【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

恋煉獄模様 

2009年03月31日 01時43分02秒 | 幻想世界(お伽噺) 

 (画像はイメージ) 恋文・rennbunn




 あなたの心に物語はありますか



ナニを観るとあなたの心には はたくしの想いと同じものが映るのでしょうか

狂うほど好きだと告げること 叶はぬと狂ほしさなもの

幽かにも芽生えることがあるものなんでしょうか 



ナニと言えば はたくしぉ見てくれるのでしょぉか

はたくしの心が叶はずとも 求め続ける儚きもの

あなたの目に映るのでしょぉ



あなたの想いにはナニがありますか

キット 羨む者が想いもしない 容易く判らないものなんでしょうか


だけど 悉くと人ごとナンでしょぉぅ



夕べ 庭の暗闇に仄白く咲く 夕顔を見つめながら眠ろうとしました

眼を瞑れば限りにと 瞼の裏に映る思慕なあなたの影


胸の音 張り裂ければと 如何しようもなくと早く打ち

知らずに詰める息が苦しくて 音なくため息を吐きました 


一夜も眠れませんでした 


ぃいえ

はたくしが ココロ想わぬ他所の方に思慕され迷わされ

儚さもなくと想われてる事 はたくしに圧し掛かります

あなたじゃないから悩ましくなんです


心が限りにと落ち着きません




昨日 お手紙ぉ読みなおしました

優しくと慈しむ文字の心は 想いの他に痛さなものぉ求めさせます

暗き夜更けに眠らざれば 一夜の安らぎぉと望んではいけませぬか

物想いに耽ることこそ如何なろぉかと 死折れそぉなはたくし 



例えば 廓ナもので責めてはいただけませぬか

情けなもので支えては頂けませぬか

捨てるようなものでも 少しのものを与えては下さりませぬか



イッソ ヒトオモイに殺しては下さりませぬか


もぉぅ 此れ以上に馴染みな哀しみぉ 求めさせては下さりませぬか



黄泉から吹ききたる 墨で染めたるが如くな

漆黒色ぉした 夜の生暖かき風に撫でられました

粘る汗に覆われた はたくしの想いなき醒めた膚が 


三途の川の向こう側より 渡り来る憑き物に唆され

イットキ救われましても 其れは慰めもなき嘘な安らぎ事



何時かはと 嘘で纏まったまやかしな催し事でも

幾度となくと 深くと繰り返し致しますれば

朧げな幻想世界でもと 求めさせられまする



はたくしは 不覚な味なき出来事ぉ

叶わぬまでも いつまでもと嘗め続けましょぉ 




ハテ? 今ドコカカラ・・・・・・

空耳カ? イィヤ。 確カニ人ガ許シォ請ウ声ガ。




サァ・・・・・・ッテ。如何イタシマショゥ?





    

逝く桜花

2009年03月29日 04時02分10秒 | 無くした世界 
 

 (画像はイメージ 白鷺城の桜)




もぉぅ忘れたぁ?

ナニぉ?


ホラぁ 言ってたやんかぁ。

そやからナニぉやねん?


・・・・・二回咲いたらぁって。

ナンがやねん?


ぅうん。 もぉぅいぃよぉ。




何時イッショニなってくれろのぉ?

ッテ 心で哀しみながら想いました。




男の我儘ぉ殺してしまいたかった。






夜は。幸ナイ暗さな者を連れながら。

明けない夜が来ようとしてました。



覗けば簡単に死に易さをと。




バイバイ

 

優しく逝かせて

2009年03月27日 03時54分19秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  

(画像はイメージ無関係)



知らぬ間に過ぎ逝く時は優しいです

穏やかなアナタの結末ぉ迎える為に



或る日 ナニげなく友が喋ります

「アナタァ・・・・。この頃つかれてないぃ?」



朝に 洗面所で鏡を覗きました

老け顔になっていました 気づいたら


キット キット


気づく筈もない 限られた自分のオトナシイ時間が亡くなっているのでしょぉう



「ぁはははは そぉだよぅ」



笑って応えたらね

少し哀しげな顔ぉされました


はたしは心のなかで呟きました



一晩で 老けなくて悪かったぁ?



