【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

猟犬

2007年08月29日 16時43分26秒 | トカレフ 2 
   


バァさんの店に、今、最も逢いたくない職業の

刑事の ≪縄澤≫ っが居った。


深夜営業だけの、番外地のバァさんの店の出入り口の引き戸
木製の戸の枠に嵌まってる硝子は、結露して雲っていたので、
中の様子は、戸を開けるまで判らなかった。

自分、思わず後ずさって、帰りかけたら縄澤に見つかってしまった。


「ぉい、どないしたんや入らんかいッ!」

「急用、思い出したさかいにチョット・・・・・ 」

「こないな夜更けに、なんの用や!」

「チョット、野暮用事ですがな 」

自分、背中で引き戸を閉めようとしたら、店の中からバァさんが声かけてきた。


「ちぃふ、入ったらえぇねん、はよぅ座りんか 」


振り向くとバァさん、カウンターの中で無表情な顔して、菜箸持つ手で四角いおでん鍋を突っついてた。

縄澤、立ち上がっていたのだろう、腰をユックリト落としていた。

自分、仕方なしやけど縄澤から離れた、反対側の壁際の椅子に座った。
縄澤が座ってる椅子、昨日あの白人男が座っていた場所でした。
自分、こんな時にぃっと、縁起の悪さを感じた。


「なにするんや? 」 バァさん、相変わらずぶっきらぼうな物言い。

「いつもんで、えぇわ 」 自分、下向いたまま言う。

眼の前の汚れたカウンターに、此処にしては珍しく、ピカピカに磨かれた新しいコップが置かれた。

直ぐに一升瓶から、直接ヒヤ(冷酒)が、トクトクと音させもって注がれる。
バァさん、細ッコイ片腕だけで、瓶の細ッ首摑んでいた。
その手の甲、握り摑むのに力を込めるから、青黒い血管筋が浮き出てる。

手の甲を見つめてると、バァさんと眼が合う。
バァさん、両眉毛を吊り上げた。 自分、眉間を皺で萎ませる。

バァさん、一回もコップを見もせずに、ヒヤを浪波と注ぎ終わった。
ッデ前歯で噛んでた、小さなコルクの瓶の栓、掌で叩き閉めしながら言います。

「イッツモのイッキ(一気)かぁ? 今日はもぅ酔ッパラッタラ承知せぇへんさかいになッ!」


自分、黙ったまま、コップ半分のヒヤ、咽に流し込む。
此の時、心で想いました。 嘘のお付き合い共演者かぁ・・・・・ッと。

「・・・・・プッハァ・・・判ってるがな 」


「なんやぁ、ドナイしたんやッ!」

縄澤、向こう側の壁に凭れながら、訊いてきた・・・・・ッケ!


「ナンもないです、夕べ呑み過ぎたみたいやから、チョット胃ぃの具合が悪いんですわ 」

「あんたぁ胃薬ぃ、いるかぁ?」 ばぁさん。

「えぇわ、医者で薬もろうてきたさかいに 」


「何処の医者や?」

「・・・・・尋問でッカ?」


「なんぼや(勘定)?」

縄澤と自分の間に座ってた、何かを察した常連の客が、大儀そうに言った。

「○○はん、済まんなぁ辛気ぃ臭ぁになってもてぇ 」

「えぇわいな、なんぼや?」


客が、引き戸を開けて出て行くまで、縄澤、おとなしかった。


「辛気臭いは、ないやろ!」

「なにがや、あないな物言いしたら堅気の素人さんは、迷惑するでッ!」

「今のんがシロウトってかッ?」


「ホナなんやッ! ウチの商売邪魔する気ぃかッ!」

「もぅえッ! 駅前の○○医院ですがなッ」


「ホォ・・・・・ぅ、ヤブ医者かぁ・・・」


自分コップの酒、飲み干しました。

「お代わりしたげよ、コップ戻しんか 」

バァさん、自分が注文しないのに、注いでくれました。
観てると、バァさんの顔に、薄ら笑いが浮かんでいました。

ばぁさん、注ぎながら、背中の向こうの縄澤に、話しだします。

「あんたぁ、ゴチャゴチャゆうてんと、この仔に話があるんとチャウンかぁ?」

「コノコって、ワイのことかいな?」


「お前や、チョット訊きたいこと在るさかいに、こんな店で待ってるんや 」

「こんな店で悪かったなぁ、なぁ~んも喰いもせんで商売の邪魔やッ!」

バァさん、流石に語尾にぃ言い慣れてる「 ッケ!」っは着けなかった。



「お前の倶楽部まで出張ることもないさかいにな、此処で待たせてもろぉたんや 」

「よぉ此処に、ワイが来るって判ってますんやな 」

「お前の遣る事ぐらいはなぁ・・・・・ 」

「 ・・・・・ッデ、ナンの用ですんか?」

ワザワザ、ワイの隣に座り直した縄澤の、肩が当たるのが嫌で、避けながら聴く。

「ナニ逃げるんや?」

「逃げてませんがな、男の趣味はあらへんさかいに 」


「夕べ、ここらで騒動が在ったん知ってるやろ!」

「なんですのん?」


縄澤、ワイの目ぇから目線を外さなかった。
自分、思わずバァさんを見ようとして、堪える。

僅かな時間だったけど、縄澤の揺るがない視線は、如何にもぉ・・・・・ッチ!


