【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

ありがとうございます

2007年12月31日 22時43分08秒 | メタルのお話し 
  


わたしみたいな我侭者に、この一年、お付き合いくださって、心から感謝いたします。

みなさまのせっかくのコメントに、お返事もろくにいたさず、申し訳御座いませんでした。

自分の都合だけで、ブログをいたしてきました。

それなのに、いつも、優しくしてくださって、助けていただきました。

ありがとうございます。


今年一年、申し訳なきことばかりの積み重ねで御座いました。

もぉぅ、来年になろうとしております。

キッと、いぃ年がやってくることなんでしょう。

みなさまに、よきことがたくさん御座います、新しい年でありますように。


ありがとうございます。




  

あしあとウィジェット

2007年12月29日 00時05分54秒 | メタルのお話し 
≪あしあとウィジェット≫を、ナンとか物にしようと思ったけどなぁ・・・・

カスタムテンプレートじゃぁないと、駄目だと。
ッデ、散々苦労して、やってはみたものの、センスのなさがぁ・・・・

まぁ、これが今のワタイの頭でできます範囲ですなぁ。

けどぉ・・・・ヤッパシ、見た目がなぁ・・・・


ボチボチ改良しましょうかぁ・・・・タブンこのままやわなぁ



  

青い眼

2007年12月22日 01時18分20秒 | トカレフ 2 
 


寝不足な、疲れ身体に寒さが深く凍みこむような、
忘れ雪が今にも降りだしそうな、晩やった。

南北に長いアーチ状屋根の、駅前商店街の西裏通りに、
知りあいの街医者がやってる病院が在りました。
自分ら、歩いてその病院の前に往きました。

錬鉄製内側両開き門扉、堅く閉じられ、
元々瓦斯燈だった両側の門柱灯、明かりが消えていた。
其れ、無理やりに電球を燈せるように改造し、時代遅れな感じがしていた。
門扉格子の隙間から覗くと病院、明かりが全て消えていました。

門扉の内側には時代劇映画の、江戸時代の牢屋の場面に観るような大時代がかった、
大きく重たそうな、見た目も頑丈な赤錆が浮いた錠前、掛かっている。
冷たい鉄格子を素手で握り、押したりしながら揺すると、
錠前と繋がれた鎖、鉄格子に当たり金属音。

仕方がないので裏の緊急通用門へと、暗い路地に入り、足元に用心しながら進む。
足音を忍ばせながら歩いてると、フトッ想います。

いッつも此処を訪れると、病院の医師にぃ迷惑をかけるときしかぁ・・・・・ット。
珍しく自分の心、忸怩たる想いに刈られます。

小さく ッチ! っとした心算の舌打ちッ。
暗さな細い路地に、思わずな響きかたいたしました。


此の日の昼間、ママぁと示し合わせ、午前中に眠気を堪えてバァさんの家に行きました。
初めて訪れたバァさんの家、ケッコウなおウチでした。
家の場所は何処とは言えませんケド、真夜中に、時化たオデン屋を独りでやってるとは誰も想わん、
ババァの独り住まいとは、マッタク考えられないような、ケッコウナお住居ヤッタ。

「ぁんたらチョウドよかったわぁ、ウチな急用で今タクシー呼んだトコやねん 」

「ぇッ、姐さんほんならドナイしましょぅ?」

「センセェにはサッキ電話したとこや、センセェも夜中の方がえぇゆうてましたさかい、今夜なッ!」

ッデ、自分が与り知らない人に遭う予定は、バァさんの急用で、真夜中に予定変更となった。
ママぁ、ヤッパシ最初から、バァさんがワイぉ誰かと遭わせると、トックニ知ってるみたいでした。

