起業家は自分の感情を隠さないで素直に表現することができるのだろうか

「起業家が必ず直面する厳しい現実と、燃え尽きを防ぐための４つの方法」という記事がFacebookのタイムラインでシェアされていた。

私も世に言う起業家の1人であるが、記事を読み、実に良くその心理を描いていると感じた。

特に、
「それはライオンに乗っているようなもんだ。周りの人は『こいつはすごい！勇気があるな！』というんだ。でも、ライオンに乗ってる本人はこう考える。あれ、いつから自分はライオンに乗ることになっちゃったんだっけな？それから、一体いつまで、このライオンに食われないでいられるか・・・。」
には、「ホント、あたっている」と苦笑いだ。

起業家は常にビジョンを持ち、リスクを負い、アグレッシブで、アクティブであって「当然」と期待されて、顧客や投資家の前でそれを演じる。演じたどおりに現実のことが進めば、それはハッピーであるが、世の中、そんなに簡単には運ばない。仮に何かがうまくいっていても、必ず事業や人、そして資金など様々な面で、いろいろな問題を常に抱えて、それと戦い続けている（少なくとも私の場合は・・苦笑）。演じた自分と現実の自分との乖離が大きければ、それは事業としては困難になるし、精神的には大きな葛藤となる。

起業家の燃え尽きを防ぐために、記事では4つのアドバイスをしている。その中でも、なるほどな、と思う（しかしながらなかなかできていない）のは、「自分の感情を隠さないで素直に表現すること」だ。

記事は言う

相手に気を遣ったり、自分をさらけ出すのが怖くて、自分の感情を押し込めることをしがちだが、それによって他の人との繋がりは薄くなる。だが、本当は、深く他の人とつながることが、もっとも精神的リスクを低くしてくれるのだ。

実に示唆に富んでいる。ここで書いていることは、ごく普通の人間関係を構築して広げていくためには当たり前のことだが、起業家にとっては大変難しい。

最近続く起業ブームの中で、起業家は美化され、起業家であること自体が一つのブランド化している。ひとたびその起業家の1人になってしまったら、「絶対に」その成功を演じ続けなければならないかのようなプレッシャーを受ける。そのプレッシャーは大いに励みになるが、起業家も、強さ・弱さ、得意・不得意も併せ持った1人の生身の人間であるから、常に葛藤をしている。この記事は、そういう葛藤をしている世の起業家には、共感と処方箋になると思い、一読をお勧めしたい。