【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

 古強者 【刑事:デカ】

2006年09月08日 01時19分42秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  


 【誤魔化し】


勢いつけて舗道に乗り上げ、単車のエンジンを切り押し歩いてると 
先程まで熱持つ金切り声を上げ続け 高温溶解してしまう
 っかとの、2サイクル三気筒発動機

高速運転時の熱で膨張していた発動機の金属 冷たい夜気で冷却され、 
急激収縮し金属同士が軋みあう、弾くような金属音 時折発した。  



単車は警察署近くの国立病院裏手 夜間の緊急車両進入口から入って行って直ぐの
切れかけた一灯式蛍光灯が瞬く 薄暗い二輪車 駐輪場に置いた。
病院の警備員や守衛の初老の老人とは 以前から顔見知りでしたから。

時々店で客がヨッパラッテ(急性アルコール中毒)担ぎ込まれたことが、シバシバだった。 
ボンはタイガイ付き添いで、運ばれる客と一緒に救急車に乗せられた。
行く度に、お礼方々達磨(某社ウイスキー)を幾本か持参して、守衛や其の日の担当医に。

 それで、覚えが宜しかろうかとっ

っで、一声掛けて駐輪場に 愛する単車を放置プレイ



若ボンが、もう直ぐ建て替えられる為に取り壊される予定の
可也な古さの木造三階建警察署前 っまで歩いて来ると
広かった駐車場は、今夜の騒動を嗅ぎつけた報道各社の多数の車と 
覆面や正規パトから交機のなどの各種警察車両が 

 所狭しと入り乱れていた。 そぅです


人の出入りが激しい署の表玄関入り口から入って、軋む廊下を渉り
深夜の警察署内部に入ると、緊急配備の応援に駆けつけようとする者や
其処此処で何時までも鳴り止まない電話のベル音、其れに対応して大声で対処する者
制服私服が入り乱れての、修羅場やったと。 可也な立て込み状態やった。 っと

 後から、ボンが・・・酒の肴に想い出語り



受付で男の警官に出頭して来た理由を告げると、暫く待てと。
っで、暫くどころか何時までもぉ!・・・・チッ! っと静かに舌打った。
仕方なくボンヤリと 出入りする警察官達を眺めていたら

 睡魔が、堪えきれない眠気がぁ・・・

受付の直ぐ近くで 畳まれて壁に凭れて並べられていたパイプ椅子
一つ掴んで邪魔にならない様にして、廊下の壁際に広げて座った。

 欠伸が繰り返しにぃ・・・

知らずに投げ出した足に 誰かが躓いたのだろう
コイツをドッカに連れてけっ っと、罵声交じりの声が
薄っすら覚醒意識の向こうからぁ・・・!




睡魔にナニヤラ左肩を揺すられて「遅かったな 」 
項垂れていたから、頭の後ろ上から濁声が降ってきた。
眼を開けると、自分の薄汚れたジーンズと、その上に
だらしなく投げ出してた、汚れが視えない手の甲が見えた。

 黒革の艶と輝きをとっくに失った、官給品の靴も


寝惚け頭でも心の中でボンが
『あぁ? ・・・・なにがぁ遅いんやっ! 』 っと 
っで、堪えて「タクシーが来なかったんですわぁ 」 
っと、手の甲で眼を擦る振りして 心の表情を誤魔化した。


「なんや、車とちゃうんかっ 」
「  ・・・・ 」 ・・・・『クソがっ! 』

「まぁ、えぇわっ こっちや 」

『気安く肩に手ぇ置くなっ ボケッ! 』
 って、ボンは心でこの時 そないに想ったそうです。


署内の威圧感溢れる雰囲気に背中を押され、前を歩いてる縄澤の後から
臭さが匂う便所の横の木造階段っで二階へと 

階段を上がって最初の踊り場を過ぎ、再び階段を踏むっと同時にでした。

「なぁボンっ あんたんとこのちぃふ今何処や? 」 縄澤が背中で言います
「何処って? 」 男の皺くちゃのズボンのケツを視ながら
「惚けんでもえぇがな ・・・・なっ! 」

身体は前向きで背中を反らし 首だけを此方に回し向け
充血して血走った二つの細眼で ジッと見透かす様に見詰めて
縄澤が聞いて来ました。


毒蛇に睨まれた小さな蛙の気分 
ボン、よぉ~っく理解したそうです。

 ついでに

『こいつぅ、やっぱしぃ喰えんやっちゃで、可也な古強者やっ! 』

っても、だったそうです。