠っていた懐かしさが、
2サイクル3気筒発動機の黒色艶消し塗装が施された 
胃袋みたいな三本のカスタムマフラーから
強烈な甲高い音と共に吐き出される排気音で脳裏が覚醒され、
目覚めて来始めました。


二人の乗る単車が、夜を切り裂き 奔り去った痕には
青い排気瓦斯 星明りを映し旋風のように路上に舞っていました。


深夜の市街地、喧騒な昼間の顔を暗闇に潜めさせます。
時折、遠くのビルとビルの谷間を過ぎゆくパトカーの
赤色回転灯の瞬く明かりが望め、暗闇から夜の顔を覗かせられるのは、
突っ走る二人乗り単車の、流れる様なヘッドライト上目の明かり。 

ライトに照らされ闇に浮き上がるは
見えないものを追いかける 

 暗闇回想世界


暗闇に流れるライトに照らされる狭い範囲で 
暗い闇夜から浮き上がっていた





夏の太陽 木陰で微睡みたいほどでした。 

気がついたとき ボン
おかしな感じで舗道の縁石に 後ろ首を押し付け顎を胸に
右腕は 躯の下になって感覚が無かった
右脚、気がつかされた痛みが 太腿の付け根から次第に腰全体に
背骨と胸 なんとか騙して 大丈夫なようなぁ・・・
右鎖骨は 鎖骨骨折の覚えある痛みぃ

 自分でも知らないで 呻いていました

頭の中 真っ赤な絶望感覚 広がり始めてます

・・・ぁぁ あいつぅ・・・大丈夫ぅ・・・・!

太陽の光を透かして視える、真っ赤な血色目蓋を開けると 
視野にぃ世界が横向きでぇ・・・目イッパイに縦に道路が!
路の向こう端で 陽炎が地面からぁ ゆらゆらぁ・・・ 
顔の左半面 夏の陽が熱く焼き付けるように照らしてぇ・・・
右半身 夏の日差しで焼けたアスファルトの表面でぇ・・・!

ボンの彼女 道路の向こうで、ズタ袋のように力なく転がっていました
さっきまで被っていたヘルメット 何処かに
長い黒髪 アスファルトに広がり 生暖かな風で毛先がぁ・・・

無理に顎を上げ捜すと、随分な距離を飛んでいったホンダのCB
完全スクラップ状態で 道路の向こうでぇ・・・!
事故った衝撃で潰れたタンク そこから漏れ出たハイオクガソリン
流れ広がっていました。 ゆっくりと道路の熱で揮発する陽炎がぁ! 

蒸し暑い空気に燃料の刺激臭漂い 遠くの此処まで 


残骸CB 小さな爆発音して道路と共に燃え上がりました
焔が、流れた燃料を追って奔ります
太く濃密に揚がる黒煙柱 太陽に陰を差しました

ボン、痛みとは違う涙がぁ 自然にぃ

彼女を再び視ると 涙で滲んで視えるのとは違った
夏の午後の日差しの逃げ水現象で、骸姿が揺らいでました



「久保くん! 飛ばすんやねえっ! 」 清美が大声で耳元!

ボン、無意識にアクセルを捻る手首の力を緩めます
急なエンジンブレーキ! 前にと身体が! 
腕を突っ張り 上半身起こして堪えます
清美の重さが 背中にぃ!


もっと、もっと! 心で何回も念じたそうです ボン。

「姐サン 落ちんようしてんかぁ! 」 肩越しに夜に響きそうな声で!

もっと、もっと早くにぃ! ナンで想い出弔いしてやらんかったんやぁ~!
自分、アホちゃうんかぁ!

 もっと、もっとぉ・・・!


アクセル全開しましたそうな



随分後でね 清美が言いよりました。 

「ちぃふぅ久保君ぅ あんときなぁ啼いとったみたいやったぁ 」
「なんでや・・・? 」
「ぅぅん わからんよぉ けど、肩越しに見たらぁ
    目尻からなぁ 耳までなぁ 濡れてたんよぉ・・・・ 」

「そぉかぁ ボンなぁ・・・ 」


閉店後の店で有志だけの、
「今日も一日ご苦労さん打ち上げ酒盛りぃ」
ヨッパラッテ酔い潰れて 店のダンスフロアー
其処の奥のボックス席の絨毯に だらしなく寝転んだ姿の若ボン
誰かが、コートを掛けて遣っていました


「ちぃふぅ 起こさんでいぃのぉ 」
「えぇで、暖房切らんといてやるさかいになぁ 」


店内全部の 照明スイッチ落とすと
真っ暗闇にぃなりました。





   

親仔三人で鳥取砂丘・・・・!

2006年09月26日 02時25分58秒 | メタルのお話し 
  




鳥取市から車で直ぐの 此の砂丘にはですね、若い頃から何度も訪れています。
十代の物心ついた頃からですからね、だから今までに何回来たことやらです。
初めて自分で此処まで来たのは、車の運転免許を習得してからでして
可也 随分な昔からですねぇ!

 だから、色々な懐かしい想い出が イッパイあるんですよ!



私の住んでる姫路市からだですと、此の砂丘までは
「国道29号線」 の一般道を、車でひたすら北を目指して っと、もぅ一つは
「中国自動車道」 を作用インターで降り
「国道373号線」 を北に進んで志戸坂トンネルを抜け 
鳥取県の智頭町経由で 「53号線」 を経て
鳥取市内を通り抜け 「国道9号線」 に突き当って 
「9号線」 を西に走りますと、此の砂丘に

 っの二通りの道筋で です。
 

「29号線」 ですと、往くまでの途中に 「戸倉峠」 があります。

今は急な登りの道路も、峠のトンネルも、大変整備されていますし
車の性能なんてもぉ昔と比べたら、今走っている車全部がです
昔では考えも着かない程の 超がつくほどの高性能車です。
どんな山道も、誰が運転する車でも、難なく登っていきます。

だから可也な急斜面の険しい山道を、難なく登って往き
簡単に峠を越せます。

 良い時代ですよねぇ!


昔は、車の性能は今みたいじゃ無いですからね、
この峠をなかなか越せないことも しばしばでした。
よくね、山道の途中の道端で 休憩してる車を観ました。
その大概が、国産の小さな車でしたね。

停まってる車の悉くがね、あんぐり開けてますねん。 ボンネットを

大きくボンネットを開けラジエターから蒸気がぁ・・・・温泉地の間欠泉みたいぃ~!
こぉなることを予想していた車の持ち主の うら若いお父さん
ナニヤラナ(タブン、一升瓶かなぁ?)水容器から ラジエターに水を注ぎます
ホシタラァ! バババッ婆ぁ~!・・・っと、再びの間欠泉やぁ~!
蕎麦でチャイマ、傍で見てます子供たちぃ 一斉に感嘆の声ぇ!
お母さん、甲斐甲斐しくもぅお父さんの額の汗を お拭きですぅ
この峠に辿り着くまで、険しい山道をですからね、当時の車にしたら

 相当 可也なぁ!無理を・・・・!!!!!