バァさんの家からクルマで帰るとき、運転しながらママぁに訊きました。

「ママぁなぁ、謀ったんかぁ?」

「謀ったッなんてアンタ、人聞きの悪いことゆわんときッ!」

「・・・・ッチ!」

「その癖ッ、直さなァカンでッ!」

「・・・・ッチ!」



「お前なぁ、もぉ勘弁してほしなッ! 」

ット、医者には似合わない、ケッコウナ濁声で。

「センセェ、ウチがわるいんですぅ 」

ット、ママぁ、普段の言動からは想像もできん、精一杯の謝り言葉ぁ。

自分が世話になってる倶楽部のママぁと、番外地のバァさん、そして自分。
三人連れだって深夜に、駅前商店街裏スジ通りに在る、某医院に着てます。

「ママッ アンタには借りがあるけどな、コイツにはないねん 」

っと、何処かの学校の不良教師が、苛立ちも露にしながら生徒をチョークで指差すように、
白いものが混じった無精ヒゲ面の、老いぼれ医者が火も点けていない煙草で、
ワイの胸目がけ、指し示しながら言った。


「此の前、もぅ堪忍してくれ言ったやろ、違うかッ!」

白衣の前のボタンを閉じないで、毛糸のチョッキを見せ椅子に座った先生、
下から見上げるようにしていたので、先生が掛けているロイド眼鏡、
レンズが天井の電燈の明かりを反射し、表情が読みにくかった。
だけど、ケッコウなお怒りなのは益々な濁声でッ!判る。

自分、なんとも応えようがなかった。ただぁ顎を堅くし、奥歯を噛み絞めるだけだった。

クレオソート消毒薬の臭いがする、そぅ広くもない診療室。
机が壁際に在り、その前に椅子がニ脚と血圧を測るときに腕をのせる一本脚の台。
反対側の壁際に、白いシーツを敷いた診察ベッド。
真向かい窓下には三方硝子張りで、中に包帯や注射器、素人が観ても解らない
難しそうな医療器具なんかが並べられている、ガラス扉の背の低い戸棚が座ってます。

人が三人も居れば、息苦しいような部屋の広さ。


「此のコぉ(ワイのことです)巻き込んだんわ、ワテのほうですぅ、せんせぇ 」

「姐さん、ウチの方が悪いんでっせッ! 」

「ナニ言うてるんや、ワテがアンタに頼まなんだら、こないに為ってませんがな 」

「ナンやねんなぁもぉぅ!ッ、ホンナラなにかいコイツはなんやねんなッ?」

医者がワイぉ、火が点いた煙草で指差し言うと、三人の視線が自分に纏まって注がれた。

「ぇッっとぉ・・・・・」

「ソッそぉですなぁ・・・」

ママぁと、バァさん、揃って言いよどんだ。

先生、立ち上がると部屋隅の、白いホーローの洗面器で丁寧に手を洗う。

「まぁえぇ、ッデいつ引き取ってくれるんや?」

「センセェ、もぅ少しぃアキマセンやろかぁ?」

「無理や 儂(ワシ)かてこれ以上は巻き込まれとぉないねんッ! 」

ッデ医者さま、煙を吐きながら、入り口のカーテンを身体で押し開き、出て行った。


「姐さん、これ渡そぉかぁ?」

ママぁ、ハンドバックから分厚い、茶色ッポイ封筒を取り出しながら言います。

「アカンって、今そないなもん出したら、センセェよけい怒りますがな 」

自分、タブン中身は札束やろ、っと想像しました。
封筒の厚みは、自分がこの前ママから預かったときの、札束の厚さぐらいでした。

暫くして、廊下の方から話し声が聞こえ、自分の名前が呼ばれる。


廊下の奥の方の、病室のドアが少しぃ開いていたので、歩いていき問います。

「入ってもよろしいか 」

「なんぉ遠慮しとるんや、入らんかい 」

ドアを開いて、薄暗い部屋の中に入りました。

そして、部屋の暗さに目が慣れると、暗い部屋の天井の、電燈の豆電球の明かりで視えるのは、
観たくもないものでした。だから自分、息を呑んでしまいました。
言葉がでません。なにかを喋ろうにも、マッタク出てきませんでした。

ナンでこんなんが、此処に居るんやッ! 胸の中で叫んで考えました

白ペンキ仕上げの鉄パイプで組まれた患者用のベッドが、小さく見えるような物、横たわっています。
其れはまるで、牛のような四脚の獣が横たわっているようなと、異様な感じがするくらい、大きかった。

ベッドの傍らに佇み、脈を診ている医師が、子供みたいに見える大きさやったッ!
自分、如何してやっ?っと訳が判らなかったし、暫くは既視感に襲われてしまってた。
暫く前にこのくらいの大きさの生き物、観たことがあったから。
再びこんな所で遭うとは、想いもしなかったッ!


