【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

嘘が おまえを騙す

2007年07月28日 14時26分07秒 | トカレフ 2 
  



悶々として眠れずに、寝たフリしてただけの、長い一夜


まだ明けやらぬ夜明け途中の薄い明かりは、閉じた目蓋の裏側、赤くいたします。

カーテンを閉め忘れていたので、外の薄い明るさが、
閉じた目蓋の裏側映す網膜、眩しくさせ、夜明けが近いと気づかされた。

災厄な、悪夢のような、長い夜が終わった。


目蓋を薄く開け見上げる天井には、古い雨漏りの染み痕がボンヤリと観えた。
自分、なにか不吉さを暗示する影のようだと。
雨漏りの痕なんか、今まで何回も目覚めて見慣れたはずなのに
どうして今朝は、雨漏りの沁み痕が気になるのか、っと。

目脂で翳む目を指腹で擦り、雨漏りの痕を見上げます。
すると、昨夜の悔やむものが脳裏に戻ってきてた。

ッチ!っと舌打ち、朝の挨拶代わりに出てしまった。

思わずに吐き出した溜め息、今朝は久しぶりに気温が低いのか
息、白い蒸気の様になって天井にと、昇って逝きながら消えてゆく。


深夜の踏み切りでの騒動、如何にも忘れることなんかできず
懊悩となって一晩中、脳味噌を支配し悶々とさせ、眠らせてはくれなかった。
今も懊悩、頭の奥にどっしりと居座ってた。
脳味噌の気分、鉛色した鈍い重さのような、痺れた麻痺感覚。

眠らなければと目蓋は、意識して閉じてたが、
夜明けの眩しさ感じる以前から、脳はフル稼動状態。


自分いつもなら、昼ごろまでは布団の中で愚図グズしていた。


だけど今朝は、サッサと起きてしまいたかった。
昨夜の如何しようもない出来事のせいで、眠気なんかぁ寝る前からマッタクなかったから。
何とかしなければとの思いで、一晩眠れずに色々考え続け、ヤット如何にか為るかもぅ、っと。
考えが纏まりかけたのが、今サッキの目蓋の眩しさを感じ始めた時。

今布団から出ると、やっと拙い頭で必死で考へ、せっかく纏まりかけたものが
今起きだして躯を動かせば、ヤヤッコシイことを考えた事が、何処かに逝ってしまう気がした。

眠たフリして身動きせずにジット我慢。
忘れまいぞと躯、堅く固まらせていました。
もどかしかったです、自分。

だけど耳は勝手に、早朝の新聞配達が鉄の階段駆け上がる靴音や
牛乳配達のガラス瓶が擦れあう、微か音に反応し、拾ってた。

叩けば歪むかとナ薄い玄関の鉄扉、その新聞受け口の小さな蓋扉
軋んだような音発てゝ押し開けられ、玄関土間に朝刊が落ちる音ッ・・・・?
ッガするはずが、今朝はしなかった。

ッチッ!黒革ボストン、玄関土間に置きっぱなしやッ!

確かぁ夕べぇやったかぁ? なかった事には為らないもんかぁ?とッ!
無かった事だと、否定したいと願う現実に在った災厄事。
虚実だったんだと思い込もうとしても、叶わぬ願望。

昨夜の悉くが、嘘ゴトにはぁ為らないものかぁ・・・・


仕方ない、さぁ起きるかッ!

背中を布団から持ち上げるとき、躯は正直だった。
起きて布団から出ることを嫌がるように、益々な気だるさ
全身に、圧し掛かってるようだった。


兎も角、コンクリ土間の艶消しな黒色革ボストン。
本物の災厄なんだよと、重たい感じで土間に蹲ってた。

ボストンの二つの握りの間の、金属チャックが引かれ大口開いたその中の
鋼鉄で造られた観たくもない、タクサンの玩具の上に、場違いな感じで乗っかってました。
新聞受け口の幅に、丁寧に折りたたまれた朝刊誌。


裸足で冷たい土間に。
新聞誌ヒッタクルようにして取り上げ、台所に。

黒く焼け焦げた瓦斯コンロに載ってる、蓋のない薬缶の中の昨日の水
安物ステンレスシンクに棄て中に置き、蛇口を捻った。
水が溜まるまでと、口に銜えてた畳んだ新聞誌広げ、表紙の一面をザット観する。
観たいと想ってた目的の記事は、どこを探しても載ってない。
社会面や地方面、上から下まで覗き込んで観るが、載ってなかった。

そぉかぁ、あの時間なら、新聞載るんやったら夕刊かぁ?

いつのまにか水道水、薬缶の縁から溢れていた。


水が滴る薬缶を瓦斯コンロに置き、瓦斯栓廻しながら点火スイッチを押す。
薬缶の底を包むように、不完全燃焼の炎が取り囲んだ。
瓦斯栓で火加減調整をしたら、炎が青くなった。
ッデ、蓋代わりのアルミの灰皿で、薬缶に蓋をした。

新聞広げ直し観ながら部屋に戻ると、脚の脛に卓袱台が当たった。
そのまま畳みに胡坐すわりして、ユックリト新聞を見直そうと卓袱台に
広げてた新聞置くと、真ん中がコンモリト盛り上がる。
掌で押さえ、平坦にしようとしたら堅いものがッ! 

ッゲ!置いたままやッ! テッポォウ・・・・・ックッソゥッ!

バッ!ット新聞紙、跳ね除けたかったが、ユックリト退ける。
疵ダラケの卓袱台の上に、細長い空の弾倉と、その弾倉を抜き取られた拳銃ッ!

朝日が窓から差す、明るい自然な光で照らされている鉄砲。

生まれて初めて本物の拳銃を、夜更けの暗い電燈の下で観たときの
頭の中を、おぞましげな物で冒されたと、感じたのとは違い。
部屋中の空気、何処までも透明な水晶で造られたかのような
冷たく透き通った氷の中で、マッタク身動きが取れないような冷たく醒めた感覚

自分の冷め切った意識の何処かでは、溺れろ、溺れてみろ
っと、妖しく誘われていたようにと、憶えていました。

悔やむもの、甚だしくも胸いっぱいにぃ だた。



底ない沼に堕ちたもの 拾うに拾えず なくした理由はただ一言

もぉぅ 棄てた

其処から拾えぬ言ゝ訳 嘘で幾千あるけど

嘘がで騙す心算が もぉぅ手遅れなんだろうかと

歯痒い胸の内の心ノ底 邪気で落ち着かせずにと狂わせられました



自分嘘話、言い通そうとして、嘘に溺れるかもッ!

アホッ!目ぇ~!