彼は意地悪をしたんだと

何故かなぁ


互いの姿態がね 観合えるからなんでしょうか?




早くと 向こう側にと



 サクラチル 







バイバイ


 

溺れてみたい。

2009年03月19日 03時30分49秒 | メタルのお話し 
  


イッツモ世話になってる(?) イキツケノ美人の女医さんに問い詰められた。


「〇○サン。マサカ飲酒ぉしてませんでしょうね?」 ッテ



してますがなもぉぅ。ドップリと首までお浸かりしてますがな。




 オヤスミナサイ





アンタの夢に化けて出て遣る。





  

地雷を踏んじゃった。

2009年03月17日 03時30分21秒 | メタルのお話し 


 (画像はマリンピア神戸)



マァ・・・・・前にも喋ったけど。ココって想わぬ出費にやられます。





自分は妻サン相手やけどぉ。若い独身の男にはなぁ・・・・ヤラレル。キット。


ココ今。別棟の建物を増築してます。

其れが18日がオーップンなんヤッテ。



クワバラクワバラ。





オヤスミナサイ



  

【 好きさ 】・・・・サンが。

2009年03月14日 01時13分20秒 | メタルのお話し 


(画像はイメージじゃぁないよ。マスク女はぁ・・・・)


ココ。店名はブラジルって言います。





先日。妻サンとふたりで歩いて街まで。ッデ、数十年ブリにこの茶店にはいりました。


「ぉとぉさんぅ。此処に来るんぅ久しぶりよねぇ」

「ォッ ぅん。ソッそぉやな」

「お店の感じは少しぃかわってるけどぉ、懐かしいぃよねぇ!」


「ホンマやなぁ」


はたしの気持ちはですね。チョットどころかグラグラしてた。

アンマシにも懐かしすぎたから。


「なんかぁ、いぃよねぇ」

「ソッそやなぁ」


コナイニ喜んどるんなら、モットはよぉに連れて来るんやったなぁ。

ッデ、色々とね、昔話にぃ・・・・。ッテ。


アンナに歩いたのは初めてやった。ケド、ホンマニ楽しかった。



安全地帯 好きさ Anzenchitai Sukisa Unplugged




妻サン。いつまでも仲良くしてくださいな。

お願いします。



  オヤスミナサイ

  

不義な逢瀬の別れ。

2009年03月12日 12時00分18秒 | 無くした世界 
  




 (画像はイメージ。上画像は昔の面影もなき新駅)





夕暮れの駅は 絵師でも描けない刹那き風景だと想いました。



人もまばらな寂しきホームにふたり佇めば、ふたりが握りあう手と手。

冷たさな粘る汗ばかりでした。


屠所に向かうかとな列車が、静かにレール軋ませホームに停まりました。

連なった車両の扉がいっせいに音たて開けば、握りあう手の最後の一握り。



俯くあなたが離れゝば、想わずに空(クウ)をつかみかける我の指の間には。

夕焼けからの涼しき風が纏います。


あなたが俯きながらはなれ、細き背を見せ乗り込む後姿。


胸の心の中でも、頭の意識の中でも、圧倒する溢るゝもの。

確かに、溢るゝもの。

我の忸怩たる想い切りのなさぉ責めてきました。


薄暗さな列車の窓辺に手を置けば、あなたが涙濡れした頬載せる。

卑怯なボクの眼を、あなたの哀しみな瞳は覗き込むようにしていました。


ふたりの軌跡を残したいのだろう、最後にあなたは。

ボクの手の甲に爪を立てる。


(今の時代について往けずに想い出に耽れば。

いつまでも忘れがたくにも、我の脳裏に鮮明に浮かぶは。

あの時のあなたの目 白さなトコロが鮮明にとでした。

更ける夜に、暗き天井見つめ眠れぬときにも、鮮明に。

ナニかをしていても知らずに想うて、鮮明に。)


