【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

情けの死劇

2010年12月15日 15時08分03秒 | 幻想世界(お伽噺) 

  

 
 
はたくしが 未だ明けやらない
 
そぉぅ 朝陽は昇らない 寒い朝に目覚めた時
 
暗い夜明け前の空には 黒い雪雲が低く垂れ込めていました
 
昨晩から降り始めた初雪は 音なく寝静まった温泉街を

 
覆うように静かに降っていました
 
 
 
それは和風旅館の
 
竹林囲いの中庭に降り積もった雪が
 
築山下の 隠し庭園灯の仄かな明かりを受け
 
はたくしが寝ていた二階の部屋の 飾り丸窓の細格子障子が
 
薄っすらと仄白く照らされていたので判りました
 
 
 
はたくしは お布団の中から
 
障子越しの雪明りに照らされていました
 
仄かに薄明るい天井を視ていました
 
 
天井からは 白い電燈の傘を被った
 
裸電球が吊りさがっているのがですね
 
薄暗さな中 視えていました
 
 
 
 
お布団の中から 背伸びするように手を伸ばし
 
枕もとの煙草盆に載っていました
 
小さな行燈みたいな電気スタンドの吊り紐を引き
 
赤い色した豆電球を燈しました
 
  
 
はたくしは あの朝 目覚めたとき 
 
普段は滅多と吸わない煙草をですね
 
無性に吸いたかったんですよ
 
 
目覚めたとき 喉は カラカラと乾いていましたのにねぇ
  
 
仄かな雪灯りに照らされた 丸窓の障子を観ながらですね 
 
想ったんですよ 煙草が吸いたいなぁ って 
 
  
だけど暫くは お布団の中で愚図グズしていました
 
なんだか起きるのがですね 億劫になっていましたから
 
 
丸窓をですね ボンヤリとな感じでみていました 
 
 
 
はたくしは 枕を抱くように上向いた躯を俯きなおし
 
手を頭の上に伸ばし 行燈スタンドの弱い紅い明かりをたよりに
 
煙草差しの蓋を手探りであけ 筒の中の煙草を指で弄りながら
 
両切紙巻き煙草を摘まみました 
 
 
 
半身を起こすようにしながら燐寸を擦るとですね
 
黄色い炎がですね 寝起きの眼には眩しかった
 
 
炎を近づけ吸いますと 燐寸の燐が燃える味と
 
ひと吸いめの煙草の煙の味が混ざっていました
 
 
 
はたくし 燐寸で煙草に火をつけた最初の吸い味
 
嫌いじゃないんです スキなんですよ 
 
 
 
其の時 胸の奥まで煙を吸いながらシミジミいたしました
 
不思議と後悔はしていませんでした
 
 
なんの戸惑いもです
 
 
 
其の時はそれよりも 覚悟で想うことを
 
巧くやれるのかなぁ って想っていました
 
だから今でも本当に後悔などしていません
 
たぶん ぇえ今もです
 
そして此れから先も きっと 後悔はしないでしょぉ
 
 
 
 
そぉぅ お話し いたしました眼の前のお方に
 
はたくしの 悔みも抱かない出来事を
 
 
 
 
 
あの日の朝は 前の晩から降り続いていた雪がですね
 
いったん降り止んでいました
 
だから夜明けの時刻には 珍しく朝日が昇るのが観れました
 
 
 
朝焼けな 紅く眩しいお日様が 真っ白な雪化粧の庭をですね
 
夜明け色の赤っぽい 黄金色に刹那に染めるのをですね
 
あの人は視ていたそうです
 
  
 
旅館の開け放った二階窓の敷居に座り
 
朝日が昇る前から あのひとは眺めていたそうです
 
まだ陽が昇る前の お日様に陰で照らされた
 
山の影で眺められる東山を 寒さを堪へながら視ていたそぉです 
 
 
 
其れから暫くのあいだ あのひとが観ていると
 
お日様は だんだんと明るくなりながら
 
瞬きのような輝きをですね 中庭を埋め尽くす雪に
 
黄金のような陰を奔らせたそぉです 
 
そしてあのひとは こぉう想ったそうです
  
素敵に綺麗ぃだなぁ って
 
 
 
 
あの日の朝は ひとの身体の芯まで凍りそうなほどの
 
美しい雪景色でした そぉうです

 
 
 
 
はたくしは お布団から起き上り 厚い和装の上っ張りを肩に掛け
 
古い年掛けた襖をあけ 部屋から薄暗い廊下にへと
 
 
暗く長い廊下の 雨戸はまだ閉じられておりました
 
だから足元の灯りといえば 小さな雪洞みたいな灯篭に
 
部屋の名が 黒字で浮き上がり燈る 明りだけ
 
 
其の薄暗い灯り燈る 狭い廊下を忙しく行き交うのは
 
朝早くから立ち働く仲居さんたち
 
 
 
