【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

【 朧気ナ 夜ノ満月 】

2007年11月28日 23時34分26秒 | 幻想世界(お伽噺) 




招かぬ心が 招かぬ物の怪 此方にへと呼び寄せました


濃紺がモットモット濃いぃ色の 大和の妖かしどもがイッパイ住んで居そうな

怖がり想像が募るよぉなぁ 朧気な月夜の晩



天に星々が煌く晩 歩き疲れて見上げます

人肌に 冷たさだけがぁ在る晩なので

独り者には 冴え冴えな感じな 星の輝く天でした


如何にも往き場もなくと 所在なさげに月様

今宵は由りによって 薄暗い明かりバッカシ降らせてる


冬の初めの 満月の夜


お月さま仰ぎ観れば 妖しげなのをと モットな感覚憑かんで寂寥妖精

知らずな想い お迎え致します 心 何処かに逝かされながら


ふたりは 同じな気持ちなんでしょうかと 疑いながら

互いに確かめの腕組み繋がり 求めました

そうでしょうかと 疑いながら


だから疑心は 心を狂わせ 嫉妬紛いの焔ぉぅ 

そして暗鬼は 諦め感覚な失望ぅの其処 掻きたてますぅ 

だけど最初は 覗いてませんでした

お月さん 雲の向こう側にぃ おいでゞした


風も吹かない 何の想いも届かない 夜の高みな暗中に

重たげそうな銀の光玉みたいに ポッカリ っと浮かんでいるはず


冬の凍てつく晩 墨汁みたいな真っ黒な雲さんは 自分でも知らずに

我が背に載せてる月の明かりで雲の縁 金色輝きな淵陰にしてました


夜に気を遣られ取られ 視えずな地面を覗き歩いてます

だから何かが 道を何かが此方にと

観えない暗さの奥から何かが 此方にと

迂闊にも其れには まったく気づきません


只タダぁ 早く家に帰りたくって 急いで歩いて往きたい暗がりがぁ

夜道の歩きにくさの暗さな為に 怖さを想像する事の怖さから

兎も角 早く闇から逃げ出したかった


闇で暗くって恐々と歩く砂利道 先はよくは見えないけれど

冬場の田圃は水を溜め 宙を映し お月さまと星で輝きしています

田圃の真ん中突っ切るように 何かが潜んでいそうな鎮守の森の大鳥居まで

視えない道は伸びている 筈でした 昼間視た時の景色の様ぉぅにぃ



新しく向こうの山裾まで延びている 新道

其の途中の小さき川に 新設されし渉り橋

御目出度い親子三世代続きの 渡り初め神事祭 


橋桁下川原から 魑魅な妖かし者ども不思議そうに見上げます

闇で朧気な欄干傍に佇む 魍魎な妖かし姿も 観たのかもなぁ


想像視界 怖さが怖くって 怖がります


暗闇に必死っなで 脚を一歩 ソロリと差し出しました

続けてと歩く一歩が 怯え気持ちの一歩に為りました

だけど暫くは 歩いて行きます 仕方がないから


っで ぁと少しぃで 渉り橋 

ぁと 一歩ぉぅで 橋の上


!フット ・・・ 敏感怯え耳に 微か聴こえ音ッ!


ぉっと 何かを聞きつけ立ち止まり 後ろを振り向き

怯えながらも猫背になって前屈み 闇を透かして覗きます


「確かぁ なんかの音がぁ・・・・!!ぇ!ッ 」

背中を撫でられました 何かに


刹那 凍る寒さで 躯が元に戻れません

怖気な物が撫でました 突き出したわたしの首の後ろの筋

引き攣りまして 其の儘 堅く強張り固まり

わたしの猫背で丸めた背中 浮き出た背骨の凸凹

小さき突起の一山ゴトに 何かに 判らぬ何かに擽られます


其れ 寒さ笑いを誘発させました

両の脚の膝皿関節 小刻み震えに寒さ笑い


首ぉぅ元の位置にぃ 戻したらぁ !

わたくしは 何を知りましょうかとぅ!

知りたくも無いのに 何を知りましょうかとぉぅ!


観ればわたくしの影 乾いた土の道に伸びてました

お月さま 雲から出てきたのでしょうかぁ!

黒い影が 月明かりのぅ 白い道にぃクッキリトぅ!


ぅ!・・・・・其のわたくしのぅ 影の横にぃ!!

陽炎みたいな 煙ぃみたいなぁ揺れる影がぁ!

段々とわたしの影をぅ 呑み込まんとぉぅう!

包み込まれんとぅ 


わたくしの悲鳴声 幾ら叫んでも出てきません!

わたしの笑う脚ぃ なんともっ! 動かん!

意識ぃ ハッきり醒めすぎてますぅ!


段々とう全部ぅ 影になって真っ黒にぃ

瞬き出来ずにぃ 凡て 此の世の真っ黒 

視続けさせられながらぁ 頂きました


なんだか 心ぅ ストン! 堕ちますなぁ!


解らんかったけど何処かから 何かが 

何かぁ やったんですかなぁ?


