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MFCオーナーのブログ

運命の変化

2017年04月30日 20時06分55秒 | 音楽ネタ
いささか旧聞ではあるが、J・ガイルズとアラン・ホールズワースが相次いで亡くなった。どちらも、知る人ぞ知るミュージシャンであり、ジョン・ウェットンのような有名人ではないので、メディアの扱いは小さかったけど、それにしても残念だ。慎んでご冥福をお祈り致します。

アラン・ホールズワースについては、実はよく知らない。改めて経歴を見てみると、ソフト・マシーン、テンペスト、UK、ブラッフォード等々、なかなかに有名なバンドを渡り歩いているのだが、10代の頃の僕の趣味とは、ほとんどシンクロしてないので、その名前すら知らなかった。初めて知ったのは大学で軽音楽サークルに入った頃。サークルで最初に組んだバンドのギタリストが、ホールズワースの熱狂的なファンで、色々とホールズワース関連を聴かされたおかげで、名前だけでなく、そのギタープレイや音楽性もようやく知る事が出来た。個人的には、ビル・ブラッフォードのプロジェクトによるアルバム『ワン・オブ・ア・カインド』が気に入って、よく聴いてたな。80年代前半にはソロで来日公演を行い、結構盛り上がっていた記憶がある。

その後、ホールズワースはマイペースで活動を続けていたらしい。そういえば、2003年の春、京都のRAGでホールズワースのライブを見た事があったなぁ。トリオ編成のバンドで、ドラムはチャド・ワッカーマン。よく分からんけど凄い演奏だった。ブルースっぽいフレーズを弾こうとしたけど上手くいかず、苦笑いしながら本来のスタイルで演奏再開した場面があったのを思い出す。ブルース苦手らしい。なんとなく、なるほど、と思ったものだ。

訃報に接し、追悼しようと思ったものの、ホールズワース関連の音源が全くなくて愕然とした。前述したけど、僕の趣味とシンクロしてないので、レコードも買ってないのだ。唯一聴いてたブラッフォードの『ワン・オブ・ア・カインド』もカセットコピーだけだし、UKだってトリオになってからしか聴いてない。なんということか。

話変わってJ・ガイルズだが、もちろん、あのJ・ガイルズ・バンドのギタリストである。さすがに、名前を知ってる人も多いはず。自身の名前がバンド名になってるんで、リーダーかと思われがちだが、聞いた話だと、駆け出し時代にライブハウスと契約する時、J・ガイルズの名前が入っているのが条件だったので、こういうバンド名になったらしい。

初めてJ・ガイルズ・バンドを聴いたのは、1976年に出たライブ盤『狼から一撃!』だったと思う。当時FMで聴いた「デトロイト・ブレイクダウン」に、中学生はあっけなくノックアウトされたのだ(笑) ま、暑苦しいまでに男臭いバンドであったが、今聴くと、その暑苦しさがたまらない。良くも悪くもB級感漂うバンドだった。後に音楽性をポップな方向に修正してヒットを出したが、その後分裂してしまった。よくあるパターンといえば、よくあるパターンなんだけど。分裂後は、ハーモニカのマジック・ディックとプルース・バンドをやってたらしい。90年代に、CDを見かけた事がある。あと、知らなかったけど、J・ガイルズ・バンドの再結成ツアーとかもあったみたい。

前述したけど、J・ガイルズ・バンドはデビュー時のアトランティックからキャピトルに移籍して、音楽性を修正してヒットを出したのだが、そのキャピトル移籍第一弾となった『サンクチュアリ』というアルバムを、今は聴いてみたいと思っている。

といった事を踏まえて(意味不明)、最近買ったCDについて、あれこれ。



Loud Hailer/Jeff Beck

ジェフ・ベックが凄いのは、本来の自分のスタイルとかルーツとかにとらわれず、何でもやってみることだ。もちろん、若手との共演にも積極的。去年出た6年振りの新作は、ボーンズというバンドのメンバー、ロージー・ボーンズ(Vo)とカルメン・バンデンバーグ(G)という2人の女性ロッカーと組んだアルバムだ(ちなみに、このカルメンというギタリスト、エイドリアン・バンデンバーグと何か関係があるのかないのか?)。娘どころか孫、いや曾孫と言ってもいい二人とがっぷり四つに組んで、古くも新しいロックを聴かせるベックは、クラプトンとは違った意味でやっぱ凄い。革ジャン着たベックが、この若い二人の女性ロッカーと並んでいる写真があるが、全く違和感がないのもご立派。