「サッ、でけたで 」

バァさん、助け舟の出し方、良く心得てます。
自分の目の前に、仄かな湯気の饂飩の丼置かれるとき。
業とな、丼が割れるかとな音させながら、でした。


「上品に置かれんかぁ、なぁ、おッかッみッ さぁん!」 縄澤

「ヒチミ(唐辛子)とってかぁ 」 自分


縄澤の視線、自分に注がれてるの、嫌でも感じていました。
意識して知らん振りするのも、疲れます。
暫くは、自分の意識、饂飩啜るのに無理にと集中でした。


「饂飩、喰うたるわ儂にも造ったってくれ 」

突然縄澤がッ! 静かな口調でした。

「要らんッ! 犬に喰わす饂飩は置いてへんッ!」 

バァさん、咄嗟ナ間隔で、即座に言い放ちました。


自分、厳冬ナ寒さが此処に、居座ってるかとッ!

傍の縄澤、息を呑むのが判ったッ! 飲み込む音が聴こえたから。
酒の燗する薬缶、沸騰する音が店内の、静か過ぎるのを増します。

自分、饂飩、啜るのが止まっていたので、慌てて再びぃ啜りだします。
汁も、大きな音させながら啜りました、全部飲み干しました。
汁の熱さ、飲み込んでから胃が少し痙攣したので、熱かったのだとッ!
汁、飲み終わったけど、場の雰囲気、壊し難くで静かにぃ丼を置きました。

ッデ、コップに残っていたヒヤ(酒)飲み切ろうとして顎上げて、
傍の縄澤、横目で窺うと、ギラギラな眼ぇした、引き攣った横顔が観えた。

その引き攣った横顔の向こう、引き戸硝子の、外側の通りをタブン
オート三輪トラックだったと思いますが、走り過ぎようとしていました。

自分、今夜もかぁット、揉め事は何処にでも転がってるわぁ!ッテ


「そないに儂が憎いんかッ!」 血相変えて縄澤

「あんたは厭とチャウッ!あんたの仕事の遣り口がッ厭やッ!」 悔しそうなバァさん

「もぉぅええやろッ!儂ぃ独りが悪いんかッ!」

「悪うないッ!唯ッいつまでも覚えてるんやッ!」


「ほならッ!儂にドナイせえチュウねんッ!」

「ドナイもでけへん、あんたは生まれつきの犬やッ!タチ(性質)の悪い猟犬やッ!」


自分、此の時、今までに観たこともない縄澤が居たので、驚きました。
バァさんも、コンナにも脆くって弱い女とはぁ・・・・ッテ、知らされました。

バァさん、悲しみで涙が溢れそうな眼ぇしていました。
縄澤、真っ赤な顔で何かを必死で堪え、我慢してるようでした。


自分、ソロソロ、バイトに行かなければと。
それと同時に、何処に逃げても、騒動からは逃れられんッ!


ナンデや、なんで自分だけがコンナ災難にぃ、遭うんかなぁ!




   

小説家 【 西村 寿行 】 氏

2007年08月28日 00時02分16秒 | メタルのお話し 
 

昨日、この方の訃報が伝えられました。

この作家さんの小説を初めて読んだとき、頭の中の脳味噌が、丸焼けに為るかと。

ある種、薬物中毒みたいな感じだったのかも。


それはね、文字言葉による暴力的なほどの、セックス場面の表現がですね、

わたしの脳の中の意識をね、滅多と遣っ付けてくるようだったんですよ。


初めてな感覚だったので、暫くはこの方のお書きに為ってた作品。

貪るように、読み耽っていました。


この方の作品、映画にも為ってます。

全部観ましたよ、オールナイトでね。


大概、土曜の深夜に、ヨッパラッテ観に行ってました。

ヘベレケに為って泥酔しかかってても、映画が始まりますと眠気も何もね

ドッカに吹っ飛んでいきますよ。


わたしは其れまでは、映画は洋画専門で、邦画はアンマシぃ観てなかったんです。

だからね、邦画を観だす切っ掛けになったのが、この方の映画だったような気が致します。


何時も、何方かの突然の訃報をですね、度々知ったりしますけど

≪西村 寿行≫先生の、突然の訃報には心が悲しく為ってます。



【 西村 寿行 】先生、わたしは貴方の作品のファンでした。

お悔やみを心からです。 有難う御座いました。




  

嘘の 吐き始め

2007年08月27日 17時32分43秒 | トカレフ 2 




明るい表通りから、自分が世話になっている倶楽部が在りますビルの地下に。
途中、踊場がある緩い傾斜の階段降りて、木製の重厚な造りの入り口扉を肩で押し。
まだ開店前の薄暗い店内に入るなり、ワテの顔観てママが、心配そうな顔で声を掛けてきた。