自分の何かのせいでの、呻き声でしたね。  

其れで目覚めてしまい、気がつけば、お布団から飛び出ていました。

髪もベッタリっな脂汗塗れの、うつ伏せな姿勢で、畳の上に寝転がってました。

多分、寝ながら悶えていたのでしょう、掛け布団は向こうの壁際に。 

汗に濡れた厚手の毛布は、無意識に蹴られてしまったのか、

此れも汗を吸って湿気た敷布団の足元で 丸く纏まっていました。


「・・・なんやぁ!夢かぁ・・・・ 」

っと、何気にぃ気が抜けたら、喉が渇いてました。


水をと、求めてヨロケながらも起き上がり、部屋の電気を点します。

チョット昨夜は、呑み過ぎましたかもなぁっと、襖を開け暗い廊下に出ました。


廊下は静かさで暗いけど、春先の緩い優しいぃ空気が、

自然にぃ躯に纏いつくよな感じ、していました。


渡り廊下を歩く途中、昔の落とし込み式の和風便所が御座います。

便所の入り口には、戸板の引き戸が嵌まってます。


っで、其処の角を曲がりますると 台所の暖簾が。

暖簾ぉぅ潜って、直ぐに左手に古い戸棚がありました。

戸棚の前には、天板の厚さ五ッ寸ばかりの木の調理台。 

縦横、四尺の大きさで、台所の真ん中に居座っております。

其の上に、白木の俎板が載っていて、其の俎板の上にでした。


白木の板の少し右端よりに、チョコン って載ってます。

夢の中でわたくしが、ギュと握り締めていたはずの、あの女の右手が。

その赤い爪で、わたしの手を握っていた拳が ユックリト開きかけた其の儘ですぅ

途中で固まった様になった、白蝋細工ぅみたいなぁ

右の手首がぁ 載ってました。


俎板の左側には、和包丁の菜切り包丁、刺身包丁、出刃包丁。

右側には、平たく大きな四角い中華包丁、大中小の牛刀。

向こう側には、鉈、鎌、細い鋭い切っ先の錐、鋸。


切り場の料理に用いる 諸々刃物がぁ!


恐怖に駆られたわたくしは 眼の前の刺身包丁取り上げます。

逆手に握り直しながら振り上げて、其の儘力の限りにッ!

蒼白い血の気も全く感じない、俎板の上の手首に、振り下ろしました。


刺身包丁、難なく俎板まで突き通りました。


難なく、わたくしの、右掌は、刺身包丁で、突き刺されました。


右手を仄暗い豆電燈の明かりで、眼の前に翳すと

突き通った刺身包丁の鋭い切っ先には、掌から赤い血の細い筋が伝わり下りて

次第にぃ段々と血の玉が産まれ、赤く輝きながら雫となって、堕ちてゆきました。 

わたくしは其れを、瞬きもしないで、魅入られたように視ていました。

赤い血の玉は、ユックリ ット 空気に浮かびながら、堕ちて逝きました


わたくしの、寝巻きの裾を何かが触りました。

見下ろしまするとわたくしの、赤い血の滴を白い皮膚に被りながら、

手首がですよ、ソロリっと わたくしの脚を攀じ登ってきています。


恐怖なわたくしの悲鳴は声には為らず、

わたくしの懸命な喘ぎは、甲高い笛のようになって

知らずに家中に響き渡ったのかもぅ!


「あなた!どうしたの!! 」 甲高き妻の声

突然 台所の明かりが燈りました。


其れよりも、脚の手首を払い除けなければと、払ったらッ!

刺身包丁の切っ先で、右太腿がぁ! 横にパックリとぉぅ!!
 
背中の向こうで、妻の悲鳴がぁ!


噴出する血を、左手で押さえつけながら振り返ると

女が此方にと、両腕ぉぅ差し伸べてぇ・・・・!

腕の手首の先が無くなったぁ 女がぁ!


寝苦しくって目覚めたら、窓から朝の日が差し込んでいました。

眩しくて、目蓋を閉じたら夢の中の出来事が、脳裏に蘇りました。

急に怖さが戻ってきて、飛び起きました。

慌てて襖を開けて踏み出すと、階段を踏み外し、其の儘下まで階段堕ち。!

尻が連続で、打たれ続けながらでした。


直ぐに妻が飛んできました!


「あなた!なにしてますのぉ~! 」


「ワァッ判らんよぉ!ナニがもぉ・・・・! 」


妻じゃぁ無くって、あの女がぁ傍らに立ち、ワタクシをぅ見下ろしていました。

其の右手にはぁ、刺身包丁が突き刺さっておりました。

切っ先からは、赤い血球がぁ ポタポタタ っとぅ!

わたくしの右脚のぅ膝にぃ 血がぁ ポタポタッ とぉぅ!


恐さで女の足首を蹴ってやると、女が倒れて階段の角で顔をぉぅ!

狭い二階への階段空間 っの斜め空間に湧き響きました。


!!!トッテモ 物凄い悲鳴がぁ!


妻の、今までに聴いたことも無いような、悲鳴でした。
  

慌てて起き上がり、妻を抱き起こします。

妻の顔面、凄くぅ! 嗚呼ぁ~!


妻は、長き舌で、先っちょが二股の蛇の舌で、

自分の顔の裂傷から湧いてる血を、嘗めていました。


夢が永くぅ 醒めないんでしょうかぁ



悔やむぅ 夢ぇ !



