【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

 踊り妓 終わり  

2007年01月10日 02時28分48秒 |  【 踊り妓 】   
  


見舞いにぃ行かなかったのは、逃げたかったはずじゃぁなかった。
唯ぁ自分、アイツの顔を視るのが 恐くて辛かった。
タブン、アイツも同じでぇ、来て欲しくなかったと想う。

自分ぅ、今は兎も角 此れから先もぅ
其の事をぉ 悔やまんと想うねん。

知らせを聞いたときぃ、ヤッパシかぁ!
って、けど!ぅ、ナンデや!ナンで今なんや!!
何回も、何回もぅ! ナンデや、なんでやぁ!

・ ・ ・ ・ ナンでやぁ!

あの日以来、ギョウサンぅ酒ぇ 飲みました。
でもなぁ、酩酊はなぁ、訪れては暮れませんでしたぁ~!
暗さな気持ちがぁ、真っ暗さな心にぃ!
幾ら救いを求めてもなぁ、あかんもんやねん。



その年の秋にぃ F わぁ手術した。
でもぉ、そのまま帰ってこなかった。
二度目の手術と、ママに葬式の後で聞いた。


「あのこぉ、F なぁ童貞やったんやってぇ、知ってたんかぁ?あんたぁ 」
「うん、うすうすなぁ。 そやさかいにぃ、みさこはんに頼んだんかぁ! 」
「そうやぁ、他の誰に頼める?あの娘(こ)しかおらんかったんやでぇ 」
「ぅん。 おおきにやったなぁ、ママぁ 」
「うん、もぉええかぁ! 今日わぁ、あんたに聴いてもらうでぇ、ええかぁ? 」
「 ぇ! ・ ・ ・ ・ 聞かんとぉ あかんかぁ? 」
「うちぃかてなぁ、誰かにぃ聞いてもらわんかったら、気ぃオカシュウなるなぁ! 」

墓石の天辺にぃ柄杓で、バケツの水ぅ掛けながら
ママぁが振り返り様にぃ、ワイにぃ水っ! 掛けた。

「冷たいなぁ ママぁ 」

っと、喋った口調。 自分でもぅ、驚くほどの静かな語り口ぃやった。

「なぁ、冷たいなぁ。 コッチの(石の)中の方がぁモットやろなぁ 」
「ぁあ、そうやろなぁ 」
「あんたぁ チョットわぁ大人にぃ為ったみたいやなぁ! 」
「知るかっ! 」

ママぁ、隣のぅ墓の石灯篭にぃ腰ぃ降ろして、煙草ぉ銜えた。
自分、ジッポで火ぃ 点けてあげた。

「あん時ぃなぁ ・ ・ ・ ・ 」

尖がらせた唇から、紫煙吹いて喋り始めました。



あの日、みさこはんがぁ
舞台が終わって劇場の裏口から出たら、Fが待っていた。
そんな事は初めてやったから、みさこはん驚いた。
驚くぅみさこはん連れて、Fぅ 二人でオデン屋で晩飯ぃ。
それからぁ、ママぁの処(ボギィー)。

二人とも、よぉ笑っていたって!

っで、アパートに帰ったら、いつもなら別々にぃ 風呂入って寝る。
自分、想像してたけど、二人ぃ一度もぉ、同衾した事ぉなかったそうやぁ!
だけどぅ其の日わぁ Fがぁ 一緒や言うて誘った。


「そうかぁ、あいつなぁ なんかぁ吹っ切れたみたいにぃ、明るくなったもんなぁ! 」
「うん、ふたりともなぁ、救われたんやでぇ 」
「えぇ! 二人ともって、なにやねん? 」
「あんなぁ、あの日なぁ お風呂でなぁ ・ ・ ・ ・ 」


風呂場で、初めて視る Fの手術痕。
どないにぃ見てもぅ 傷わぁ傷。

みさこはん、Fの身体洗おうとしたら、Fが先にぃみさこはん洗い出した。

「此処さきに洗って 」

みさこはん、左の乳房の下ぁ 指ぃ差して言った。
舞台化粧ぉのぅ ドォーラン流れたら 傷ぅ出てきた。
鋭い切っ先のぅ、匕首かなんかのぅ、刃傷痕ぅ!

心中沙汰の、死に損ないの傷!ッ



「そうかぁ、しらんかったわぁ! 」

自分、墓場からの帰りの車の運転手。

「そう言えばなぁ、みさこはん。 長崎の話しぃ、途中でやめた事あったなぁ 」
「Fなぁ、生きたいゆうてたねんでぇ!」
「 ! ・ ・ ・ ・ ・ 」
「みさこがなぁ生きれ、生きなぁだめ ! っとぉ、って言うねん!ゆうってたわぁ! 」

雨も降らんのに、フロントガラスが見難いわぁ!

