【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

姫様 珍妙異聞

2007年07月11日 13時32分37秒 | 大人の寓話


 ≪ 其の弐 ≫

サテぇ、はるか彼方の天界でなにやら、おかしな出来事なんかが勃起しております。

ぁッ!・・・ェ~わたくし只今、出だし早々お間違いなんかいたしました。

スイマセン。 ≪勃起≫じゃぁなくって≪勃発≫です。 ごめんなさい。



「ぁれッ! 爺さんや爺さんッ 今なぁ天の川でなんかぁ光りましたよッ!」

「ハぁあぁ?・・・・婆ぁさんや今なッな、なんて?」

「おッ!じッいぃいさんッ! 天でなんか光りましたんですよッ!」

「ぅわッ!聴こえてるがなッもぅ!アホッ!そないにぃ大ッきぃ声ださんかてッ!ッタクゥ・・・」


只今、爺姥(ジジババ)が会話しております此処はね

絵宙事の天界からは随分とかけ離れております、地面の上。
モノホンの正真正銘の、湿った土の香りがする、地面の上。

ッデお二人は、憧れの(爺様が勝手になんですよ)今ハヤリの自給自足的、田舎生活者です。
一応っでんな、ここん家の主人格、爺様のお名前は ≪次作≫サン。
っで、嫌だ嫌だって何回も言ったけど、次作爺さんに無理にとひっぱられて
いつのまにか数十年も田舎暮らししている、可也なお歳を召されてて
皆からは通称≪トメババ≫って呼ばれております、少々古ぼけた正妻の≪止め婆様≫。

ぁッ!・・・・・まッえっかぁ? トメなんやけど、えっかぁ・・・・


チョット汗ばむ夜に、藁葺き屋根の軒下で、仲睦まじい老夫婦がね
二人仲良く床机に座って風流にも、夜空の星見をと小洒落ています。

ッデこの ≪爺姥:ジジババ≫ なお二方ね、何を隠そうッ!・・・・?
かの有名な ≪かぐや姫≫ さんの育ての親ですねん。


「なにがや、なにが光ったって?」

「爺さんや、天の川の真ん中辺りで、ピカって光りましたんやッ!」

「またぁ、ッチ!婆さん眼ぇが悪いのになぁ、なにが観えるんやッ!この嘘つきがッ!」

「なぁ、なんやってぇ! 」

「ばばぁ!見えもせんもん見てからに、眼ぇがどないかしとるんやろッ!」

「なに言うかッ!惚けたあんたに星見る嬉しさ、叶えてあげようとしてぇック、クソジジィ!」

「ぬかせッ!要らん世話じゃ、どアホッ!酒じゃ、酒が切れたんや持ってこんかいッ!」 ヨッ!春団治ッ!


まぁ元々このお二方、仲はたいそう良かったんですけどなぁ。
ばぁさんが少し誤解しておりますねん。
ホレ、例の、義理娘の≪かぐや姫さん≫のコトで。

婆さんと爺さんの間にはね、お子が居らんかったんですよ。
まぁ、この時代、≪子供は神様からの授かりもの≫って
例えがあるくらいですからね、いつかは授かるかなぁ・・・・って。

ッデも、何時まで経っても授からずに、お互い歳ばかり喰っちゃッテねぇ!

ところが或る日、爺さんがどうしたことか、赤子を連れて帰ってきました。
山の麓の一軒家みたいな所ですからね、そんなに人さんが訪れるはずも無い。
それじゃぁ、何処の何方がこの赤子を捨てはったんかなぁ・・・・?
ッデ姥様、モシカシテ、嘘やろぉ?ぁ、そぉかッ!

確かぁじい様、去年の秋口からナンヤカンヤと理由をつけては
ナにやらメカシコンデふもとの里へと、イソイソト用もないのに何回もッ!

ッケ!・・・・じじぃ色気ついたかッ!

(誤解の無いように言っときますけどなぁ、この時爺様まだまだ壮年期。
  場合によったら、「わしゃぁ未だに現役やんかぁ!」ッナお年ごろでした。)

ッデ、隠し子。爺様のぅ!隠し子ッ!っと。姥ぁ様邪推いたしました。


「あんたッ!この赤ちゃん何処の子なんやッ!」

「知るかッ、竹を切ったらな出てきおった 」

「アホかッ!痔ぃさん、どこぞの世界に青竹切ったら赤子が出るちゅうねんッ!」


ッデこの時、婆さんこぉう考えハッタ。≪爺ぃ、惚けハッタかッ!≫ ット。


【ェットぅ、只今、不適切な漢字表示がありました。
 ≪痔ぃさん≫やのうて、≪爺ぃさん≫ですねん。
 不愉快な想いさせてもて、御免やっしゃでぇ!】


「お前さん、もっとましなことが言えませんかぁ?」

「なにがや?」

「・・・・・・あんた、これなんや?」

「指やがな 」

「ホナこれ? 」

「チョキッ 」

「どや? 」

「パー 」 

「・・・・ハァ~ッ」 ッテ、固めた手ぇに息カケデすねん。

「ぐぅ~ヤンカ、舐めとんかぁワレ? わッ!なに振りかぶってるんやッ!ギヨャッ! 」

爺さん、☆ボクッ!★ッテ頭ぁのテッペン怒突かれたッ!
ババァの握り締めハッタ骨ばった拳骨で、続けてもう片方の拳骨ッ!
今度は、爺さんの反対側の薄毛な側頭部ぅ~!