「セッ!せんせぇ、ナンですのんこれッ!」 自分、ヤット出てきた言葉でした。

「なんや?珍しいぃんか 」

返事もできんかった。再び息が苦しくなって、言葉に詰まりましたから。


ベッドに近づこうと、脚を踏み出したら暈が襲ってきそうやった。
イッソノコト、その方がえぇかもッ!っとでした。

だけど、化け物ッ!っと自分、再び想います事が、ナンだか懐かしく為っていました。


最後に、化け物ッ!ぉ観たのは、闇夜の線路際で観たのが最後やった。


先の戦争の終わりに、シベリア抑留経験がおありのセンセェ、
化け物の耳元辺りで寒い国の、異国言葉をお喋りします。

暗い空気に染み渡るような、小さな「ダァ・・・・・ダァ・・」

ッと、化けの物が喋るの、自分には確かにそぉぅ聴こえました。

すると大きな影が緩慢に動き、豆電球の明かりで照らされても、コッチを見上げる青い眼ぇ、
背中が冷たくなってくる感じで攻められ、思わずに身震いするほど綺麗な青さッ! ヤッタッ!


自分、奈落の底に堕ちる感覚って、こんなんかぁ?



逃げようとして、やはり逃げ場がないと悟るのは、

それはぁ、如何にもなぁ・・・・・ッとでした。




    

【 玄人 素人 】

2007年12月18日 13時53分27秒 | トカレフ 2 
   



晩飯には少し早かったけど、ママぁが近くの大衆中華の店から、出前をとってくれた。
自分、番外地で饂飩を喰っていたけど、口直しがしたかったので、アリガタク奢って頂いた。

仕込が粗方終わった厨房、大きな俎板を前に、ママぁは丸椅子に座り、
自分はビールケースを裏返しにして、二段重ねで座った。

調理台の上には、今夜、店で出す料理と、まだ調理してない他の材料が載っていた。
それらを掻き分けるようにして隙間をつくり、ふたり肩を並べて喰った。
マルデ何処か場末の店で、意地汚く喰ってるような気がした。

手の空いた若いボンさん(スタッフ)たち、指示しなくても勝手に薄暗いフロアーで、
テーブるのセッティングや、ピアノの横のスタンドマイクの音量調整などして、開店の準備をしている。
酒屋の若い衆が数人、頼んでた酒類を配達に着たり、珍味屋が注文の品を届けにきてた。
契約してる花屋の若い女の人が活花を換えにきて、ボンさんらと話す声が時折聴こえる。


麺を啜る間、覆面パト後部座席の、松屋の大将を思いだし厭な気分になってた。
パトのドアガラス越しに此方を見ていた、松屋のタイショウの爬虫類の瞬かない眼。
凄い嫌悪感を伴った厭らしさ丸出しの眼ぉ、想いだすと如何にもぉぅ・・・・


「松屋の大将、縄澤に怒鳴られてたでッ 」

「何処で?」

「駅前 」

「なんやの?」

「覆面パトに乗せられてたわ 」

「なんしたん?」

「知らん、駅前のロータリーの舗道でな 」


ママぁ、ご出勤時間はいつも、モット晩い時間やった。
今日は昼の用事が早く終わったので、早めに店に着たと言う。

そぉかなぁ、っと自分。 想いました。


「ママ、人に遭へゆわれたわ 」

「誰?」

「ワイやがな 」

「チャウ、誰がゆうねん 」

「ガイチ(番外地)のバァさん 」

「ぇッ姐さんッ?がッかぁ・・・・何方はんにぃやねん?」

「知らん 」


ふたりが麺ぉ啜る音、なんかぁモノ静かな感じの音、してました。
サッキから、一定間隔で水が滴り落ちる音、気になっていた。
流しの蛇口の栓、パッキンがチビて閉まりきらず、ユックリと水滴が垂れ下がり、落ちる。