「あぁ、そうそう! みさこがぁこれ、あんたらに渡してって 」
「なになん? 」
「あんたらにわなぁ、感謝してもしきれん言うてたでぇ 」
「そうかぁ、そいでぇなになん? 」
「これ、なんやろなぁ? 」

小さな平たい紙包みが三つ。 ママの手のひらに載ってる。

「開けたらぁ 」
「チョット車停めてみぃ 」
「えぇさかいにぃ開けてみぃ 」
「じゃぁ、うちのん開けるわぁ 」
「なんやぁ、それならもっと早くに開けたらええねん 」
「そやけどなぁ、みんなぁでぇ・・・・!! 」

突然ママの嗚咽! 車を道路脇にぃ停めた。

「どないしたんやぁ!もぉ!ッ 」

ママぁの、震えながら差し出す手のひらから、わいの名前の包みをとった。
開くと、小さなぁ花びらが 自分の太腿にぃ 落ちた。
あの日、劇場で渡した花束の、押し花!

 上手にできてた!

包み紙の裏に、細かい文字ぃが書いてた。
所々に、タブン、涙の跡ぅがあった。
途中まで読めたけど、後わぁ見えませんでしたぁ。

もぉ!堪らんかった!
ママぁと二人で、泣いて泣いて泣いてぇ!

泣き喚きましたぁ~!



  お終い。


  

水の中の 出来事 。

2007年01月09日 14時42分46秒 |  【 踊り妓 】   
    


目覚めた時ぃ 直ぐにぃ

昨夜ボギィーママぁに、強引にぃ約束させられた
今日の夕方にぃ観に行く 「踊り」 のコトが、頭に浮かんだ。
出来ることなら、此の侭ぁ、明日の朝まで寝続けていたかった。 
布団の中で、悶々ッと為って、愚図愚図ぅっとしていた。
布団、頭から被って、ワザとな一人寝たフリぃやった。

寝起きの耳が、微かなぁ、アパートの狭い階段を、駆け上がってくる音ぅ拾った。
足音は、運動靴。 毎日ぃ今頃の時間にぃなるとぉぅ聴こえるぅ
聞々ぃ慣れたゴム底のぅ靴の音 っと、固いぃ木ぃが軋む音ぅでした。
二階の廊下ぉぅ、軽やかにぃ走ってきていた。

近づいた足音ぅが止んだら、自分の部屋の小さな玄関から音が。
薄いベニヤ作りの 開きの扉の、金属の郵便受け蓋が、内側に開く音。
続いて、夕刊新聞紙が、土間に落ちる音。
っで、扉の横の呼び鈴(ブザー)ボタンが、乱暴に二回叩かれる音。
二回鳴ったブザーの音が消える間にぃ、足音、遠のいて行った。

「チッ! 」 舌打ちして、起きました。



チャリンコ(自転車)で夕方頃ぅ、ママぁの店にぃ着いたらぁ、Fが居った。
今ぁ 起きたぁみたいな、ツンツンって跳ねた髪の毛してる。
開店前のぅ、店の掃除のぉ お手伝いしてたぁ。
自分は、店の妓が入れてくれた、珈琲啜っりながら
持ってきた夕刊広げて、読んでる振りぃしてた。
時々ぃ腕時計、盗み見しながらやった。

おっちゃんが、未だやったから。

やっぱしぃ、酒の上の約束わぁ、アンガイぃ守れんもんなぁ!
って、想っていたら、店の白い扉が開け放たれた向こうから、聞こえてきた。
店の前の裏路地の向こうの、通りにぃ、トラックが急停止する音が。

路地に、ジィーゼルエンジンの音が響いて、重たいドアが閉まる音。
大声で、ナニやら礼ぉぅ、怒鳴ってるようなぁ ・ ・ ・ ・ !
直ぐに、乱暴に地面蹴る靴音。 走ってくる靴音。
おっちゃん、安全靴踏み鳴らして、走って来はった。

大きな風呂敷包みぃ 抱えてっ!


「わぁ~! マッまにおうたかぁ? 」

黄色いヘルメット、カウンタァ~に置きながら息整えてる。

「なにぃ、急いでるんねぇ! 」 今はまだ、化粧ッけのマッタクない、能面顔のママ。
「なにぃ、言うてるやぁ~ママ!っ、みさちゃんの踊り観るんやでぇ!
  間に合わんかったら、あかんやろぉ! 」

「!ッ、ふぅ~ん そうかぁ、でぇそれえなんやねんなぁ? 」
「これかぁ、これなぁ ・ ・ ・ ! 」


喋りながらぁ、大事そうにぃ風呂敷包みのぉ、結び目ぇ解いたぁ。
広げたら、見るからに仕立ての良さそうな、上等なぁ礼服がぁ! ・ ・ ・ 出てきた!!
真更なぁ、ピカピカにぃ磨きこんだ、革靴もぉ!
踝のところにぃ、アルファベットの崩し文字がぁ刺繍された、靴下もぉ!
襟がキッチリ立ってる、真っ白なぁワイシャツぅ~!


「此れにぃ着替えるさかいになぁ 」 

腰のぅ安全帯ベルトぉぅ緩めて、ニッカズボン脱ぎ始める!

「あんたぁ、ウチかてぇ女なんやでぇ~! 」

笑いながらママぁ、目配せぇ こっちに飛ばした。


走りましたわぁ! 近くの貸衣装屋さんまでぇ!
行くって、ママがぁ電話で言っててくれてたさかいにぃ
直ぐに取って帰って 裸ぁ~!
掃除してた店の妓たちぃが、おおハシャギ!

