【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

隠す出来事

2008年04月28日 10時48分48秒 | 幻想世界(お伽噺) 
   


人に添い寝をいたしまするときには 覚悟の一途を拵えましょぅ

心 何処かにと在らずなれば 今ほと 念入りに畏まりましょう


時には 想い届かぬときもあることです

それならばと 裏切りましょうかと


自刃は 痛きことかと想われども 人を殺めるは軽きこと 易しきこと

あなたの寝顔覗ければ心安らかなれど 其れは叶わぬことゝ想う日々

イッソ此の侭一思ひに ふたり堕ちて遣れゝば嬉しかろうに


ット はたくしが心喋り致されば

お前さま閉じた目蓋ぉ お開け為さって言いまする


 悲しい夢を観ておりました



嗚呼 慈しみたい  

叶わぬとも 深くと交わること重くと望みますれば

堕ちれゝばと 刹那でも堕ちれゝばと

其処は地獄までもと 同衾できれゝば堕ちましょうぞ


耽る晩に匂いまするは 出来事創りの荒むかとな想い知り



ケッシテ 明けぬ夜は無きことなれど 深間を覗ければ逝けましょう

永久(トワ)にと 夕闇続く永久(トコシエ)の世界にと 在れば忍んでゆきましょぉ

そぉすれば 言いましょうかと


 嬉しい っと




陰の身ぉ 隠させられて求めてくれぬならば

ほんに 自刃は容易き(タヤスキ)ことゝ承知しておりまする

なにもかもと 何処からまでもと お決まりは言葉為れども

嘘は吐きますれば 姑息な逃げの卑怯な者の為さること


寝枕の下敷きに 隠し刃(ヤイバ)を忍ばせ置けば

待ちまするは一時(ヒトトキ)なれど 其れは永き季節を渡るが如く


目が嘗める綺麗さは 覗く黄泉の国の社で吊り下げし行灯の煌めき灯り

其処の 暗き黒色な空気ぉ吸いますれば はたしめの臓腑 

芳しき腐臭が漂う如くに臭いまする 筈


嗚呼 再びの 嗚呼



はたくしめの身の置き所 何処にも逃げ処は御座いませぬ 

隠し事 不義な隠し事 極まれば隠し事



戻れぬほど深く堕ちてしまいたい

冷たき安らかさに 此の身を凍らせて包まれてみたい

優しいき冷酷さに 生きてる限りは騙され続けていたい




叶はぬこと 夢の中に捨てゝ逝きたい



  