っな、風景ぃ ケッコウ観れるのが
此の、戸倉峠ですぅ

みんなが自分の車をね そりゃぁもぉ大事にしてました。



 随分以前 (独身時代です) にぃ

ホンだの 「N360」 って軽自動車が在りました。
殆ど車なんか個人が買える訳なかった時代から、ドウニカ頑張ったらなぁ・・・!
っな頃に 此の車や他社からもぉ今に繋がる軽四が出始めました・・・の頃です
此の軽四の初期型は空冷エンジンでした。 今から想えば本当に小さな車でした。
私が始めて自分で動かせる車が、此の 「N360」 でしたよ。
しかもっ 中古車で、アッチコッチとボディが傷だらけ。
マフラーからはケッコウナ大きな騒音的 排気ぃ・・・・まっ、爆音ですねぇ!
(マフラーをボディに取り付けてるステェーがぐらぐらぁ!)

今ならば、差し詰め廃車寸前な 危険な車ですねぇ!
だけど、若者には憧れですよ、こんなオンボロ車でもねっ
まぁ、購入価格が 信じられないほどのお値段で 安かったし
(実は、タダでした。 もらい物です。 右から左にって感じで)

っで、此の軽四で、戸倉峠に挑戦です。
その時タマタマ 暇を持余していた悪友二人も 一緒でした。


トッテモ狭苦しい後部座席で横向きに座ってる悪友 仮名 【しげちゃん】

「おぃい、なんかぁ匂いせんかぁ? 」 って

蒸し暑さを何処かの布団屋の銘が書かれた団扇で堪えながら 呻くように言います。
それもその筈で、此の車には車載クーラーなんて着いてません。
まぁ、今時ならどんな車にもでしょうけど、当時はそんな贅沢なものがぁ・・・!
行き交う車のほとんどがね、晴れた夏の日には全開で走るのが当たり前ぇ!

嘘じゃぁないんですよ。
当時の車でクーラーが備えられているのは、タクシーぐらいのもんでした。
だから、団扇がぁ・・・でした。

「しげちゃん、なんやねん? 」 っと

マイカー所有者のわたしは言いながら 小さなルームミラー覗きます。 
小さな鏡の中の後部座席独り占めのしげちゃん、顔中汗だらけのお顔が茹蛸やぁ~!

「しげぇ! もぉ!煩いがな、静かにぃしぃやぁ! 」 っわ、

 助手席の悪友 【かいくん】


夏のね、休日にね、男三人がですよ チッコイ車で遠出しています。
っとゆうことは、三人ともぉ 彼女がぁ・・・・無いナイ!
まっ、地元で彼女が見つからないなら、遠くでなんとか知り合うチャンスぅ?
っと、あわよくばぁ鳥取砂丘でぇ、カワイイオネェチャンにぃ・・・って、ゥヘッヘヘヘ!

若者が考えることナンッテ 高が知れてます。 今も昔もねぇ!
今から思えば 地元で駄目なら他所で巧くはイクモンカぁ! ですよねぇ
甘い考えです。 身の程知らずにも程っちゅうもんがありんすよ。
だけど、当時はね 何かがあるかも知れません。 っが、心に
 

「おい! 」 再びぃ 後ろからぁ
「なんやねんっ おっきい声でぇ 」 助手席ぃ
「さっきな 止まってた車なぁ、 女と違うんかぁ? 」
「ぉ、女ぁ! 」 ボク チョットハンドルふれました。

Nコロちゃん、山道で蛇行しますぅ~

「キャロルや、さっき停まってたやろもぉ 」
「後ろのボンネットぉ開けてたやつかぁ? 」
「そやっ! 」
「かきちゃん、Uターンや! 」

返事もせずにぃ ブレーキ踏んでました。
何度も切り返して、車の向きをぉ・・・・必死タイ!
ですけどね、これがアンガイハンドル切れません。
FF車特有の小回りがぁ・・・・デキシマヘン。
下って来る反対車線のトラックがぁ・・・・ブブブ~!って

ナントカ今来た方に向き変えますと 止まってくれてたトラックの運ちゃん
阿保ぉ~!っと お叫んで抜き去ります。


「ほれ 女や! 」 後ろの席で暑さも忘れた欣喜な声でぇ~
「三人かぁ?! 」 助手席のぉおスキきなぁボンがぁ~
「丁度やんかぁ! 」 ボクぅ 此の時ぃ全く前方、視てませんぅ~

マツダのキャロルでした。 水冷四気筒エンジンです。
高級なエンジンですけどね 此れがアンガイ力がぁ・・・!
平坦な路ならケッコウ静かに走り、乗り心地もぉ宜しいぃんですけども
山道などの登りの坂道になるとですね、不甲斐ない走りにぃ!
牛歩の如くにぃ ノロノロォ・・・・って、可也な遅さでしたんよぉ!


っで、Nコロちゃん 道端のキャロルちゃんの横をぉ ス~って通りすぎぃ
 
「かっきゃん、なにしてるん! 戻れやぁ 」
「アカン ! ブレーキぃ緩いぃ! 」
「アホ! 停めんかいぃ 」
「坂やぁ~ 」

殺気ぃ 獲物を追う物の怪ぇ!・・・チャイマ野獣です。
下りの路をですねぇ、獣の如くにぃ突っ走りぃ でした。
ブレーキをでっせ、踏みまくってでしたからぁ
ブレーキシュウがぁ焼けましたぁ。 必然的にぃ利きがぁ随分と悪くなったぁ!

今の時代のですよ、軽四。 大概ディスクブレーキですからね
少々、ブレーキで急制動やらかしてもね、滅多と利きが悪くはなりません。
Nコロちゃんドラムブレーキですからね、一度熱くなるとアキマヘン!

「かっきゃん 止めんかぁ! 」
「ガッ、ゲッ、トッ止まらんがなぁ~! 」
「ァホ! 整備士やろもぉ! 」
「踏みすぎたぁ(ブレ~キ♡ぃ)! 」

 結局っ 事故リました。

まぁ片側断崖の方じゃぁなくって、畑の方でしたからね
命にはぁ別状無かったですよ。


「生きとるんかぁ? 」 っと

横向きな私の体に寄り添うような感じで かいくん。っが

「かっきゃん、どないなっとん? 」 しげちゃん
「解るかい! かいっ! ぉ、重たいがなぁ! 」

まぁ、畑に横向きで Nコロちゃん寝転んでました。
眼の前のフロントガラスの向こうには、横向きにぃ稲穂がぁ!