    

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【 紅葉酔い 】

2007年11月21日 00時42分09秒 | 幻想世界(お伽噺) 
   


古い木造の橋の上 歩き疲れて欄干に凭れ

流れるせせらぎ見つめ 暫らく


振り返ると姿勢良く背筋を伸ばし 上流を眺める君

額には 汗が 秋の陽に照らされておりました


 これ


わたしに手渡そうとするハンカチ 白の眩しさが


 君が先にふけよ

 いぃから これ


受け取り 陽に輝く白い歯から眼を逸らし 額に


緩やかな流れの其処 水面越しの川底岩覆う 緑の水藻が揺れてます

小さな魚の影 銀鱗閃かせ奔りました

目線を少し上げれば せせらぎ川の上流 望めます

石を積み上げし小さな堰が 流れはそこから


水の流れは そこから


わたしの判りすぎるくらいの 溢るゝもの

流れを観れば わたしの想いの流れ 胸の中から
 


堰の向こう 深まる秋色化粧した樹木の海

何処までも 遠くの山の麓までも 紅葉色

見上げると 眩しいお日さまの隣に薙いだよぅな 薄雲

白い 遠慮したような白さで宙に 周りは突き上げるよぉな 鮮明な蒼


眩しさ堪へ観続けますと 蒼が迫り降り 襲い掛かってきそう  

思わずに膝が 崩れ堕ちてしまいそうな 幻覚錯覚


わたしの肩越しに 嗅ぎなれた良い匂いの息が

わたしの頬を擽る 緑の黒髪の柔らかい毛先が

わたしの背中 君の二つの柔らかさの胸で押され 圧迫されます


思わず!っ ハンカチが渡り板に堕ちました


わたしの両掌 荒い木肌の手摺り 強く握り締めました

橋下に よろけ堕ちそうに為ったから


 ほら あれ! 肩越しに

 ぇっ 何処っ?  戸惑いが


我に返って あなたが指差す彼方を


綺麗な水面(ミナモ)の 緑の川底を

透き通る綺麗な流れに乗って 小さな葉っぱが っ!

赤に染まった 紅葉の葉っぱがっ!

緑藻褥の上で 緩やかな流れに揉まれて踊りながら 此方に


橋の下に 隠れました


急いで反対側に ふたりで下を覗きました

透き通る綺麗な水の中 身を揉む真っ赤な葉っぱが観え

流れてそのまま下流にと 過ぎてゆきます


背中が聴きます いい匂いぃ  と

遠のく紅葉を 眼で追っていると でした


振り返ると 橋の上に落ちたハンカチ 彼女が拾っていました

眼の前に掲げて 其れからハンカチの匂いを嗅いでいました

わたしの汗の匂いを 俯いて両手で顔に 顔半分が白いハンカチ

隠れた顔の 瞑った目蓋が 見えないはずのなにかを


白さの中で何事かを呟き喋り 瞳が此方を 視据えます


貴女は大きく息を吸い込みます

上気した顔が上向きます

二つの眼がわたしを 視据えます

ハンカチの下の顎が 視えました

伸びた喉の線 窺え視えました


形のいぃ 儚げ白さの細い首筋がぁ伸びます

暑さ逃がしで肌蹴たシャツ 胸の谷間がぁ !

上向いた顎と 喉が動き 聴こえました


 わたしね あなたの汗の匂い 好き  っと


わたしは突然  愛おしさがでした


空気が薄まり 息する胸が詰まります

脳の意識が紅葉の赤 妖しく浮き上がるような感覚でした


秋に酔いました


わたしは誘われて近寄ります 紅葉の赤に

掴みます腕を 引き寄せます此方に 抱きしめました 胸に

両の腕が抱き締めました


きつく きつく きつく


紅が呻きました 苦しげに呻きました


そして いい匂いぃ !


肩に乗せられし首 そっと呟きました



薄目を開けたら 眼の前には

紅葉がいっぱい でした


紅が いっぱい いっぱいでした



  


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幻想 レストラン

2007年11月20日 01時36分19秒 | メタルのお話し 

ッテ言いましてもね、写真の感じがそぉかなぁ・・・・ッテ

岡山県の≪閑谷学校≫の紅葉を観に行った帰りに、偶然みつけたんですよ。此処。

妻サンとふたりで、お昼をいただこうと思っていましたけど、
お店の、ランチの時間帯に間に合わず、今は喫茶だけならと。
っで、わたしらお腹も空いてましたからね、仕方なくでした。

ホナ、またこんどぉ・・・・

以前、此処の道を通ったときには、このお店はなかったんですよ。





「おとぉさんぅ、またこんどぉ、連れてきてねぇ 」 ッテ、妻。

「ぅん、なんやぁ、えぇ雰囲気やしなぁ 」 ワテ、ボンクラ亭主。

「まだぁ、あたらしぃよぉ 」

「ホンマやなぁ! 」


ってな、夫婦の会話。











今夜は、≪閑谷学校≫の、紅葉の話をするつもりでしたんやけどなぁ・・・・
ヨッパラッテるさかいにぃ、チョット脱線しましたんやぁ、


ホナ、バイバイ

おやすみなさい



  

世の中には、魑魅魍魎がイッパイ居るッ!

2007年11月18日 01時57分39秒 | トカレフ 2 
 



随分と長い年月、土足で踏まれて磨り減った、古い木の敷居をまたぎ、
玄関に足を踏み入れたら、外の明るさになれた目では、室内は暗く感じられた。
寝不足の自分には、外の明るさが目に眩しかったので、その暗さが救いだった。
目が暗さに慣れるまで、しばらく時間がかかりました。

玄関の入り口付近で、疲れて渋くなった目を閉じ、暫らくはママぁが話す声をきいてた。

ようやく目の渋さがとれたので目蓋を開けると、壁に向かってママが何かを話していた。
電話機は、古く為った漆喰が黄色っぽく変色して、薄汚れた壁に埋まった黒ずんだ柱に掛かっていた。

