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ビートルズとストーンズの”新曲”

2023年12月17日 08時47分04秒 | 音楽ネタ

僕は自慢ではないが(笑)まぁ長くロックを聴いてきているが、昨今のビートルズとローリング・ストーンズの新作がほぼ同時に発売されて、世間の話題を独占している、という経験は初めてである。

ご承知の通り、まずはストーンズの、オリジナル・アルバムとしては実に18年ぶりとなる新作『ハックニー・ダイアモンズ』が今年の10月20日に発売された。そして、ビートルズのなんと!27年ぶりの新曲「ナウ・アンド・ゼン」が発売となったのが11月17日。フォーマットによって発売日が違うみたいだし、こちらもそこまで細かくチェックしていないので、これ以上は勘弁して欲しいのだが(苦笑)、ま、とにかく、ほぼ同時期と言っていいと思う。21世紀も20年以上過ぎた今、こんな経験が出来るなんて、全く想像もしなかった。ほんと、長生きはするものである(笑)

先ほど、ビートルズとストーンズの新作が”世間の話題を独占している”と書いたが、本当かどうかはよく分からん(笑) ごく一部の特定の世代が大騒ぎしているだけかもしれないし^^; けど、話題になってるのは嘘ではないと思う。どちらもアマゾンのランキング等で上位に入ってるしね。

ただ、ビートルズとストーンズの”新作”、同じようでもやっばり違う。

ビートルズの新曲「ナウ・アンド・ゼン」は、28年前の新曲「フリー・アズ・ア・バード」と同様、ジョン・レノンが生前残していたデモ音源を、いわばバンド化したものだ。聞くところによると、その28年前のビートルズ・アンソロジー・プロジェクトに於いて、ビートルズの新曲を出す事になり、オノ・ヨーコからジョン・レノンのデモを提供して貰ったのだが、その中に既に「ナウ・アンド・ゼン」は含まれていたらしい。当時、この曲も新曲として発表すべく、作業が進んでいたらしいが、結局ボツとなり、「フリー・アズ・ア・バード」と「リアル・ラブ」の2曲が、28年前に新曲としてリリースされた。その時ボツになった曲が、今蘇ったという訳だ。理由はよく分からない。けど、「ナウ・アンド・ゼン」はビートルズの新曲として発表され、1973年に出たビートルズのベスト、通称『赤盤』『青盤』の2023年バージョンにも収録されたのである。ま、商売上手というか何というか...

なんだかんだ言っても、まだ解散しておらず現役のストーンズは、昔のデモ音源に頼ることなく、現体制での純然たる新曲を用意してアルバムを作った。この違いは大きい。正直言うと、40年以上前の、それも未完成のデモを元に曲を作る、しかもデモを作った本人も故人である、という状況下で発表される”新曲”を”新曲”と呼んでいいのか、と疑問に思う。今ビートルズの新曲を出す意味があるのか? 50年以上も前に解散したバンドの新しいマテリアルがそんなに必要か? しかも、ひたすらジョン・レノンにこだわってるし。どうしてもと言うなら、存命のポールとリンゴの2人で新曲を作ってレコーディングし、ビートルズとして発表する方が、納得できる気がする。

実際、28年前のビートルズのアンソロジー・プロジェクトの時もそうだったけど、古い音源を整理して新譜として発表する、というのは、あまり好きではないけど、ビートルズだし、それなりに需要もあるだろうし、まぁ仕方ないか、という目で見ていたが、古いデモ音源を元にした”新曲”を出すのは疑問だった。ビートルズの存在が偉大なだけに、そんな話題作りせんでもいいのに、と思っていたのである。ビートルズに限らず、歴史の長いバンドやアーティストが、旧作の新編集盤を出したり、未発表の古い音源を発表したりするのは、今や当たり前なんであるが、ビートルズの再発や発掘はちとやり過ぎではなかろうか。単なるリマスターやボーナストラックの追加程度にとどまらず、『レット・イット・ビー』や『イエロー・サブマリン』みたいに違う物になってしまったのもある。ビートルズがあまりにも偉大なので、旧作を良い音で聴く、なんて程度の聴き方では、ファンも関係者も満足出来なくなっているのだろう。僕は全く手を出してないけど(笑)

実は、レコード・コレクターズ最新号の特集が、ビートルズの「ナウ・アンド・ゼン」及び『赤盤』『青盤』の2023新装版なんである。今回は、曲や内容が云々というより、CDの音圧や音質をテーマにした原稿が多いような気がする。語る事がなくなってしまったんだね(笑) ま、ビートルズに限らないけど、昔の盤と最新のリマスター盤とを聞き比べて、リマスターの方がフェードアウトが5秒早いとか、リマスターの方が間奏のギターが真ん中に寄っているとか、あれこれ検証してるのって、一体何の意味があるのだろうか。正に重箱の隅である(笑)ほんと、どうでもよろしい。読んでてもちっとも面白くないし(笑)

それに引き換えストーンズである。旧作のデラックス・エディション或いはアニバーサリー・エディションもリリースされているけど、実はまだ立派な現役である彼らは、オール新曲でニュー・アルバムを発表した。素晴らしい心意気である。ロック・バンドはこうでなくては。ビートルズと違い、ミックとキースの主要メンバーが元気なので、昔と同じようにバンドが運営されているのだろう。

で、その18年ぶりの新作が、実に素晴らしいのである。前作すなわち18年前の『ア・ビガー・バン』がそうだったように、今回の『ハックニー・ダイアモンズ』も、原点回帰したかのようなストレートなロックンロールが主体になっているが、シンプルかつキャッチーなリフやメロディは健在、新機軸はないけど、決してワンパターンでもなく、曲のクォリティなんて以前より上がっているような感じもするし、一体どうなってるんだストーンズ、原点に立ち戻っているにもかかわらず、さらに高いステージに進んでしまったような、そんな印象のアルバムになっている。ファンでなくても、是非聴いてみて下さい(笑)

個人的には、「ゲット・クロース」「メス・イット・アップ」あたりが好きかな。メロウな感じもする「ディペンデング・オン・ユー」もいい。レディ・ガガが参加したゴスペルチックな「スイート・サウンズ・オブ・ヘブン」もいいね。チャーリー・ワッツ参加の音源が混じってるのも嬉しい。コピーしたいです(笑) 昔、ストーンズのコピーやってたバンドのメンバーに声かけたくなってしまった(爆)

同じ”新曲”とはいえ、昔のデモにこだわるビートルズと、まだ現役のストーンズとでは、既に勝負あった、というところか。別にビートルズが悪いのではなく、実際ポールもリンゴも精力的に活動してるんだから、立派な現役なんだし、ビートルズの新曲出すのなら、この二人で作ればいいじゃん、なんて思ってしまうのだ。ファンも喜ぶと思うよ。でも、ジョンのいないビートルズなんてビートルズじゃないのかな。それは凄く理解出来る。ただ、昔のジョンのデモをビートルズの新曲に仕立てる、というのは、やっぱり違うと思う。

と、まぁ、そういう訳で、どういう形であれ、新作出せば話題になるビートルズとストーンズ、どちらも凄いと思う。ベテランもまだまだ頑張って欲しい。クイーンも紅白に出るし(爆)、みんなまだ現役なのである(笑)

最後に余談^^; ”新曲”とは関係ないけと、前述のレコードコレクターズ最新号によると、ビートルズの曲でサブスクで最もストリーミング再生されているのは、なんと「ヒア・カムズ・ザ・サン」なのだそうな。なんというか、色々な意味で嬉しい。

コメント (6)
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