「大丈夫デスカァ・・・」 女の声ぇ~!
「生きてるんやろぉかぁ? 」 別の女の声ぇ~!
「怖いことぉ言わんときぃ! 」 別の別の声ぇ~!

稲穂を掻き分けてぇ 私らから見ますとなぁ横向きな女の子の顔がぁ!
っで、キレイな脚のぉ付け根もぉ、トッテモ短いスカートの奥がぁ!

 丸見えぇ~!

「かっきゃん! 」
「かいぃ! 」
「ナッなんやねん!? 」 不運なしげぇ~
 
 ボクとかい 「ムフフフ!ラッキ~♡ 」 って

「キャッ! 覗かれたぁ~! 」 第一発見者のぉ女の子ぉ
「誰にぃ 」 別の娘ぉ!
「生きとるん!よかったぁ~ 」 お姿ぁ見えませんけどもぉキットくぁわぁいぃ娘ぉ!


っで、わたしらね、潜水艦のハッチを開けるみたいにしてですよ
助手席側のドアを開けまして、何とか車の外にぃ
それから、Nコロたん。 六人で声を揃えまして

「ヨォイヤサァ~! 」 っの 祭りの掛け声ぇ~!

起き上がったNコロちゃん、田圃を押されて路に戻りました。



だからね、懐かしい道路ですねん 「国道29号線」 はね
その道を通りまして 鳥取砂丘に往って来ました。
妻さんと金ハンとぉのぉ 親仔三人?でねぇ~!


 アリャリャ、チョット お話のぉ内容がぁ 違ったぁ~!



誤字脱字ぃ 御勘弁をぉ!
明日ぁ チャントォ致しますぅ




         

  

 【潜る水銀】

2006年09月20日 00時30分35秒 | 幻想世界(お伽噺) 
    

 
 [A mercurial submarine ]


何時の頃からか風呂に入っているとき
自分の身体が湯の中で軽くなるような感覚がしなくなった
それに気づいたのは或る日の夜、相当酒に酔ってから入浴したときでした


私は酔っていても 風呂には毎日欠かさず入ることにしていた。 
だから其の日も、大概な酔い方だった。


風呂場の広さは一坪もなく、京間の畳二畳足らずです。
先ごろ、長年馴染んでいましたモザイクタイル張りだった風呂場内を
今風な最新の ユニットバスに遣り変えました。
内部の壁と天井は白っぽいクリーム色。
横になって全身が浸かれる浴槽は、少し濃い目の同色系。 
裏庭に面した北側の内壁には、縦二尺半幅一尺あまりの明り取りの窓が
天井近い北の壁にあります。
其処には、小さなハンドルを指で摘んでクルクルっと回すと
換気扇のシャッターみたいに 開け閉めできる鎧硝子が嵌まっています。

 最近、窓に防虫のためステンレス製の網戸を

硝子のボールを被せたような丸いタイプの防水照明器具は、天井近くの東の壁に。
大きさサッカーボウルくらい、それを半分に切って壁に掛けたような照明器具。
表面にサッカーボウルみたいな模様が刻み込んであります。


其の時私は、仰向けになって寝そべり湯船の縁に頭を載せていました。
湯煙を透かして 天井に小さく垂れ下がる湯露を観ていました。
私の身体は、背中を少し傾斜した浴槽壁に凭せ掛け、両脚はだらりっと伸ばし
足の指先は湯船の向こう壁に あと少しで届きそうかと。 

 顎下をお湯が擽ります


私は何も考えず、天井に無数に張り付いてる湯露が
雫となって落ちるのを 唯 観続けていました。
其の時、ふっと心が。 何を想ってか 変なことを考えてしまいました。

「わたしは本当の意味であれを、観ているのかなぁ? 」 っと


理由は、脳が感知する凡ての感覚が、酒精によって麻痺していたからです。
唯そのときには、快楽意識感覚は未だ完全には麻痺していませんでした。
酔いだけじゃぁなく、お湯に浸かる行為自体が 実に気持ちか好かったからです。

 そして、私は酔っている 


私の身体のあらゆる感覚神経が、酒精で狂い満たされています
快楽湯の温かさ、酒漬け身体の血の道を 益々でしょう。
自然と両腕 力無く浮いてきます、其れはまるで生まれる前の赤子が
母親の胎内羊水に浮かんでるようにでしょう。

肘を緩く曲げてました。 
なにかをでしょう、抱いてる感じで。


私の酔眼は、わたしと天井の間を形を変えながら漂う湯霧を追います。
気だるさが、ゆっくりと身体を攻めてきます。 
音無い風呂場に何かが 静かに滲み増してくるようでした。
其れどころか 酔い疲れた私の肉体の中身は、何もかもが鄙びたざまだと。

 頭の中 酔い痴れて、でした

 そろそろ朧気になってきました意識が 知らず想いしました


穏やか睡魔が全身に 酒精の酔いを駆逐しつつです。 巡ってきます。 
精気が抜き取られます。 お湯が温かさで躯温を宥めながらでした。
心地好さげな倦怠感 抜かれた精気に取って代わりました。

抜け殻感覚肉体の尻が 湯船の底を前滑リ。 顎が湯面下まで沈みます。
頭は 載せてた湯舟ヶ淵から滑り落ち、自然と浴槽傾斜壁で押され侭様
全身湯水に沈んだ中、首が前にと曲がって 下顎胸に触るかと。

 嗚呼と呻いた心算が ぶくぶく泡言葉


湯が熱の形で剥くように 私の肌に纏わりつきました。
突然っ! 何かがっと。 押さえ込むように身体の上に重すぎる何かが
尻の下にもっ! 尻っ 初め滑ってつるつる 直ぐにざわざわと鳥肌擦り
慌てて瞑った目蓋 カット見開けば視界は真っ暗
開いた眼球、瞳が滑る熱持つ液体金属で覆われていました。


湯船の中が満たされていました。 暖か熱持つ液体金属水銀が っかと。
其の泥りな水銀の重き圧力 全身裸肌を締め付けます。 胸郭押されました。
無理矢理潰れかかる肺より酒精匂う息、甲高き喉笛悲鳴絞り上げながら吐き出されます。
驚きで躯が跳ね揺れると、液体金属面から突き出た首下から
水銀湯面に波紋が生まれて湯舟の淵まで。
足掻いて、抗い。 藻掻いて苦しさ紛れに重さを跳ね除け

