【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

【深夜倶楽部】 永い夜

2010年07月27日 14時10分38秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
(画像は勝手イメージ 無関係)
 
 
【永い夜】
 
平成の冬の とある夜更けた頃
 
 
あの日の晩、夜はユックリと終わろうとしていました。
だけど夜明けは、自分の焦る想いとは裏腹にぃ 
直ぐには巡ってきませんでした。 
 
だから今になって、あのときのことに想いを馳せるとき
自分が今現在 此処に居られるとは
あのときはマッタク想像もしていませんでした。
 
当時、自分が棲んでいた街は、幹線道路の国道や県道など主な道路以外
ご立派なアスファルド装などされていない路のほうが多かった。
 
 
車で何処かに物見有山にでもと ドライブに出かけると
大都会の街中なら兎も角、自分が住んでいた関西の田舎街じゃぁ
車で街外れの河に架かる橋を渡り、郊外にへと暫く走りますと
直ぐに路の両脇には、広々とした田圃の風景が眺められていました。
 
ッデ、国道から少し狭い脇道にと乗り入れますと、一応は簡易舗装だったけど
国道なんかの幹線道路のような、アスファルド装じゃぁなかったんですよ。
当時の軽自動車規格だった小さな車がですね、如何にかスレ違えるかどうかの
狭い隘路みたいな道の幅だったかと。
 
だけどなぁ その狭さな道幅が場合によっては 都合が宜しいこともありましたなぁ
 
 
 老いた今に為り、独り寝の布団の中でこの頃
よくあの物騒な晩にへと想いを巡らすことがございます。
そぉしますと、ナカナカ寝付けないもんやから布団からゴソゴソと這い出します。
 
ッデ暗い中を台所にへと。足の指や体の何処かを敷居や柱にブッツケながらね。
睡眠薬代わりの酒を求めて、台所まで家の中を漫ろ歩きします。
 
狭い台所は昼間でも薄暗く、夜の室内の灯りといえば
流し台向こう側の壁に穿ったような、小さな窓の磨り硝子越しに射しこむ
一晩中瞬く近所のラブホのネオンの輝きくらいしか、灯りがない部屋でした。
 
自分の老いた眼の視力では視え難いけど、酒が何処にあるかぁなんてのはぁ、
長年棲んでいますからね、慣れの感覚手探りで直ぐに探し当てます。
 
 流し台の洗い桶に洗いもせず突っ込んだまゝの湯呑みを手にとり
冷たい水気を手首の一振りで飛ばし、安酒な日本酒の紙パックを傾け
滴を垂れる濡れた茶碗に注ぎます。
 
茶碗の中の酒は表面が注ぎ揺れし
窓越しに射し込むネオンの点滅灯りで仄かに輝くネオン色。
その舐めるような仄かな輝き、独り者の眼には優しさな感じで映ります。
 
流し台の前に立ち、先ずはと茶碗を口元に。
 
一気で飲み干しました。 ッデ直ぐに紙パック傾け再び注ぎます。
その時、一気で堪えていた息を吐き出すと
握りしめていた茶碗の酒が、縁を超え素足の上に滴りおちました。
 
寒さでカジカンダ足の指を濡らしました。
 
そんなコトを無視しながら、茶碗酒ぉ幾度もと重ねます。
だけど指を濡らす酒の冷たさは、老いの胸の心の中を責め始めます。
 
 
頭の中では、物事を突きつめ判ったつもり、終わったつもりの物事がイッパイ。
胸の中の心の中じゃぁ、その突きつめ重なった物事が
忘れもせずに幾度もかと、限りなくと酒を呼び戻します。
 
茶碗ぉナン杯呷っても、頭の中は痺れて判断を迷わせてもなぁ。
胸の中の心がなぁ、終わった筈の物事なんやろぉけどもなぁ
苦しさで、悲しさでと責めながらやねん。
 
 
心が醒めながら、自分の心ぉ攻めるんや。
 
 
早くぅ 朝が来ないんやろかぁ。
アン時ぃみたいにぃ。
 

 
ッテ想いながら、永い夜が続きますんやぁ。
 
 