Fだけがぁ、静かにしてたなぁ。
なにがぁ? 始まるねん? やった。

着替えたら、ママが言うたわぁ!
まぁ~! 普段見ぃひん格好ぉ、見れたわぁ! って。

 ニヤニヤぁ、お笑いでんねん。



「えぇ! コッ、此処? ・ ・ ・ ぉぅ! 」

 格ッ好ぅ、キッチリお決めのぅ、オッチャン。 花束ぁ抱いてます。

「そぉうやぁ~、何ッ処にぃ行くぅ想うてたん? 」

 ママぁ、涼しく言い放ちました。

「!ッ おぅ! えッ!ぇ ・ ・ ・ ・ 何でぇ? 」
「何でってぇ、何ッ処にぃ行く想ってたん、日劇かぁ?市民会館かぁ?あんたぁ 」
「ソッそやけどぉ、此処ってぇ! ぁあぁ~ぁぃやぁ~! ほんまかぁ!ぁ 」
「なに虚ってまんねん!アンサン! さぁ~入るでぇ 」
「あぁ! いやっ、うん! ワッわかったわぁ!しゃあないわぁ! 」


入って、一番後ろ付近の席にぃ座って、開演時間待ちぃ。
キッと日頃は、職人相手にぃ、タブン怒鳴り散らしてるかもなぁ おっちゃん。
静かにぃ座って、落ち着きなくぅ太腿ぅ 揺すってる。

ママぁわぁ 消えはった。 仕方ぁないわなぁ!
Fわぁ、物珍しそうにぃ アッチこっちぃ見回してた。


みさこはん、此の世界でわぁ 新人さん。
だからぁ、演目の一番最初が 出番やった。

灯りが消えて、琴乃音。
舞台のぅ両袖の上辺りからから、虹色のスポットライトが走りました。
其れが消え、小さな劇場内が真っ暗になたら、舞台の真上からのぅ光の柱ぁ!

眩しい光の中にぃ、赤色だけのぅ、簡素な浴衣姿の女はん!

煌びやかな扇で隠して、伏せてた顔ぅ上げたら
昨晩にぃ見たぁ みさこはんとわぁ 違う顔してた。
元の顔が判らん位にぃ、舞台化粧がケバかった。
細いぃ首筋にぃ真っ白な、白粉がぁ~!

けど、みさこはんでした。
自分、眼の遣り場にぃ ・ ・ ・ ・ !ッ

おっちゃん、横目で視たらぁ顔ぅ 下にぃ やった。
自分、肘で思いっクソぉぅ! 突いた!
おっちゃん。 呻いた!


「観てやらんのんなぁ ! 」
「 ぇ!・ ・クゥ~イッタァ! ・ ・ 」
「なにしにぃ来たんやぁ! ボケッ!帰れ! 」
「ッ! ・ ・ ・ ッテ 」
「観な、失礼と違うんかぁ! 観ぃひんかったらぁ帰れやぁ! 」
「ワァ、わかった! 観るがなぁ! 」


みさこはん、踊りながらぁ客席のぅ 真ん中までのぅ
張り出し舞台にぃ 滑るようなぁ脚さばきでやって来るぅ!


綺麗なぁ 乳房ぁしてたぁ!
綺麗なぁ 肩ぁしてる!
綺麗なぁ 腹 ・ ・ ・ ・ ぁ!
綺麗なぁ お尻ぃ してるねんやぁ !

踊りぃ お世辞にも上手くなかったぁ
それでもなぁ 一生懸命にぃ 踊ってはった!

一曲終わって 直ぐに場内が少し明るくなった。
客席がまぁまぁ、見渡せる程度のぅ灯りぃ。
続けて、次の曲ぅ。 みさこはん、踊りながら客席見て、捜す様な視線。

突然!Fが、持ってる花束ぁ持ち上げて、振り回したぁ!
おっちゃんもぅ 揚げた。 釣られて、わてもぉ!


他のお客さん、なんやぁって、こっち観だした。
まぁ~! ・ ・ ・ ぁ ワイらぁ 浮いてたわなぁ。
礼服着てるん わてらだけやでぇ!


おっちゃん、ナにぃ想うてかぁ、舞台めがけて小走りぃ!
自分、連れ戻しにぉ追いかけた!
追いついたら、おっちゃん、舞台の直ぐ下で、精一杯ぃ背伸びぃして見上げ
花束ぁ渡そうとして、捧げ持ってる。

みさこはん、驚いてた!

「みさこはん、綺麗やでぇ!ほんまにぃ綺麗やでぇ~! 」

おっちゃん、花束ぁ渡しながら言ってた。

「うん! ありがとうぅ!! 」
「これも、とってんかぁ 」

Fがぁ、おっちゃんのぅ肩越しにぃ、視線外しながら渡した。

「ぅうん、ありがとぉ! 」 泣き声やった。

わい、なぁんもぅ見えん様になってきた!
全部ぅ 水の中での出来事みたいやった。


慌てて席に戻った。

戻りかけに場内入り口見たらぁ、ママがぁ警備員と話してはった。
ママぁ、引き止めてくれてたんやぁ!