 湯船の中で 一本 棒立ち


見下ろせば 澄みし湯面に波立ちが。 波、凪るまでじっと見下ろしてました。 
天井湯露が天井から ゆっくり剥離し水玉で空中静止
一滴雫で私の鼻先掠め 落ちました。 
滴り音せず 綺麗な湯面に波紋が静かに広がりつつ、でした。

気がつけば湯の下 湯船の底全部が、綺麗な平面の鏡でした。
広がる湯面の波紋の裏側 船の底で鏡に映って広がってました。
私の足先 鏡に埋まってました。

 踝まで


船の底で 此の世が逆転模様に為って映っていました。
天井も壁の照明も、猫背で見下ろしてる私の裸躯も
私の踝から上が 逆様鏡映りで私の踝に吊り下がって観えていました。
静かな波に揺らぎながら 鏡の中の私が、私を見詰め反してきて、いました。


突然 膝が崩れ堕ちそうな立ち眩み。 必死で堪えようと北側壁に手を 
其の儘 左肩まで壁の中っ、減り込んでました。 左腕が
躯が傾いてます、手が無く肩で凭れているような感覚 
肩から怖気が項を伝って脳に、躯全体に鳥肌模様が噴き出ます
首をひねって見続ける北壁 視えない左腕に粟立つ鳥肌感覚


 耳の奥に 声が

酩酊感覚 紡ギマセッ 夜ノ風呂場デ妖シゲ感覚
遊ビマセョウ泥酔心デ  笑イマセョウ酒呑ミ腹カラ
見知ラヌオナゴノオ顔ガ鏡ノ中カラ 「遊びましょぉ」 ッテ

アレ? 鏡ノ中ノ天井何時ノ間ニヤラ月夜ノ星空


私の躯 堕ちて逝きます 向こう側の 星空夜空にへと
天に向かって飛ぶように堕ちて逝きます

何かを掴もうとして見上げると 私の頭の上に遠のく街並みが観えました。
私の家の風呂場の屋根 無くなっていました。 
小さくなって行く湯舟の底の向こう側からから、私が此方を見下ろしていました。

 私は、宙に堕ちて逝きました



気がつくと、膝を抱えて水に浸かっていました。
湯は 冷たく冷めて水になっていました。
上下の歯が 小刻みに震え打ち合ってました。
象牙質が お互いに触れ合い、乾いた骨が打ち合うような音がしてました。
 
躯の芯から寒さが っでした


眼の前の冷たい澄んだ水の中で 小さな烏賊が泳いでました。
烏賊の表面 チカチカト点滅するように表面色が変わります。
形も変形してました、色々な魚類にと。
私が子供の頃に お風呂で遊んだ小さな玩具にも
 
色々変形する烏賊、水の表面に浮かんでました
ブリキの潜水艦の形で 浮かんでいました。

表面は 烏賊のように色んな色に輝きながらでした。
私は水の冷たさに参り、唇小刻み震わせ観ていました。
色の変化が止みました。 

ピカピカに磨き上げられた金属の鉄で出来た 小さな潜水艦でした

なんだか嬉しそうな感じで水に沈んで 水中を遊弋します。
楽しげに 水の中を突き進みます。


ピカピカ潜水艦 水面に浮かび上がって、遊ぶように小さく円を二回描きます。
やがて、私の膝の少し前で停船しました。
すると、とっても狭い前部甲板の丸い小さなハッチが開いて
とっても小さな生き物が 二匹飛び出てきました。
二匹は私の方を向き、鳴き声は聞こえませんでしたけど、吼えてるようでした。
小さな尻尾を 小さく嬉しそうに振っていました。

私は直ぐに気づきました。
以前一緒に住んでいた家族の仔たちだと!

私は声に出さないで心で 「ぁ!桃子と桜だぁ! 」 って
すると犬たち前脚揃え立ち上がり、嬉しそうにして応えてくれます
私は腰を屈めて 桃子と桜を見下ろします
思わず手が出かけましたけど、波を立てたら船が沈んで壊れるかもと!
二匹は喜びの余り今にも水に飛び込んで、此方に泳いで来るのか! って

風呂場に響き渡りました 出航の合図の哀しげ笛の音が
ハッチから小さき白い手が突き出て招きました おいでおいでって

ハッチに桃子も桜も飛び込んだ

小さなハッチが 閉じました


小さな潜水艦の艦尾の、小さなスクリューが小さな泡をたて、水に沈んでいきます。
螺旋を描いて 湯船の底まで沈んでいきます。
やがて、浴槽の底に静かに着底。

小さな魚雷発射管から、二つの泡粒発射され其れを合図に
ブリキの潜水艦 ゆっくりと再び水銀潜水艦にと。
艦は徐々に湯舟の底に 減り込むように沈み始めました。
やがて小さな潜望鏡だけが 浴槽の底に突き出て見えました。
潜望鏡、湯舟の向こうの壁目がけて進みます。

そして、潜望鏡。 壁の中に消えて観えなくなりました。

頭の中の何処かで、桃子と桜の甘えたような鼻で鳴く声
確かに聴こえて来ました。 


風呂場から出て 台所の椅子に座り
酒の呑み直し しました。 
だけど、酔いは再び来ませんでした。



代わりにね 涙がね ゆっくり頬から堕ちました

 私の心にね、堕ちました





                     

 夢想邂逅 ・ 夜の新人君

2006年09月14日 00時46分12秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  


 【 まっまさかっ!】


通称 「若ボン 」君 本当の名は
「久保 喜重 : クボ キエ 」 っといいます。

名前の読みは多分ぅ・・・「キエ」 じゃぁないでしょうかと。



何処の世界でも、通称や渾名で呼ばれる奴はいることでしょう。
其れと同様な事で、わたしら夜のお仕事世界では 
初日の見た目印象で付けられた愛称・・・?っで、大概呼ばれてしまいます。

 例えば・・・


「あんたぁ名前わぁ ? 」 古株の調理人 仮に兄ぃと呼びましょう

この方、厨房名主と言いますか、
此の道 (コック、板前、賄い・・・色々) ぅん十年の実績ある
偉大なるお方です。 其の兄ぃっが訊いています。

「ハッ?・・・ナニナニ言います 」 戸惑いながらも新人君っが 

此の新人君、キット此の世に生まれたばかりの子羊チャンよりも、
モット頼りない存在の 「赤仔」 みたいなもんですねん。
っで此の新人さん 兄ぃの質問に、お心毒づき致します
『殺気ぃマスターが紹介したろぉもん、アホカッ! 』 って

「・・・・っで、 」
「ぇ、! 」
「今までドナイに言われてたんやっ? 」 っと

兄ぃ悪魔でも、物静かに問い質す様に訊いて来ます。
此方に背を向け、仕上げ砥石で一尺余りの牛刀ぅ研ぎながらです。
其の砥石の上で包丁の、硬質鋼刃が磨れる規則正しいリズム音、
まるで兄ぃの背中から、漏れ聴こえて来る様でした。
 
「・・・?別にぃ 」
「ほぉぅか、やったらボンやナ 」
「ぼん?  どぉしてですかぁ 」

暫く二人しかいない厨房 兄ぃが包丁を研ぐ音と
水道の蛇口から流れ落ちる水音以外にはぁ・・・!