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知らぬ 桜

2008年04月23日 12時47分54秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  


「ねぇ いつ行くのぅ?」

「行くって?」

「・・・・・ 憶えてないの?」


「なにぉ?」


去年、桜の花を観たいと話したのは、あなたでした。

来年も行きたいって言ってたのに、忘れてしまってた。



「ナニが気に入らないのかなぁ 」

「なんにもぉ 」

「そぉやって 人を困らせるのを楽しんでる?」


あいつ顔がね、嬉しそうだったから、わたしは悲しかった。



胸の其処、地面の下では桜の木の根ッコが、木の枝よりもモット複雑に入り組んでいました。

わたしの腕は根ッコに絡まり、脚も、わたしの想いどおりにはならず。

心の何処もかしこも、身動きが出来なかった。



「綺麗だなぁ!」

「ねぇ、観に来れてよかったでしょぉ!」

「ぅん 」


わたしは、袋の中のものぉ握り緊めていた。

鮫革拵えの握り柄は、キッと血糊が着いても滑ったりはしないだろうからと。

だから蚤の市の古道具屋で、此の短刀を見つけました。



「此の刀の刃、錆びてるはよ 」

「研げばいぃよ 」

「あなたが?」

「ボクは研げないよ 」

「わたしがやるは 」


少しずつと、冬の寒い晩に、あなたが寝静まってから研ぎました。



「夜中に なにしてるの?」

「おきてたの?」

「なんだかぁ・・・・・ 」


「もぉ研がない 」


春が、もぅ少しでの時期でした。




「お濠の上の木ぃ、もぅ何本も花が咲き始めてるよ 」

自転車で出かけてたあなたが、息せき切って帰るなり言いました。


わたしは、あなたを背中越しに振り返り、胸の前でユックリト、短刀の鞘に鯉口を沈めました。

わたしの掌は、何度も掴んで馴染んだ鮫革のザラツキを覚えていました。



「どこがいぃ?」

「あの木の下あたりがいぃはよ 」

「そぉだね、あそこにしようか 」


「高さも、チョウド良いから 」 っと、わたしは心で言いました。


見ゴロをと、ふたりで下見に行ったときでした。




「このゴロ、チョット疲れてない?」

「どぉして?」

「ぅん、なんだかなぁ、って想ったから 」

「わたしにも、分からないはよぉ 」

「春だからだよ 」


「木の芽時ぃ?ってこと 」


それは、昼間観た桜の花に酔っていたのです。

いただいたお酒では酔わずに、桜花にでした。


「夜桜、観にいける?」

「ぇえ、往きたいよぉ!」

「コンナに晩い時間から?」

「夜観る桜は、モット綺麗って話してたのはあなたよ 」



人気のないお堀端、暗さが蠢いているようでした。

星の明りが、上の桜の花を仄かに白く浮き上がらせておりました。


「ね、妖しいだろぉ 」

「ぅン 」


わたしは見上げる桜花の、観得ない妖しさに圧倒されていました、




想いを決めてわたしが研いだ短刀の刃が あなたの躯に柄までもと

減り込む時に覚えた掌の感覚を 幾らわたしの心が騙して消そうといたしましても

その柄を握り緊めていた拳を脇腹が 仕舞いまでもと長く押し続けていた感触までは消せずに

今でも痛みない癌の塊の如くに 視えない傷痕のようになって

わたくしの白い脇腹に残っています




「どぉ? 苦しい? 」


首を此方に少し寄せ、わたしを覗くように視るあなたの瞳に囁きました。

瞳の奥にはなんの輝きも閃かず、微かに息を吐くよな、呻き返事が返ってきました。

わたしは、あなたの耳元に囁いてあげました。


「ネッ 不思議でしょぅ 」 ッテ

「なんで?って想っていない?」 ットモ


「去年、桜をまた観に来よぉって、あなたが言った時からなのよ 」



夜更けた静かな晩には、人が濠の中に堕ちる時の水の音はですね、

アンガイ、しないものなんだなぁ ッテ



ふたりで乗ってきた自転車を残し、歩いて、私鉄電車の駅まで行きました。

始発電車が、明るい照明に照らされた人気のないホームの両側に停車していました。


鉄橋の上を走ってるとき、電車の窓から未だ暗かった川面に向け、

鞘から抜いた短刀を投げたら、鉄橋の柱に当たり火花が奔りました。

鞘も、投げました。



目蓋を閉じると、火花の残像が焼きついていました。


わたしは、涙が止まりませんでした。







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堕ちるなら何処までもと

2008年04月11日 01時28分26秒 | トカレフ 2 
   


夜更けた肌寒い晩


午前零時を過ぎた肌寒い晩、知り合いの頑固な医者がやっている、
少人数患者の入院設備しか整っていない、古い小さな街医院を訪ねた。 
其の医院、大正時代の中期頃に、医者の親父さんが開業していた。
建物は、建設当時に流行っていた欧州風な木造建築。

当初、医院が開業された街中では、古い木造の和風建築が軒を並べていたので、
此の病院のような欧州風の建物は、随分と垢抜けた建築物だった。
当時の医者や弁護士などのハインテリ層や、ハイカラ好みの金持ちなんかの間では、
ケッコウモテ囃されていた造りだった。

太平洋戦争の末期に此の街は、深夜の無差別爆撃、絨毯爆撃に遭った。
その空襲の時、延々数時間にも渡って夜の黒い空を埋め尽くすかと群れなす、
超重爆撃機(B-29)の腹から、バラ撒かれるように無数に落とされた焼夷爆弾で、
街全体が炎に包まれた。
一晩で街は、中心部の周りを水濠に囲まれた城郭だけを残し全焼した。
戦後の長い期間、街を挟むように東西で北から南にと流れている二つの河の間は、
見渡す限り一面の焼け野原が何処までもと続き、広がっていた。