公演が全部終わって、劇場出る時ぃ
同伴出勤の、倶楽部の女はん達に見つかった。
なりが悪ぅて悪うて、ホンマニィたまらんかった!



  

夜が深まれば ・ ・ ・ ・、 心もぅ !

2007年01月09日 11時07分09秒 |  【 踊り妓 】   
【 続きですぅ 】




暗い夜道ぃには、気安さが生まれます。
夜の暗さが、お互いにぃ人を近くに感じさせます。
そしてぇ、今までどぉうしても 届かんかったもんでもぅ
摑めるようなぁ気ぃにぃ、させるかもぉ ・ ・ ・ ぅ。 

けどぉぅ ・ ・ ・ 、ナンかぁ ナンかぁ知らんけどぉ ・ ・ ・ ぅ。
ぅん 解ってる。 けどぉぅ、口にぃ出して言うとぉ
何ッ処かにぃ、何ッ処かにぃ
逃げて逝ってしまう かもなぁ ・ ・ ・ ・!ッ



大人の男のぅ躯から、力の抜けてしまった、お人さん。
此れほど運び難いもん! あんましぃ

ないでぇ~!


店の前の狭い裏路地から、タクシー停まってる道まで運び
乗せて、座らせて、シートにぃ倒れんように支える。
車内わぁ、煙草のヤニ臭いのと、饐えたようなぁ変な酒精の臭いがぁ~!
自分、あんまし酔っぱらてなかったけど、気分が悪く為ってきそうやった。
運ちゃんは、お慣れかしれんけどやぁ~!


運ちゃん、深夜晩くまで輪ッパ握って、酔い客乗せ
いい加減、嫌になってるんやろなぁ!
投げ遣り、問いかけみたいやった。

「どちらぁまでやぁ ? 」 っと。


「競馬場方面やってかぁ 」 知らん振りぃの わい。
「えッ!ぇ、知ってるんですかぁ? 」 Fぅ支えている女。
「うん、知ってるでぇ 」
「さっきぃ お店で知らないって 言ってましたやんかぁ? 」
「うん。 ママぁかて、知ってて言ってるんやでぇ 」
「ふぅ~ん ・ ・ ・ そうねぇ、わからんとぉ、うちぃ 」
「何処ぅ、国(故郷)ぃ? 」
「長崎ですぅ 」
「うん、えぇとこみたいやなぁ! 」
「ぅんぅ ・ ・ ・、 でもぉ ・ ・ ・、 いぃやぁよかとこですとぉ 」
「なんやぁ? どないしたん? 」
「うん、何でもないですぅ 」


Fのアパートまで、其れ以上 喋らんかった。
時々ぃ聴こえる音量絞ったタクシー無線とぅ、ワイパーが硝子ぅ擦る音ぅ
止まんかったですぅ、じっとぉ、降りるまで聴いてましたぁ!
近い所がぁ 永く乗ってるみたいにぃ感じましたぁ 。


よれよれなぁ Fぅ背負って、古いぃ木造襤褸アパート
外付けで雨で濡れた鉄の階段、滑らんようにぃ登って
漸くFの部屋の前。 Fぅ扉の反対側の、柵に背中をぅ。
F顎落ちで、首の後ろのぅ ボンの窪みが視えてた。

自分、息ぃ喘がせながら言いました。

「じゃぁ、カッ帰るなぁ~! ぁんたも早ぁにぃ寝るんやでぇ 」
「えぇ~! 晩いからぁ泊まっていってくださいぃ 」

っと、薄暗いぃ部屋の前で、バックの中にぃ手ぇ突っ込んで掻き回し
部屋の鍵ぃ捜してた、娘がぁ。


仕方がないので、玄関框に運び込んでやった。
其処にぃ、寝かせた。

「ぅん、えぇ。 タクシー待たしてるさかいにぃ、じゃぁ 」
「そぅですかぁ、でもぉ此の人ぉ、此処でよかやろかぁ! 」
「うん。 ナンならなぁ、毛布でも掛けてやってかぁ 」
「ぇ! ・ ・ ・ぁ、 はいぃ、ありがとうございましたぁ ! 」

「うん、じゃぁ」


ドア、背中で閉めた。
濡れた鉄の階段、静かに下りた。

ほんとうわぁ、部屋の中にあがって、布団に寝かせてやりたかったんやぁ~!
でもぉぅ あいつの生活ぅ見るのが、わいにわぁ 耐えられんかったぁ!
そやさかいにぃ、逃げてきましたんやぁ!


タクシ~ィ 何ッ処かにぃ消えていた!
コナイナ時間やから、車も人もぅ ・ ・ ・ ・ ・ チクショウって呟いたぁ!
歩きました。 濡れてしまうけど、仕方がないなぁ っと。

夜明け近くにぃ自分のぅ 寝ぐらにぃ!
靴下ぁ、ビショビショにぃ 濡れてましたぁ~ぁ!!