自分厨房の、開け放たれていたドアの外から
中の様子を盗み見していました。
何時もの名主様の眼力検査ですからね、誰も口出し無用です。
だから、物音を立てない様にして、覗いていました。


希薄な空気に為ってしまい、息詰まる感じだった厨房に漸く変化がっ!

規則正しかった兄ぃの、前屈みの肩の動きが止まった。
小声で 「ヨッシャ !」 っと兄ぃが。

っで、背の向こうの側で水が賑やかハシャグ音して 
金属ボールに溜め置いていた研ぎ洗い水 一気に排水溝に吸い込み落ちる音


主様ぁ此方にゆっくり振り向き、右手に牛刀掴み持ち左手の親指の爪を 
剃刀みたいに仕上げた刃で チョンチョン って叩きます。 
其れから包丁の刃を上に向け鼻先に。 片目つぶって覗きます、刃を。
次に指腹で鋼刃を微かに撫でました。

っで此処で初めて新人君と眼が遭いますねん。 

 視線がぁ !


「若ボンでえぇやろ! 」
「スッ、すぅいませんけどなぁなんで 若ボンですねん? 」
「鏡っあるか? 」
「カッ鏡ですか? 」
「・・・そぉや 」
「何処にぃ? 」 っと、厨房内に視線を巡らします。

助かったぁ! っと、
視線を外したいけど必死で堪えていたから、
此れで視線を外して、逃がせられるから!

「違うがなお前の家にやっ 」
「ハッはい おます 」
「ホナ毎朝覗いてるやろ 」
「のぞいてるぅ? 」
「顔ぉをや、お前なぁ朝は顔ぉ洗いよらへんのんかっ! 」
「洗ってますっ 欠かさずアロウテますがな 」

兄ぃ、無言で随分長い間を持たせ 新人君見続けました。

「コラ、ちぃふ コイツに教育したってくれ 」 

っで、くるっと回って 再び別の包丁研ぎだします。
っで、お鉢が回ってくる頃やなぁっな感じで 次にぃ



先程の厨房名主様の御宣託で、スッカリ落ち目気分の新人君

「なぁボンお前な さっきはお試しされたんや 」

っと、近くの喫茶店で。 わたしに言われます。

「○○っ、なんやねん試すって 」 

ボン、気忙しげに小さな珈琲カップに小さな匙で砂糖を入れ
金の匙ぃカチャカチャ鳴らして握り手把握し持ち上げかけて

 っでした。

「先ずゆうとくでっ 今日から○○っじゃないねん 」 っと
「ぁ! ハッはい。 ちぃふさんお試しってぇ 」 カップをお皿に戻します。 

「さんはいらん、言うな。ちぃふでぇぇ 」
「・・・はい、ちぃふ 」 膝を揃えて背をキリリッと伸ばします。
「えぇか、さっきなあの人が言いたかったのはやな 早く一人前になりぃっや! 」
「ハァ?・・・・カッ○ぃぁ!・・・チッちぃふ 解らんけどなぁ 」



要はこうですねん

此の新人君。 わたしの古くからの知り合いです。
歳は私よりも上 ですが顔は関西で俗に言い呼びます

「おぼこ顔 おぼこいヤッチャ! 」 ちゅうやつです

意味は、「可愛いお顔してはりますなぁ」 っとか
「世間知らずなお坊チャマぁ 」 っとか
「うぃ奴やのぉ 」 っも、アンガイ近いかもぉ です。

歳よりも若く観える。 見た目でしょぅ。


此れが若ボンが、わたしと同じ世界で遣って往く嵌めに為った
元々のお話の 始まりです。

いつか話さななぁ・・・やったから
丁度えぇ機会やしぃ 言いましょうかと
っで、お話しは続きますねん。 
「夜の逃亡ドライブ」 からは随分逸脱致しますけどなぁ
少しぃ 寄り道したかてなぁ・・・っと。

 ですねん




         

 深まる暗闇逢瀬

2006年09月12日 00時56分59秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
 


 【此の侭ぁ・・・ 】


二人の靴音響く舗道は、冷たい夜の暗さ幕で 一面覆われていました。


「迷惑かけたねぇ かんにんしてなぁ 」
「めッ迷惑なんかぁないです 」
「 ・・・ぅん、ありがとうぉ 」

後はお互いに、何かの為にの無言歩き
ボンにとっては駐輪場までの、懐かし短き逢瀬歩き 
しました。 っと 


女一人を此処(警察署)から連れ出すのに、なんで其処まで っと
思うほど、寄って集って色々聞かれ捲くったと 後からボンが言いました。
まるで今夜の騒動の黒幕がお前やろ っな感じやったと。
知ってって知らんフリをしてるんかぁあっ っと。

 大声で言いたかったそうです

「自分は此処に来い言われたから着た。 自分は唯、身請けに着ただけやっ! 」

たぶん、聞き届けてくれないやろぉ・・・・っで、
だから「知らんっ」 っと、「解らんっ」 っの二点張り


「色々きつい事ぉ聞かれましたやろぉ 」
「・・・聞かれたよぉ 」
「 なんて 」
「 なにぃ 」
「どないな事ぉ聞かれたんかぁって 」
「いっぱいやったから 忘れたんよぉ・・・」

 ぁ~!こん人ぉ ヤッパリなぁ!

「すいませんけどぉ 車とちゃいますねん 」
「ぇ、じゃぁ何処にいってますんやろぉ 」
「そこの国立(病院)です 」
「病院? 」
「はい、単車ぁ停めてますねん 」


警察署を出るとき入り口受付待合場所辺りで、昨日の日刊新聞が何誌か
それを頂き丸めて脇に挟んでいました。

「姐さん、此れに着替えてくれへんやろかぁ 」

門番詰め所の老守衛に預けていたスポーツバックから、
革のツナギを取りし、眼を逸らしもって清美に渡しながら
ボン 済まなさそうに云いました。

「おっちゃん起こしてごめんなぁ チョット部屋ぁ借りるで 」
「ええわいなぁ、こないな綺麗な方が着替えるんならなぁ 何時でもえぇでぇ 」

守衛のおっちゃん 気を利かせてくれ部屋から出てきて言います。

「わしぃ、チョット一回りしてくるなぁ 」 っと
「そぉかぁ、悪いなっ! また一本(達磨)持って着とくわぁ 」
「ぉ!そらぁ嬉しいなぁ 」


閉じられたドアに向かって

「着方ぁ解りますやろかぁ? 」

暫く耳を澄ましても 応える返事は無かった。

「姐ハン どないかなぁ? 」
「うん、久保君 ナントカなってるからぁ 」
「さよかぁ 」

単車ぁ跨ぐときの革の繋ぎ服なんか、滅多と女が着ぃひんからなぁ
時間は掛かるかぁ・・・?

