日々の覚書

MFCオーナーのブログ

ケイト

2005年11月20日 21時47分26秒 | 音楽ネタ
ケイト・ブッシュの新作が出たそうな。何でも、12年振りだとか。で、それに便乗したのか(笑)今月のレコード・コレクターズでも、ケイト・ブッシュの特集が組まれている。聞いてはいたけど、寡作の人なんだねぇ。1978年のデビュー以来8枚目のアルバムだそうだ(編集物やミニLPは除く)。昔から“孤高の人”というイメージがあるが、根強いファンは多く、今回の新作も非常に評判がいいらしい。

正直言うと、僕にとってケイト・ブッシュは別に興味のある存在ではなかった。初めて彼女の音楽に接した時の印象のせいかもしれない。前述の通り、ケイトのデビューは1978年だが、ピンク・フロイドのデイブ・ギルモアがバックアップしてるというのもあり、期待の大型新人としてレコード会社もかなりプッシュしてた記憶がある。で、僕が初めて彼女を見た(聴いた)のは、その年の東京音楽祭(懐かしい~)に出演した時だった。かなり衝撃的というか、エキセントリックだったです(笑) その声といい曲調といい風貌といい、他の出演者とは明らかに違っていた。ヒラヒラとした衣装をまとい、首からマイクをぶら下げてパントマイムというか振り付きで歌い踊る姿も、変わってるどころか異様なモノを感じてしまったのだ。正に鬼気迫る姿というか、彼女がステージに登場して歌い始めた時、間違いなく場内の空気は一変した。あまりの衝撃に、ファンになってしまった人と敬遠した人と、多分真っ二つに分かれたのではなかろうか。実は僕も敬遠してしまった口である。僕の趣味は、昔も今も割にオーソドックスなのだ(なんのこっちゃ) それ以降、ケイト・ブッシュをちゃんと聴いた事はない。ちなみに、東京音楽祭で歌ってたのは「ムービング」だった。

とはいえ、彼女はデビュー時から本国イギリスでは順調にヒットを飛ばし(当時は何故売れるのか、理解出来なかった)、日本でも「ローリン・ザ・ボール」がCMに使われ、本人も出演していたりして、あの頃露出は結構多かったように思う。当時としては寡作だったけど、アルバムも次々と出していたし、動向は知っていたのだ。ただ、積極的に聴こうとしなかっただけ。

実際、僕が持ってるケイト・ブッシュ絡みの音源は、1991年の『トゥー・ルームス』収録の「ロケット・マン」だけ(あれ、ピーター・ガブリエルの『Ⅲ』にも参加してたかな?)。これはエルトン・ジョン&バーニー・トーピンという傑出したソングライター・コンビへのトリビュート・アルバムで、エリック・クラプトン、ビーチ・ボーイズ、スティング、ホール&オーツといった錚々たる面子が参加して、この二人が作った曲(つまりエルトン・ジョンの曲)を歌っているのだが、ここにケイト・ブッシュは「ロケット・マン」で参加しているのだ。ケイト・ブッシュがエルトン好きだなんて、かなり意外な感じがしたものだが、彼女による「ロケット・マン」は素晴らしい出来映えだ。原曲の持つ静謐な雰囲気はそのままに、レゲエっぽいリズムアレンジで新鮮に聴かせる。違和感ゼロ。これを聴いた時に、ケイト・ブッシュに対するエキセントリックな印象が少し変わったかもしれない。

なんでこんな事を書いてるかというと、実は今回のレコード・コレクターズの記事を読んでたら、ケイト・ブッシュが聴きたくなってしまったのだ。特に、『魔物語』『ドリーミング』あたり。読んでる限りでは、この2枚かなり凄いらしい。『魔物語』は“民族音楽的なものから、ロック、フォーク、そしてポップスまで様々な幅広い要素が盛り込まれ、メリハリと奥行きのある展開は優れた構成力のもとで統一感とバリエーションの豊富さを同時に醸し出すことに成功している”らしいし、『ドリーミング』にいたっては“幾重にも重ねられていく彼女のボイス、打楽器、効果音などが時に攻撃的に時に繊細に錯綜しながら構築されていくケイト・ブッシュ流の壮大な音宇宙とも言うべき世界は、凄みを放つ実験的ポップの唯一無二の傑作”であるらしい(共に筆者は石川真一氏)。また、同じ特集の中で立川芳雄氏がケイトを“彼女は爛熟期のロックを聴いて育ち、ロックの凋落の始まった時期にデビューし、そしてロックの衰亡と軸を一にして活動を続けてきた。そのなかで、あたかも趣向を凝らした伝統的な工芸品のような作品を、マイペースで作り続けてきたのだ”とか“それ(ビョーク)に比べるとケイトは、70年代的なロック/ポップスの伝統に縛られている。そうした枠組みの中で、彼女は表現を洗練させ、先鋭化させてきたのだ”とか評している。こういったのを読んでしまうと、興味が湧かない訳はなかろう。なにせ、70年代的云々というフレーズには弱いもんで(爆) 初めて見た(聴いた)時、敬遠してしまったケイト・ブッシュだけど、今なら大丈夫な気がする。あの声にも拒否反応はなさそうだし。

という訳で、そのうちケイト・ブッシュを聴いてみるつもりだ。それはそうと、以前渋谷陽一氏が“ケイト・ブッシュ、スティービー・ニックス、中島みゆき、この3人を研究すればどんな女も怖くない”と言ってたけど、どうなんでしょうね?(笑)

コメント (14)
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