後人的には、前作の時にも感じたけど、ベックはボーカルものの方が良いと思っているし、こういうベックの方が好きだ。自分一人で弾きまくるより、ボーカルと対峙した方が、そのプレイがより映えるような気がする。インストをやるなら、ベックと同格のプレイヤーがいないとダメ。いわば、競争相手がいないと生きないタイプ。70歳を超えた今も、若手と並んでも違和感ないのは、そういう性質によるものなのでは、という気がする。いくつになってもロック小僧。円熟とか成熟とかいう言葉は似合わない。ベックって、やっぱ凄い。



Morin Heights/Pilot

ブリット・ポップといえば、1990年代のオアシスやブラーをはじめとする、当時活躍したイギリスのバンドたちによるムーブメントだった訳だが、実は似たようなのが1970年代にも起こっていた。ベイ・シティ・ローラーズの成功に刺激され、似たような音楽性やスタイルのバンドが、雨後の竹の子の如く登場し、活況を呈したというか、訳分かんない状態だったというか(笑)、ケニー、アローズ、フリント・ロック、ハローといったバンドの名前が挙げられるが、このパイロットも、そのムーブメントの中で一括りに紹介されていたような記憶がある。ま、BCR人気に便乗してでっち上げられたバンドもあったと思うが、パイロットはそういったバンドとは、その時既に一線を画す存在だった。何しろ、1976年の時点で、彼らは「マジック」「ジャニュアリー」といったヒットを放っていたからである。もっとも、BCRに在籍していたメンバーもいたらしいけど。

この『モーリン・ハイツ』はパイロットの3作目。ヒットを出した前2作と比べると、地味な扱いらしいが、内容は悪くない。つーか、僕はパイロットのアルバムを聴くのは初めてだけど(笑) 当時、中学生だった僕は、FMで聴いたパイロットの「カナダ」という曲が好きで、その曲が入っているという事で、この『モーリン・ハイツ』を買ったのである。ポップだけどひたすらポップというのでもなく、どこか捻れた感じがするのがイギリスっぽいな、なんて思ったりして(笑) ちなみに、プロデューサーは、あのロイ・トーマス・ベイカー。知らなかった。



I'm Nearly Famous/Cliff Richard

50年の長きに渡り、イギリス音楽界の第一線に君臨するクリフ・リチャードの、1976年発表のアルバム。当時の邦題は確か『君想う夜』。タイトル曲はシングルカットされ(原題は「Miss You Nights」、アルバム・タイトルとは違うのでご注意。笑)、FMでよくかかってた。格調高いバラードで、アート・カーファンクルとかも取り上げていたのではなかったかな。

当時は知らなかったのだが、クリフ・リチャードは70年代に入ってから、活動が地味になっていたらしいのだが、このアルバムで復活したのだそうな。ま、確かに、今聴いてもなかなかの内容で、ヒットするのも当然、という感じの作りだ。「デビル・ウーマン」がアメリカでもTOP10に入るヒットとなり、後の「恋はこれっきり」のヒットの下地になったような気がする。

どうでもいいが、このCD、HMVの通販で買ったのだが、注文してから届くまで実に5ヶ月かかっている。注文する時は、1~2週間で出荷となっていたが、その後入荷の目途が立たない、入り次第連絡します、というメールが何回か来た末にやっと届いた。何故、そんなに時間かかったのか。同じクリフ・リチャードのCDでも、他は在庫ありがほとんどなのに、このCDだけは在庫無し、納期未定状態が長く続いていた。不思議だ。ま、深くは追求しないけどね(爆)