ママぁ、壁掛け式の電話機からのびた線に繋がてる受話器で話していました。


「そらどぉもでんなッ!・・・・・はぁ~ッ!・・・誰と代わりますのんッ?」

声の調子、ママぁの怒ったときの感じだった。


「ホレッ!あんたに電話やッて! 」

下手に握った受話器を、コッチに投げるような突き出しで、上下に揺すりながらだった。


「わいッ?」

「ぁんたや 」

「どなたはんですねん?」

「トッテモおエライ お方はんらしいでッ!」


ママぁから受話器を受け取り、もしもしと言う前にやった。

「おんどれッコラッ! 何処にやってもたんやッ! 」

耳の奥まで突き刺さる、脅し文句が響いた。
自分、受話器をすぐに耳から離して見つめた。
離した受話器から聴こえる声は、小さな声でも、キッチリ怒鳴り声だと。
ワイから離れようとしていたママ、脅し声を聞きつけて、ワイの耳元に耳を近づけてくる。


「コラッ! 聴いとるんかッボケッ!」

「何方さんかいなぁ?」

「われッ!舐めとんかッ!」

「・・・・・どなたハンでっかッ! 」


「お前ッ、儂が名乗ったら、ゆうこときくんかッ!」


自分、少しぃ返答に詰まりました。
その少しの躊躇な間を、抉って広げるような話の持っていき方が始まった。


「コラッ、何処に隠しさらしたんやッ!」

「・・・・なにぉですんか?」

「なにおぉ?ッテか、ボケッ! 判っとろぉもんッ 」

「そやから、なにがですねんッ!」

「お前なッ、もぉう儂の名前ぇ訊かんのんかッ!」


しまったッ!っと想ったけれど、後の祭りやった。


「済まんけど、お話が見えへんのですけどな 」

「ほぉ~!ホナいっぺん見したろかッ ワレッ! 」


「チョット貸しんかッ!」

耳の受話器、ママぁに引っ手繰られた。

サッキから自分の脇腹、ママに突ッつかれていました。
目の端でママぉ見てると、コッチによこせと手首で指示してた。


「何方さんかは存じませんけどな、知らんもんは知らんのんとチャイマスのんッ!」

「ママッ、アカンってッ!ぁッ! イッ痛ぅ・・・・!ッ」

ママから急いで受話器を取り戻そうとしたら、スバヤイ裏拳が飛んできた。
ママの手の指、綺麗にエナメルぉ塗った指爪で、ワイの頬が切れたかとッ!


ッデ、悪態三昧の、ママの独演ショーの始まりやった。

「アンタどのツラ(面)提げてゆうてますやッ!そないな話が世間様で通る、ッチュウテ想ぉてるんかッ!」

「なんがやッ! あぁ!ウチはいつでもおるがなッ着たらえぇがなッ!」

「そんかわり土産の一つも持って着ぃひんかったら、ドナイ為るかわからんでッ!ボケッ!」

自分、半分飽きれてママの、奥襟が大きく開けられ覗く項と、和服に包まれた背中を見ていました。
この小さな背丈で、細い体の何処に、人を脅かすものが詰まっているのかと。
後姿を視ていると、気が済むまで遣らせようかと想い、止める気もなくなる。
自分、仕方がなかったので、黙って天井に視線を移し、暫らくは黒ずんだ剥き出しの梁を眺めてた。


右袖を引張られたので振り返ると、大家の息子が口を近づけてくる。
自分ッ コイツなにするねんッ! ット、身ぃを引きかけたら囁かれた。

「ぁんたぁ、コの姐さんぇろぉキップがよろしいなぁ 」

「ぇッ! ぁッぁあ まぁ、口だけやけどなぁ クッ゛ヘッ!」

胸板を何か硬いもので叩かれた。
ママぁが仁王立ちのお姿で、受話器を下手で自分に渡そうとしていた。

「もぉぅ、話はついたがな、ホレッ 」


今度も、受話器が耳まで来ないうちに、声が聴こえた。

「お前んトコのババぁ!どないなんやッ?」

「バッババぁッ・・なんがやあッ!寄こせッ!」

ワイの耳元に頬寄せて、電話の内容を窺っていたママぁ、再びの逆上ッ!


「もぉぅッ! ええッ! 」

ママぁの右手首を掴んで、怒鳴ってしまった。


「取り込んでますねん、話しぃもぅよろしいかッ!」

「ぉッおぉ!そぉやな、しゃぁないなッ! 姐さんに免じてやめたるわッ!」

「痛いッ!コレッ、あんた放しんかッ!」

ワイの手の甲に、ママの指爪めが喰い込んだッ!


「姐さんに、よろしゅうなぁッ!」

「放せッて、あんた放しんかッ!」

放したら直ぐに受話器を掴んで悪態ッ!
散々やった。 たぶん知ってる限りの怒鳴り言葉の羅列やったかも。


「ナンや? 切れてるがな、根性ナシなヤッチャな・・・・・ッ」

ママぁ、言葉と裏腹に、受話器がモット何かを言い出さないかと、
ビクビクしもって静かに壁掛け電話機に、受話器を戻した。

薄暗い中  チンッ! っとベルの音が鳴った。


電話がすんだのを見透かすように、奥から大家が出てきた。

「済まんかったですわ 」

深く腰を折っていた。 自分、年寄りが腰を折るのを観るのはぁ・・・・・ッチ!