医院の建っていた辺りの建物も、軒並み空襲で焼けてしまったが、
医院は奇跡的に被災を免れ、平面な焼け跡に、ポツンっと、一軒だけ建っていた。
だから病院は戦前の面影を色濃く遺し、ナニヤラ一種独特の風格を醸し出していた。

焼け残った戦前のままの古い病院、戦後になって復興された街中の近代的な建築物とは、
医院の南側の二階まで続く独逸風な漆喰壁に残る、空襲時に近所の建物が燃え、
其の炎の高熱を浴び醜く焼け焦げた痕や、濃厚な煤煙で包まれ黒く汚れてしまい、
其れが未だに黒ずんだ染みとなって壁に浮き上がり、随分古めかしく観えていた。
だから病院の建物は、一昔風な随分と時代がかった感じがしている。
夜は未だしも昼間に病院を眺めると、周りの街並みとは甚だ調和が取れずに違和感だらけ。

近所の子供らが毎朝小学校に通うとき、医院の前を通ると、

「マルヤケのがれの〇〇ビョウイン ビョウキしたならキセキデなおすぅ頭のやまいはよぉなおさん」

っと、揶揄ともなんとも取れにくい、囃子を歌いながらだった。



非常灯などの保安設備がなかった古い時代、夜中に入院病棟の暗い廊下を、
懐中電灯も燈さずに歩くとき、物音をたてないようにと随分な気を使いながらです。
為るべく足音や、息を潜めてと歩かなければ為りません。

だけど夜更けた晩に、一癖二癖もある一筋縄ではナカナカな、老獪なトシマ(年増)女らと、
病気以外の目的で此の医院を訪ねると、タイガイろくでもない酷い目ぇに出遭います。
後から幾ら後悔しても仕切れず、後の祭りで如何にもなりません。
幾ら時間が経った後でも想いだし、悔やんで嘆くこと、幾度もと後悔は深くと。


潜めて息する空気中、外科病院独特の消毒薬液以外のなにかが含まれていた。
嗅げば己の精神が侵され、自分でも知らぬ間にと狂気に駆られるから。
心が惑わされ、闇雲に騒いで萎えてしまいそうな何かが、漂っているかと。
其れは常人には無臭ナ匂いだから、魔物に憑かれし者だけが嗅げましょう。
狂いかけた意識でしか嗅げない、そんな厭な臭気が、
暗い廊下の奥の、黒い空気に混ざって漂っていました。


部屋の電燈ガ全部消灯され、陰気な雰囲漂う夜間の入院病棟独り部屋。
部屋の明かりといえば、窓に吊るされし暗幕みたいな重たいカーテンが開け放たれ、
其処から斜めに射し込んだ、月の冴え冴えとして凍えるような
青白きな冷たき光線だけでした。

部屋の中、月の明かりで照らされし白銀(シラガネ)色世界になった部分と、
真っ黒な影絵世界にと、キッチリ区分けされておりました。

眼の前の寝台(ベッド)の上、差し込む月明かりを背に浴び横たわっていた。
異界からの物ノ怪みたいに窺える、大きく絶対に人とは想えない黒き図躯影。
その物躯を眺めていると、マルデえたいが知れない化けモンが寝そべってるようだった。 
モトモト入院患者用のベッド、寝ている患者の診察治療をなるべく傍でしやすいようにと、
患者一人が横になるだけの大きさの作りだから、デッカイ化けモンが寝ッ転がっている様、
子供用の小さき寝床で、四脚の獣が無理な体勢をしながら寝そべっているようだった。

自分の背後、サッキ閉め忘れて薄く開いたままの扉の隙間から、
細い筋となって入ってくる廊下の窓からの明かり、隣のビルの屋上に設置されし、
電飾看板の瞬く薄明かり、月の明かりの陰になっている異人の双眼を射し照らし、
二つの目ン玉が光を反射し、醒めたように青白く瞬き輝く宝石みたいな対の光となって、
黒い影を背景にし、暗さナ中に浮かんでいました。

自分、其の得体の知れない黒影の中に浮かぶ対の、
妖しくも綺麗な青い瞳に魅入られていました。


ジット此方をと見つめくる青色視線、刹那も瞬きもせず見つめてきます。
此の世のものとは想われぬ、青い瞳の背景の大きな黒き影。
マッタク少しの微動もいたさず、妖しげな視線、無音な部屋の向こう側から此方へと、
覗き込むようにと、暫くのあいだ音ナク自分に注がれていた。

