いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

40年たった原発・・・民主党は、自民党の「負の遺産」の後始末ばかりしています。不運ですが、未熟です。

2012年06月15日 21時41分03秒 | 日記

 民主党は、なんと不運な政党でしょう。
 最近、つくづく、そう思います。

 細野原発担当相は、稼働して40年たった原発の運転を
延長することを決めました。

 具体的には、原子力規制法案の中で、40年たった原発
は廃炉にするという条文は残すものの、付則として、この
秋に発足する原子力規制委員会がこの条文を再検討するこ
とを盛り込んだのです。

 40年たった原発というのは、日本では一番古い時代の
原発になります。
 耐用年数がもう過ぎているかもしれない。
 寿命がもう尽きているかもしれません。
 本来なら、廃炉にするべき原発です。
  
 それを、引き続き、動かしましょうというわけです。

 昨年3月11日の東北大震災で福島原発が大きな事故を
起こしたあと、原発に対する民主党の対応は、迷走に迷走
を重ねてきました。
菅直人首相が原発をゼロにするといったかと思うと、野
田首相は原発の輸出をするといい、枝野経産相は大飯原発
の再稼働をめぐって発言が次々に変わりました。

 ここで、民主党は、どうして冷静に考えないのでしょう。
 
 いまある原発は、福島原発をはじめ、すべて、自民党政
権の時代に建設したものです。
 これから稼働して40年を迎える原発も、すべて、自民
党政権の時代に作ったものです。

 福島原発は、津波に襲われて電源が喪失したのが事故の
大きな原因でした。
 それも、自民党政権の時代に端を発する問題です。

 民主党が不運というのは、そこです。
 自民党政権が作った原発の事故、自民党政権が作って4
0年たつ原発、なんのことはない、その後始末を、民主党
政権がやっているのです。

 自分たちの作った原発の後始末をするのなら、それは自
分たちが責任を持ってやらなければならない。

 ところが、いまの民主党は、自民党政権の政策の後始末
だけをやっているだけなのです。

 いま、民主党政権が直面しているのは、簡単にいえば、
自民党時代の「負の遺産」ばかりです。

 福島原発の事故、40年廃炉の問題、それはいずれも、
自民党政権が解決しないまま残していった問題だったので
す。

 本来であれば、自民党が責任を持って解決するべき問題
です。
 自民党の責任は重大であるといわざるをえないのです。

 民主党政権は、どうして、それをアピールしないのでし
ょう。
 
 民主党は、たとえば、こう言えばいいのです。

 まず、福島原発への対応です。
「国民のみなさん。
 福島原発の事故は、自民党時代の負の遺産です。
 事故の原因となった電源の問題も、本来なら、自民党時
代に解決しておくべきものでした。
 それを、自民党政権は、放置してきました。
 責任の多くは、自民党政権にある。
 しかし、いま、現実に事故が起きている。
 この現実に起きている事故には、いま政権の座にある民
主党が責任を持って対応しなければいけません。
 だれが作ったものであるにせよ、いま実際に事故が起き
ている以上は、いま政府を組織している我々が対応しなけ
ればいけません。それが政府の責任です。
原発をどうするかという根源的な問題は、今後必ず検討
します。
 しかし、いまは、目の前にある福島原発の事故に対応し
なければなりません。
 ご支援をお願いします」

 次に、40年廃炉の問題です。
「国民のみなさん。
 稼働後40年たった原発をどうするかという重大な問題
が出てきました。
 本来なら、40年たって老朽化した原発は、廃炉にしな
ければなりません。
 それが筋です。
 今後、日本の原発は次々に40年を迎え始めます。
 いまある日本の原発を建設したのは、すべて、自民党政
権です。
 本来なら、原発を作るときに、老朽化した原発をどうす
るかということを決めておくべきでした。
 しかし、実は、そこは、何も決めずにここまで来てしま
いました。ずっと先送りされてきたのです。
 そして、先送りの果てに、ちょうど私たち民主党が政府
を組織していました。
 私たちは、自民党時代に作った原発をどうするかという
問題に直面しています。
この古い原発を作ったのは、民主党ではありません。
 しかし、いま政府を組織しているのは民主党です。です
から、民主党は責任をもって対応しなければなりません。
 40年たった古い原発は、データをすべて公開します。
 すべてオープンにします。
 原発を作った自民党の考えも聞きます。
 そうして、40年廃炉をどうするか、改めて考えましょ
う」

 いまの民主党は、自民党時代の負の遺産を、まるですべ
てが自分たちの責任であるかのようにして対応していま
す。 
 その結果、どうなっているかというと、情報や政策過程
をオープンにしないのです。
 負の遺産ですから、オープンにすれば、芳しくない情報
やデータも出てくるでしょう。
 それは、しかし、自民党時代の情報やデータですから、
どんどん公開すればいいのです。
 ところが、民主党は、それを公開すると自分たちの責任
が問われるかのように思ってしまい、秘密に秘密にやろう
とするのです。
自民党の残した負の遺産なんだから、どんどん公開すれ
ばいいものを、民主党は、それをまるで自分たちがやって
しまったことのように受け止めているのです。自分たちの
やったことのように受け止めてしまうから、すべてを公開
してやろうという意識にはならない。つい隠そうとしてし
まう。
政党として未熟としか言いようがありません。

 これは、一度下野して、鍛え直し、改めて政権を狙うチ
ャンスを探るしか、手はないかもしれませんね。