「えぇよもぅ、なぁママ 」

「ぁい、なぁんも気にしてまへんよぅ 」

「儂が電話を採ったんやけどなぁ、儂に昔の呼び方で話すもんやからなぁ 」 

「オヤッサン、もぉよろしいがな 」

「てっきり知り合いかと想おてなぁ、繋いでしもうたんですわ、済まんことやったッ!」

再び、白髪の頭が下がった大家の後ろで、息子も頭を下げていた。

タブンこの親子は、自分らが面倒見ているアパートの部屋と、
その住民の家財道具を守ることができなかったのをこの先、
何回も後悔しながら、生きていくのだろぉ。

ママぁが目配せで、早く此処から出ようと。

自分、再びの明るい外は眩しさもあたけど、
なんだか気持ちは一向に、晴れてはくれませんでした。



市街地は、真ん中辺りを東西に国鉄の線路が走り、二つに南北に分けられています。
その線路を跨ぐ橋は、出来た当時なら大きかったのだろうが今と為っては、
クルマの多さに対処できずにいたので、橋は通勤時間帯ではよく渋滞し、
風が吹かない穏やかな朝のうちなら、青い煙の排気ガスの臭いが、蔓延していました。

クルマは朝の渋滞に捉ったので、駅の北側に行くのに渡る将軍橋の上で停まったまま、
何時までも通過できなかった。

寝不足の目で、フロントガラス越しに明るい前を観てるのは、目が痛いほど眩しすぎた。
自分、助手席に座るママぁの前に身を乗り出し、ダッシュボードから勝手に買い置きの煙草を弄り取り出した。

パッケージのセロハンの帯をキリ、一本抜き取り銜えると、ママが自分のライターで点けてくれた。
大きく何回も吸い込んだら、少しぃイラツク気分が落ち着いてきた。


「ママぁ、モーニング奢ってくれへんかぁ?なぁ・・・・ 」

「ドッカに寄りんか 」

「ママッさっきのん、どいつか判るんやろぉ?」

「・・・・ぁあ、知ってるで 」

「ヤッパシぃそぉかぁ・・・・ 」

「ほぉかぁ ッテ、アンタなに言うてますんや?」

「ママぁ、ドナイしたらえぇんかなぁ?」


「先に茶ぁシバイテ、なんか食べよぉ・・・・」



喫茶店に入ると、時間帯が出勤時間と重なっていたので茶店の中は、
朝食代わりにモーニングを食べようとする、働く通勤客で満席にちかかった。

自分、コーヒーとともに出てきた、ゆで卵とイッショニ皿に載ってる、焦げすぎたトーストぉ見たら、
急に口の中で、焦げの苦さが広がった気分になって、食欲がなくなった。

しかたなく、苦いだけのコーヒーを啜る。


自分、昔ぃこんな風に茶店で、ドッカノ女と向き合って、不味いコーヒー啜ったなぁ・・・・・ット。
あの時も、眼の前の女がモーニングのパンを、小さく千切っていたわぁ。ッテ。


ママぁ、何かを考えているような顔で、皿の上に千切ったパン屑の丘ぁ、お作りしていました。


「アンタぁ、みなまで言わんでえぇさかいになぁ、話しんか 」

「ハァ?どないにぃ? 」

「要点やッ 」

「ヨオテンぅ?」

「全部訊いたら、ウチが今度は危ないんとチャウんかッ!」


「・・・・・ッチ!」


「チョット!アンタッ!なんやねんッ!それッ!」

「ママぁ、済みませんけどなぁ、チョット聴いて欲しいねん 」

「ぇッ! なになん? そないにぃ改まって 」

「なぁママ、元はと言えばなぁ、ママぁがわいにやなぁ言うたからとチャイますの?」

「ナッなにがやの?」

「松屋に、助っ人に行けて言わへんかったらワイ、こないな目ぇに遭わへんかったんとチャイますの?」


「・・・ッ!・・・」


ママぁの無言のお返事が自分には、ヤッパシかぁ・・・・・ッと。



「なぁ、世の中には視えへんけどなぁ、魑魅魍魎がイッパイ居るんヤデ。」 ッと

と或る某スナックのマスターが、以前、ワイに教えてくださったのを想いだしました。

ツクヅクヤデ、ボケがぁ!



腹の何処かでッ、煮えたぎってきた腹の其処の何処かでッ!
止まらない何かが、自分でも知らずに産れようとしていました。




   

≪トプカピ宮殿のお宝≫

2007年11月15日 00時02分33秒 | メタルのお話し 

上の画像はデスね、≪京都府京都文化博物館≫で催されています、≪トプカピ宮殿の至宝展≫
ッデ、観ることができます、トルコの国の昔の王様が頭に巻いてた、ターバン飾りなんですよ。

真ん中の四角い宝石は、262カラットの大きさッ!
周りのダイヤモンド、合わせて500カラットッ!

わたしね、これを観るだけで納得モンやった。
だからね、満足して観終わりましたよ。



ッデ、博物館を出てから、京都のここら辺りは久しぶりだったので、ブラブラと散策しました。

この街はデスね、若いころからもぉ何度も訪れていますけど、何時も何かしらね
歩いていますと心がね、弾むような感覚になってしまいます。




















わたしぃ、ケッコウ看板好がスキなものですからね、ごめんなさいよ。
わたしら夫婦、アッチコッチと出張ってますけども、京都に来るのが一番多いかなぁ。
だってなぁ、何回着てもなぁ、飽きないもんなぁ・・・・ホンマですねん。






ぁりゃッ!もぉぅこないな晩いお時間ですねぇ。

ホナ、バイバイ



   

【 深間な 永い接吻 】 

2007年11月09日 10時53分02秒 | 幻想世界(お伽噺) 
 

【 十八禁 襤褸愚 】  



其の時は 時が止まっておりました



通いあうと 願うは想いの丈

混じりあって 通いあってと もっと 

逃げずにもっと 逃がしたら儚く為るから もっと


わたくしは抱き寄せられたら 気持ちが堕ちました

貴方が抱くは抜け殻 ただの骸


真っ白けに乾いた骨 密かに逢瀬で カラン コロン 

合わさって絡み合って カララン コロロン ッ!