「ちぃ~ふ、夕べはなんぞ在りましたんかぁ?」

「ぁ!ママ、お早う御座います 」

「おはよッ、なんぞかあったんか?」

「はぁ、なんぞって?」

「松也さん、あんたを捜してたよ 」

「ぇ!夕べはバイト休むって連絡いれてますけどなぁ・・・・・」

「なんでぇ?」

「バイトに行く前に、腹ごなししょう思ぉて番外地よってましたんや、

そやけど、饂飩食いもってなぁチョットのつもりが飲みだしたら、よぉぅけ呑んでもてなぁ、

しんどぉなるし気分、悪ぅ為ったさかいに松屋には行ってしまへんねん 」


「なんやそぉかいな、あんたがそないに飲むって珍しいぃなぁ・・・・?」

「ママぁ、松屋の大将ぉ怒ってましたんかぁ?」

「怒りはしてへんけど、なんや慌てゝたみたいやったからなぁ・・・・」

「・・・・・すんまへん 」

「松也はん、なんかぁ大事そうに言うてたさかいになぁ 」

「ほんまにぃすんまへん 」

「わたしに謝ってもしゃぁないやろぉ 」

「はぃ、今夜はちゃぁんと行ってきますわ、そん時に謝りますぅ 」


「そなぃしぃ、ッデどないしたんや?」

ママぁ、ワイが持ってる調剤薬局の薬の袋、爪に赤いエナメル塗った指で差しました。


「ぁ、これなぁ、さっき医者ぁ行ってきましたんやぁ 」


「どっか悪いんかぁ?」

「チャイマス、夕べギョウサン飲みすぎたんで胃ぃがチョット荒れたんやろぅ、痛かったんですわぁ 」

「あんた、そないに呑んだんか?」

「はぁ・・・・チョット夕べは何したか憶えてませんねん 」

「アホやなぁ、今日はもぅ休んで帰るかぁ?」

「もぅどないもないわ、薬もサッキ飲んだし痛くもないさかいにぃ 」


これが、最初の嘘やった・・・・・ッチ!


自分、その日の営業時間中、店が終わってからのことが気になり、頭から離れなかった。
時間中、ママが心配顔で、わいの躯の具合を何回も尋ねてきた。
このママさん、普段は客に対して遠慮なく、ズバズバもの言う口の悪さを売りにしているけど、
店の従業員には、ケッコウ気を使う人でした、だけど今夜のワイに対する気の使いようは
なんとなく、腫れ物を扱うような感じやった。


店がハネてから後片付けも済み、帰りの挨拶をママにしようとしたら、ママの方から言った。

「実はな、あんたが店に着たら直ぐに電話するように言われててん 」

「誰にぃ?」

「松也さんにやぁ 」

「・・・・・そぉですかぁ 」

「うちぃ勝手やけどなぁわたしの急用で、神戸に行ってもろうてる、言うてるんや 」

「ワイがですんか?」

「そぉや、そやからな口裏ぁ合わせてるんやで、なッ!」

「ママ、おぉきに、そないしますわ 」

「ほんでなぁ、これ持っとき、なにがあるか判らんやろ 」


ママぁが、周りを気にしながらワイの右手に、ママの財布を握らせた。
財布は部厚くて、見た目以上に重たかった。


「ママぁ、なんですのんッ!」

「えぇさかにッもってるんやッ!要らんかったら後で反してくれたらえぇさかいにッ 」

「・・・・・・ママ、なんで?」

「あんな、ウチにかて責任在るちゅうことや 」

「責任ぅ?」

「そぉや、ウチがあんたに松屋にアルバイトに行けゆうたやろ、そやからやぁ 」

「行ったん、ワイの考えやさかいに、ママが気にするんおかしいでッ!」

「・・・・・・ヤッパシ、なんぞ在ったんやな?」

「ェ!ッ・・・・・・(ッチ!) 」


自分、心で悔いて舌打ちしました。
ママぁの、誘導尋問にぃ、イッツモ自分は引っ掛かるッ!アホ目ぇっと。


「アテは、あんたが口が堅ぁて言わんのはよぉ判ってる、なんも聴かん、そやけどなぁ

ほんまにあんたが困ってぇ、アテになんぞが出きるんならナンでもするさかいになぁ

そんときは、遠慮したらいけんッ なぁ!」


自分、何にも言えなかったし、何にも言わん方がええっと想いました。


店を出て、階段上がって、まだ賑やかしぃ表の通りに出ました。

近くのテナントビルの屋上の、派手な電飾看板からの明かりで、ママの財布を観た。
高価そうな、西陣織のいつもママが、手提げから取り出してる、あの財布やった。
中身を窺うと自分、吃驚したッ! ○○銀行の帯で封された万札束が覗いてた。

二束かぁ・・・・・・エライ気ぃ使わせてもたなぁ、どないしょぅ?


今夜は、自転車もなかったので番外地まで歩いて行きました。
道々、懐の持ち慣れない大金の入った財布が、妙に気に為ってしょうがなかった。
ッ自分、こんな大金もって歩くのは、生まれて始めてやった。

サッキ、店を出掛けに、わいの背中にママが言いました。


「あんた、なんぞ在っても、兎も角逃げるんやでッ!」


自分、振り返らんと言いました。


「判ってる、逃げるん得意やから、約束しますわぁ!」


後ろ肩で、手ぇ振って店を出ました。


約束が、嘘の積み重ねに為るかもなぁ ット、想いながら階段登りました。

番外地に行く途中、駅前を通ると、最終電車に間に合うようにと、走ってる人が多かった。


夕方、アパートの大家の家で電話を借り、知り合いの駅前の内科医院に予約の電話をした。
そのとき医院に行き掛けに、番外地のババァの店の前を通った。

明るい昼間に番外地を観ると、駅に近いわりにはなんだか、心寂しい雰囲気がする場所だった。
其れは、昨夜の出来事が、何もなかったみたいだ、っとゆうことなんだろう。

昨夜、自分の自転車は、あの騒動のお陰で、線路際に置いたままにしていた。
だけど、何処を探しても見つからなかった。
鍵は掛けてなかったから、誰かがチョイ乗りで持って行ったのだろう。