囁くような小声で おはようございます
 
とっ 軽くお辞儀で通り掛かります
 
 
 
 
玄関横の帳場に小声で声をかけると
 
下足番のご老人が出てこられました

はたくしはお願いいたしました
 
傘を貸していただけたら っと
 
 
 
ご老人
 
お客様 外はまだ雪は降ってきますから
 
御用なら言ってくだされば はたくしどもが承り致しますけども と
 
 
ぃいの これから人に会う約束があるから ちょっと出かけたいだけです
 
じゃぁ お車をお手配い致しましょうか?
 
 
ぅうん いぃの
 
 
 
聴けばご老人 怪訝そうな顔をしながらも
 
じゃぁ っと 言いつゝ奥にと
 
 
 
暫くしてご老人 旅館の名前が載っている
 
渋い赤色な番傘を手にし戻ってきました
 
 
 
ご老人 傘を はたくしに手渡してくれながら
 
軒先の暖簾越しに 宿の外を覗き見しながら仰います
 
 
お客様 雪道は歩きにくいから ヤッパリ車を
 
っと 顔を曇らせます
 
 
いぃの その時はその時だから
 
っと はたくしは玄関先までご老人に見送られます
 
 
 
小脇に挟んだ あの細く絞った紙包みを確かめながら
 
ご老人にお借りした番傘を差さずに旅館を出ました
 
 
 
表に出ると 昨夜の温泉街の喧騒が 嘘のような雪静まり具合
 
明けかけた外には 辺り一面 白が迫るような雪化粧でした
 
 
 
降り積もった雪は 昇る朝陽を返していたので
 
はたくしの眼にはたいそうな感じで 眩しかったんですよ
 
 
 
温泉町の真中を流れる 細い谷川のような川を挟んだ
 
両側の土手道や 古色な柳並木も
 
古びた木造の橋も ナニもカモが真っ白色でした
 
 
 
朝の冷たい 硬い空気の中 音なく流れる川にはですね
 
この温泉街特有な 真っ白な湯気が漂い覆っていました
  
そして湯気は 硫黄の匂いと共に
 
両側の 土手の上まで立ち昇っていました
 
 
 
 
素足に紺藍の女下駄 下駄先と赤い鼻緒が濡れてきていました
 
足指が冷たさで です
 
 
雪が 紅い鼻緒の下駄に踏まれて鳴きます
 
 
あの女の肩には 女物の丹前縞の広袖の綿入れ
 
前身頃の両の襟には 泊っている旅館の宿のお名前
 
その下には やはり旅館の冬物の厚手の着物
 
 
そして 冷たくなった肌には 夕べの寝間着代わりの浴衣
 
 
 
雪がね 粉雪が降り出してきましたそうです
 
 
 
きっと 番傘の柿渋の紅が 綺麗に咲きましたでしょう
 
傘の柄を肩に 絞った紙の袋をその脇下に
 
空いた片手を着物の袂にね
 
 
そして暫く歩いて冷たくなった手を
 
温もりを求め合わせた前襟から胸元に
 
其の時 手のひらに 温かなふくらみのね
 
柔らかなふくらみの先に 指先が触れたとき
 
戸惑ったそぉです 
 
  
ふくらみの 寒さで硬くなった蕾にですよ 
 
 
 
胸のふくらみの その柔らかさが女には疎ましかったんでしょぅ
 
物凄く その柔らかさが哀しかったそうです
 
 
 
昼を過ぎ夕方になっても 降り続く粉雪
 
止みそうになかったです
 
 
赤い鼻緒下駄 寒さを堪へきれずにですね
 
幾度も 幾度も小刻みに足踏みしていました
 
いつまでも 随分な時間
 
 
 
 
はたしは川向うの 路地裏の鄙びた旅館を
 
こちらの表通りから眺めていました
  
其処までの雪道には昼を過ぎても
 
何方の足跡も刻まれてはいませんでした
 
 
 
其処に向かうとき 自分の足跡がつくのがなんだかいけない事のような
 
だから 川の柳並木の雪化粧の下で佇んでいました
 
暫らくすると 益々凍えそうなので少し歩いてはまた
 
其処に戻ってきました
 
  
何度も何度も 繰り返しました それを何度も
 
 
 
番傘 畳まれていました あの女の髪と肩が雪で濡れます
 
頭から仄かな湯気が 肩からも
 
女は悴む白い手指に白い息 吹きかけます
 
 
顔を白く凍えさせながら
 
 
 
