いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

ツイッターの限界・・・ツイッターは品のない文章が目立ちます。その文章を相手の目の前で口にできますか?

2011年10月29日 01時17分13秒 | 日記

 ツイッターによるツイート(つぶやき)を読むたびに、がっかり
します。
 ツイッターでツイートする文章が、おしなべて、下品なのです。
 
 ツイートによる反応が多いのは、ニュースサイトでしょう。
 ニュースサイトで、なにかニュースが報じられると、多くのツイ
ートが書き込まれます。

 その文章の多くが、読むに耐えないのです。

 いま、ツイートが多いのは、たとえば、TPP(環太平洋経済協
力)です。
 TPPのニュースが報じられるたびに、賛成派と反対派、両方の
ツイートが寄せられます。
 反対派のほうが、圧倒的に多いようです。

 その中に、元西武百貨店の社長で、国会議員も務めた水野誠一氏
のツイートがあります。水野氏は、実名でツイートしているので、
ここでも、実名で引用します。
 たとえば、水野氏は、TPPを説明した民放のアナウンサーが気
にいらなかったようで、こうツイートします。
 「このバカアナ、よくも大声でこんな嘘を」。

 この「バカアナ」が典型的です。
 バカアナという言葉を使った瞬間に、もう、冷静な議論はできな
くなります。
 そしてなにより、水野氏は、このアナウンサーと対談でもしたと
きに、面と向かって「このバカアナ」と口にできるでしょうか?
そんなことをしたら、けんかになります。

 そうなんです。
 ツイッターって、口でいえない言葉を書いてしまうのです。
 
 でも、水野氏の言葉づかいを見ていると、もしかして、西武百貨店
社長時代にも「あのバカな客」などと言っていたのかと、心配して
しまいます。
 こういう言葉づかいは、損です。

 試しに、いま、ニュースサイトから、ニュースに対するツイート
をいくつか、ひろってみましょう。

 「天罰か」
 「談合が横行する」
 「書いたやつの知能程度が」
 「マスゴミ」
 「頭悪い」
 「んなのどうでもいいよ」
 
 という感じの言葉が次々に出てきます。
 こういう言葉、相手を目の前において、口で言えますか?
 言えないでしょう。
 言えば、けんかになります。

 こういう言葉は、結局のところ、個人攻撃になります。

 たぶん、こういう言葉を書く人も、実際は、ごく普通の穏やかな
人なのだと思います。しかし、ツイッターで、ツイートすると、こ
うやって、下品で、きつく、危ない言葉になってしまうのだろうと
思います。

 もともと、文章でなにか書くと、話すよりもきつくなる傾向があ
ります。話すときは、実際に相手が目の前にいることが多いので、
そんなにきつい言い方はできません。
 しかし、文章で書くときは、相手が目の前にいないので、きつい
言葉が使いやすいのです。

 ツイッターの文章が下品になるのは、まず、それがひとつの理由
です。

 そしてなによりも、ツイッターは、ごく短い言葉で発信します。
 短い言葉で書くとなると、自分の言いたいことを、よりわかりや
すく書く必要があります。しかし、実際には、短い言葉で自分の気
持ちを伝えるというのは、かなり難しい。
 そこで、自分の気持ちをツイッターの制限の下で書くには、過激
な言葉を使って、人目を引きたくなります。
 「バカアナ」もそうでしょう。
 バカアナと書けば、水野氏が、このアナウンサーに怒っているこ
とが、すぐに分かります。
厳しい言葉は、便利なんですね。

 しかしながら、そうしたことが、ツイッターを下品にしているの
は間違いのないことでしょう。

 短い言葉を、相手にたたきつけるように書く。
 いま、「書く」と言いましたが、では、
 短い言葉を、相手にたたきつけるように口にする。
 だとどうでしょう。

 それは、 
 相手に対する挑発であり、
 けんかを売ることにほかなりません。

 あるいは、「捨て台詞」と言ってもいいでしょう。
 そして、繰り返しますが、結局のところ、個人攻撃です。

 ツイッターは、過激な言葉づかいによって、ただでさえ疲れてい
る現代人を、そして、現代人の心を、よりいっそう、ささくれ立た
せているのではないでしょうか。
 
 考えてみてください。
 普段の私たちの暮らしの中、たとえば、家庭の家族同士で、ある
いは、学校で同級生同士で、ツイッターに出てくるような「捨て台
詞」をお互い投げ合って暮らすとすれば、それは、いったい、どん
な暮らしでしょうか。

 ツイッターにツイートするときは、その言葉を、相手を目の前に
して、口にして言えるかどうか、まず、それを考えてほしいと思い
ます。
 そして、
 ああ、こんなことを言えばけんかになるな、 
ああ、私は、こんなこと、口ではいえない
 と思うのであれば、ツイートする文章を、考え直してほしいと思
います。

 いまのままでは、ツイートは、あまりに品がなさ過ぎます。
 ツイッターは、個人攻撃の道具ではないはずです。