それとも、もしかしてぇ・・・かなぁ、っと想像したら心が騒いだ。



自分、何かで読んだか聴いたかで、知っていました。

嘘は、如何ぅ言っても嘘なんだと。

だから全部が嘘な嘘なら、いつかは何処から、嘘が綻んでバレるッテ

自分、痛くもなかった胃を痛いと言って、知り合いの内科の医者に診察してもらいました。


「かっきゃん、何ッ処も悪いことないでっ!どないしたんや?」

「せんせぇ、悪いって自己申告してますやんかぁ、薬ぃチョウダイかぁ!」

酒焼けで真っ赤な鼻を指先で擦りもって、目ぇで物言いながら処方箋書いてくれた。

「軽い胃薬と、栄養剤ぃ入れといたからなぁ 」

「おぉきにぃせんせぇ 」

「診察料、要らんさかいにな、その代わりぃ、ヤヤッコシイぃことやったら、二度と来んといてかぁ、なぁ?」

「ぅん、せんせぇ、そないしますわ 」


医院の扉から外に出るときに、二度とってぇ・・・・・ッチ!
こんなん、此処でぇ何回目やったかなぁ ット。



嘘が、厭でも嘘塗れに為るようにぃ、しますんやろなぁ!




  

逆転現象

2007年08月26日 01時24分58秒 | メタルのお話し 
  


何かが欲しくなりまして、ウットコの妻さんにね、勇気を出して買っても良いかと尋ねることがあります。

まぁ・・・・まともに取り合ってはくれません。 ハナから完全無視です。

相手にもしてはくれませんなぁ・・・・・・


『このオッチャン、ナニ寝惚けたこと、お抜かし遊ばしてますんやろ、ヤッパリ阿保やわッ!』


ット、キっちリ、ハっきり心でね、想ってるで~! ッテなお顔です。

じぃ~ット・・・・こちらを見返してきますなぁ・・・・・コワイ!


わたしはね、ダイタイこの時点で諦め状態に為ってます。 ダイタイね、ダイタイぃ・・・・・

ですけど、如何しても未練たらたらで、寝ても醒めても、何かをしてゝも、

お口を半開きして ≪ぼぉ~≫ッテ 為ってても、ヤッパシ、欲しいぜッ!ット為りますと、もぉぅアキマヘンねん。

ナンとか嘘吐いて騙くらかしてでも、購入の許可をいただかなくては。ット。


ッデ、以前だったらね、色々と小細工をいたしました。

ナンとか「買ってもいぃよぅ」 っとか 「お好きに為さったらぁ」

ッテ言ってくれるように、もっていけたんですけどなぁ・・・・・・

最近は如何もなぁ、この手があ使えんようにぃ・・・・・アカンカァ?



「アッチコッチに置かんといてください、もぉぅ!邪魔になるわぁ!」 ッテ妻が。

「ぁ!コンナトコに在ったんかぁ!」 惚け上手なアホぅ亭主が。


ッデ、ニ、三日して股ぁ、同じ物が違う場所にぃ・・・・・


「おっとぉさんッ!もぅ!どこにでも置いたら駄目よぉ~!」 妻デッセ。

「ぉ~!ッ済まんスマン此処に在ったかぁ!探してたんや、見つけてくれておぉきにッ!」 ボケ亭主や。


ッデ、股股、玉玉ナ、暫くした或る日ぃ・・・・・


「チョットあんたッ!なに考えてますのん、片付けるって言ってたのとチャイマスのッ!」 山ノ神、お怒りです。

「ぇ!ッ、ぁ!ッ、ゴメンゴメンごめんご(?)なんで此処にあるんやろぉ・・・・」 ヤッパシ、アホ亭主デッセ。


ッテな感じでね、アッチコッチにと、手に入れたい物のカタログや、その製品なんかがね、

特集記事で掲載されてる雑誌なんかをですね、偶然を装って、ワザト目に付く所に置いてますねん。

それもね、可也な長期に渡ってですよ。 仕込みますねん。

一回二回、三度や四度じゃぁアンサン、トッテモトテモッ!効果なんてありますかいなッ!


「なぁ、コレってこの本にかて、特集扱いで載ってるわッ!ほれッ(ミロ)!」

「ホレって・・・・・、半年前のんとチャイますのぅ、この本ぅ?」

「ェッ、あッ!そぉやなぁ、そやけど此の前買ってきた本にも載ってましたでぇ~」

「この前ってぇ・・・・いつ?」

「イツって、チョット待ってんか取ってくるなッ」

「ぁ!いぃんですよ、おとぅおさん、見ないからいいって、おとぉぅ・・・・・サン」


「なぁ、いまだに載ってるやんかぁ、ヤッパシえぇもんはええんやでぇ!」


ット、徐々にですよ、わたしの欲しい物にね、毎日の会話の話題に、お近づけ。


まぁ、一種の心理戦やろなぁ。

ジワジワとですね、妻さんの意識の中にですよ、ワテが欲しい物を拒絶していた想いの中にね

妻さんが興味を持つようにぃ・・・・・ット、浸透させますねん。

阿保亭主に買わせはしないけど、阿保ナ亭主が何故にその物を欲しがってるのかなぁ?