けっして朝はこない 暗く寒きな賽の河原で カランコロン!

そこは あなたの心の川辺なんだから

やっとで覗ける向こう岸 恐き鬼 おいでと手招き致します


カランコロン !


わたくしは 何も出来ずに流されて 此処まで

意地で 見つからぬようにと啼きながら

勝手に為さぬ仲の道 踏みながら

心 何処(イズコ)へにかと


眺めるは 忘れ限りの消えた想い出

望めるは たった一度限りの 殺めること


あなたと縄で結びし手に手で 一緒に堕ちれゝばと
 


わたくしの心は襤褸々(ボロロ)

心地好い襤褸々 幾度も襤褸々 何度も襤褸々 !ッ


濡れ場が 霙雨雫に籠もって あなたの顔が見へにくい

濡れ場が 氷の冷たさ寒さで肌を遣り 熱情益々

皮下の熱さは 皮膚には細かき泡粒で覆うよな 

小さきぶつぶつ たくさん泡立てました


冷たさ気づきで 醒めたさで 濡れ場が包まれました



屍の 微か肌の温もり知らずに合わせて 貪りました

温もりを 堕ちない温もりを全部 貪りました

幾ら勘違いと想わせられても 濡れながら

幾度も拒んでも 何度も何度も 厭きないから


叶わぬなら 煉獄 地獄は人の向こう側

聴こえませぬ わざと聴こえませぬ

堕ちれるならばと 血の池地獄で溺るゝならばと


やっとの死で冥界宮殿 在ればと 此処の何処かに在ればと

捜し求めて暗闇回廊 ソロリと忍足で踏み込めば  

そこは堂々巡りで出口です 見つかりませぬ

あるは永久(トワ)の煉獄


心の蔵 鋭き匕首突き刺されし 初めに滴る紅(クレナイ)の一雫

其れ小さき玉 空中での一秒 永遠

堕ちて 弾けての刹那が 二億年

目醒められるなら 今夜


瞬きは 雷鳴聴こえぬ閃光 できず終いの諦め心

 
心弄って鍵捜す心算が 何ッ処かで見つけ難い何処かで

隠されたのでしょうか 見付からぬようにと

何方からも 想い出されないようにと


懊悩な 暗闇地獄で 隠されたのでしょうか



限りは在るから限り 無いこととは 無限だから 

無いことがイッパイだから 在り過ぎて 無間地獄だから

だから在り過ぎて 何処までもと堕ちて 無限は苦しいのです


何処かの深き森の中 太き斜め枝 捜します

出きる事ならば細き枝 太き枝の真下に在ればと

大木を じわじわと必ず絞め殺す 野蔓
 
それで ふたりにお似合いの 二つの輪っ架をお作りいたします

太き枝から垂らします 二つ並べて 二つ


先にあなたが首を わたくしが 其れを締めてさしあげたら

隣の輪ッ架に わたくしの首を チョッと緩めに 自分で締めました 


仲良く並んで踏んでる 細き枝

ふたりで声を揃えて飛び上がり 跳ねてみました

細き枝 折れませぬ 幾度も試みても細き枝 折れてはくれませぬ


貴方が 溜め息混じりに言います

「もぉぅ止めようか 」 

ッとわたくしに 囁くように言うならば

言葉を聴けばわたくしは すなおに堕ちました

独りで 折れぬ枝から堕ちました

あの人の 躯に手脚をからめて 堕ちました


「死ねないね 落ちないね 」

「ぇえ 」


突然 落ちました

わたくしは堕ちました あの人から 押されて逝きました

揺れて 下から見上げるとあの人

醜く笑っていました


暗き闇 堕ちたら在りました


最初は脳の中 真っ白に輝きました

そして次第に 薄闇から真っ暗闇に 為りました



わたくしの世界 襤褸々でした





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【雁字搦メナ人生:ガンジガラメナ・ジンセイ】

2007年11月03日 01時08分23秒 | トカレフ 2 
  
 

≪虚勢な人生。≫

人が想わぬ出来事に遭い、その事への驚きを隠すために虚勢を張ると
益々に身動きが取れなくなって、如何にも出来なくなってしまうのは
まったく経験がなかったことと、対処の仕方を知らずにいたからなんでしょうか。

だけど、何を遣っても裏目続きになることもぉぅ・・・・
其れならいっその事、一か八かの丁半博打の方がぁ
まだぁ楽なんじゃぁ、っと。




縄澤が乗った覆面パトの動き、交通法規を無視していた。

覆面パトが駐車していた、公園前の道の向こう側、交差点の信号が青に変わり
トラックの荷台が四角い箱造りの商業箱バン車、加速しながら近づいて来ていた.
覆面パト、近づく箱バンをマッタク無視し、平気で道の真ん中へと動き出す。
箱バンの運転手、急に眼の前の道路に覆面パトが出てきたので、慌てゝ急ブレーキをかけた。

箱バン運転席キャビン、道路に沈むのかとの勢いで、前のめりに落ち込んだ。
後輪横に滑り青い煙をあげる。車体、少し斜めになって横っ腹を此方に向けはじめる。
左後ろタイヤ、道路側溝にハマりそうになり、運転手が大慌てでワッパを操作するのが窺えた。
横滑りが止まり、箱バンの速度が急激に落ちた。