「久保君・・・此処ぉ破れ掛けてるねぇ? 」

 チッ! やはりなぁ

「姐さん、済いませんけどなぁそれなぁ、我慢して着てくれてないやろかぁ 」
「うん、もぉ少しやから待っててなぁ 」
「済いませんなぁ 」


清美が出てきました。
ボン デジャブウ(既視感)っ!
幾ら忘れ様としても 絶対出来ひん想い出感覚 
胸の其処から爆発湧き上がり 昇って頭で映像化ぁ・・・!

 黒革の 夜目に艶やか 死に衣装

想いも遠い昔 あの日に近しぃ同僚が通夜の席で 
逝った女へと情けで 別離の為にっと、
声を詰まらせもって 詠んでくれた詩でした。


ボン 頭の痺れ堪えて言います。
黒革姿を 真っ直ぐに観れなくって泳がし視線で

「姐さん、破れのとこなぁ内側から此れ 当ててんかぁ 」

清美 畳んだ新聞紙を受け取りツナギのジッパー下ろします。
ボン、慌てて背中を見せました。

「ぁ!カンニン。 ごめんなぁ 」

清美ぃ クルッテ回ってお互いに背中合わせでした。


ボン、もぉ堪忍してぇなぁ・・・・! っと
 心でイッパイ、いっぱいぃ!


 

               

 薄暗い部屋っで女の覚悟

2006年09月09日 01時34分31秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  


 【Gentleness of a wild beast】


ボンが 明かりも灯してない暗い部屋で 清美を見た時

『此の人 こんなんだったんかぁ? 』 っと

其処は応接部屋とは名ばかりの 物置みたいな部屋でした。



二階に上がる階段の途中で、毒蝮の様な縄澤からキッチリ脅され
やっとっの思いで辿り着いた気分の場所が 此れが警察署か? 
っな想いの 乱雑極まりない大部屋でした。

確かに今は、此の古過ぎる建物を建て替える為に、
仮設の官舎に移る引越し準備中。
だから、机と机の間の通路には、嵩高く束ねられたバインダー類や
細紐で結ばれた何かの黒表紙の書類綴じ束・・・・他にも在りとあらゆる物がぁ!
壁際には大小の段ボール箱がぁ 

 アッチコッチにお積み上げ。

ッ『此処ぉ 引越し万博会場ぅかぁ? 』 っと。
通路は人がやっと通れるだけの 『まるで屋内獣道かぁ! 』

奥の壁には、三部屋の取調室の扉が並んでいた。
其々、ドアは開いたままでした。
その壁の角向かいが、入り口ドアは可也以前に
茶色のニスが剥げ落ちたり白っぽく曇っている 応接間のドア。

 此処も開け放たれていました。

近づくと、塗料が剥げ落ちた木肌には、何箇所もの叩き付けられた様な痕が。
『拳での、出来事でもかぁ? 』

 っが、ボンの観た感想やったそうです。


此処まで来る間 縄澤の背中を観て、踏み分け道を着いてきたが、
横を通ってきた机に座っていた警察官たち、
何かの仕事をしている様でしたけど、警官たちの尖がり意識が
自分の背中に幾つも刺さって来るのが 感じられた。


「すまんな、今は此の部屋しか儂らの班は使わしてもらわれへんねん 」
 
以外にも、口調は優しかった。 
蛇の口にもなぁ 似合わん口調やったなぁ ・・・ッケ!


部屋の応接セットのソファ。 
スプリングが草臥れ ズッポリ抜けてるのはアリアリだった。
項垂れて座っていた清美さん、腰が長椅子に喰い込んでる様に観えるし
隣に座った大柄な若い婦警は、清美よりも喰い込み、まるで小学生がグランドで
体操の時間に膝を抱えて 座っている様だった。

入ってきた縄澤と自分に気づき 婦警が慌てて立ち上がろうとしたけど
どうにも、立ち上がり難そうだった。


「えぇがな、座っとれ 」 蛇
「清美さん、大丈夫なんかぁ 」 ボン

「ぁ!ッ 久保君 」

此の時ボン 胸の中でドカンって爆発したそうです。
自分の過去がぁ・・・・! 再びかぁ・・・っと。

「大丈夫かあぁ? コラなに言うねん! 」 腐れ蝮
「気遣っただけですやんかっ! 」 虚勢なボン
「縄さん、此の方がぁ身請けですかぁ ? 」 助け舟ぇ!
「あぁ、コイツや 」 仕方なくぅ

「うちぃドナイも無いよぉ! 」
「ほんまにっ? 」
「うんっ 」


ボンの心、もぉ何っ処かに持って逝かれ相ヤッタと
此れなら、キチガイマッハ飛ばして飾磨港に飛び込んだ方がぁ・・・!

 っでしたそうです。


蝮ぃ キッチリ此のボンの態度、目聡くぅ・・・でした。

ボンっ 此方を見上げる清美の瞳の奥で
たぶん在れわぁ、覚悟ぉ決めたなぁ・・・・って

 やったそうですねん



         

 古強者 【刑事:デカ】

2006年09月08日 01時19分42秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  


 【誤魔化し】


勢いつけて舗道に乗り上げ、単車のエンジンを切り押し歩いてると 
先程まで熱持つ金切り声を上げ続け 高温溶解してしまう
 っかとの、2サイクル三気筒発動機

高速運転時の熱で膨張していた発動機の金属 冷たい夜気で冷却され、 
急激収縮し金属同士が軋みあう、弾くような金属音 時折発した。  



単車は警察署近くの国立病院裏手 夜間の緊急車両進入口から入って行って直ぐの
切れかけた一灯式蛍光灯が瞬く 薄暗い二輪車 駐輪場に置いた。
病院の警備員や守衛の初老の老人とは 以前から顔見知りでしたから。

時々店で客がヨッパラッテ(急性アルコール中毒)担ぎ込まれたことが、シバシバだった。 
ボンはタイガイ付き添いで、運ばれる客と一緒に救急車に乗せられた。
行く度に、お礼方々達磨(某社ウイスキー)を幾本か持参して、守衛や其の日の担当医に。