ッテ、そっちの方に興味をもたせるようにしますねん。


ッデ或る日、演技派ボケ亭主、今回も一世一代のなぁ、見え見えなクッサイ演技を致します。


「はぁ~!」 っと溜め息吐いたり、なんだか疲れたような感じで

「この頃ヤル気が起きんなぁ・・・・ナンデヤロゥ?」 ッテ、呟いたり

「なんかぁ、ストレスがなぁ・・・・・イッパイだぁ」 ・・・・・嘘デッセ。


ッデ、妻さん、夫が生まれつきの阿保ぅでもね、そこはヤッパシ夫婦、チョビットは心配しますねん、これがッ。


「おとぉさん、最近、どうしたのぅ?」

「ぅん、なんかぁ、しんどいんやぁ、なんかなぁ・・・・・」

「どうしたら、気分が優れるんかなぁ、おとぉさんぅ?」


ッテなことを、ワタイの、よぉぅでけた妻さんが、喋ったらッ! ほれ、ほら、なぁ!遣ったぜッ!

あとは、焦らず急がず、お心穏やかにぃ、段取りもよろしくなぁ、静かに深く潜行いたしますようにッ!

妻さんの、阿保でも亭主を労わる、思いやりある優しさに付け込んでッ!

俗にぃ某社会系で言われます、キッチリ型に嵌めたるッ! チュウ様に持って逝きますねん。ハイ


ですが、だが、だけども、あきまへんッ!

此処最近、この手がマッタク通じなく為って来てますんやぁ!


敵も猿(?)もの、長年此の様なワタイの遣り口に、お勉強してきましたのか。

何時の頃からか、この遣り口がぁ、お慣れになったのか、効き目がぁ・・・・・豚とナイナイッ!


「おとぅさん、そんなお金がどこにぃ?」

「おとぅさん、モットお稼ぎに為りはッテ、オッシャッタラいぃんと違いますかぁ?ねぇ?」

「おとぅさん、宝くじぃ、イッコモあたりませんねぇ?どうしたのぅ?」


他にもね、色々とイッパイ言いますねん。モットイッパイッ!


「おとぅさん、アレとコレとが今要りますぅ!どうしましょぅ?」

「アレがアレだからぁ、あとねぇ、餡なのが要り卵ぅ・・・・ネッ!買うからぁ」

「そぅだけどぅ、他にも要りますものがね、アレもコレもと、ぁ!あの服もぅッ!」


ほかにもね、色々とイッパイ言いますねん。 男が思いもつかない、女しか思いつかない必要な物をッ!


まぁ、段々と形勢と言いますか、家の中の勢力図と言いますか、完全にぃワタイの負けがねぇ・・・・

最近、連続して大負け状態ッ! この頃は、なんだかね、自虐的にぃ為ってますねん。ワタイ。


お蔭様でね、以前から欲しかったね、憧れのスクータ~

死ぬまでお預けだぁ!

もぉぅワタイ、諦めますなぁ・・・・・・クッソゥ!


どないかして、この逆転現象なぁ、挽回することできんかなぁ?




バイク、欲しいけど、金がぁ~!

ヤッパシ、妻さんがオッシャルとうりに、≪宝くじ≫頼みかぁ・・・・・ッチ!



  今夜も呑んでやるッ!



   

