いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

民主党は自民党以上に自民党になってしまいました・・・こんなことのために政権交代したのでしょうか。

2012年06月01日 20時41分20秒 | 日記

 民主党は、かつての自民党以上に自民党的になってきま
した。
 民主党を見ていて一番がっかりするのは、それです。
 これなら、まだ自民党のほうがましだったのではないか
ーーいまの民主党は、そんな感じさえ漂わせています。
 
 2009年夏の政権交代で、国民が民主党に期待したも
のは、ひとつは、透明な政治、わかりやすい政治、オープ
ンな政治、清潔な政治ーーということだったと思います。

 それまでの長い間の自民党の政治は、よく、密室政治と
言われてきました。
 自民党にはいくつもの大きな派閥があり、派閥の考え、
派閥の領袖の意向が、政治に大きな影響力を持っていまし
た。
 そうやって政治が決まっていく過程は、国民の目には何
も見えないものでした。
 
 国民は、そんな政治に嫌気がさして、民主党に政権を取
らせたのです。

 いま、消費税の増税をめぐって、民主党内があわただし
くなっています。
 野田首相は、まず、小沢一郎氏と会談しました。それが
大ニュースになります。
 しかし、同じ党内で、実力者が会談して、それが大きな
ニュースになるというのは、自民党時代、たとえば、当時
の福田首相が安倍晋三氏と会ってニュースになるーーとい
うのと、どこが違うのでしょうか。
 実力者2人が、どこかの部屋で会って、非公開で一時間
ほど話をして、それで政策が決まるというであれば、透明
性はゼロです。分かりやすい政治とはほど遠いでしょう。
オープンさは、どこにもありません。
 
 その次の日には、野田首相は、輿石幹事長と会談しまし
た。野田首相は民主党の代表です。代表が同じ党の幹事長
と会うのが大ニュースになるというのは、理解に苦しむと
しかいいようがありません。
 しかも、会談のあと、輿石幹事長は、記者団から質問を
受け、「ノーコメントです」とだけ答えて、姿を消しまし
た。
 これのどこに、透明性があるのでしょう。

 野田首相、小沢一郎氏、輿石幹事長らのやりとりを見て
いると、自民党の福田、麻生、古賀、伊吹氏といった昔な
がらの面々がやりとりしているのと、なにも変わりません。

 もう、自民党そのものです。
 国民は、こんなことを見るために、民主党に政権を取ら
せたのではないはずです。

 政策面でもそうです。
 東京にある中国大使館の一等書記官が、スパイだったの
ではないかということで、問題になっています。この一等
書記官は、問題が表面化する前に中国に帰ってしまいまし
た。
 そこで浮上したのが、「スパイ防止法」を作ろうという
声です。
 日本にはスパイ防止法がないため、もしこの一等書記官
がスパイであっても、警察は、法的には手の出しようがな
いーーというわけです。
 そこで、きょう、早速、松原国家公安委員長が、閣議後
の会見で、「スパイを取り締まる法的手立てを考える必要
があるんじゃないかと思う」と答えました。

 実は、このスパイ防止法案は、長い自民党政権の間、
自民党がずっと国会に出そうとしていたのです。
 それに、旧社会党から続く野党が、猛烈に反対し続けて、
法律にならないまま、ここまで来ました。
野党がスパイ防止法案に反対してきた理由は、その法案
が、思想・信条の自由の制限につながるからというもので
す。戦前の暗い時代をまた招くことになりかねないという
わけです。

 ところが、民主党は、与党になってみると、中国大使館
の一等書記官の問題を受け、いとも簡単に、
 「スパイを防ぐ法的手立てが必要だ」
 などと言い始めるのです。
 自民党はもちろん賛成ですから、民主党がスパイ防止法
案を国会に出せば、簡単に成立するでしょう。

もっと大きな問題をいえば、消費税の増税法案です。
 長くなるのでいまここで詳細には書きませんが、消費税
の増税は、自民党がやろうとして民主党が反対してきたも
のです。

 スパイ防止法案にせよ、消費税増税にせよ、民主党は、
自民党がやろうとしてきたことを、ほとんど無反省にやろ
うとしているわけです。

 いや、民主党が野党であれば、自民党の提出する法案は、
そう簡単には国会で成立しないでしょう。
 まことに皮肉なことに、民主党が与党担ったことによっ
て、自民党がやろうとして出来なかったことが、簡単に成
立するようになったわけです。

        *********
 
 党内の実力者同士が、密室で会談して、重要な案件を決
める。
 自民党がやりたかったことを、 肩代わりするかのよう
にして、民主党政権が次々に実現させる。

 こんなことのために、国民は、政権交代をさせたのでは
ありません。
 民主党の罪は、本当に重くなってしまいました。