 それで、覚えが宜しかろうかとっ

っで、一声掛けて駐輪場に 愛する単車を放置プレイ



若ボンが、もう直ぐ建て替えられる為に取り壊される予定の
可也な古さの木造三階建警察署前 っまで歩いて来ると
広かった駐車場は、今夜の騒動を嗅ぎつけた報道各社の多数の車と 
覆面や正規パトから交機のなどの各種警察車両が 

 所狭しと入り乱れていた。 そぅです


人の出入りが激しい署の表玄関入り口から入って、軋む廊下を渉り
深夜の警察署内部に入ると、緊急配備の応援に駆けつけようとする者や
其処此処で何時までも鳴り止まない電話のベル音、其れに対応して大声で対処する者
制服私服が入り乱れての、修羅場やったと。 可也な立て込み状態やった。 っと

 後から、ボンが・・・酒の肴に想い出語り



受付で男の警官に出頭して来た理由を告げると、暫く待てと。
っで、暫くどころか何時までもぉ!・・・・チッ! っと静かに舌打った。
仕方なくボンヤリと 出入りする警察官達を眺めていたら

 睡魔が、堪えきれない眠気がぁ・・・

受付の直ぐ近くで 畳まれて壁に凭れて並べられていたパイプ椅子
一つ掴んで邪魔にならない様にして、廊下の壁際に広げて座った。

 欠伸が繰り返しにぃ・・・

知らずに投げ出した足に 誰かが躓いたのだろう
コイツをドッカに連れてけっ っと、罵声交じりの声が
薄っすら覚醒意識の向こうからぁ・・・!




睡魔にナニヤラ左肩を揺すられて「遅かったな 」 
項垂れていたから、頭の後ろ上から濁声が降ってきた。
眼を開けると、自分の薄汚れたジーンズと、その上に
だらしなく投げ出してた、汚れが視えない手の甲が見えた。

 黒革の艶と輝きをとっくに失った、官給品の靴も


寝惚け頭でも心の中でボンが
『あぁ? ・・・・なにがぁ遅いんやっ! 』 っと 
っで、堪えて「タクシーが来なかったんですわぁ 」 
っと、手の甲で眼を擦る振りして 心の表情を誤魔化した。


「なんや、車とちゃうんかっ 」
「  ・・・・ 」 ・・・・『クソがっ! 』

「まぁ、えぇわっ こっちや 」

『気安く肩に手ぇ置くなっ ボケッ! 』
 って、ボンは心でこの時 そないに想ったそうです。


署内の威圧感溢れる雰囲気に背中を押され、前を歩いてる縄澤の後から
臭さが匂う便所の横の木造階段っで二階へと 

階段を上がって最初の踊り場を過ぎ、再び階段を踏むっと同時にでした。

「なぁボンっ あんたんとこのちぃふ今何処や? 」 縄澤が背中で言います
「何処って? 」 男の皺くちゃのズボンのケツを視ながら
「惚けんでもえぇがな ・・・・なっ! 」

身体は前向きで背中を反らし 首だけを此方に回し向け
充血して血走った二つの細眼で ジッと見透かす様に見詰めて
縄澤が聞いて来ました。


毒蛇に睨まれた小さな蛙の気分 
ボン、よぉ~っく理解したそうです。

 ついでに

『こいつぅ、やっぱしぃ喰えんやっちゃで、可也な古強者やっ! 』

っても、だったそうです。





    

 真夜中のフェチ!【Fetishism】

2006年09月05日 00時09分05秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
      
 

 【若ボンくん夜のFetishism!】


部屋の灯りは、音を消した深夜放送のテレビ画面だけ。

其の薄明かり瞬く暗い部屋の中 随分前から電話のベル音鳴り止まず 
酔いを 兎も角早く醒まそうとしていたボンには 
癇に障るほどシツコカッタ。 ベル音が

 
緊急配備の検問で賑わう街中から、車で時間にして少々の郊外。 
中流世帯の小さな建売住宅が、無理矢理軒を重ねる様に集まった新興住宅街
その外れ辺りの中古住宅で 男の若ボン一人だけの小さな住まい。
閉め切った窓には、男所帯には似つかわしくない派手な桃色レースカーテン。

早く酔い覚ましに冷たい風がと、木枠窓を開ける
吹き込んだ風 カーテンを内側に大きく膨らました。

 
今夜は色んな事があり過ぎて、真夜中のこんな時間
甲高いベルが鳴ると キットロクな事じゃぁない・・・っと。
だから無理矢理気分で受話器、 決して取るものかと。

キットロクでもない事っの 筈だと、キットッ


 二度切れて、間も無く再びベルの音


「チッ!・・っ 」


受話気を握り耳に運ぶ途中から 濁声が

「儂や っ 」
聴きたくも無い 声がっ

汚染されるかもっと強く握った受話器、 少し耳から話して聴きました。
「ぁ! 縄澤さんですかっ 」


「ああっ お前んとこのちぃふな、クラブ雅雨(ミヤビアメ)の真二の連れやろ 」
「あっ はい 」 ・・・・!
「女が お前をご指名やでっ 来いやっ 」
「はぁ!っあぁ? ぇ! どなたさんがぁ? 」
「ぁぁ・・・っと、○○ゆうとる 」
「・・・っ縄澤さん、そんな名前の女ぁ 知りませんけどっ 」
「知らんっ! ふざけん時やぁ、ボン
  お前かてなぁ今夜の騒動!知らん訳無いやろぉ!眠たいんかぁお前っ! 」
「幾ら縄澤ハンでも、知らんもんは知らんのやけどなぁあっ 」
「!・・・・ほぉ、お前も偉ぉなったもんやなっ コラ!ッ 」
「・・ぁ!。・・・縄澤さん、女ぁホンマニ名前はそないに言うてますんかぁ? 」
「なんやとぉ!コラッ!出て来い、なんやったらタクシィつけたろかっ ええっ! 」
「ナに言うてますねん、無茶言うたら!・・・っ縄澤ハン、清美言うてませんかったやろか? 」

「清美は源氏名やろ、嘗めとんのぉ・・!・そや、それや 」
「ほな、今から行きますさかいに 」

 「ぁぁ・・・ 」 

話し終え受話器を降ろしかけたら キッチリ微かな舌打ちの音聴こえました。
 受話器 叩きつけました。 
睨みつけました、おぞましい物を観る様に
 黒色ダイヤル式電話機を。
煙草に火を点け大きく吸って、静かに吐き出します。

 清美さんかぁ、何でボクかなぁ?