厨房内、静かなので、古い業務用冷凍冷蔵庫の、温度調節のスイッチが音立てゝ入っては切れ、
その度に壊れかけのコンプレッサー、モーターの音、重々しく唸って煩く響いてた。
その音、静かな部屋では大げさなくらいで、ケッコウ聴こえている。


「冷蔵庫、ソロソロめげる(壊れる)んとチャウんかぁ?」

「せぇやな(ソゥヤナァ)」

「ママ、今度は中古やのうて、サラ(新品)にせなアカンで 」

「せやな 」

「今年で何年モッタんやったかな 」

「真二が居らんように為る前やから、八・九年くらいとチャウかぁ?」

「もぅ、そないに為りますんかぁ 」

「時間なんか、ぁッ!チュウ間ぁやなぁ、ウチも歳ぃいくわぁ! 」

「九年も、モテばえぇやんか、ママ 」

「よぉけ儲ぅけもせぇへんかったけど、食うに困らんかったさかいな 」

「・・・・ママ、店の話やないがな 」


「・・・・判ってる 」


ふたりとも、箸を止めていたので、麺、のびてしまってた。自分、汁だけ啜りました。
ママぁ、流しに汁だけ捨て、業務用ゴミ箱の黒色ナイロンの袋に、丼を傾け麺を捨てゝいました。

「ママ、ワイが誰に遭うんか知ってるのとチャウん?」

ママ、聴こえない振りしてました。
背中を丸め丼を、ザットッ蛇口の水の勢いで洗いだします。


「ぁんたのん、貸しんか 」

「えぇがな、自分で洗うさかいに 」


ママの背中、何を背負ってますんやろなぁ、っと想いながら後姿を眺めていました。


「ァテの背中ぁ、ケッコウ色っぽいやろ、なッ!」


頭の後ろにぃ眼ぇ、在りますねん。 このお方ぁ!


「ママぁ、何方ハンがそないにぃ、オッシャイマスんやろ?」

「真二ぃ、言いよったわ 」

「(ッチ!)古い話しぃやな }

「そやな、もぅ古い話しぃやな 」


ママ、煙草を取り出し、業務用ガスコンロの点火用ライターで火を点け、ユックリト一服吸いました。
細い顎を上向け、唇を窄め、煙を細く噴き上げます。

有線のスイッチ、誰かゞ入れたのか、開けっ放しの扉から演歌が流れたきた。
厨房には、スピーカーはなかったけど、カナリ聴こえてる。

ふたりとも、互いにぃなんとなく黙ったままが益々やった。
言葉が、会話に為り難い雰囲気が、狭い厨房内に充満していました。
煙草の煙、部屋の中に濃いく漂いだしたので、換気扇の電源を入れました。
ファンが勢い良く廻ると、煙は四口のガスコンロの上、天井からの換気扇フードの傘の中に、
何かに導かれたように漂い、吸い込まれる。

壊れかけの冷蔵庫の、唸る音。

換気扇が空気を風として、勢い良くカキ廻す音。

開け放たれた扉の外からの、ド演歌。

大きな音は、水の滴るような小さな音。簡単に消して隠します。
ワイの身の周り、何かの大きな出来事で、何かゞ隠れているのかもッなぁっと。


ママぁ、半分までになった煙草を前歯で噛んで、両手で丼を重ねて持ち、厨房から出て行った。
自分、後姿に舌打ちしたかったけど、地獄耳のママぁに聴こえるかも。ッと我慢しました。


営業用の倶楽部衣装に着替え、眉毛もない能面顔に、綺麗に化粧を施したたママ、
指に細長い洋モク挟んで、再び厨房に入ってきて言います。

「ぁんたぁ、火ぃや 」

ワイ、業務用点火ライターぉ、突き出すようにしてやりました。

「ホィ、コッチ 」

華奢な首を少しぃ傾け、火ぃに煙草を近づけた。
長い付け睫毛の先、橙色の火ぃで燃えそうやった。

小刻みに三回吸って、四回目に、旨そうな表情して肺に溜めていた。
ッデ、ユックリト紫煙を小さな鼻孔と、薄きに開けた唇から吐きながら言います。


「あんたぁ、かわったわ 」

「ワイがですんか?」


ママ、返事の代わりに、顔を伏せるようにして煙を吐き出した。
ワイ、俯いたママに釣られ、視線をママの足元に落とした。
細い踝の下の小さな踵が半分乗っている、赤いサンダルの先が、
濡れた土間コンの床には不釣合いやった。