覆面パト、何事もなかったように後ろに箱バンを従え、ユックリトした速度で来る。

自分、其れを横目で眺めながら、チッ! っと舌を鳴らすことしかできなかった。
前歯の裏側と舌先が乾ききっていたので、切れのいい音じゃぁない。
両の手が勝手に上着のポケットを弄り、煙草を求めて蠢く。
何処を探しても見つからなかったので、無性に煙草が吸いたく為る。


「あんたなにしてるんやッ、ホレッ!」 ッデ、軽く胸を突かれた。

ママァが、西洋煙草のパッケージを、自分の胸元に突きつけていたので、急いで受け採った。
一本突き出ていたのを指で摘んで引き抜き、カサカサ唇に挿んだ。
パッケージ返すと、ママぁも煙草を吸いたかったのか、自分の手の指に細長い洋モクを挿んでいた。

「あんたッ火ぃや、マッチ!」

「ないわ、ママッ 」

「なんやねんッもぉぅ!」

「ママぁ、チョット面倒やなぁ・・・・」


道は、片側一車線の道路。

ママの車が駐車していた車線側、道に面して、某化粧品会社の独身寮が建っており、一区画占有していた。
その寮の敷地、周囲を古いコンクリート地剥き出しの、背高い塀で囲われ道路側の塀は、公園辺りまで続いてた。
その塀際に、端から端まで縦列駐車の車がズラリト並んでいて、かなり道幅を狭くしていた。
パトの後ろの箱バン、鈍間にユックリと動く覆面を、追い越して行くことも出来ず苛立ったのか
覆面パトとは知らずに、警笛を何度も煩く鳴らし続けた。
箱バンの運転手、運転席ドア窓から首をを突き出し、怒りに任せて怒鳴り始めた。
トラックのジーゼルエンジン激しく吹かされ、箱バンの後ろ側、真っ黒な排気ガスで煙幕みたいだった。

覆面パト、何も聴こえないかのように、エンストしそうな遅さで近づいてくる。


「あんた、コレなぁ、アイツに見つかったらヤバイんかッ!」

ママが、真っ白な足袋を履いた草履の先で、黒革カバンを突ッツク。

「ソラヤバイがな 」

「アイツぅ気づいたんやろかぁ?」 開けたトランク蓋の陰で。

ママの声、少し怯えたような囁き声だった。

「判らんわ 」

「狡賢いヤッチャなぁ!」

「ママ、サッサト積み込もかッ 」


パトが此方にユックリと近づいて来るお陰で、二人でナントカ重たい革鞄、トランクの中に収めることが出来た。
トランクを閉じ、ママが鍵を掛けると覆面パト、船が桟橋に横付けするようにママの車の隣で止まった。
運転席の窓ガラス降りると、助手席に乗ってる縄澤が何かを言ってきた。
だけど後ろの箱バンの警笛が煩くて、トテモじゃないが何を言ってるのか解らない。

運転していた若い刑事に何かを指示し、縄澤、助手席のドアを開けた。
箱バンに見向きもせず、パトのバンパースレスレに横切り、此方にやってくる。
縄澤がパトの前を過ぎると、直ぐにパト動き出した。

箱バンの中年運転手、怒りで顔を真っ赤にし、窓硝子を降ろしたドア越しに
縄澤の背中に向かって、怒声を浴びせだした。

少し離れた路上に停車した覆面パトから、若い刑事が降り、此方にと走ってくる。
縄澤と箱バンの間に割って入り、警察手帳を取り出し、怒り顔の箱バンの運転手の顔前に。

手帳を覗いた運転手、益々赤ら顔にッ!

「ボケッ!サツやゆうて、なんでもしたらええんかッ!」

怒りで顔を真っ赤にした運転手、箱バンから降りようとしてドアを開けたら
今度は自分が後ろから、甲高い音の警笛を鳴らされる。

「ワレッ!邪魔やねんッ! 行かんかッ!」

縄澤、首だけ後ろに廻し、箱バン運転手を一喝した。
運転手、縄澤の顔を視ると何かを感じ取ったのか、顔が引き攣るような表情になった。
慌ててドアを閉じ、真っ直ぐにフロント硝子を見て、車を発進させた。


「○○子ぉ、なに積むんや?」

「このコの、お部屋の屑やんか 」

「部屋ん中、片付けんとアカンさかいにな、ママに頼んだんや 」

「クズってか?」

「そぉや・・・ 」

「ぇろぅ早ぁに片付いたんやな?」

「目ぼしいぃんだけ、先になぁ 」

「メボシイぃ ッてか?」

「ぁあ、片付けたらイケンのんか?」

「お前に訊いてへんがな、なぁ○○子?」

「ウチやったら、なに訊くねん 」

「重たかったんか?」 トランクを指差しながらヤッタ。

「重とぉなんかないわいなッ 」

「そんならなんや、二人ガカリでッ?」

「そらぁアンサン、ドッカノアホぉが、コイツの背中ぁ痛めつけるからやわ 」


ママぁ、細い顎でワイを指しもってヤッタ。 サッギでの、怯えた顔じゃぁなかった。


「あんたッ、マッチ持ってるんかぁ?」

ママぁ、サッキ耳朶に挟んでた煙草を、指に挿んでた。

縄澤、金メッキのライター懐から取り出し、軽い金属音鳴らして蓋を開けた。
小さな橙色の火を燈し、ママの真っ赤な唇に挿まれた洋モクに近づける。
ママぁ、首を軽く斜めに傾け、窄めた唇に銜えた煙草に火を点けた。