観れば膚に小さき赤い球が湧き生まれ、血の一筋があなたの手のひらに堕ちました。


あなたの爪先。 限りにと膚に減り込む痛み堪へれば。

心の片隅にて アヤフヤなるものに溺れそぉなボクを迷いし幻惑させました。


我の手の甲、温かき唇にて優しく吸われました。

血の筋には紅い舌先が這いました。


夕陽とおなじ口紅の赤が、薄暗さな中でも赤が。

ボクの手の甲を染めました。



善きひとを裏切る、互いに快楽ぉ求めあいし逢瀬は。

寸の安らぎもなきだから、高まる胸の時めきが悪さなと。

悪事かと問い詰める。


キツク。キツク。



確かに想う背徳感を意識し、無限にと追い求め願いしは。

他ノ者で求めやれぬ隠微なる性に堕ち、深くと嵌る出来事。



別れの間際まで、あなたの気持ちが判るから。ボクはモットっと望んでいた。

だけどベルが鳴る、ふたりぉ早く引き裂けと。


列車が、もぉぅ、先はないと想い知らせるように。

じれったいほどユックリとホームを離れゝば、それだけなんでしょうか。

いつまでもとなくも、早くお忘れするんでしょうか。


嘘で糊塗し続いた勘違いはお間違いだったと。

何処かにと探すことの、忘却のお終い。


ボクが動く列車と添い走れば、あなたは窓辺より身ぉのりだし手を伸ばす。

掴もうかと我がのばす指の先、微かに触れました。


情けなくも、いつまでも、想い切れない最後の触れ合いでした。




老境にかかりし今。

閉じる瞼の裏に観るは、哀しみ塗れな涙顔。




いつまでも いつまでも








  

生きる時代を選びたい。

2009年03月09日 04時24分01秒 | 異次元世界 

(画像はイメージ) モシモネ。生きていい時代を選べるのなら。 


時代のかたすみで(せめて今だけ)/オフコース



男が自分の器量を求め足掻きながら過ごせる時代。

我が身を捨て石の如くに世の中に置けることを望める時代。


女が女の優しさで尽くせる時代。



だけど。キット。男の我儘なんでしょう。



おやすみなさい





堕ちる 窓

2009年03月08日 03時56分02秒 | 異次元世界 
  

  (画像はイメージ)



なんかぁ。人さんは死んだら何処かに行ってるんやろかぁ

ッテ、若いころなら考えもしなかったことを想います。




あなたはここに来る前。ナニか悪さぉしてきましたか。

神様。自分はイッパイ人サンの迷惑も考えもしないで勝手をしていました。


あなたは、ご自分がイケナイ人間だったと気づいてましたか。

神様。心が悲しく為るほどイッパイ気づいていました。


あなたはね、気づいてるのにどぉしてなの。

心がイケナイことをイッパイ求めてしまっていました。


あなたは心のせいに為さるのですか。

心は。自分の心は。悲しいほど弱かったので守らなければと。


あなたは、弱い心に弄ばれたと。

いぃえ。自分から心と遊んでしまったんだと想います。



あなたはナニを救い求めたことが御座いますか。

イッパイ。イッパイ。手に余るくらい望みました。


なにぉ?

ハイ。いぃかげんな者だったからです。


だぁらね、なにぉ?



背負いきれないもので身動きできないようにしたかったからだと想います。



嘘つきですね。

自分が?


いぃえ。あなたの心が嘘つくことであなたの心をですよ。



神様。どうすればいぃんでしょう。

ぅん?

どうすればいぃんでしょう。自分は。



あなたを永久(トワ)の堂々巡り地獄に堕としましょう。

そぉですか。想い患うことは冥界の淵から墜ちることでもですね。

えぇ。悩み尽きない世界があなたを優しくもてなしてくれるでしょぉ。



どこからですか。


そこの窓から堕ちなさい。


神様。窓の中に入るにはどうやって?