黒い小さな網目のシルクのストッキング、先ッポ、濡れ床の水に浸かって濡れていました。


「明日ぁ、暇かぁ?」

「バァさんと逢いますんやけど 」

「ウチも付き合うさかいにな 」

「えぇけど、ナンでゞすねん 」

「ウチにも責任あるさかいにな 」

「責任?ッテ、なんの?」

「コナイナ騒動にぃ為るとは想わんかったんよ 」

「今のですんか? 」

「ほぉやぁ(ソウデス)」

「スキにしたらぇえけどぅ 」


ママぁ頷くと蛇口を捻り、水で煙草の火を消した。
消えた煙草を指で摘むように挟んで、厨房から出掛けに振り返りました。


「もぉぅ、松屋に助っ人せぇへんでえぇさかいにな 」

「行かんかったら、不味いんとチャイますの?」

「サッキ電話いれといたさかにな 」

「なんて?」

「アンタは悪党やから、アホちゃうかって、チィフが言うてるでッテ 」

「マッママッ!ナッナニ言いますねんッ!」

「嘘やがな、言うかいなそないなこと 」

「・・・・・・ッタクぅ!(ッチ!)」


「アイツ(タイショウ)留守やったから、番頭のイッチャンに言伝しといたわ。暫く休むゆうて 」


「あのまゝ、縄澤に引張られてたらえぇのになぁ 」

「駅前でかぁ?」

「そぉや 」

「無理やな、ショボイ交通違反じゃぁヒッパレンわッ 」

「縄澤かてド素人相手とチャウさかい、如何にかしよるやろぉ?」

「その玄人やから、如何にもアキマセンねん 」


「玄人相手なら、素人とチャウやろぉから終わらせ方も、堅気やないようにぃっと違うかぁ?」


ママぁ、返事の代わりにぃ、真っ直ぐワイの目ン玉覗き込んで、静かに一回頷きました。

ワイ、その仕草を視て、ァレッ?ママぁ、ケッコウ美人やなぁ・・・・ッテ



如何にも為らんもんなら、如何にか出来ないものかと足掻くより

流れのままに身を任せると、如何にかなるかもなぁ・・・・・


今夜、真っ直ぐアパートには戻らん方が、身の為やでッ!
ナニが待ち構えてるか、判らんさかいにな。

ドッカ、寝倉を探さんと、アカンなぁ・・・・・


ッデ、何処にやッ?




    

