【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

【赤い髪の女ツネ嬢】

2012年02月19日 23時47分42秒 | 店の妓 ツネ嬢
 
【赤い髪の女ツネ嬢】(20)
 
 
 
【怖気る・オゾケル】
 
 
車の中。色濃く紫煙充満してた。
喉奥粘膜渇きキリ。今までにないイガラッポサで覆われていた。
 
粘膜のザラツキで、喉にナニか詰まってる感じがする。
外のド派手な喧嘩騒動ぉ眺めていても、ツキマトう喉を塞ぐ違和感。
 
刺ある塊感。
 
空咳してもツッカエがとれなかった。
堪らないほど息苦しかった。ソヤケド自分。また煙草を吸いたかった。
 
酒も飲みたかった。
強い酒で喉のツッカエ、直ぐにも洗い流したかった。
 
ハンドル抱くようにし、ダッシュボ-ドに置いてたモクのパッケとマッチ掴んだ。
手首のひと振りで突き出たフイルター摘まんでモクぉ抜き取った。
 
マッチ擦った。
小さな燐の炎が点る。
 
車内に漂う紫煙混じりの汚れた空気の渦。
薄明るく照らされると、灰色の靄がかかってるみたいだった。
ワイ。それぉ観れば尚更な煙たさで、眼に涙が滲んできた。
 
 
燃える燐の煙。鼻で吸い込んだ。
 
 
マッチ軸先の赤い燐球(リンダマ)。小さな花火みたいに燃焼し始める。
片手掌の中での、チッポケナ黄色ッポイ赤色(セキショク)輝きの花火。
 
リンダマの燃焼。寸な、ホンの僅かな時間やったけど
無性に゛眩しかったけど、ナンモカンモ忘れたくてタダ見つめていた。
 
 
ワイの息苦しさ紛れの喘ぐ息で炎が揺らがないよぉ、両手で覆った。
包む掌ウチ。其処だけが小さな輝く空間になってた。
 
息を殺した。例えようがない程。綺麗だった。
眩しかった。
 
 
細いマッチ軸ぉ焦がし燃焼する炎。掌ぉひらけば揺らぐ小さな炎。
輝き照らしで、靄汚れて漂う空気。薄影色にしてた。
 
燃えて上がる薄煙。細い筋で車の天井に向かってた。
息トメながら、揺らがずに登る煙の筋。
上目使いで追った。
 
 
軸を摘まむ指先近くまで炎が。
指の先に優しさな温もりが。
 
唇捲りあげ前歯に銜えたタバコ近づける。
微かに吐息をつき、一服した。
 
胸に煙を溜め、息を詰めてた苦しさで鼻腔で息をした。
硫黄臭ぅ混じった焦げ臭い煙吸いこんだ。
焦げた燐の匂い。凄い勢いで鼻粘膜と呼吸器官を奔った。
 
粘膜爛れ焼けしたようだった。
 
 
堪えていた咳が!
我慢しようとしたけど、辛抱堪らずに咳きこむ!
 
イガラッポイ喉を襲う、連続な空咳。
泪眼と洟水塗れなワイ。息が止まるかと。
 
悶える肺。酸素不足な苦しさで刺されたように傷む。
躯中が強烈な熱を帯びる。油な汗で皮膚が覆われる。
 
 
咳しもってドア窓ガラス。指一本分降ろした。
窓の隙間からパトの微かなサイレン音が聴こへた。
 
 
手の甲で洟と泪ぁ擦りながら外を見回す。
野次馬根性まるだしのヨッパライどもが大勢やった。
酒精で染められた赤ら顔し、喧嘩騒動を遠巻きに眺めてた。
 
舗道と車道に割れた硝子片が散らばってた。
ビルの電飾看板の輝き受け、綺麗な虹色で瞬き輝いてた。
車のボンネットの上でも硝子の粉。微塵輝きしてましたわ。
 
 
窓の隙間に鼻近づけ、外の冷たい空気吸ぉうとしたら。
ワイが今一番。出逢いたくないおヒトさんと眼が遭った。
 
 
両目眇めて覗くフロント硝子の向こう側。
喧嘩見物してる野次馬連中の隙間から覗けた。
舗道の向こうから、ユックリした足取りで遣ってくる。
 
 
トトマチ照らす電飾照明だけの薄暗い街中。
舗道置看板の眩(マバユ)い照明背にしてた。
 
人の黒い影形になって。コッチに向かって迫って来る。
 
 
遠目で視る小柄な小さな影姿でも。
今やったらキット。恐ろしいぃ眼ん球(メンタマ)くっ付いた。アノお面(ツラ)。
キット眼ン球。不気味に小さく輝いてる。ワイには見間違いようがなかった。
 
 
今のワイが置かれてる状況じゃぁ。
一番覗きたくもない眼ン球やった。
 
口にモッテいきかけた吸いかけの煙草。慌てゝ窓の隙間に押し込み捨てた。
 
 
自分此の時。物凄く背筋が凍りそぉやった。
 
逃げ出したかった! ナニモカモ放り出して。
 
 
ソヤケド。できんかった。
 
ワイ。蛇に睨まれた蛙やさかい。
 
 
狭いトトマチなんやからな。
 
何処にも逃げ場なんか在るもんか!
 
 
 
 
【赤い髪の女ツネ嬢】(20)
 
    

にほんブログ村 小説ブログ 実験小説へ
にほんブログ村

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。