 
はたしの堪へは 其処までゞした
 
見かねて耐えられずに近づきました 背後から
 
 
「もぉぅ帰ろぉぅ」
 
 
此の時のはたしの声
 
今想っても よくもあんなに優しい声がと 
 
 
 
振り向いた濡れた髪の女の顔 驚きで妙に歪んでいました
 
でも 堪らないほど綺麗な顔でした
 
それ 止め処もなく多分です
 
はたしの心から何かをです 奪って逝きました
 
 
 
「帰ろぉ なぁ」
 
「・・・・・!」 
 
「許しておあげ もぉよそぉ 許してぁげよぉ ねぇ帰ろぉぅ」
 
 
 
見る見るうちにでした 眼に涙がです
 
はたしのね 眼にですよ
 
涙がね わぁ~!って
 
 
あの女(ヒト)の顔 窺へなくなってしまいます
 
眼を瞬きながら 半分雪に埋もれた番傘 拾いました
 
下を見たとき 白い足の指爪と赤の鼻緒がね 濡れていました
 
はたしね 顔 あげれませんでした
 
涙が 鼻緒の赤に誘われて再びにでしたから
 
 
積もってる雪に 落ちる涙で小さな穴が幾つも
 
音もなく密やかに空いて往きます 幾つもね
 
 
そしたら あの女が傍に蹲りました
 
濡れて垂れた髪が眼の前に
 
女は両の手で 悴み縮かんだ指のまゝで顔を覆いました
 
 
雪の上に 湿った紙袋が音も無く落ちました
 
 
はたしは俯きながら其れを拾います 落ちた袋を
 
 
番傘を開いて彼女の上に掲げます
 
こんな啼き方ができるのかとな嗚咽が暫らく
 
 
ぃぃえ 随分とでした
 
 
女の後ろ襟から覗く項がね 細かく震えていました
 
 
 
袋にはね 中にはね
 
入っていました 細い鋭いキッ先の得物が
 
それ 暖かかったです 女の肌温もりでね
 
 
 
一昨日無くしたと想っていた
 
はたしが愛用してた調理用の刃物でした
 
此れで 如何にかしようと寒さの中でね
 
 
はたしの堪えは其処まででした
 
 
番傘がね ガクガク揺れますねん
 
傘の雪が落ちてきますねん あの女の背中に降りますねん
 
 
悲しみがね 襲ってきますよぉ~!
 
心がね 悲鳴を挙げ続けますよぉ~!
 
 
 
刺身包丁 川に投げ捨てました
 
 
その時 何故か傘まで落ちました
 
赤い傘が クルクル回りながら川原に落ちますねん
 
真っ白な川原にね クルクルって
 
  
落ちますねん
   
   
     
  

溺れるお話し

2010年12月07日 21時32分25秒 | 幻想世界(お伽噺) 

 

  
 
何処かのどなたかに 仄かな恋心を っと

 
 
あんたの恋に堕ちいってる心の色は
 
暗闇色の 夜の空の黒い色なんかよりも
 
もっと真っ黒な色なんだね きっと 
 
悩み色で深くとね

 
あんたの心は傷ついてるんだね
 
きっと
 
 
 
 
あんた想い違いの 勘違いしてるかもしれないよ
 
あんたの心の奥なんかをね
 
あんたが誰にも診せないからさ 
 
 
 
あんたの想いヒトさんに 心をさしあげたいと?
 
欲しがるかなぁ あんたの黒色な心  
 
 
 
それでも誠実に想ってるだけなんだって
 
 
 
勘違いかな あんたの
 
あたしは そぅ想ってるんだけど 
 
 
 
ナニ想ってるって?
 
あんたが悩んでる?ってのが理解できないよ 
 
 
 
 
 
 
ぅん イロイロ悩むよねあんた イロイロとね
 
 
そして散々イロイロな 幽かな秘めやか事なんかがぁ
 
って 明け方近くまで夜の独り寝の褥の中でかな
 
 
まだ叶はぬ想いヒトさんとのね
 
ふたりの出来事なんかをイロイロとね
 
深くと想いに耽ってね 悩むよねあんたは  
 
 
 
互いにふたりが お互いをって想いあってるならね
 
それならいぃんだけどね あんた
 
  
 
想いあう熱い恋の物事なんかにはね
 
きっとね 為ってはいけないものなんだよ 
 
 
 
 
 
眠れない夜更けたころにね
 
あんたの心の中だけで生まれ続ける 勝手紡ぎな物語ならね
 
あんたの勝手な夢みたいなね 幻視な触ることもできもしない
 
夢な妄想紡ぎにね 溺れ続けていたいぃんだったらね
 
それでもいぃんだよ あんた
 
 
 
だけどね 詠めないほどの微かでもね
 
心で儚いけれども 希望をいだいて想い願いなさいな
 
毎晩 眠れぬ夜がつづくのならね
 
 
 
ただの夢な幻みたいな物事だけどね
 
その希望する出来事なんかは
 
幻みたいなうつゝな此の世なんかではね
 
 
叶はぬかもと想ってね
 
 
 
でもと?
 