ほっらぁ、もぉぅ巡ってるじゃぁないの。



「どぉ。モット注ごうか?」

「ぁ。ぅん。少しぃ」

「よく眠ってたよぉ」

「ゴメンネ。みんなは?」


「帰った」


「ワルかったね、カンバンなのに」

「いぃよ。後かたづけしていたから。タクシー呼んだげようかぁ?」

「いぃ。歩いて帰るから」

「そぉぅ・・・・」



「ママ。ドアが開かないけど」

「ぇ。あなたはドアからはダメだよ」

「ナンで?」



「窓からだよ」





   

宝塚市 中山寺

2009年03月06日 01時25分22秒 | メタルのお話し 
  
3月1日 梅まつりの日に。





「ぉとぉさんぅ」

「ナンヤネンもぉぅ」

「毎年くるけど今年が一番きれいよねぇ!」

「ホンナン言われんかて観ればわかるがな・・・・・ッタクゥ」


ツマ・・・・・ァホッ!ロクダナシ。ッテ。想ってる顔してました。ハイ

チョット、言いすぎました。ゴメンナサイ。





まぁ、確かにこの日はえぇお天気でした。

お寺さんや神社ハンに寄らせてもらったらタイガイ、雨の日がおおいのに。

此処に来る時はなぜかぁ、日和がえぇんですよ。








「お礼参りにきてる人ぉ、多いよねぁ!」

「ォッおれいまいりぃ?ッテなんやねん」

「ココぉ受験生が合格祈願に毎年大勢くるんよぉ。ァレぇ?今まで知らないで着てたのぉ?」

「ァッ、ァホォ。シッ知っとるがな・・・・ッチ」


ツマ・・・・・・ヤッパシぃ。ッテなお顔ぉしてました。バレバレやった。ハイ





大変たのしくこの日は過ごすことができました。

キット。妻サンの日頃のおこないがね、

悪タレなワテなんか問題にしないくらいよろしいんでしょう。

イッツモかんしゃしてますんやで、ホンマニおぉきに。



ホナ、バイバイ


  







ながいながぁいぃ キッス

2009年03月03日 17時15分13秒 | 無くした世界 


   (画像はイメージ)