微かな物音一つしない静かな部屋の中、寝台の鉄パイプ手摺の向こう側。
窓際の傍ら、患者用小卓に載っている古い電燈スタンドから、
スイッチを入れる小さな音が鳴り、豆電球(補助灯)が点される。
豆電球の光は、スタンドを覆う薄絹製電灯傘のせいで、柔らかな黄色い明かりだった。
だけどそれでも未だ、病室内は窓から斜めに射し込む月からの、
冷たい明かりに支配され、薄暗かった。


燐寸(マッチ)が擦られる音がして、医者の顔が暗さの中に浮き上がる。
黄色ッポイ小さな炎が、ユックリ動いて煙草を銜えた口元に。
手首の一振りで燐寸の炎が消えると、人の影の中に赤い点が浮かんでいた。
赤い点、数度輝きを増したら、溜め息混じりな感じで煙が吐き出される。
月光の冷たく冴えた光に照らされし青い煙、部屋の中をたゆたうように漂います。
其れは、其れ自体が何かの生き物で、意思を持っているかのようだった。

「ナニ戸惑ぉとるんや、コン人とは知らん仲でもないやろも、コッチぃこんかい 」

ット、医者。長年の喫煙で声帯を傷めた、可也なシワ嗄声で話しかけられた。
自分、青い目が閉じられ観えなくなり、蕎麦殻の枕に頭が沈む音がしたので、
ベッドの傍にと近づいた。

「吸わんか 」 煙草の箱が此方にへと、ベッドの向こう側より差し出される。
「貰うな 」 っと、手を伸ばし受け取ろうとしたら、手首を掴まれた。

手首を掴まれた刹那脳裏に、あの晩の国鉄線路内での悪夢ナ出来事が蘇った。
自分、シッカリ眩暈を覚え、膝ドコロカ脚全部、腰から下の力が抜け堕ちてしまい、
後ろにヨロケテ倒れそうに為った。
想わず、もう片方の手でベッドの手摺を掴もうとしたが、遠近の感覚が歪み、
手摺の鉄パイプを掴みそこね、空を握って突くような姿勢のまま後ろにッ!


手首を恐ろしい力で引張られ、前にと態勢を引き戻されたとき、
腹部をシコタマ鉄のパイプに打ち付けさせられた。
其の勢いで、ベッドの中に倒れ込んだら息が出来なくなった。
自分の喉首、突然細くなったような感じで大きな掌の中に納まっていた。

想わずキツク閉じた目蓋の裏で、赤い火花が飛び交うッ!
大きな手首を両手で握り、離そうとしたけど無駄だった。
火花は益々で、目蓋の裏全体が真っ赤な血の色に染まる。
暫く両手の指爪で大きな手首を引っ掻きながら足掻くが無駄ッ!
首を締め付ける力は少しのっ揺るぎも無く、加わったまま。
意識が遠のきかけると、火花が次第に亡くなってゆく。

黒き世界が、我を招き始めくる。

息できない苦しさが、命の最後の穏やかな甘美な感覚に取って代わろうとした刹那、
耳元に異国の喋りが囁かれた。
言葉の意味、ナニを喋ってくるのか解らずも、最後のは理解(ワカッタ)。


「ダワイッ! 」


自分、此れが悪夢ならば、此の侭醒めずに最後までもと。
何処までも堕ちて往きたいと、ツクヅク想いました。

其の方がキッと、此れから先の厄介ごとから逃れられるから。



堕ちるなら、何処までもと。



tokarefu 2




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親仔の会話 (事故の目撃者偏)

2008年04月07日 17時07分09秒 | メタルのお話し 
  

「とぉチャン!とぉチャンッ!クルマがお寝んねしてはるよぉ!」

「ぉッ!ホンマやなぁ!」





「とぉチャン、上手にお寝んねしてはるねぇ!ッ 」

「ぅん、金(キン) ぁれはなぁ、横倒しって寝相やねん 」

「へぇ~!ホゥなんかぁ・・・・・」


「金(キン)ッ、チョットと待ちんか、とぉチャン写真に撮っとくな 」

「なんでぇ? 」

「コナイナもん、滅多と拝めへんさかいになぁ 」

「ふぅ~ン 」


ッテ、先日ぅ、近所の田圃で軽四チャンがお昼ねしてるのをね、

愛息の金チャンと散歩してる途中で見ッけまして、

其処での、たわいない親仔の会話デッセ。ハイ


ッデ、コレが↓金チャン。



ウットコの金ハン、ホンマニかぁわいぃやろぉ、なぁ?