 
夜の深まる真夜中過ぎてもね 
 
恋になんかには 溺れたくはないと 
 
ただ ふりむいて愛して欲しいだけだと?
 
  
 
あんたが 物事なんかがお判り難いなどと想い悩むのならね
 
あんたの恋心に あんたの希望を見ぃ出しなさいよ
 
 
そしてね 離さずにいだいていきなさい
 
あんたの想いヒトさんのところにね
 
 
 
間違っても 道を踏み外さずにね
 
用心しなさいな
 
 
 
遠回りの 迷路みたいな枝道なんかに迷はずにね 
 
ふたりの愛を お見つけなさいな
 
 
 
 
 
尽きぬ想いをと あのひとに伝へたくてと
 
お出来にもなれぬ ご自分の想い心なんかをね
 
心の奥で いつまでも弄びなさいな
 
 
毎夜 眠れぬほどと想い悩むのならね  
 
 
 
 
 
 
あんたの幸せをね 願っているからね
 
 
 
あなたの望む希望を叶えなさいな
 
 
 
 
   
サヨウナラ

 
  

【愚図】

2010年11月14日 02時28分47秒 | 幻想世界(お伽噺) 

 

【夜更けて聴きたい】

 

ナンかぁ シミジミしますなぁ
 
宇崎さんは コンな風なチョット陰な女のひとのコト
 
ホンマニなぁ 惚れボレするくらいにお判りなんやろなぁ
 
 
コノゴロ 心が穏やかになってきてるさかいかな
 
コンナ歌ぁ 聴いてゝも疲れません
 
 
ホナ また明日ぁ

 

 

【深夜の追記】

酒精に心が侵されながら 幾度も繰り返し再生しています

宇崎さんは えぇなぁ・ ・ ・ ・ッテ

 

物事の始めの取っ掛かりでぇ

躓いたらぁ 救いようがないほどなぁ

アキマヘンわぁ~! ッテ

 

ホンマニぃ オヤスミナハイ

 

   

 

 

 


恋文

2010年10月06日 20時19分18秒 | 幻想世界(お伽噺) 
 
 
(画像は勝手イメージ・トアル某嬢からご提供して頂きました。アリガトォ)
 
 

秋の初めの夜更けごろ  吹く風は涼しげさなんだと
 
ボクは ボクの熱な肌にて感じます
 

ナニも聴こへない 無音な穏やかさにて吹く風は
 
夜の暗闇の奥深くな 海の彼方を見つめてるあなたの

瞳の上の柔らか前髪を 優しげにそよがせます
 

あなたの影な横顔を ボクは 夜の光の陰を透かして盗み視します
 
その細い髪の毛は緩やかに揺れ ボクの心を乱れさせ
 
限りなく 切なくと騒がせます
 
 
だから想いをと 寄せる女の心色は黒き色かと観へがたく
 
なのに あなたに強き想いなどをと抱くボクの心根
 
あなたは 如何して判ってくれぬものかと
 
 
つくづくと 心に重くと感じるばかりの ボクの懊悩な恋情世界
 
 
暗闇ばかり覗つゞける ボクの胸の心の中に隠れ潜み
 
感嘆もなきかと つくづくと想うことに無情をと 
 
仕舞なき お終いを求めることゝて厭はぬけれど
 
性根腐れな ボクの胸の中にて隠れ棲む
 
妖化しども ざわざわと 
 
ざわざわと 妖しげ蠢きいたし始めます
 
 
あなたの白い細き手の指にてなら 触れられるゝかとな暗闇の観へぬ奥
 
そこにては 想うことにての眩しさもなく
 
暗さなで 静かさにで 幽かな音がいもなくかと
 
なにも物も言へずなことなれば 闇の優しげな真っ黒色にて
 
ボクの哀しき心を抱き そぉぅっと 静かに包ませてくれる場所

 

勇気のない意気地無しなボクは 心で念じ続けておりました


あなたと愛し合いたいなぁ

 
 