   

水晶ぅのぉ 雨ぇ~!

2007年01月07日 03時09分19秒 |  【 踊り妓 】   
【 踊り妓 】 ですねん。
 つづき、ですねん。     



ボチボチっとぉぅ、騒いでた客ぅ、連れだって帰ります。
煙草の紫煙揺らして流れてた、有線の音量ぅ絞った演歌ぁ
聴き易ぅなってますぅ。


隣のオッチャン、ほんまにぃお酒、強いっわ!
幾らでも、ナンボでも呑める みたいやねん!
それに、態度が始めと変わりまへん。

 まいった参ったぁ!


おっちゃん、わいがぁ白呑んでるって聞いたら、言いますねん。

「そないなぁ安い酒、呑んだらアカン!これ呑めばええねん! 」
「えぇですわぁ、これがわいにぃ合ってるさかいにぃ 」
「なにゆうとんねん、遠慮せんでええから、これ呑んで! 」
「チィフゥ、頂きんかぁヘネシィ 」
「ママぁなに言うてますんやぁ、もぉ呑めんわぁ 」
「若いモンがぁ、アカン! 呑まんとオッチャン切れるでぇ! 」
「キッキレルってそないなぁ! ・ ・ ・ ・ッチ! 」
「そこの、姐さんもぉぅ呑みぃ 」
「うちぃですかぁ? 」 友人Fの背中擦って言いましたぁ。
「そや、呑んでんかぁ 」
「ありがとぉぅ、そんならぁ頂きますぅ 」

半分冗談脅しの飲ませ方。
接待慣れした遣り口ぃ。 オッチャン援護のぉママ。
今夜ぁ ・ ・ ・ ・ 、なぁんかぁオカシイねん?

「ねぇ~!チィフゥさんぅ、観に来てくれへんのんぅ? 」
「ぅん。 堪忍してぇなぁ 」
「そうなんかぁ、ダメとねぇ ・ ・ ・ ・  」

みぃハン、サッギで弾んでた声ぇ、落としてた。
隣のぅおっちゃん、其れおぅ見咎めてぇ ワイぃ睨みますぅ!
おっちゃんの唇ぅ  無言で開いてナニやらぁ・・・・ぁ!

動きがぁ!ボケっ!ッテェ ・ ・ ・ ッケ!


「姐さん、踊りの発表会でもあるんかぁ? 」

 中年オヤジのぅ猫撫で声でっせ! ッケ!

「いえぇ、そないにぃ いいのとぉ違ぅとぉ 」
「ならぁ、なんやねん? 」
「チョットぉ、もぉええやろぉ! 」
「ええやろおぅってママ、わしが聴いたらアカンのんかぁ? 」
「なにもアカンって、言ってないぃ・・・ナに、この妓の踊り。 見たいん? 」
「あぁ~!ぁ観たいでぇ。 わしかてなぁ、寄せんかいなぁ 」
「観るなゆうてないわぁ、もぉ~! 」
「じゃぁ、ええなっ、いつあるんやぁ? 」
「いつって、いっつでもぉ、明日でもしてますとぉ~! 」

言いながらみさこぅ、酔っても変わらんかった顔色がぁ、段々赤みが差してきた。
其れ視てたママさん、気負って何か言いたそうやなぁ?

「ワカッタ!ほんなら明日、もぉ~ぉ今日やけどねぇ、夕方の四時に此処、来て 」
「えぇ!今日かぁ?またぁ早いなぁ!ママぁ~! 」
「ぅん。 あんさんがぁ言い出したことやさかいになぁ 」
「仕事早ぁにぃ済ませて くるがぁなぁ 」
「うん、そないして 」
「あんたぁ、あんたもぉ来なぁ、アカンデぇ! 」 っと、ワイにぃ!
「えぇ~! なんでぇわいもなん? 」
「あんたぁ、Fの友達やないねんかぁ? 」
「っ、と、友達やぁ 」
「そんならぁ来(き)ぃ!来なぁアカン! 」

それで、話しがお決まり。!
うっもぉ、すっもぉ無い。! 


演歌が消えた店の中ぁ、換気扇が働いてる音してた。
冷蔵庫のぅ音もぉ ・ ・ ・ ・、 其れでもぅ静かで妙な雰囲気。
店の妓がぁ、ギョウサン詰まった営業用のゴミ袋提げて
カウンタァ~潜って出てきた。
其れぇ取り上げて、外にぃ出て行こうとしたら
カウンターの隅で、売り上げ伝票勘定してたママぁ
伝票、手提げ金庫に突っ込んで、慌ててスツールから降りぃ着いてくる。


「雨降ってるさかいにぃ、何で来るねん 」
「ぅん、ええやんかぁ。 たまぁ~にぃ、お姉さんとぅ歩くんもええやろおぉ 」
「冗談なぁ、きっついねん! 」
「なぁ、Fのん知ってるんやろぉ? 」
「 ぇ! ・ ・ ・ あぁ、知ってるでぇ ・ ・ ・ ・ 」
「なにおぉぅやぁ? 」
「なにって ・ ・ ・、わかるわなぁ!  」
「そうかぁ、ならぁええけどなあぁ~  」