かんッ!ッテ、可也な硬い塊叩いた音したで~!

「グゥゲッ!・・・・痛ぅ~ぅぅぅイッ痛かばいッ!ナンバすっとかぁ!」

ッテ爺さん頭抱えて蹲り、思わず子供時分に育ったお国訛りが出ますねんッ!

「ぁれ!おかしいなぁ?痛さをお感じしますんかぁ!ホナ、大丈夫なんかぁォ・・・ッカシイナァ? 」

「なにが大丈夫ぅ!ってかぁ?なにさらすんやッ!」

ットここで、頭にきたじぃさん、猛烈痛みを堪え反撃ッってかぁ!
っが、ババァ御見事なる、カウンターパァ~ンチッ!

「げはッ!」ッテもぉぅ!言葉で言い表せないような「げはッ!」ッテ声。
「げほッ!」ッテ方が、ちかい表現かもなぁ・・・・?

「なんばすっとかぁ!ぇ?ぁ!わッ~半紙、半紙やッ!ティッシュやぁ!」

じぃちゃんもぉぅ!鼻から赤い血ぃ垂ら垂らぁ~!


「おじいさんや、もぅチョットお詰めハッタ方が、えぇんとちがいますぅ?」

「ぉッおぉぅ!ほぉかぁ・・・・ 」

鼻の穴に半紙をチッコク丸めたのを、突っ込んでますねん。
鼻血どめになぁ。

まぁぁ、夫婦喧嘩なんてのはなぁ、アンガイこないなもんかなぁって。
何も娯楽がないトッテモ平和な田舎の生活、毎日の暮らしの変化って
たまぁに起こる、夫婦のカァワイイぃ口喧嘩くらいのもんです。

まぁチョット普通の喧嘩からは、逸脱モンやけどなぁ!


じぃさん、夜空指差して

「はれぁ!あなかぁあぁるぅあぁわあ・・・・」

ぇ~いッ!じゃまくさいわッ!次作爺さん鼻声やし
おまけになに想うてか口ぃ開けっぱなしで喋るやろぉ!
マッタク、意味解らんッ!

お後の話の流れの都合上、キッチリ翻訳しときます。惚けッ!

「ぁれぇ!なんかぁ明るくなってるでぇ」 ですねんッ!ッタクゥ。


ッデ、二人揃って夜空を見上げました。

「じぃさんや天の川ですよ、ホレわたしがサッキ言いました、光がッ!」

「へッぇ~! ぇッ、ありゃぁ光とチャウでッ、火の玉やんかぁ!」

「サッキはもっと、チッコカッタんですよ・・・・ぁ!また光ったッ!」

観れば、宙の中で次々と光が現れています。

「なんやッ!イッパイ光ってるなぁ?」

二人とも、まぁこの怪奇現象にぃ魅せられてますよぅ・・・・
ッデここで爺様 タブン? ッテお気づいてきます。

「チョット≪とめ≫なんかぁ、あの光ってるんなぁ、だんだん大きゅうなってコッチにぃ・・・」

「ジッじぃさん、こっちにぃ 」

「バッばぁさん、逃げたほぉがッ!ぁ 」

えぇでッて言葉を吐く前に、まぁアンサン二人とも、歳とは想えん敏捷さッ!
速い早いッ!可也な俊足ッ! これが老い惚゛れ老人の身のこなしかッ!
二人キッチリ背筋を伸ばし、無駄口叩かずひたすらサッサト眼の前の
青いススキの原をどこまでもッとね、突っ切ってゆきますねん。

先ズ眼も眩む閃光ですッ!背後からッ!

ッデ、何の光かと想う間もなく襲ってきました。
今まで二人が生きてきた人生で、体験験したことも無い

耳を劈く爆発音ット衝撃波ッ!

ドッカノ男と牛が吹っ飛んだのと同じようにぃデッセ
吹っ飛んでいきますがなッ! 爺姥(ジジババ)がッ!

飛んだものは、いつかは落ちます。
それがタマタマ萱の原やったんです。

爺姥様、剥き出しの手、腕、脚、顔、首、ッの全部ね
鋭い萱の細い葉っぱで、切りまくられながらね

激しくゴロゴロって転がりましたとさ。

まぁこれで二人とも、仲良く≪おじゃんッ!≫かな?

≪おじゃん:ウットコら地方の可也な丁寧語:お終いっとかぁ:済んだッテかぁ:最後≫


暗い夜のしじまの中で、藁葺き屋根の家が激しく燃え上がる音
今はもぅ・・・爺姥がズダみたいに為って横たわるススキの原や
毎日朝早くから耕していた、猫ノ額ほどの田畑ねぇ・・・・!
燃え上がる炎に照らされて、暗闇とおして辺りに聴こえます。

心よりのお悔やみを添え、合掌ぉ・・・・



ッデ、ここで突然ッ!≪とめ婆ぁ様≫声挙げたッ!


「じぃちゃん!家が突き刺さってるッ! 」

「ぁほッ!なんかが家に突き刺さってるッ!やろッボケッ!」



爺姥ッ!

二人とも生きてるやぁ~んッ!




中編、此処まで。

≪其の三≫にへと、つづく。