暗き世界が あなたと ボクの心の周りに満ち溢れ
 
あなたの手が ボクの手を探し求めくることもなく
 
判りあへている物語は ただ其れだけに故な
 

ふたりを 待ち草臥れる安らぎが醸し出す
 
ふたりの 物事の始まり事 かもなんだろう
 
 
想う哀しみもなく いつ迄もと注ぎ尽きぬきれぬ
 
胸の心が遣る瀬無くと 焦がれるほどな熱き想いも 
 
互いにと求めくる 確かめ事なんだろぅ
 


ひと言 ただのひと言 限りに低くと囁きたい

 

あなたの耳元で
 
頬を寄せ合ったときに
 
 
 
愛してるんだよぉ
 
 
 
ッテ あなたに心をこめて囁きたいなぁ




    
    

男と女のお話し

2010年10月05日 00時14分58秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  
(画像はイメージ)
 
 
【想う物事】 

 
夜空を低くと覆いし 黒かと灰色に濃縮されし雨雲
 
見上げれば 閃き瞬く雷光にて気が乱れしかと
 
道に迷いし心想いが覗くが如くと
 

冷たき水晶の雨粒降る空間を切り 
 
狂いしと奔り舞うは 黒き陰影姿にて
 
音なくも羽ばたく ふたつ影な 蝙蝠

 
降り注ぐ雨粒を握りつかもうとし 
 
つかみ損ねるはナニもなきだから
 

幻想でもかと 
 
迷うがごとく捜し舞う両の手 ひらひら 
 
幾度も雨を払いて ひらひら
 
 
 
近き古さのころ ボクの想いの重なりの確かさはなく
 
ただただ 無駄な日々が 安らぎ過ぎて逝くのが怖かった
 
 
 
事もなげに聞かされる あなたの想いの辛さ言葉
 
聴けばナニが っかと胸奥で繰り返し
 
幾度もと繰り返し 辛き言葉を心にて 反芻していました
 

応へなど 求められる筈もなかったけれど
 
 
 
「アン時なぁ アンタやったらウチぃ いっしょに死んでもいぃ想うてました」
 
「そやからワイ ナンでや ナンでやぁ 何べんも考えましたがな」
 

「ぅん ウチぃ辛かった 心が辛かった」

「そや 結局な 考えてもドナイモしょうがないねん 心が想うことだけやねん」
 
 
 
ふりかえると 物事の最初の始まりなんか
 
不思議な出来事が イッパイ詰まってからの始まり
 
 
暑い輝く陽光は 真昼のふたりの歩き路照らし
 
キッと何処までもと 白くと輝かせていました
 
 

あれからの時もと 忘れへぬ出来事なんかだから 
 
冷たさかなとの 醒めさせぬ熱さをも っに悟らさせ
 

始まりは貴女とだから 胸の心がいつ迄もと忘れません

できません 忘れることなんかを
 
 
限りに遠くな筈もなくと
 
終わることもなきはずだからと
 
 
添い遂げたい物事
 
 
 
 
あなたが喜んでくれるのなら
 
モット イッパイ イッパイ 

イッパイお話し いたしましょぉ
 
 
 

バイバイ
   


  

トワイライト 【ヨルノフカミ】

2010年01月25日 22時04分18秒 | 幻想世界(お伽噺) 

  

  (写真はイメージ 無関係)





【夜の深海】ヨルノフカミ



ある初夏の日の とある穏やかな宵


遥かな遠くから梅雨が明け 夏が始まる合図のような雷の音(ライノネ)