夏祭りの夜の幻想世界

2007年08月15日 00時12分14秒 | 異次元世界 
  



むかしは、その時代のせいか、今、祭りの夜に見られる夜店のように

派手な電飾を灯し、色々と趣向を凝らした露店はあまり見掛けませんでした。

売られてる色んな品々、奇妙に光ったりしたり、彩色した樹脂で作られた玩具類。

お菓子なんかも豊富な種類で、幼い子なら目移りしそうなほど。

昔はそんなに沢山な種類はなかったように、記憶がわたしに話しています。


普段は人気もない鎮守の森の神社、その表参道から境内までの石畳の道

道の両側に並ぶは、簡単なテント拵えの露天、その軒先から吊り下げられた祭り堤燈。

それは祭りの夜だけの、なんとなく心が騒ぐ賑わい世界。


売り物は自然が育てた色々なもの それをあれこれと工夫して

見た目も食をそゝるようにとやって、祭り見物の客が興味を抱く様にと

露天商のテキヤは、それを口上で売ろうとします。

今宵だけのと、夜店の雰囲気お楽しみ客

それを聞きながら、本意で買おうといたします。


夜に燈す灯かりもです。

今の時代みたいな、発電機廻しての明るいものじゃぁなかった。

暗い参道の両側に並んでる、蝋燭燈す行灯や提灯。

露天の店先には、良くてトーチランプか灯油のランタン。

稀に、ポツンっと立ってる電信柱の、暗めの裸電球外灯。


だからね、祭りの夜の朧気世界は、仄かな人の影姿が集まり溢れて

何処かにへと、そゞろで流れて往きましたよぉぅ。


祭りの夜だけだよ、っと、親は我が幼子に棒の先に吊るした空き缶で

小さな蝋燭を灯す簡単なランプをね、作ってあげます。

子はそれで、この夜だけにと許されし火遊びに耽ります。


黄昏の夕立奔った後、茜色の夕陽と共に、大人も子供もゝ待ちどうしい

今夜限りのと、想いとともに宵祭がやって来ます。

子らは、近所の遊び仲間と連れ添い、互いの親が作った缶詰ランプを見せ合います。

それから限り有る本数の最初の蝋燭に、マッチがもどかしく擦られて灯されます。

儚げな、黄色い蝋燭の炎がです、子の顔と心を照らします。

嬉しげに、小さな瞳が炎を見詰めます。

頬を緩めます。 無心なほころびで。


棒の先に吊り下げた灯かり。

子供には、足元を小さく照らす明かりが、凡てな世界でした。

祭りのですよ。


闇は一際に、祭事が執り行われる境内の周り、暗くいたします。

そこに続く、踏み磨り減った石敷き道の両側に、朱塗りの柱の行灯が並んでいます。


巨木の朱色が剥げ掛けた、闇に佇む大鳥居。

二人で潜って抜けると、暗闇の向こうがわに光の賑わい広場が。

わたしは無言で何かゞと、淡き微かな物、胸に抱いてました。

君は此の時、なにを想うていましたのでしょう。

心の想いを確かめたくても、暗さな夜の雰囲気、何故にと聞かせませぬ。


賑わい境内広場に近づくと、人の蠢く影ばかり。

蒸し暑さがと、溢るゝばかりの人息れ。

人の声、竹やぶ笹が風になびくよな、ザワザワザワの集積。


いまだ青二才の若者は、周りのそれに意識負けして酔いました。




歩きながら夢想に耽ります。

おもわずに、傍らの柔らかい手の甲触れ合いました。

勇気をふるって握り締めます。 すると、強さが返って来ました。


人ごみをかわす振りして、顔を横向きに。

祭りの明かりに照らされし、輝き映した瞳がこちらを。


わたしは想いが眩しくて、視線を逸らしました。


祭りの夜は更けます 何もしなくても夜は深まって往きます。

想いだけが 今夜は何処にも往けずに、濃密に積もります。

歯痒さが心で軋みます。


想いの彼女の浴衣が、闇に紛れます。

追います、手を繋いだままで。 逸れまいとして。


境内をめぐる生垣を抜けますると、闇だけど、祭り灯りで薄暗な河原が。

さらさら流るゝ天の星映して光る川面の両側。

薄暗な河原では、祭りの夜風に吹かれて、背高い草の影が揺らめいてました。


河原に下りました、川と岸の境目にいきました。

下駄が、河原の砂利を踏みます音、水の流れ音切ります。

水に下駄ごと足首まで。

手を繋いだまま更に、流れに踏み込みました、

わたしは手を強く引かれて、斜めにたたらを。

躯は仰け反り横向きに、手が離れて空を摑みました。


背中から水に。


貴女の笑い声、空に向かってけたたましく。

わたしも、釣られて笑いました。

水の中から仰ぎ見る、星の明かりが綺麗でした。


土手の堤の上で 誰かが花火を。

鮮やかな閃光が 瞬いていました。



もお一度、無理を承知で、出来る事ならばと

あの時にぃ戻れたら良いなぁって。


想うん、あかんかなぁ ?




    

漫画家 【 こうの 史代 】 女史

2007年08月06日 02時28分49秒 | メタルのお話し 
   

もぉね、泣きました。

如何にもこうにも、出れば嗚咽みたいな泣き声がでしょうに、顎を噛み締めて堪えてましたよ。

漫画で表現するお話しがですね、こんなにも人の心をやっつけるのかと

わたしはね、この本を読みながら凄く驚くんですよ。


作者の ≪こうの史代≫ さんの細い線で描く漫画はですね

派手な飾りもなく、綺麗な彩色もしておりません。

読んでる人を驚かそうとか、何かを訴えかけようとかはですね、してないと思います。

嘘とか想像で、とかは書かずに昔在ったことだけを、線で描いておられるように思いました。


わたしは世の中のことを、どうこう言うつもりはないけども、なんだかね

人さんの心の中から、優しさが減ってきてるんじゃぁないかなぁ、っと。

それで、ゆとりの教育がどうとか苛めがあるとか、この頃の世相はね

なんだか狂って着てますかなぁ っと。


太平洋戦争が大負けしたのに、終戦と言って敗戦を誤魔化し纏めてしまったから

なにかが言いたくても、なにも言えなくなってきたような気が致します。


言い方はちょっと語弊があるかもしれませんけど、わたしは戦争がね

如何だったとか、正しいかったとか悪かったなんて、如何でもいいんですよ。

それを言い出せば、きっと正しい国なんか何処にもないんだと思います。

ただね、死んだ人間には、もぅ何も言いだせませんからね。


あなたに、何かに悩んでるお子さんがおありなら、この本を読ませなさい。

あなたの心が、棘々しく為ってるのなら、手にとって読んで見てくださいな。

自分の心に優しさがあるのかなぁ? っとお思いなら自分を見つめることができますよ。

人から何かをしてもらいたいのなら、一度だけでいぃからね、お願いですよ。


涙は、流しますとですね、気分がなんだか穏やかになりますよ。


広島と長崎の原爆は、決して許されるものではありません。

だけど、記憶はですね、段々と人の心からは消えてゆこうとしています。

テレビの中の記念式典だけの、ものに為りつゝあるのかも。

戦争では、人が死んでます。

今度また、もしも戦争がはじまったら、もっと悲惨なんでしょう。


日本の学校の教育で、優しさを教えるのなら、教科書になる漫画があるのに。

この本 「 夕凪の街 桜の国 」 採用しないのなら、勿体無いことです。



  