午後の太陽がビルに重なるように輝いてた。

此の頃は自分。睡眠不足が当たり前だった。眩しさをこらへ見上げていた。

機械仕掛けの赤色信号灯が青に輝いたので歩きだした。

日頃の夜更かしで躯はダルク疲れきっていた。


ボロいアパートで休ませもしないで街に出てきたことを後悔しながらでした。


当時、世話になっていた深夜倶楽部。

店内改装の為に営業を暫く休むことになった。

バブルが弾ける前の、稼ぎ時には珍しく、マトマッてとれた休日の最初の日だった。


サッキ、横断歩道の向こう側で俯いて佇んでいたのがアイツだと気づいたとき。

ゼブラの道を渡らずに此のまま引き返そうかと想った。

アイツの顔が急に上向き、視線が此方にと向けられた。

昔の見慣れた眼の表情じゃぁなかった、少し変わったような気がした。

        眼差し。

だから自分気づかれたと。 知らんフリして渡るしかなかった。

タブン。お互いにそぉすると想った。


横断歩道の真ん中あたりだった。

アイツが素知らぬ顔してすれ違い、其のまま行こうとしたので咄嗟にアイツの腕をとってしまった。


「元気にしてたんかぁ」 ツイ想わずがなでした。


アイツ。チラリとも此方を見ようとしなかった。 後悔し掴んだ腕を放した。

何事もなかったかのように背中を見せ、歩いてゆく。


歩き始めると知らない人の蔑んだうすら笑いとすれ違った。

背後で信号が変わり、同時に何台もの車が動きだす気配を感じた。


突然。後ろの方で急ブレーキの音とクラクションが喚きだした。

直ぐに車の運転手だろう、誰かを怒鳴りつける声がした。

振り返りもしなかった。


道路の向こう側、舗道を遠のくアイツの後姿なんか視たくもなかったから。


気晴らしと眠気覚ましに珈琲でも啜ろうと、馴染みの喫茶店に入りかけたら肩を掴まれた。

肩越しに振り返ると、ショルダーバックが顔面メッがけて振り下ろされようと。


咄嗟に背中を丸めた。肩甲骨にバックの角が減り込んだ。


「あんたっ!ナンで手ぇお放すんよっ!」

「ぉっ前ぇ・・・・・ 」


背中の痛さで声が続かなかった。


「放すんやったら、ナンで摑まえるんよぉ!ァホォ!」


ナンにも応えづに茶店の自動扉の前で、痛みを堪える為にツッ立っていました。

目の前で両開きの硝子の扉が、開いては閉じてを繰り返してた。

何回目かの開け閉めのあと、茶店のマスターが出てきた。


自分の肩越しに後ろのアイツに声をかけた。


「〇〇チャン久しぶりやなぁ。元気にしてましたんかぁ」

「ゲンキになんかしとらんっ!」

「ォッ!元気やがな。コナイナとこでナンやから入って茶ぁでもシバカンかいなぁ」


ァイツが背中を押したので暗い店の中に入った。

照明落とした暗さに慣れるまで、ふたりとも口を利かなかった。


「ホレ、ブルマン。店の奢りや、気ぃよぉ飲んだってかぁ」

「スミマセン○○さんぅ、ゴメンねぇ」


アイツ少し落ち着いたのか以前のもの言いでした。


「えぇがな。 アンタ随分見ぃひん間(マ)ぁにエライ別嬪ハンにぃなったなぁ」

確かに綺麗になっていた。あの時、別れる前は若さ任せの可愛いさだった。

今、目の前でカップの珈琲啜ってるアイツは、大人の女になっていた。


「どぉなん?」

「ドッどぉって?」

「シッカリ生きてましたんかぁ」


「マッまぁ・・・・」


「アンタぁ、未だ足ぉ洗ってないんかぁ?」

「ぁッあぁ、未だ首までドップリ浸かってる」


「居るん?」

「ナンがや?」

「誰かとイッショに居るん」

「独りぃや」


それから暫くふたりとも何も喋らなかった。


時々、アイツと自分の珈琲啜る音と、皿にカップを戻す音がしてた。

最近封切られた伊太利亜映画のサラウンド盤が静かに流れてた。

上目づかいにアイツを視ると、アイツもカップの縁越しにコッチを観てた。


お前へはナンでソナイになぁ・・・・・・

ッテ。今まで幾度となく想い知った後悔の念がまた湧いてきた。


「ぁんたぁナンでウチのことぉ訊かへんのぉ・・・・・」

「・・・・ナニぉ訊くんや 」


再び静かさが。自分、息苦しさを感じ始めていた。


「あんたぁ、変わらへんわぁ」

「ナッなんがやねん?」


「鈍感ぅ」


アイツがあの時、最後に部屋から出て逝く時に言い放った言葉でした。

自分。此処が勝負時やと想いましたから言いました。


「ホンナラ変わってた方が良かったんかっ!」

「ェッ!」

「ワイが変わってしまってた方ぉが、よかったんか!なぁ?」

「・・・・・いぃやぁ」


「ワイ。イッパイ後悔しましたがな、イッパイっ!」


自分、チョット怒鳴り気味でした。店の奥からマスターの咳払が聴こえてきた。

静かさが再び。もぉぅコンナ状況は堪えて欲しかった。


「ウチぃなぁ、結婚してたんやでぇ」

「知ってる」 ケドなぁ・・・・・


「シテタ」 ってどぉゆうことやねん? ット心で。 

「マサカ」 っとも想いました此の時。


ナンかを訊きたかったけど、聞けませんでした。

ドンナ風に聞けばよかったんだろうと、今でも想うことがあります。


「何処に行くつもりやったん?」

「ドコニって?」

「サッキ歩いてたやんかぁ」

「久しぶりに映画ぁ観よかぁ想ぉてたわ」

「そぉなん・・・・・そぉぅ」


ぎこちなさの天使が辺りに居座ってるわぁ!