時折 稲妻の雷光が夜陰に瞬き光ります 

遠くの黒い影絵で観える山々の稜線 刹那で観えます

其の山にかゝる雨雲 仄かに輝き闇夜に浮き上ります



夜風にて笹浪が たゆたうように揺れる竹薮から

空蝉が鳴く様な 地虫どもの騒々しい声々

夜更けての忘れ暇には 時折に 竹薮奥に巣くう青鷺の群れから 

物の怪な化鳥がぁ 喚き啼く様な鳴き声が聞こへます



濃密にと湿気た夜に開け放たれし 縁側の履き出し窓

ただ 暗闇に穿かれたが如く 空いてるだけ


黄色き輝きの蝋燭瞬く 薄闇の部屋に蚊帳が架かっています



密かな闇に潜めた言葉 儘に音ナイ吐息が混ざります
 
滑った唇からは細い息 限りにと音も無く吐き出されました

蚊帳が穏やかに吹き込む風で 揺れました

暗闇に蚊取り線香の赤の点 ジットな密かなさで点で輝く



組み伏せられながら息ぉ潜め 縁側の奥を覗けば

庭の暗闇の芯から 夜更けの何かゞ足音もなく訪ねてきます



人がナニ気に気づきました 主(ヌシ)は首をもたげ振り返しました



其処に視へるは何も無い 透き通る様な黒い闇の壁

伸びた首筋に 黄色き光に照らされし汗の筋 

蝋燭が汗肌ぉ 滑る様に光らせていました



何かゞです 蚊帳の外でナニかゞ蠢きます

そ奴が心の中ぉ覗きます 交わる者の



愛の意識の想いの世界を 貪ります



聴こえます 速いふたつの呼吸の音(ネ)が

堪へても堪えきれない気持の想いもです


濡れた吐息になってます


ふたつの流れし汗肌の混じり合う感じが 部屋の隅々に篭ります

秘めたる艶は 蚊帳の中で激しくと舞っています



蒸せるように暑き闇 隠し事で萌えさせるは情炎です 



脳裏に鮮烈な真白き光りが瞬き 目蓋の裏底に紅蓮の輝き

逢瀬な歓喜の荒なす海 汗に塗れた身体を深くと沈めます



突然 夜の音が無くなります 悉くと

そして繰り返します 幾度も 幾度も 何度でも


蚊帳の中には 漠とした静寂が襲います




夜が明けるのは もう少し後です

意識は深いまゝ 堕ちたまゝでしょう



我はみずからと溺れました





 

 (映像は物語のイメージ 無関係)





大人が話しました




バイバイ
 


「あなたを愛する想い」三浦和人(雅夢)

2009年10月03日 02時21分33秒 | 幻想世界(お伽噺) 


(写真はボクの勝手なイメージ。記事とは無関係)




【夫婦善哉】ッテぇ。美味しいんかなぁ?




この間。妻サンとチョットぉ・・・・・・



マァ・・・・・ながいことぉ。夫婦ぉ遣ってますとぉなぁ。

イロイロとありますがな。


イロイロとなぁ。



けどぉ。イロイロがなぁ。タブンなぁ。

確かめてますんやろなぁ。


自分の心の中ぉですがな。


イッパイ詰まってるぅ。想いのナニかが壊れてませんやろかぁ・・・・ッテ。




 

(映像ぉは。文章のイメージ)



アンサン。スキです。ッテなぁ。

相方サンにぃ、言えますんかぁ?



ナァ?



オヤスミナハイ。


バイバイ



 
  


復讐心:イツカァヤッテヤル

2009年07月02日 04時06分32秒 | 幻想世界(お伽噺) 

(写真は、ボクの勝手な脳内イメージ)




「ウチがナンで求めたらアキマセンの?」

「アカンってユウデせんがな。ショォモナイからやねん」



勝手な男の想い込みなんかで、蔑まされて堪るかいなっ!

ッテなぁ。アンときぃ。ツクヅク想いましたはぁ・・・・・・・ァホッぉ!

 





オヤスミナハイ




バイバイ



  


終わりが始末の付け方

2009年06月06日 04時14分03秒 | 幻想世界(お伽噺) 
 
(画像は作者の脳内での勝手なイメージ)





物事 駄目で元々なんやけど 添い遂げるは命懸け

其処までもと 想い詰めれば添い遂げれるかもと


モシモなぁ 一途に嘘でもと 限りにと望むことなんやけどぉ

ダケドナァ 其れは如何なものかと



裏ぉ返せば戻れぬもの

ソヤカラ お頭ぉ冷やしなはれ 


キットなぁ 見えぬ物事がなぁ タブンなぁ

お判りいたしましょぉかと



納得いたしましょぉかと

壱度 お試しアレ




オヤスミナハイ



  

24時間の神話/VOICE (限りある物事)

2009年06月01日 03時33分41秒 | 幻想世界(お伽噺) 


(画像はイメージ:揺れる物事)



24時間の神話/VOICE






御前様 好きな人ぉ見つめ続けることが御出来になりますか ?

為らば 物事の始めから纏めて御覧



堕ちましょうぞ 深間な者ドモが待ち受ける其処までも

ふたりで何処までもと 静かな寒き音なしの国に



「ゴメン 指ぉ切っちゃった」


林檎の白い肌に赤いものが挿しました


「ぃいよ 」

「ぁ! ダメッ!」


「美味しいぃ 」



吸われる指先 痛みが痺れました




バイバイ






   





狂ぃ櫻花

2009年05月22日 03時11分09秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  

 (画像ぉ白鷺城にて)