幻想夜話

2007年08月04日 00時43分07秒 | 幻想世界(お伽噺) 




初夏の なに想う寝苦しい宵

慰めは蛍です


床机に座っています 貴方と少し離れて 

想いとは裏腹でした 傍にです


闇に輝く小さな赤い点 蚊遣りが匂います

想いが 視えない夜の向こうにと漂います 


闇の壁 透き通るかと 静かに眺めました貴方と 


暗闇に 流れる音だけ聴こえる小川の向こう

瞬く黄色い点々 いっぱいです

蛍です 無数の蛍です

闇で見えぬ川面に点々 映っています

数え切れません



あなたの 浴衣の袖をたくし上げた左手 キリコ硝子の冷酒の徳利

二人の間の 氷水を満たした木桶から 氷を鳴らして取り上げます

右手に竹骨の団扇 藍染の浴衣の裾からのわたしの足元 扇ぎます

薮蚊だから


ほれこれぇ、気ぃつけやぁ

蚊ぁがぁ好きやぁ~ってぇ刺しよりますよぉ って

扇ぐ風が裾から忍び込みます ぬるい想いの風

わたし 溢れる想いの溜め息 潜めます

吐息も


夜の黒色な向こうから 貴方がわたしに掲げます キリコ硝子徳利

キリコの刻み溝 映す星明りが仄かに 仄かにこちらにと 

粋ぶってわたしが差し出す硝子の猪口 そぉっと 注いでくれます 

満たされます あなたの想いの丈が


少し溢れました 


溢れた雫がです 玉になって星明りをです

映しながら ゆっくりとです 私の膝に落ちました

闇の感覚が そう魅せました


冷たさが またぁ吐息を誘います

吐けば 尾を引いて 静かに流れ出ました

察した蛍 刹那に尾っぽの黄色き光 消し去り

透明黒色な闇に 逃げ込んだのかと 


噛み締めた唇 開いて含みます

熱い冷たさを  限りにと含みましょうかと

貴方に解からぬ様に 舌で味わいます 

貴方のわたしをの 思慕を

細くゆったりと 想いを心で語りながら 嚥下しました


闇の向こうに ご返杯 

硝子に映す星明りが 向こうに

闇に一度 潜めた様な硝子と硝子が触れ合う音 


注ぎました 見えませんが 呷られます 

飲み込む音だけが 聴こえます

貴方からご返杯 映す星明りが 直ぐに注がれます


暗闇に 秘めたる酒宴 盛ります

お肴は 蛍

蛍の 仄かに耽るように瞬く光 想いの瞬き


朝は来ません様にと 念じます


酔いが 浴衣の裾を乱れさせます

氷が溶けた木桶 地面に落ちました 

地面が 濡れました 


星空が 広がりながら映ります 


闇夜に硝子が割れる音 小川の向こうに響ます

吐息が闇に浮かびます 虫達が黙りました




わたしの片足の下駄が抜けて カランって鳴りました


音 闇に響きました





   

≪逢瀬橋≫の真ん中で。

2007年08月01日 12時58分08秒 | 大人の寓話
  


「旦サン、怖いがなッ!」

「ぁほッ!お前が覗かんで誰が覗くんやッ!ボケッ!」

「ボケッって、そら酷いわッ!」

「ゴチャゴチャゆうてんと、サッサト観てこんかいッ!」


ッデ彦さん家族の仔(マッ、世間ではペットとも言うな)≪牽牛黒助≫のデッカイおいどをね、蹴りハッタ。


【注釈】 読み≪おいど:オイド≫

    ェットぅ、天上界の可也≪ハイソ≫な関西方面辺りの、ケッコウ上品な言い回しで
    けつッテ言ぃ、ぁ!ィャッ!ッチ!・・・・お尻ですよ。尻。
    この場合の使い方とシテハ、牽牛黒助のデッカイけつをね、ぁッ!股や、ワッ!チャウッ!

    為るべくコレを覗きハッテルみなさんがね、お聴き苦しくないようにっと
    上品にとの作者のね、サラリとした思い遣りデッセ。 
    

ッデ黒助、天の川の上に架かっております、アマリにも大きすぎて向こう側がトンと見えない橋≪逢瀬橋≫
ッの真ん中に突き刺さっております、デッカイ筒状の物体まで、恐る恐ると近寄っていきます。
その後ろには彦さんが、これも股、可也なおよび腰ながらもですけど、ついて行ってます。

「旦サンッ!だんサンッテ、押したらアカンッ!危ないッ!危ないがなッ!危ないッテばぁ~!」

黒助、必死で両脚(両腕かもぅ?)踏ん張って「危ないッ!」ット
そらそうですなぁ、先ほどの大爆発の原因が、この幅広い≪逢瀬橋≫の真ん中に
お見事にも突き刺さってオッ立ってます、デッカイ筒状の一物(イチモツ:ケッシテあのブツやオマヘン)
ッがね、ソモソモのこの騒動の原因ですねん。

「ぅッ!ぎゃッ!熱ッ!う~!」

黒助、頬っぺた、デッカイ筒の表面にクッつけハッタッ!
っで、ジュ~ッ!ッテ音して、なんとまぁ!ギュウステ~キの焼ける香ばしいぃ匂いがッ!