【 恋獄夜 : レンゴクヤ 】

2007年12月06日 00時52分30秒 | メタルのお話し 
  


二月の、冬のころだった。

或る日 雪が降る夕暮れの街を歩いてた。

傘を差さずに手に提げて歩いてた。

肩につもるは粉雪、冷たさは肩の肌まで。

凍える冷たさ、やせ我慢しながらだった。


あの時は、心の何処かに積もるもの、なにかと判らずただ歩いてた。

わたしは、独りに為りたかった。


六月の、梅雨の終わりごろ。

雨上がりの街のなかを、結婚式かえりの、振袖姿の娘たちが歩いてた。

はじけるように笑いあう華やかさが、妬ましく疎ましかった。

わたしは、和服すがたは視たくはなかった。

心の刃、研ぎ澄ましていたから。

拗ねた、独り者だったから。



夜の眠れぬ暑さな、八月。

人の世を、斜めに視ながら生きるのが、如何しようもないことだと。

なにかを掴もうとして、掴みきれない自分を眠れずに、蔑んでいた。

求めるものは、他の誰かのものだったから。

迫る仕掛けは、自分で片付けるしかないことだと。

逃げれずに、堕ちてゆくのも心地いいことなのかもと。

心になにか憑かれたんだろうか、判らないなにかに。

わたしはそれでも、人のものが欲しかった。


年の瀬。

担ぎ込まれた病院では、治療を拒否したかった。

揺れる救急車のなかは、血の臭いで芳しいと思った。


左手首の痛みは、自分のせいだと。

胸の一突きは、死にぞこないの想い突き、だった。

なにもかもと、なにもかも中途半端さなと。

顔を覆う樹脂マスク、酸素の匂いを生まれて初めて嗅ぎました。


毟り取りたかった、マスクを。

自分での死までもが、見放すのかと。


幾日も、眠れたような気がした。

暗かった部屋のなかに、明かりが。


カーテンを引きながら、誰かゞ話しかけてくれた。

求める声とはちがう、他の誰かの声で。

窓の明るさが眩しかった。

私は、目を瞑った。


明るさを遮り、真上から覗き込まれた。

その人は目蓋の陰になっていたので、誰か知れません。

私の名前が呼ばれ聴こえ、枕元になにかゞ置かれた。


北原ミレイの、小さな歌声が流れた。


最後まで歌い終わらないうちに、涙で目蓋の中がイッパイになった。

涙が溢れてしまい、濡れた目尻を優しく拭かれた。

涙で翳む目で枕元を視ると、小さなトランジスターラジオから聴こえていた。


 これ、返しにこないでいいから


わたしは返事をしなかったら、探られて右手を握られた。

優しさは、返事に困るものかと知りました。



わたしは、あの時のことを時々想いだします。

そぅしますと、胸のなかで騒ぐものがあります。

自分は、今でも如何しようもない者です。

なのに、想いだすのは、あの頃のことばかりです。


キッカケは、北原ミレイの、ざんげの値打ちもない。

聴けば、戻れるから訊きたがります。心が。

ですけど、やせ我慢しています。






歌手、【 北原 ミレイ 】さんが好きな、わたしが尊敬しています
某ブログの ≪教授≫ の為に書きました。

以前、教授に大変お世話に為りました。
そのお礼の意味を込めての作品です。

教授、その節は大変有難う御座いました。

【 北原 ミレイ 】
【 ざんげの値打ちもない 】




にほんブログ村 ポエムブログへ
   

【 二股舌 】

2007年12月01日 12時20分40秒 | トカレフ 2 
  


今、何処にでも在って、誰でもが飯食いに行ける ≪フェミレス≫ や、
誰もが手に入れられて便利だと思い、もぉぅ如何にも手放せない ≪ケイタイ≫ なんかぁ、
マダマダ影も形もない、チョット古い時代のお話しです。


普通の堅気の勤め人が、朝飯を喫茶店のモーニングセットですましてやろうと、
クルマで出勤途上に寄り道する、ドライブインとは違う、郊外型のデッカイ大衆喫茶店。

ぁの時代、人で賑わう駅前などの繁華街には、それまでの小さな喫茶店とは違うタイプの、
大きな構の店舗で、見た目も豪華派手目な、喫茶店がオープンしてました。
店内に入れば、照明や装飾に凝り、垢抜けたモダンナ雰囲気をなんとか醸し出そうと。
っで、豪華な絨毯を敷き詰めた広い客席フロアーには、床を埋め尽くすかと、たくさんのテーブルが並んでます。
なかには客席フロアーが、二階建て造りの喫茶店もありました。
店内の雰囲気つくりで流れる音楽も、妙に気取った洋楽なんぞが聴こえてました。

ッデ、そんな感じの喫茶店、街のアッチコッチに次々と開店していました。

アポたいにコレでもかと大金を突っ込んだ ≪マンモス喫茶≫ の出現の煽りで、
それまでの、珈琲とサンドイッチ、スパなどのメニューしかない、軽食専門の小さな規模の喫茶店は、
≪マンモス喫茶≫の、朝のモーニングセットや、お昼のサービスランチの豪華で豊富な内容に、
今までの客を獲られ、完全に負けてしまって、閉店に追い込まれたりしていました。