 バイバイ

     

妖しげ空気

2010年07月03日 14時05分05秒 | メタルのお話し 
(写真は文章の勝手イメージ 無関係)



【液体空気】
 
跨る単車 左斜めに倒させながら走らせていた
 
先の視へぬ鋭さな岩盤山肌コーナ っの向こぉ側にへと
 
 
急傾斜な細い山坂道の左急カーブ
 
覗けへぬ 険しい磐肌の向こう側
 

観へぬ急カーブ終わりの出口目指していた
 
ボクは奥歯ぉ 割れ砕けんばかりにと噛みしめていた
 
息ぉ吐けば 悲鳴に為りそうなのぉ堪へ 我慢しながら
 
 
単車に跨り走るは 左側崖急斜面肌の続く坂道
 
右路傍には 錆び色塗れな古いガードレール
 
そこから下ぉ覗けば怖気が迫る 深い峡谷
 
 
恐ろしい速さで後ろにへと飛んで逝く
 
ボクの視界に視える 光景のナニもカニもが
 
 
被るメットのスモークシールド越し 観へる世界のすべてが
 
斜めになって高速で 我ぉかすめながら後ろへと
 
刹那な瞬も止まるコトもなく 高速移動する光景でした
 
 
 
斜め視界世界の磐肌 メットの頭ぁ擦るかもと
 
勢いよく頭上ぉ過ぎ去っていく
 
 
モシモ事故れば ットっな恐怖な怖さ辛抱し
 
己の意思で引き攣ったように瞬きもさせない両の瞼
 
見詰め続けるは 恐怖を想う心ぉ圧し殺させる世界
 

覗ける狭まった視界は 高速で狭窄せしコーナー先を読むだけ
 
其処は 単車駆る者だけが覗ける光景
 

薄きライダーウエアーに包まれたボクの軟な肌ぉ
 
妖しくも舐めるよぉに掠めながら 
 
ヘアピンコーナーぉ高速で廻り続ける狭窄されし光景
 
 
我と己が跨り駆る単車ぉ 慰みものにせんと拒むかとな
 
コーナー出口の此処までくるなと 拒絶せしかと視界に迫るは
 
崖な山肌で観へぬ カーブの先の向こう側世界
 
 

股の下で 震え唸るエンジンの高熱 其の熱き焦がすかとな熱風
 
車体両側カウリングの隙間からモロに 両脚の膝下にへと吹きつける
 
低温火傷させよと 熱くと纏わり続けていました
 
 
ボクは右脚の熱さを堪へ 伏せる上半身の腹で覆う
 
熱を帯びたガソリンタンクの右側面ぉ 内太股で押し倒すかと
 
怖さ紛れな勢いで単車ぉ傾け続けていた
 
 
峻険な磐肌廻り込めば突然 視界が開けました 
 
急ブレーキで単車のケツを振らせながら 速き速度ぉ緩くと落とす
 

屈めていた腰伸ばし メットのスモークシールド越しに眺めました
 
遥か遠くに重畳せしと連なり観へる 山々の影が望めました
 

梅雨の雨雲が山々の頂に懸かる 雨模様の曇り空の下で
 

 
 
若い頃 単車ぉ転がせては物想いに耽るコトぉいたしておりました
 
 
何故 っと?
 
 
単車ぁ 独り山道で駆れば
 
単車で空気ぉ圧しながら走れば
 
高速な空気が液体の様な感じでね
 
優しく躯に纏いつくからなんですよぉ
 

躯に纏わりつく速さな空気がですね
 
イットキ 煩わしさな物事 ナンかぉね
 
忘れさせるんですよ 速さな空気に酔へるんですよ
 
 
酔へば酒精ほどじゃぁないけれど
 
其の刹那な酔いでね 物事ぉ忘れさせてくれるんですよ

 
ダカラなんですよ
 
 
速さな物想いぉ 判らぬ物事ナンカぉ ット
 
忘れられるんですょぉ
 
 
 
バイバイ
 
 
 
      jieeku