Change Of Fortune/Soul Asylum

去年出た、ソウル・アサイラム5年振りの新作。同時に、去年ソウル・アサイラムは約20年振りに来日公演を行った。ところが、僕は新作の事も来日公演の事も全く知らず、後で聞いて唖然とした。ぴあとかイープラスとかローソンチケットとか、毎日のようにお知らせメールが来てて、一応目は通しているんだけど、ソウル・アサイラム来日情報は全然気づかなかった。というか、載せてないだろ、って感じ。ま、知ってたとしても、見に行ったかどうかは分からないけど(笑)

その20年前、ソウル・アサイラム来日公演の事を知り、前売り券発売日にひたすら電話し続けたものの、3時間近く電話が繋がらなくて泣く泣く諦めた、という事があったのを思い出した。あの時の会場は、渋谷オンエアだったような。う~む、やっぱり行きたかったな(笑)

という訳で、新作である。ジャケットを見て、ウォークマンだかのCMを思い出す人も多かろう(笑) 聴いてみると、相変わらずのソウル・アサイラムではあるものの、違う雰囲気も感じられる。で、ライナーを見てみると、メンバーが替わっていた。ギターのダン・マーフィーがいない。ボーカルのデイブ・パーナーと共に、バンドのオリジナル・メンバーだったのだが、家庭の事情その他で脱退してしまったらしい。一体どうすんだ?って感じ。

ま、バンドのオリジナル曲は、ほとんどデイブ・パーナーが書いているので、ダン・マーフィーがいなくても、大きな変化はないのかもしれない。しかし、ライナーにも「誰も僕に干渉せず自由にやれた」というデイブ・パーナーの意味深な発言があり、事実今までに見られなかった曲調も目立っている、という事を考えると、実はダン・マーフィーの影響力は大きかったのではなかろうか。もちろん、内容は悪くない。

しかし、それにしても、ソウル・アサイラムの特徴でもあるのだが、全編に漂う“若手感”がハンパない。メジャーデビューからほぼ30年、『グレイブ・ダンサーズ・ユニオン』でブレイクしてからも25年、既に立派なベテランの域である。フォロワーが生まれ、若手によるトリビュート・アルバムが作られても不思議ではない。にもかかわらず、この“若手感”である。先のジェフ・ベックにも通じるが、これは凄い事だ。どんなにベテランになっても、常に前を、上を向き続けるソウル・アサイラムというかデイブ・パーナーの今後に注目。



Sing Street-Original Motion Picture Soundtrack

先日、妻がレンタルしてきた『シング・ストリート』を見た。面白かった。80年代中頃のアイルランドはダブリンを舞台に、バンド活動をする高校生を描いた作品なのだが、その手の映画での楽しみは。なんといっても音楽。これが実に素晴らしい。もちろん、ストーリーも良かったけどね(笑)

ダブリンの高校に通う高校生が、一目惚れした自称モデルの女の子の歓心を買う為に、バンドやってると口から出まかせを言ってしまい、行きがかり上メンバーをかき集めてバンドを結成する訳だが、イカしたバンドには黒人がいる、という理由で、学内ただ一人の黒人少年をスカウトに行ったり、といったエピソードが笑える。結成して最初はデュラン・デュランのコピーとかをやってるんだけど、主人公のロック好きの兄から、オリジナルやらないとダメだ、と言われて、オリジナルを作るのだが、これが実に良い出来なのである。それが聴きたくて、このサントラ買ったようなものだ(笑) あの頃のニューロマンティックの香りがする。素晴らしい。ついでに言うと、オリジナル曲のPVを作るのだが、これがまた楽しい。素晴らしい出来映えなんである。ロック好きは、このあたりだけでも十分に楽しめると思う。

単にバンドだけがテーマの映画ではないけど、あの当時の空気を上手く切り取っていると思う。特にサントラは80年代全開である。バンドのオリジナルと当時の既成曲が全く違和感なし。映画見てなくても楽しめるのでは。

ただ、音も見た目もイカしてるバンドなのに、“シング・ストリート”というバンド名だけはイカさないなぁ(笑)
コメント (2)
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