そんなデッカイ喫茶店は、賑やかな街の中だけじゃぁなく、店の前にクルマが駐車しやすい郊外にも進出します。
時代は、自家用車が普及しだすに従い、開発が行き詰った狭い街中よりも、新興な郊外の方へと移ってました。
喫茶店に限らず、大きな店舗であればあの時代、≪マンモス≫ っと呼んでいた。
ただタダ大きく豪華で、見た目も立派なだけが、モテ囃されていた時代だったんでしょう。  

タブン、高度成長気繁栄前の、その予兆と思われるあの時代の、一般庶民が求めていたんでしょう、
先の大戦のあとの、なにかと辛抱するビンボウ臭い暮らしや店よりも、少しでも豪華で派手目なものをと。

今の、バブル景気の為れの果て崩壊後の世の中なんか、マッタク想像も出来なかった。
忙しないその時代に生きていた誰もが、なんとなく背中を圧され追われてるような雰囲気。
その行き着く先に、なにかゞ、モットいぃなにかゞ ット。

観えないなにかゞでも、キッとなにかゞッ在るかもぅ・・・・ッテ。




ソロソロ寒さも終わりかなと、肌に暖かさが恋しい冬の終わりごろ。

早朝やった。


隣の席の客、焦げ目のつきすぎた、ブ厚いモーニングセットのトーストを頬張り、ゆで卵の殻を剥いていた。
ワイの目の前の席でママぁは、話の間中、皿の上で自分のトーストパンを細かく千切り、屑の丘を築いてた。

目覚ましにと無理に啜る不味い珈琲は、エグイ苦さを強くした味やった。
一晩眠られないで、少々寝不足頭で、随分とボケ気味な自分には、その方が都合が良かった。
カフェインじゃぁなく、咽喉をイガラクするエグサガの味の方が、眠気を辛抱してる自分にはと。

そやけど、ママぁとの話は、そんなものを味あわなくとも、ケッコウな眠気覚ましに為る内容だった。
大事な話の最後の締めくゝりにと、今のお互いの状況確認をしあった。
そしてこれから先の事を、なんとか纏めようとしたけど、ケッキョク如何にもならないかもなぁッと。
其れで堂々巡りのお話しは、お終いだった。

互いに互いをクダラナク、嘗めあうように話し合う事は。


ワザト自分に無理強いするように、不味い珈琲を厭らしく、チビチビと嘗めるように啜ってました。
ママぁ、自分の千切るパンがなくなると、ワイのトーストも一心不乱な感じで千切り、パン屑の丘を作っていた。
暫くはママぁの手指の先から産まれるパン屑で、小さな丘ができつゝあるのを眺めていた。


「ママぁ喰わへんのやったら、おいといたらえぇんとちがうんかぁ?」

「ぇえんやって、持って帰って鳥の餌にしますさかいに 」

「誰のやねん?トリはんって 」

「ダレって? 人さんやないワイ、スズメやッ!」

「なんやねん、今度は雀チャン飼いはったんかいな?」

「古ぅなった洗面器ぃなぁ、ベランダに出してたら雨が溜まってゝん、それぇスズメが飲みにきよるねん 」

「 ホォ~! 」

「この前ナンか食うかなぁって思ぉてなぁ、前に飼ってた文鳥の餌さがあったさかいに、
  周りに蒔いてたんや、ほぉしたらなぁ、美味しそうにツイバンデますねん、かぁいぃもんやでぇ!」


あとはトリと目もない、くだらない話ぃばっかしが続いた。
そやけど、一番大事なことはふたりとも、ナンにも言わずにいた。
ワイも、聞きたかったけど訊かなかった・・・・・いぃやッ訊けなかった。

自分、たぶんママぁは、パンを細かく千切りながら、熱心に屑の丘を作り続けながら、
あの事を言ぉうか言うまいかと迷いながらも、言うチャンスぉ窺っていたような気がしてました。