「熱ッ熱ッ!アツアツアッツう~!!!!ッ 」

黒助、右手で頬ッペタ押さえもって言います。
(ぅん?ぁれぇ?・・・・ェットぅ右前足かなぁ?・・・・マッ、ェッカ、ヨシトシヨウ)


此の時彦様、こぉぅ思うたそうな
≪ざまぁ~みろッ!ナンやカンやと憎まれ口叩くさかいやッ!へッ!≫ッテ

地球では想像しても、絶対に現実感が湧かないほどの、ホンマに大きな≪逢瀬橋≫
今そこには彦さんと黒助しか居りませんネン。
橋の上で見上げれば、満天の星々の輝きがッ!
時折ぃ、細い光の尾を伸ばしながらぁ流れ星などがッ!
ッデ橋の下にはromanticにも、綺麗に輝く星がサラサラとぅ流れる川がぁ!

ホンマやったらと彦さん、この橋の上で姫ハンと二人っきりで、たまの逢瀬に励んでるかもぅ。
っと、心の中で想っていますと、闇を劈く(ツンザク)怒声がッ!


「旦サンッ!殺すきッかあ~!われッぇ!」ッテ

クロさんトッテモお下品やんかぁ~!

「ぁあ~んッ?殺すッテなんやねん、自分で勝手に頬ッペタくっ付けといてナニ因縁つけるんやッ!ボケッ」

「旦サンが後ろから押すからやッ!」

「わかったッ!解ったがな、どないなんやチョット見してみぃ」

「ぁッ!ぇえッ・・・・、ナンかするつもりやろ?」

「せぇへんがな、心配してるだけやがな、どれ見たろ 」

「・・・・・ぃッ!たいがなッ!」

「チョット触っただけやで、なにが痛いねん、傷ぅホンマに大したことないわ」

「大したことないぃ?」

「ぉおぅ、そやでそんなんな、タレ塗ったらえぇねん」

「たぁれぇ・・・・?」

「ぁ!チャウッ!薬や 」

「ぁ~!焼肉のタレッテやろッ!」

「間違いやゆうとろぅもんッ!ゥッサイなぁ、ッタクぅ」


ット、ロマンチックもなにもアリャァセンこの馬鹿騒ぎッ!風なトッテモ豚珍癇な問答が暫く続いておりました。
すると橋の真ん中にオッ立ってますイチモツが、ぁッ・・・・大筒ですよ。ハイ
あんな爆発がありましたからね、突き刺さってる根元の方は多少の凹み傷くらいは。アル。
その上のほうの、透明感ある艶々な薄緑色した表面に、ポッカリと穴がッ!

ッデ最初は小さかった穴が、段々と大きくなるにしたがって、ナニやらまぁるいブツをなぁ
まぁ・・・・例えは悪いけどなぁ、まるで何日もウンコが出なかったのを
今日こそはと、力みに力んでぇ!ウンコッ!ッテ、ワッ!マチガイヤァ!ウンショやぁ~

今日こそはと、もぉぅ水戸黄門様ぁ切れてもえぇわぁ~!
ッテな感じでカナリ力んでぇ、ウンッショッ!ッテ力んだらです。ハイ

ッデ段々と広がるその穴の中から、半分づゝ赤と黄色のニ色に色分けられた
デッカイカプセル薬ィかぁ・・・・・なぁ?
ッガ、徐々にぃヒリ出されましたとさ。ぁッ!・・・・・もぉぅエェ、ドナイデモせんかいぃ!

爆発の残骸が散らばるその上に、ウンコ、落ちました、トン、ッテ。


「旦サンッ!アリャなんなん?」似合わぬ怯え声ぇ・・・・クロ目が

「なんッテ?・・・・なんやぁ?」


ッデ、二人ッ!吃驚します・・・・(一人と一頭カナァ?ヤヤッコシイでぇ!)
カプセル半分の赤色がッ! 強烈に光って点滅します。ネン。
眩しいとか、目眩むとっかぁそんななぁ、生易しいんとチャイますねんッ!

二人とも?慌てて同時に眩く光るカプセルに背を向けます。
痛いほどの眩しさで、目の股ぁ、・・・・・目蓋ぁデッセ
目蓋ぁ強く押さえもってなぁ・・・・・ッチ!

≪キッチリね、網膜焼き切れたぁ~!≫

ット、お互いにぃ同時に思ったそうなぁ・・・・・ハイ



さてさて、かぐや姫の育ての親の爺婆が、偉い目に遭ってます地球のほうじゃぁ
かの有名な≪金太郎ハン≫の成れの果てがね、滅多とナイ大活躍しておりますねん。

「わぁ~いッ!バッちゃん壊れたぁ~!」

ッテ、大喜びしてますよぉ~!
爺様ぁ、ナンでワイだけがぁ、こんな目ぇにぃ・・・・っと

お嘆きですよぉ・・・・・堪らんッ!




中編の後編、此処まで。

≪其の伍≫にへと、つづく。