其れからぁ、お互いぃ黙って街角のぅ、ゴミ袋のぅ集積場まで歩きぃ
わいぃ提げてたぁ袋ぅ、ギョウサン積まれたぁゴミ袋のぅ
山の上ぇ目掛けて、放り投げたぁ!
袋ぅ、天辺に落ちてぇ転げて落ちて、途中で止まった。

其れをぉぅ小雨の中ぁ、二人ぃ無言で観てた。
店に戻る間も、二人ぃ、なぁ~んもぅ喋らんかった。


細い肩のぉぅ、ママぁの赤いぃ髪の毛
小雨のぅ雫ぅ、イッパイぃくっ付いてた!
其れにぃ、通りすがりの車のぅヘッドライトぅ当たりぃ
綺羅綺羅って光って輝きぃ、水晶の粒みたいでぇ、綺麗やったぁ~!


ママぁのぅ、細いぃ肩紐のぅ真っ白なぁドレスのぅ、後姿ぁ!
降る雨がぁ霧雨に変わって、小粒なぁ液体ぃギョウサンくっついた
剥き出しの細い肩ぁ視てたらぁ ・ ・ ・ ・ ・ タブンぅ
ママぁの心の中にもぅ、自分と同じでぇ、雨垂れぇ!
ギョウサンぅやろうかなぁ? っと、想っていたらぁ!

ママぁ 急に立ち止りぃ振り返った。

「アンタもかぁ? 」 って、ママぁ!


車のぅ、ヘッドライトに照らされた、其の眼ぇ
雨以外のもので濡れてぇ 光ってましたぁ~!




  

酔わないとうぅ ・ ・ ・ ・ !

2007年01月06日 14時19分57秒 |  【 踊り妓 】   
  
【 踊り妓 】 っの、つづきです。



有線、ヤット聴こえるかどうかなぁ程にぃ音量絞って
流行 (はやり) のぅ演歌ぁ !
店内にぃ満ちてる酒精の匂い
煙草の煙とぅ混ざって、人の息にぃ吸い込まれてた。

濃いクぅ漂う紫煙揺らいで、店の雰囲気盛り上げてたなぁ ・ ・ ・ !



元々ぅ白木だった L字のカウンター。
今じゃぁとっくに、何ッ処かのぅ、浜に打ち揚げられた流木みたいな古木色。
其処には、無数の煙草の焦げ後点々。
アッチコッチにぃ、何かの、多分なにかの染みがぁ ・ ・ ・ ・、迷走地図模様。

眼の前にはぁ、吸殻盛り上げた、ウイスキィ~屋さんの硝子の景品灰皿。
よく手持ち無沙汰で折り曲げたぁ、和紙のコースター


この店に着たら自分、最初はだいたいぃ俯いて
背凭れが鍍金パイプのぅ スツールに座った。
腰を据えて面を上げると、カウンター越しのボトル棚下段のぅ
左の隅にぃ、お店の妓らのぅ化粧袋ぉ、積み上げてた。
其れぇ眺めもってぇ、互いにぃ肩ぁ窄ませ擦り合わせぇ、呑んでる常連客ぅ!


夜半過ぎ頃にはぁ、知らぬ同士の他人者でも、呑んだら近しぃお人ぉぅ!
互いがぁ聴く耳持たずにぃ、怒鳴りあってるみたいなぁ、お喋りいぃ!
今から想うと、あないなぁ会話。 よぉ成り立ってたなぁ~!

時々、カウンタァ~の中を行き来するお嬢たちが
中の土間に敷いてる簀 (すのこ)ぅ 軋ませていた。


左肩ぁ誰かに叩かれた。
顔ぅ向けたら、隣のF越しにぃ、女の白い腕が伸びていた。
ゴキゲン!仕上がりの、みさこはん。 やった。

「なぁ~? 今度ぉぅ見にきてんかぁ? ウチのぉ踊りぃ 」
「おいおいぃ、わいにも言わんことゆうなぁ! 」 酔眼が座り始めのF。
「ぁれ!っ、珍しぃ!! あんた(みさこ)がぁそないなん言うん 」 少々お疲れ気味のぅ、ボギィーママぁ。
「なんでやぁ~! 観にいかへんわぁ 」 唯の酔ッパライのぅ某倶楽部のぅチィ~フぅ。
「あんたぁ、観にいってやりんかぁ! 」
「ぇえぇ~! ぃ、いややでぇ! 」
「花束もって 行ったらええねん 」
「花束ぁ~あ! ・ ・ ・ ・、なんでワイが いかなアカンねん? 」
「この娘(こ)がぁ そないに言うてるさかいにぃやぁ、珍しぃねんでぇ! 」
「もぉ~ええっ! おかわりぃ 」
「なにぃ恥ずかしぃがってんねん、チョットこれっお代わりやてぇ 」

ママぁ、自分が呑んでたファショングラス、
指先ぃ揃えた両手で挟んで、横向いて離れた。

アイツなぁ、なにぃ勿体つけてんやろなぁ、・ ・ ・ ・ なぁ、ナニなにぃちゃん。
こっちにぃ、聞こえるぐらいの声で話してる!
もぉ~!