二階に駆け上がり押入れから 古いタイプのジェットヘルっと、
ミンク油をタップリ染み混ませた 女物の革のツナギ服、引っ張り出した。
それらを 大きなスポーツバックに無理矢理突っ込む様にして詰めた。
右肩から左腰辺りに斜めにバッグを吊るし提げ 階段再び駆け下りた。
玄関で下駄箱に載ってる愛用の 建設現場用ドカチンヘルを被り
クロス壁のコート掛けに吊り下げた 落下傘兵が使用する様なゴーグル掴んだ。


暗がり手探りで裸電燈を点けると 閉め切ったガレージの中は、
ハコの510セダンが出払ってたので、広々な感じで静まってた。
ドアを静かに閉じ 奥の壁際作業台手前まで歩いた。

埃が薄く積もった帆布製のバイクカバーを捲り外した。
車庫では いつも差し込んだままのキーをONに。

アクセル握って三度手首を捻り回し、キックを蹴飛ばした。 
冷たい三気筒2サイクル発動機 叩きつける様な咳をし、不連続爆裂音 
空冷発動機の青色排気瓦斯 車庫の中で濃厚に漂い始めます。
閉じられた空間に騒がしい発動機音 満ちてました。

 暖機運転の開始 です。

身を屈め エアークリーナーボックスを取っ払い
レーシングファンネルだけのキャブに耳を近づけた。 
空気を貪る高周波吸気音 心地良げに発してました。

 最、尤っと、空気をっと・・・! 


人が剥き出しの身体で乗って操る 
人の為だけにと 機能を磨き込まれた機械。
人が獰猛になって、ただただ突っ走るっ為だけの道具っ!
其のカスタムされた砲弾型のヘッドライトカバーとマフラーに施された

金属の冷たく硬い薄肌 クローム鍍金幕
天井からの黄色い裸電燈の光 

 秘めやかそうに
 艶めかしそうに 
悩ましげそうに反射して 
反射光に意識があるかもぉぅと 輝かしてました。


 ハンドルは、セパハン。 
其れが、低く身構えた妖獣の雰囲気醸し出し
 凄みがぁ!やった。

『夜が明けるまで観てても 見飽きへんやろぉなぁ・・・! 
 今夜みたいな糞みたいな夜にぃ コイツに跨るんも可哀想やけどなぁ・・・ケッ!
      ・・・・縄澤がぁ! 』


リムの曇りを目聡く見つけたボンっ 洗い油を染み込ませた襤褸切れで
丁寧に曇りを拭き取ります。 優しく丁寧にっ!
っで、ワックス。 磨きました。
マフラーを触ると、生暖かくなっています。
其の触った箇所の手垢も丁寧に拭いてました。
何度も繰り返し擦り拭いてました。

エンジンが暖まる間に、二本の煙草を好きな排気瓦斯の匂いと共に吸い 
粘つく口蓋を、幾度か酔い覚ましのコークを含んで漱ぎ飲んで、スッキリさせた。
暖機が仕上がるのは キチガイマッハを眺めながら待った。

暖まった頃合を見計らって、一度エンジンを切った。
其れから車庫の三つ折扉を、単車を押して通り抜けられるだけ引き開けた。
バッグをもぅ一度肩から斜めに提げ、単車を外に押し出した。
其の儘近所の公園入り口の街灯の下まで。
家に駆け戻って戸締りをし、車庫も鍵をかけた。

 公園までは、歩いた。

 酔い覚め近い息がっ苦しかったから。


静かさの夜道で、エンジンの押しがけは 
 一発では決まらなかった。

チョイ前高速を飛ばしに往った時、キャブレターのニードル弁
っを弄った侭にしていたのが原因っか 其れとも、
暫く前からキャブのフロート弁の調子が悪かった。
それが原因で キャブ内に燃料が溢れ漏れ
点火プラグが湿った為だろうか?

幾度か、なんとか始動できない物かと押して試したが
駄目だった。・・・疲れただけ。 

どうにも仕方が無かったので諦め、近くの坂道まで
下りの勾配は緩く、距離も短かった。


首にぶら提げてた顎下のゴーグルを 眼の前に引っ張り上げた。
爪先弄りでギアがニュートラルなのを もぉ一度確かめた。
其れから大きく息を吸い込み、今からの運を試す気分で坂の少し手前から
必死で「キチガイマッハ」 を押して駆けだします。

 顎が砕けてもっと上下の歯 強烈噛み締めて!っ

坂にかかる直前で飛び乗ったっ! 暫く勢いがつくまで逸る心を我慢でっ!
強く握った侭のクラッチレバー放しっながら ギアペダルを爪先でっ!

 闇夜に鉄砲を一発発射したみたいな破裂音っ!
 静か街並みに澄んだ音 響き過ぎました。

っで、直ぐに咳き込んだ爆発音 続いて不連続排気音
慌ててクラッチ握って アクセル調整で三気筒発動機を宥め透かします。
心でボン、想います。  『カワイィ奴やぁ! 』 っと。


コーナーでは 提げたバッグで左右のバランスがぁ・・・!
首には何も巻かなかったので、革ジャンの襟から冷たい風がぁ!
ジーンズは先ほどの汗が染み込んでいたので、風でぇ!
途中っ、我慢できずに急停止。 道端のガードレール越しに立ちションっ!
っと、思ったが。 指が寒さで悴んでぇ! ジーンズの前を開けないっ!
兎も角 羞恥心因りも、小便の我慢出来無い気持ちの方がぁ!
っで、手っ取り早くジーンズ下げました。 パンツと共に。
そして、可也な時間、ケツ丸出しで小便しもって仰いでいました。

 冷たく冴えた眺めの 夜空を


『此の侭やったら、益々巻き込まれるんと違うんかなぁ? 』 っとか
『あの時も 済し崩しやったさかいになぁ 』 って。

腰を振ってジーパン引き上げ戻し 再び単車で爆走。
若ボン 「もぉ先の事はどないにでも成れ!クッソォ~ 」 っと諦めていました。 
其れと同時に、 引き返せないなら、トコトン逝くかぁ・・・!って。

『ちぃふや真二さんたち、どうなんやろかなぁ? 』


車も走っていない深夜の国道。 
時々遠くで、パトの赤色回転灯の光が 明滅してました。 

「キチガイマッハ」 っ!の発動機の激しい鼓動で震える燃料タンク
其のタンクを挟んだ両太腿から ナニヤラのぉ気分がぁ~!

『責めて警察までは 此の鼓動の感覚楽しんで遣るっ! 』

ボン、夜の国道独り突っ走りで そないに想いましたそうです
酔っ払っていた頭は トックニ醒め、透かした頭で健気にも。

 です。