櫻花 土を覆う程とに散り終へる

其の魂 蒼空の何処(イズコ)にと



淡き儚き桃色な 白き綺麗さは 

胸にナニかを秘め 視る者に隠さずにか



嘘 闇の向こう側の輝く白い嘘



真紅の紅いもの 情ぉ迸らす椿



其の赤で 確かなものを隠す人の隠し事




散りまそぉぞ


限りにイッパイ




噛み切れぬは 物悲しさ


心は 染められもせず





静かに





キット 密やかにと



静かに





  

恋煉獄模様 

2009年03月31日 01時43分02秒 | 幻想世界(お伽噺) 

 (画像はイメージ) 恋文・rennbunn




 あなたの心に物語はありますか



ナニを観るとあなたの心には はたくしの想いと同じものが映るのでしょうか

狂うほど好きだと告げること 叶はぬと狂ほしさなもの

幽かにも芽生えることがあるものなんでしょうか 



ナニと言えば はたくしぉ見てくれるのでしょぉか

はたくしの心が叶はずとも 求め続ける儚きもの

あなたの目に映るのでしょぉ



あなたの想いにはナニがありますか

キット 羨む者が想いもしない 容易く判らないものなんでしょうか


だけど 悉くと人ごとナンでしょぉぅ



夕べ 庭の暗闇に仄白く咲く 夕顔を見つめながら眠ろうとしました

眼を瞑れば限りにと 瞼の裏に映る思慕なあなたの影


胸の音 張り裂ければと 如何しようもなくと早く打ち

知らずに詰める息が苦しくて 音なくため息を吐きました 


一夜も眠れませんでした 


ぃいえ

はたくしが ココロ想わぬ他所の方に思慕され迷わされ

儚さもなくと想われてる事 はたくしに圧し掛かります

あなたじゃないから悩ましくなんです


心が限りにと落ち着きません




昨日 お手紙ぉ読みなおしました

優しくと慈しむ文字の心は 想いの他に痛さなものぉ求めさせます

暗き夜更けに眠らざれば 一夜の安らぎぉと望んではいけませぬか

物想いに耽ることこそ如何なろぉかと 死折れそぉなはたくし 



例えば 廓ナもので責めてはいただけませぬか

情けなもので支えては頂けませぬか

捨てるようなものでも 少しのものを与えては下さりませぬか



イッソ ヒトオモイに殺しては下さりませぬか


もぉぅ 此れ以上に馴染みな哀しみぉ 求めさせては下さりませぬか



黄泉から吹ききたる 墨で染めたるが如くな

漆黒色ぉした 夜の生暖かき風に撫でられました

粘る汗に覆われた はたくしの想いなき醒めた膚が 


三途の川の向こう側より 渡り来る憑き物に唆され

イットキ救われましても 其れは慰めもなき嘘な安らぎ事



何時かはと 嘘で纏まったまやかしな催し事でも

幾度となくと 深くと繰り返し致しますれば

朧げな幻想世界でもと 求めさせられまする



はたくしは 不覚な味なき出来事ぉ

叶わぬまでも いつまでもと嘗め続けましょぉ 




ハテ? 今ドコカカラ・・・・・・

空耳カ? イィヤ。 確カニ人ガ許シォ請ウ声ガ。




サァ・・・・・・ッテ。如何イタシマショゥ?





    

優しく逝かせて

2009年03月27日 03時54分19秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  

(画像はイメージ無関係)



知らぬ間に過ぎ逝く時は優しいです

穏やかなアナタの結末ぉ迎える為に



或る日 ナニげなく友が喋ります

「アナタァ・・・・。この頃つかれてないぃ?」



朝に 洗面所で鏡を覗きました

老け顔になっていました 気づいたら


キット キット


気づく筈もない 限られた自分のオトナシイ時間が亡くなっているのでしょぉう



「ぁはははは そぉだよぅ」



笑って応えたらね

少し哀しげな顔ぉされました


はたしは心のなかで呟きました



一晩で 老けなくて悪かったぁ?



彼は意地悪をしたんだと

何故かなぁ


互いの姿態がね 観合えるからなんでしょうか?




早くと 向こう側にと



 サクラチル 







バイバイ


 

儚さ

2009年02月25日 00時28分24秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  
 (画像は岡山県ブルーハイウエイ道の駅にて今年撮影) 



もぉぅ咲いた 早咲きの桜



そんなに花弁ぉひらいたら

あなたの心の芯は寒くはないの


なにぉいそいでいるの

なにぉ待っているの


どなたなの

待ってるお方は


そのお方の心はまだ冬の心のまゝなんでしょうか


求めずとも咲かせてくれました

一輪の小さなが 綺麗さながたくさんでした



観ればはたしの心は嬉しがりました

咲き乱れる儚さが イッパイあったから



隠せません はたしの人を想いますことは

望みません 求めても叶へられないから

捜しません 追えば届かぬ処にへと逃げることでしょうから



薄い桃色 儚き泪色


小さな花弁 摘まめないほどの儚さ


香りは 桜の香りは

人の胸の内奥での想いと同じ 香り



モット喋りましょぅ

ただ 喋れば言葉が嘘に為るからと



透きとおるは サクラ色




  