「ほれ、でけたで! 」 置きかたが痛い!
「おおきにぃ ・ ・ ・  」
「これ呑んで、勢いつけてやぁ~! 」
「なんで?ぇ 」
「こいつぅ、置いとくつもりなん? 」

細い顎振って示したF。 カウンタ~っで沈没。

「タクシ~ぃ 呼んだらええやんかぁ 」
「薄情ぉぅ 言わんときんかぁ! 」
「どないせぇ言うねんなぁ、わい、こいつの家しらんがなぁ 」
「うちぃ知ってますぅ! 」

って、ゴキゲンみさはん。 Fの背中撫でもって、オッシャッタ。

「なぁ~! タクシぃ~呼んだりぃなぁ 」
「あんたぁ、鈍ぅってアカン! 」
「なにぃ怒ってるんやぁ! 」
「アホぉ~! 」
「ぁ、あほぉって、なんやねん! 」

「まぁまぁ~まぁ 」

わいの肩掴んで隣のオッチャン。

「機嫌よぉ呑んで、なっなっ、ママもぅアカンでぇ、シツコイねん 」
「わいぃ、ご機嫌ぅえぇよぉぅ、どぉぅもすいませんぅ 」
「ぅん、喧嘩しとらへんわぁ!、この子とわぁ何時もこないなんやでぇ 」

ってママぁ、ぺティナイフ握って おっしゃった。
わいおぅ、子って言うなぁ! アホ~!
ナイフの切っ先ぃ、コッチャぁ向けるなぁ! 化けモンぅ!

・ ・ ・ ・ っと、心でやでぇ!


「うん、そうですねん 」
「そおぉかぁ? それならぁええけどぉなぁ、こっちの姐さん心配してるでぇ 」
「あぁ~、うちぃ別に心配してませぇん 」
「ほんまぁ?ならぁ~ええわぁ ・ ・ ・ ・ 姐さん踊りしてるんやてぇ? 」
「はぃ~いぃ、少しですぅ 」
「少しぃって、踊りに少しぃ? どないなん? 」
「どないってぇ? 」
「何の踊りかぁ やぁねん? 」
「ぅ、うん、そぉやねぇ、ぇえっとぉぅ、ニィにぃ日本ぅ舞踊ぅ~ですぅ 」
「ほぉ~!そぉかぁ 」
「 ・ ・ ・ ・ ハ、はいぃ 」
「姐さんやたら、えぇ腰ぃして細いさかいにぃ、踊ったらぁええやろぉなぁ! 」

ありゃ! ・ ・ ・ ・ お話しがぁ分かりませんの方角にぃ、行ってはる!


チョット、急用です。 野暮用ですけどなぁ。
続きぃ、股ぁ~


 ホナ、いってきますぅ


さあぁ さあぁ
今からお出掛け、おでかけでんねん。
いってきますぅ~ 



    

 「F」 っと、 踊り妓 。

2007年01月05日 14時56分32秒 |  【 踊り妓 】   
  


今夜 わたしのぅ お脳が真っ当ぅなら
酒精で 意識が痺れる事もなくなればぁ
想いもかけない言葉もぅ 浮かびません。


呑んで眠った明くる日ぃ。

目覚めて暫くしたら 蘇る虚憶えな記憶の中で
自分が吐いた言葉に 自分で驚いてしまう事が
多々 おます。

酔って物事を考えると、日ごろ使わない脳内神経がぁ 蠢くぅようでっせぇ。
まあぁ~、普段わぁ、眠っていた一種の狂気の部分が
目醒めるんでしょうかなぁ?

自分で後から幾ら考えても
「こないな事ぉぅ 幾らなんでも言わへんやろぉ! 」
っなぁ、ぐらい。 喋っていますねぇ~!




雨模様の 夜更けの繁華街。

一昔前の古い木造家屋と、雨の筋が何度も乾いて痕になり、外壁にぃ!
ウス汚れたビル肌のぅ 雑居ビル っが遺された裏通り
表の魚町(トトマチ)通りの南の筋 塩町通りぃやぁ~!

雨で濡れた道路にぃ、飲み屋の電飾看板が、切れ目無く並ぶぅ
其処の通りから 北に細い路地を入って、奥で突き当たるとぅ

 スナック 【 ボギィー 】 っがありました。


白ペンキ塗りの扉を肩で開けると、直ぐに煙草の紫煙 顔を舐めます。
漂うモクの煙掻き混ぜ、L字のカウンタァー前に陣取る
いつもの顔の、見知った常連客に詫びながら、割り込み座った。

「どしたん? 今夜わぁ早じまい したんかぁ? 」 オシボリ差し出しながらママ
「いぃやぁ~、サボりぃ 」 昔から仕事が嫌いな、某倶楽部のぅ チィ~フ
「なんやぁ、なんかぁあったんかぁ? 」 此処の常連さんで、チィ~フの友達の F。
「ないでぇ、なんもぅ 」


安モンの紙の座布団(コースター)にぃ、いつもの白 Wで。
ファッショングラスに浮かんだ氷、マドラーでステアーされ、回って踊ってる
少し眺めて、まるでショット(グラス)で遣るようにぃ、一気にぃ!