誰かぁドナイかしてくれんかぁ・・・・・・ツクヅクやった。


「ぁんなぁ」 


一緒にぃっと言いかけたけど、アイツが急に立ち上がった。


「チョット電話してくる」


店の入り口辺りの公衆電話まで歩いて行く後姿。

あの時のアイツの後姿とダブって見えた。

モットも、着ている物が昔と違って高級やった。

仏蘭西映画の秘書役の女優が着るような、タイトなスーツ姿やった。

右肩から提げた茶色のバック。ブランドなど無関心な自分が観てもケッコウな代物だと。


「えぇケツぅしてるなぁ○○チャンぅ!」


いつの間にか近寄ってきてたマスター。 銀盆抱くようにして、ツクヅクとした頷きやった。


「エッ!」 釣られて目が遠のくアイツの尻に。


銀盆にアイツと自分の空のカップを載せながらの前屈みで、ワイの耳元に囁くように言ってきた。


「チィフ、逃がしたらアカンでぇ。アナいな娘(コ)ぉ滅多とおらんさかいな」

「ソッそんなんとチャイますわぁ!」

「茶ぁ、冷めてもたやろ。淹れかえたろ」

「もぉぅえぇですわ、出ますさかいにぃ」

「ナンや、もぉ帰るんかいな、モット居ったらえぇがな。なっ!」


アイツを見ると、受話器を肩に載せコッチを観ながら話していた。

開いた手帳にナニやら書きこんでいた。


「そぉや!チョット待っとり。帰ったらアカンで、帰ったら!」


黒色の前掛けを外しながらでした。

ッで、店の奥に向かって言いました。


「ぉい。チョット出るさかいな!」

「出るってあんたっ!何処いきますの」

「チョットや、チョット!」


マスターが飾り窓の外を横切りながら、走って行くのがみえた。


「もぉぅあん人ぉ、ドナイしましたんやろねぇ?」


新しいく淹れなおした珈琲を持ってきた奥さんが。


「女将さんぅ、スミマセン」

「ぃいんよぉ、なぁんも気にせんといてぇ」


「○○ちゃんぅ、綺麗になりはったなぁ」

「ぅッうん。そぉですなぁ」

「そぉですなぁッテあんた。ひとごとみたにぃ言わんときんかぁ」


女将さん、モット何かを言いたそうだったけど、アイツが戻ってきた。


「新しゅに淹れてくれたわ、飲もか」

「すみませんぅ、御馳走になりますぅ」

「えぇんよぉ、ゆっくりしてってなぁ」


「何処に電話したん。って訊かへんの?」

「関係ないわ」

「ふぅ・・・・・んぅ」


また暫く互いに黙りこんで、珈琲ぉ啜っていました。

店の自動扉が完全に開く間もなく、マスターが息を切らせて戻ってきた。
 

「ジッ時間がないさかいな、此れもって早ぉ行ってき!」


少し離れたところにある、映画館の入場切符が二枚、目の前に突き出された。

息が切れかけてるせいか、切符の端が微妙に震えていた。


「たいしょぉ・・・・・・ナンでぇ?」

「今な、伊太利亜の刑事ちゅうリバイバルの映画が上映されてるんや。次の上映がもぉすぐ始まるんや」   


奥から出てきた女将さん、旦那がナニをしようとしたのか悟ったから言いました。


「アンタら、サッサト往ってきぃ」 


「早ぉ行こぉ」 


アイツが眼ぉ伏せ、立ち上がりながら言いました。


「ソッそやなぁ、えんりょしたら失礼やもんな」

「おぃ、切符をもっていかんかいなぁ ァホ!」

「ぁ、どっどぉもすみません。頂きますわ、おぉきにっ!」


アイツ、店を出がけに振り返り、腰を深く折った。

自分も同じようにしました。


日差しも傾き晩かったけど、外は眩しさがイッパイに満ちていました。

それよりも自分。モット心が眩しさでイッパイに為っていました。


「ぁんなぁ、サッキ電話でなぁウチに連絡したんよぉ」


急ぎ足で歩きながらやった。


「そぉかぁ」