A French doll

2008年11月01日 13時04分34秒 | 幻想世界(お伽噺) 



(慰めなドール)




仏蘭西人形の蒼き硝子の瞳 見つめるは人の慈しみあう営み

夜は想いも深くと更ければ 薄暗さな部屋の中

西洋衣装箪笥の 明かり届かぬ上から



褥にて君の主 愛に組み伏せられして嗚咽堪へしています

好(ヨ)き人の広き肩の下 蠢きさへ叶わずにと

唇ぉ噛み 息を詰め 



黄色き裸豆球電燈の下 朧な薄闇に匂いまするは人の汗の香り

隠微は求めても蠢かず 責めもせずにと 


嫉妬は 人の意識の為せる反逆の炎

脳裏にて焔広がりたるは 悲しきナ者と 恥が安らぎがと狂う者

其れは勝手求めとも いつかはお気づき召しましょうかと



いつかは幾度もと 限りに心語りなどいたします

どなたも ケッシテお判りなどしてはくれませぬ どなたも っと



秘かに想う言葉語りは 慈しむことなどもされぬ 心醒めしお人形

其の硝子ゆへ瞬かぬ対の盲いた瞳 穴もなき飾りなゆへにて聴こへぬ両のふた耳

されば言葉は動かぬ唇で どなたにも聴こへませぬ静か喋りいたしましょう


はたくしは人に非ずして 人の心などぉ虜にせんと作られし物

仄か明かり微か受け 冷たき蒼き水晶の如くな輝きする

硝子珠作りの瞬かぬ眼を授かりし 人の慰め物なお飾り人形


ドールの小さき対の硝子の瞳 身動ぎもせず見つめ続けるは人の快楽探究ゴト


柔らか肌かと見まがう 動かぬ瀬戸物にて拵えしな白き肌

身に纏い着飾りたるは 古き王朝時代の仏蘭西貴族風な雅なドレス



「まさかっ! 濡れてまする 」

「そぉさな 」

「はたくしでは御座いませぬ 」


「ぅん?」


「アリスの目がぁ 」

「ァリスゥ 誰?」

訊かれして伸ばし指さすは 暗き陰な衣装箪笥の上に載りし仏蘭西お人形

「目の錯覚だろぅ 」

其の指差す先を 訝る視線にて捉えるは 女の好(ヨ)き者


「ぃぃえ ほらぁ 」


薄暗さは 人ぉナニかにとお誘いいたしまするのでしょぅか?



慈しみあい乱れし枕もと 赤き薄布傘の電球スタンドぉ点灯させざれば 

部屋に赤の仄か輝き 微かな音もなく降るように満ちました



硝子の瞳から 幼顔の硬き頬伝い滴る水晶の雫

箪笥の上から下にと墜ちる 見つめれば永久(トワ)にかとな刹那の瞬時 

電気スタンドの柔らかき 赤の薄明るさに照らされておりまする


綺羅綺羅と 墜ち逝くるまゝに赤煌めきしておりましょうかと


赤で透きとおる球 柔らかき真紅の絨毯に落花の如く堕ちまして

球は砕けるはずもなきことなれど ふたりの胸の何処かでナニかゞと


確かにと ナニかゞ壊れましたことでしょう



「さぁ 」

続きぉ っと灯り消し急かされゝば 黙りな返事でしかたなくと




はたくしはお人形 はたくしは作られし物なお人形

慰め物なで人を虜にしそこねた 永久(トワ)にと踊らされ続けるお人形




冬の早朝 茜の色に空を染め 昇る朝陽にて萌えるかとな視界の朝霧漂う裏庭にて

掻き集めるられし落ち葉と 折れた枯れ枝の薪の中にと捨てられし 燃えるお人形

其の時 はたくしは見つめていましょう 其の熱さは求めなくとも焚かれるとき

はたくしの心の肌を 黒く焼き焦がし尽くしましょうかと


背を向け家にと戻るとき 背を嘗める薪の暖かさ 氷の如くな冷たさでした
  
耳にて聴こえなくとも 悲しい悲鳴がイッパイでした



振り返れば 昇る慰め物の焼ける煙 漂う朝霧と混ざり合っていました


ドールの熱にて割れる 硝子目玉の壊れ音 幽かに




音は確かに 幽かに







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