「なんや、エライ今夜はぁ 走るんやなぁ ! 」 F。
「 ・ ・ ・ ・ あかんのんかぁ! 」
「 ・ ・ ・ ・ ママぁ、お代わりしたってかぁ、ワイにつけといて、えぇで~ 」
「わるいなぁ ・ ・ ・ 」
「えぇがなぁ・ ・ ・ ・ 」

Fの横顔、何かを堪えてるみたいやった。


生(き)のウイスキーに浮かんだ、大き目の氷の塊ぃ、わざとぅ
露肌になったグラスと遊んで、鳴らすようにぃ、ママが置いてくれた。
其れぇ、鎮座する間もなく、持ち上げたら半開きなぁ唇にぃ付け
再びぃ、 一息にぃ!

喉の道がぁ、冷たさの熱さで焼けながら、琥珀色がぁ堕ちて逝きますぅ!
イッショニ口に含んだ 氷ぃ、噛んで砕き飲み込んだ。
冷たさが、熱さをもって逝きながら、喉を過ぎたら、咳が出そうにぃ

 グッ !・ ・ ・ ・ ・ 堪えたっ!


 店にぃ流れる歌わぁ 歌謡曲。
 ド演歌。

此処で決まって呑む酒わぁ、亀の甲羅のようなぁ角瓶のぅウイスキー。
チョット、小銭もちなら 「達磨」
ほんまに銭ッコぅ無いって、正直にぃ言えば 此の店
黙ってショット(Wのショットグラス)でぇ、ホワイトぅ 出してくれるぅ!


Fが、急に顔を!寄せてきた。 小声で喋ってきた。

「なぁ、この子なぁ、踊ってるねん 」 耳元で囁くけど、酒精も匂う。
「なんやぁ? それ? 」
「ほらぁ、この前教えたやろおぅ、舞台踊りぃ 」
「ぉほっ! ・ ・ ・ ぉぅ、この娘(こ)がぁ~? 」
「おぅぉ、そやでぇ! この娘ぅやねん ミサコはん言うねん 」
「あんたらぁ、なにぃこそこそぅ 言うてるんやぁ~! 」

煙草の煙、窄めた唇からぁ吐き出しぃ お喋りのミサコはん

「あぁ、なんでもないわな、みぃはん、こいつ倶楽部Rのチィ~フはん 」
「へぇ~! あっこの? ふぅ~ん 」
「ふぅ~んわぁ、ないやろぉ! 挨拶せいやぁ 」
「あっ! みさこいいますぅ、よろしゅうぅ 」
「うん、お初やねぇ 」
「おやすみですのん? 」
「いぃやぁ、サボりやねん 」
「あっ点けたげる 」

上手に細い指で、マッチ擦りはるぅ!
左掌でぇ赤い火ぃを覆って、点けてくれた。
硫黄の焼ける味ぃと 初っ端の煙ぃ、深く胸に吸い込んだ。

「踊ってるんやて? 」
「ぇっ! 聴いたんぅねぇ、あんたぁ言わんでええのにぃ! 」
「えぇやんかぁ、こいつになぁ気にぃせんでもえぇねんでぇ 」
「うん。 そないにぃ気ぃにせんでええよぉ 」
「ほんまぁ? 」
「ええわいなぁ! なんで、気にするねん? 」
「ほれ、なぁ~! 言うてくれてるがなぁ 」

「うん、おおきにいぃですぅ! 」


暫らく、世間話で会話の濁しぃ。
Fはん、ビヤカップの冷酒(ひやさけ)から 焼酎お湯わりにぃ。
みさはん、煙草を肴にぃ連続ビィ~ル呑みぃ。
わい、最初からズゥ~ット、ホワイトロック。


「なぁ?チィ~フぅ、どこぞにぃええ妓ぅ、おらん? 」

此処のママ、ロックお代わり作って小声ぇ。

「どないしたん? 」 自分、つられて小声。
「あの妓なぁ、逃げたんえぇ 」
「お休み違うんかぁ? 」
「違うがな!っ ほらぁ、ようぅ来てたやろぉ、青果のいっちゃん、あいつとやがなぁ~!もぉ! 」
「いっちゃん、市場に居らんへんかったん、逃げたさかいかぁ? 」
「そやねん!うちぃ女の妓ぅ、おらんようにしてもてなぁ!ほんまにお腹だちなんよぉ! 」
「うん、ほんなら気にかけてるさかいになぁ 」
「うん、お願いねぇ!此れぇうちの奢り、ゆっくり呑んでってええでぇ 」

伝票指先でぇ摘んで、他の客相手しにぃ離れた。



眠たいです。 そろそろ寝ます。
多分少しぃ、ホンマニ少しぃ~
絶対少しぃしかぁ、呑んでませんねん。
そやからぁ~、話のぅ続きぃ
股ぁ、できると思いぃますねん。


 おやすみなさいねぇ~