   

春夏秋冬

2008年04月05日 12時48分20秒 | 無くした世界 





私は あなたが生まれてくれたとき

嬉しくて嬉しくて 込み上げてくるものを如何してもとめる事ができず 

みんなに見られるのが恥ずかしかったので トイレで隠れて泣いてしまいました

おまえが生まれてくれるまでの間 無事に生まれるのだろうかと

心配で心配で 如何し様もなくて 毎日毎日 大丈夫 そうかなぁ

何かあったら 心配ないよなぁ っと 心が揺れていました

あやふやな気持ちが続きました 心が堪らない不安で落ち着きませんでした


初めてあなたの顔を見ました 皺まみれでした 赤くて

私が想像していた以上の赤ちゃんでした

白い着ぐるみからのぞく小さな手が 濡れた微かな髪の毛がです

見ていると また 水の底になってしまいました


なんでもが 私には始めてでした あなたにしてあげることがです

抱くことも あやすことも ミルクをあたえることも お風呂も おしめも


深夜に泣いてくれたから 寝ずにあやしました

やっとのお座り 転んだから起こしました

また なにかを呟きながら転びます それが可愛かったからです

愛しくて愛しくて 何回もおこしました

普通の子供に育ってくれゝばと ただそれだけが願いでした






学校からの呼び出し 何回もの 物心がつくとはこんなことかと想いました

悪さをしたことがです

私は別にそれを 咎め立てしようとしているのでありませんでした

正しいことしか知らないよりもです その方が将来この子の役にたつだろうから
 
人間らしく育つだろうからと想っていました

世間様に謝るのは親の務めだから 何度も頭を下げました 


若者の激しさが眩しかったです 何をするにも輝きながらしている様でした


でもね 親が自分の子と付き合う 向き合う 当たり前だと想っていました

どんな付き合いでも 嬉しかったです


一度 激しい取っ組み合いをしました

お互いの躯がぶつかりました 怒鳴りあいました 掴み合いです唯一回のでした

その時 私は嬉しかったんです 怒鳴っていましたが

心では あの状況を楽しんでいました

傍で妻が止めようとしてましたが 止めるなぁって心でゞす

何時までも 子供のままじゃぁ無いんだなぁ


言うことを聞かない 親に対する態度が悪い 世間を舐めてる

自分で稼げそして その範囲で遊べ 色々と言いたいことばかり

本当は 教えてあげたいことばかり

教えてあげられない状況が 心底恨めしかったかなぁ






息子が連れ合いをと 一緒になると 決めてからの親への相談

寂しさが少しです いぃえ 大いなる寂しさでした

それと共に安心感がです 私の心に湧いてきました

やっと 私たちの手から離れるからです


何かを育てゝいたい が それが当たり前になっていました

気づかない内にです きっと何かが芽生えていたんでしょう

いつの間にか 花も咲いていたんでしょう


気づかなかったことが悔しかったなぁ


お袋が 認知症になりました 記憶が定かではなくなりました

少しずつ 少しづつ 記憶がです 消えて逝きます

毎日を楽しく生きてゝくれたらと そお願っています

手が離れていく子供の代わりが お袋でした

誰かに何かをしてあげれる事が 良いことかと







まだ来ていません 多分です 

知らないうちに何かの知らせが すでにあったのかも

でもねぇ 冬が来ても良いじゃぁないですか

いまならね その冬をぉ楽しめそうです

早く来いとは決して想いません でも覚悟がです 定まっていればと


雪化粧の静かなたたづまいの山々 遥か向こうまで粉雪が舞う 凍てつく海

凍った石のお墓 雪が真っ白に積もります

赤い椿の花が 両側に一輪 活けられています

年老いた私と妻が手を繋いで ものも言わずに立っています


私の願いは 一緒にです 出来る事ならです


願いは 願うです




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