「ウチぃ今なぁ、他所で住んどってなぁ、今日なぁ実家に帰るとこやったんよぉ」

「そぉかぁ」

「モッと他に言いようがないんねぇ・・・・・・アンタぁ変わってへんわぁ!」


横目で並んだアイツの横顔を盗み見た。

目尻から頬にと涙が垂れていた。

マスカラが溶け込んだ少し墨色をした濡れ方やった。


アイツ。急に立ち止まり訊いてきました。


「ウチぃ、帰りが遅くなるってゆうたんやけどなぁ、えぇかぁ?」

「えぇも悪いもあるかっ!セッカクこないなことを仕込んでくれた女将さんと旦さんに悪いわっ!」


自分。歩みを緩めずに肩越しに言ってやりました。


「そぉ!人の為なん。 ならウチ帰るわっ!」


アイツ。もと来た道を走って戻りだした。自分、慌てて追いかけました。

ビルの角を廻り込もうとして、向こうから来た人とぶつかった。

ショルダーが吹っ飛び、中の化粧品の小瓶やナニかの書類みたいな品など辺り一面。

舗道の敷石の上に散らばった。


アイツ。蹲って声を堪えるようにしながら泣きだしました。

自分追いつくと、ぶつかった人に詫びながら散らばった品々を拾いはじめた。


「えぇがな。それよか拾うんてつどうたろ」

「スミマセンぅ」

「にぃちゃん、女ぁ泣かせたらアキマヘンがなぁ」

「ぇっ!ぁ、ソッそぉですな」


暫くして、拾うために丸めた背中を軽く叩かれた。


「ぉい、これ」


手渡されたので観ると、役場の書類控えの写しでした。

離婚届の提出日。一昨日の日付やった。


「此れぇ・・・・・・」

「にぃちゃん事情は知らんし聞きとうもないけどな、泣かすなや」

「ぅん。ァッ!ハイ。ぉおきにです」


拾い集めた品をショルダーに戻しながら、ビルの陰で蹲るアイツを観た。

通り過ぎる人が、女を泣かせてドナイしよるんや。ドアホっ!

皆さん。非難の眼差しで通り過ぎてました。


アイツの腕を掴んで立ち上がらせた。

「スマンかったな」

「ウチが勝手に騒いでるんやから、謝らんでもいぃわ」


アイツ。掴んでる腕を振り解こうとしたけど、放さんかった。


「痛いっ!わ。強く握らんといて」


映画館の方に引っ張って歩こうとしたら、アイツ必死で踏み留まろうとする。

仕方がないから腕を掴んだまま、その場で言いました。


「なっ聴いてくれ」

「知らんっ!」

「知らんでもえぇさかいに聴いてくれ」


アイツの耳元で怒鳴って言いました。

掴んでる腕を強く振りながら言いました。


アイツ。急に腕の力を抜きおとなしくなりました。

マジマジとワイの顔を見てきた。


「あんな、ワイお前と映画を観たいんや」

「ワイの為に、イッショに並んで座ろ」


「知らん」


聴こえるかどうかの小さな声でした。


「昔ぃ言えへんかったけどな、一緒になろ」



「ホンマなん?」



アイヅがイッパイやった。ワイはもぉ堪らんかった!

首に抱きついてきた。

自分コンナ所でとウロタエ、力任せに引き離そうとした。


「離さんといてなぁ。もぉぅ絶対離さんといてなぁ!」


自分の頬っぺた、アイツの涙で濡れてしまい滑ってました。


「わかった、わかったさかいもぉ放してくれ」

「キスしよぉ」

「ナッなんば言いよっと!」


自分。人は追い込まれると、生まれた処の言葉が出るもんだと。

初めて経験しました。


「ウチの為にしよ」

「にぃちゃん。したらな男とチャうでぇ!」


何処にもい行かずに残っていた、サッキぶつかった人が笑いながら言ってきた。


ながぁいぃキスやった。


今までにしたこともないキスやった。

往来で、人さんの前でキスをしたん後にも先にもこれっきりでした。

いまだにありません。





コナイナお話しにお付き合いくださり、ありがとうございます。

感謝っ!