顎をチョット上向け、細く煙を吐き出す。


「・・・・○○子ぅ旨そうに吸うやんか 」

「そらぁ・・・・ロオドオ(労働)の後の一服は、美味しいわぁ!」


「すんませぇん、ちょっとぉぅ・・・・ 」


突然、遠慮がちに大家の息子が、離れた所から声かけてきた。


「其処の姐さんに、お電話が掛かってますんやけど 」

息子、この場の全員の視線を浴び、顔が紅くなって戸惑ったような表情に為る。

「ウチに?かぁ・・・ 」

「倶楽部のママさんぅ、でっしゃろ?」

「ほぉやけど、何方さんからですぅ?」

「姐さんに直接いう、ゆうてますけどなぁ 」

「ほぉか、判ったわ、ッデ縄澤ハン、もぉえぇか?」

「なんがや?」

「もぉぅ、ウチらえぇ加減に開放したっても、えぇんとちゃうんッ!」


「何処でも行ったらええがな、なんも悪さぁしてなかったらな 」


ママの後から歩き出すと、若い刑事が、怒り気味の口調で言ってきた。

「ここなッ! 駐車禁止なんやでッ 」

「なんやねんッ!ホナ、何処停めたらよろしいねんッ! 」

「何処にって・・・お前なッ! ドナイナ口の利き方するねんッ! 」

一歩ッ此方に踏み出した刑事の腕を、後ろから縄澤が掴んで引き止めた。


「ウチの家ノ前に入ってもろたら、よろしいがな 」

「あんた、回してんかぁ 」


クルマの鍵が、声と同時に飛んできた。
飛んできた鍵を、巧く掴んだら声が飛んできた。

「ナイスキャッチッ!」

声の方角を見ると、縄澤が顔中をニヤツカセテいた。

「いつまで、そないに上手にできるやろなッ!」


自分、返事もしないで歩き始めると、背中に声が。

「重とぉて背負いきれんかったら、いつでも署までこいや、なッ!お前ッ!」


肩越しに振り返ると縄澤、連れの刑事と供に、覆面パドで行くところだった。

自分イッソノコト、なにもかも白状したら、随分と気が楽なんやろなぁ?


人の腹の探り合いは、人のどっちかを負かすまで続くのかもと。
そやけど、獣との探り合いは、命の採り合いやから、互いに死に物狂いなんだと。

ソロソロ、雁字搦めに為るんかぁ・・・ッと、ツクヅクやった。


自分、煙草が無性にぃ吸いたかった。






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眠レヌハ 何カト悔ヤムモノ 。

2007年11月01日 01時44分30秒 | 異次元世界 
 

【淫靡な花】



闇を見つめるは 一時の鎮まらぬ物の怪ら

音無くとも 暗闇に存在し 其処に集いしいたします

諦めろと 輪に為って唱和してきましょうかと

弱気想いの人の心 暗闇叫んで 高見で俯瞰してやろうかと


深き眠りかた もぉぅお忘れいたしました



何も聞かずにいられなくて 何も訊けませんでした

失うかと想う気持ちの中 ただ 暗さナ何もない黒い空間を見つめ続ける夜

よくも長持ちしたものだと我に 問わず語りで言い聞かせても

何処からも 何も聴こえません 帰ってはきませんから


隣との薄壁一枚 向こう側の見知れぬ男女

夜の気配で伝わる 聴かぬ心算の淫微な営み囁き声

狂おしく 我の耳朶を嘗め尽くすかなと

聴こえぬふり 益々に 聴こえぬふり


悔やみな夜は 独りを深めて 永く続きました

途轍もなく永久(トワニ)にと感じられ 果てなく続きました


部屋の暗さな闇色世界 其処から観おろすは もしかと まさかの知らんふり

我の消せぬ悔やみな想い 心の其処を責めるもの 悲しき自戒のことだらけ


口に含みし忘れさ求めの 苦きヒヤ酒

顎 くいと上向けば 咽喉の奥にと突進する酒精

脳を侵すかと 精神破壊を企みて 暴虐し尽くすかと暴れる酒精

我の気管支滅多と襲い 死ぬほどに咳き込ませて

咽てみせましょうかと してみせます


呼吸止められし肺より奥には なにが在るのでしょうか

我 咽ましょうかと わざとなもがく態度

ただ其れ 独演な寂しき独り芝居


咳 静かに鎮まれば 暗き部屋の中

音無く静かな寂寥居座りて 我に望まぬ迫り死ぉと


酒精は暴君 意識壊れし我 酔いに唯々 諾々と支配されし

深間ナ酩酊 勝手求めで安楽な 快楽浪にワザト浮かべた

我 其処を望んで たゆたう如くナ快楽忘れ求め


キッと何処かで 深間ナ堕ち処など 御座いましょうかと

其れ 戻れぬ限りならば 諦めてくれるんでしょ


忘れしかと まどろむ如くナ酩酊幻想世界

其処ぉ探求ウさせしかナ 酒精に遣られし脳内妄想探索 襤褸な潜航艇

だけどからまさかへと 嘘かもならばと 叶わぬことだらけ


妄りには 覗かぬ方が良かろうかと 探さぬは人の知恵

求めまするは 人じゃぁないタダノ快楽求め


夜の 暗闇の 触れるかとナ黒い景色の中

淫微なね 真っ赤なね 姦淫風な植物がね 人目につかぬようにと

音ナイ夜の翳で 穏やかに咲きかけていましょうかと


キッと何処かで 咲き乱れていましょうかと






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