それからママを、ママのクルマで家まで送った。


「ぁんたぁ、居眠り運転せんといてか 」

「大丈夫やで、ママぁ 」

「・・・・・ワルカッタなぁ 」

「・・・・・えぇがな、ママ 」

「家まで遅らせて、ワルイ、ゆうてるんやで 」

「ぇッぁッ・・・・・そぉなん 」

「ぁれわなぁ、今からどないなるか判らんしぃ、そん時はそん時なんやで 」

「ホナ、ワイがイッチャン貧乏クジやなぁ 」

「ほやから、ギョウサン銭々コ(ゼゼコ:金:札束)持たしたんやがなッ 」


「なんや、ほんなら危険手当なんかぁ・・・・・ッチ!」


ママを送ったその帰り道、クルマで渋滞していた駅裏へ渡る橋の上、クルマの流れも順調だった。
自分、ママのマンションの敷地から出ると、クルマのハンドルを握るのが次第にぃ億劫になってきていた。
橋の終わり袂の信号の赤で停車すると、反対車線に今朝の箱バントラックが停まった。
運転席にはあの中年男が座り、その隣に松屋の大将が座っていた。

ふたりともワイのクルマに、絶対気づいてるはずなのに、コッチを観ようともしなかった。

信号が青に変わり、すれ違うときに箱バンを横目で窺うと、中年男は笑っていた。
タブン、満面の薄ら笑いヤッタと思う。
自分、眠気もナにも、ドッカに吹っ飛んでしまいました。

アパートに帰っても、あんな状態では寝られないので、近くの手柄山公園の駐車場で、
クルマのエンジンつけっぱなしにして、ヒーター、ガンガンかけもって寝ました。
そやけど、サッキの中年男の薄ら笑いが、寝不足惚けした脳裏でも消えなかったので、

ナンボナンデモ眠れるかいなッ!

 ッチ!




「ぁんたにおうて(逢って)ほしいお人がおるねんけど 」

夕闇迫るころに、番外地のおでん屋でバァさんが、コッチをマッタク観てこないで話し掛けてきた。


「誰や?ねんッ 」 

自分うどんの残り汁、持ち上げた丼に顔を突っ込むようにしながら啜っていた。


「おうたら、わかるんやけど 」

啜り終わってもそのまま、丼を下ろさないで、丼の底に呟くように訊いた。

「絶対、ソイツにあわんとアカンのんかぁ?」


「明日ぁ、あんた閑(ヒマ)なんか ? 」

「べつに用わないけどな 」

「ホナ、二時半ごろに着てんかぁ 」


バァさんと自分、ワイが店に入った最初から店を出るまで、互いに顔を見合うこともなく、だった。

店の外は、戻り寒波で凍りつくような寒さやった。


バァさんの店と、隣の店との間の路地とも呼べない、狭い場所にツッコンでいた自転車を引っ張り出した。
自分の自転車は修理中だったので、アパートの大家の息子から借りた、頑丈一点張りの業務用自転車の
コレも頑丈そうなスタンドを足で蹴って上げ、サドルに跨りペダルを踏んで、勢いヨク漕ぎ出そうと顔を上げたら、
番外地の向こうの、駅近くの舗道の縁石に車体を半分斜めに乗り上げた、覆面パトが停まっていた。
そのパトの後ろに、覆面パトに従うようにオート三輪トラックが停まっていました。

自転車で舗道を走りながらパトとすれ違うとき、
車内灯に照らされた後部座席に座る、青果卸市場の松屋の大将と目が遭った。
その顔の真ん中目がけて縄澤が、助手席背もたれから後ろ向きに身を乗り出し、
酷い口調で何かを喚き散らしているのが、車外まで聴こえていました。

自分がパトの横を通るあいだ、松屋の大将の目線、自分に焦点釘付けに為っていたッ!
その目ん玉の色、なんとも言えへん色やった。
薄ら笑いで両頬に切れ込んだ唇の両端は、ナンカの爬虫類の口元みやいやった。


ぁりゃぁタブン、舌の先っちぉ二つ割れしてるでぇ!

自分、そんな冗談を心で呟いてみたけどぉ、ッチ! ット舌打ちぐらいしかッ!


自分、気分はもぉぅ! サッキ喰ったばかりの饂飩、ゼンブ道端にしゃがんで、
想いックソッ!吐き戻しそうに為っていたッ!

自転車で風切って走ってると、風の冷たさ以外のもので
散々滅多と、心を切られマクラレテル感覚、イッパイしていました。



ッチ!逃げ場もナンも、何処やねん!