「『道路特定財源VS一般財源化』から『一般財源化+暫定税率VS一般財源化-暫定税率』へ」

2008年03月31日 | 道路・ガソリン
今日で本年度も終わり、いよいよ明日から新年度が始まる。
そんな中、新年度に入ると私たちの生活は色々と変わってくる。
医療制度の改正(5分ルールや後期高齢者医療制度の導入)、食料品の値上げなどである。

取りわけ関心が高いのが「道路特定財源の暫定税率」の期限切れだ。
本日までで、この「暫定税率」が消える事になる。

私は、10年間59兆円というのは理解しがたいが、宮崎などの高速道路供用率が低い地域などもある為、一定規模の道路特定財源・暫定税率というものは無駄を排除した上で、ある程度は必要なのではないかと考えていました。

極論をいえば、道路特定財源を使って高速の無料化・国が肩代わりしている道路公団の債務を返済すべきだと今も思っております。

ただ、福田総理の提案、民主党の主張などにより、一般財源化は避けられない事態になっている。(その後、自民党も容認。大島国対委員長も首相提案を政府・与党案とする事に同意している。)

衆参の「ねじれ」の結果により、今まで誰もが気にも留めなかった事が色々と浮き彫りになり、その象徴的なものが、この「道路特定財源」「暫定税率」ではなかっただろうか。

当初、この問題は「道路特定財源制度が必要か?」という議論と「暫定税率が必要か?」という議論でスタートした。

自民、民主そして地方団体が国会以外でもあらゆる場所で議論してきた。その議論で「受益者負担なのだから特定財源は必要。」、「一般財源化しても必要な道路は造れるのだから特定財源にこだわる必要はない。」などの声が寄せられてきたが、先日の福田総理の「来年度から一般財源化」という提案で「道路特定財源制度」に対しての議論は終焉する。今後は「暫定税率の必要性」へと議論がシフトしていくだろう。

私は一般財源化するのであれば、暫定税率はやめるべきだと思います。

そもそも道路特定財源は戦後日本の道路整備の遅れを解消する為に始まったものだ。道路への財源集中投資により道路整備を促進し、日本は経済大国に成長した。これは田中角栄元総理の時代の話だ。

道路特定財源の根拠となるのは、
① 公平性:受けた便益に応じて費用負担。
② 合理性:利用者の負担が全て道路整備に充当される分かりやすさ。

以上の二点が道路特定財源の根拠となるわけだが、それが一般財源化して道路以外のものに使われるのであれば、私は税を支払っている方々に還元すべきだと思います。

更に言えば、道路にかかっている税の国税の一部(自動車重量税)を地方税へと税源移譲すべきだと考えますし、「タックス オン タックス」といわれる税の上に更に税をかける複雑な税体系を解消しなければいけません。この場合は「ガソリン価格+本則税率+暫定税率」に消費税がかかっております。せめて、消費税をかけるなら「ガソリン価格」にだけ消費税をかけるべきではないでしょうか。

また、道路建設に関しては諸外国でも実例のあるPFI(民間資金による道路、橋、港湾、空港などの社会資本の建設・運営方式)やBOT(PFI等で民間に建設・運営させ資金回収後、国に無償譲渡)などの制度を活用していくべきではないでしょうか。

今後、この「道路建設」と「暫定税率」の問題が、税負担・税制改正・道路建設方式等々を踏まえて議論を深めていかねばなりません。

総理提案に対して民主党などの野党が、ただ「駄々をこねている」とイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれないが、事実は違います。

3月28日の一連の国会の動きは、9:00に自民、公明、民主の三党国対委員長が会談し、その席で民主党の山岡国対委員長は首相提案に基づく与野党協議を申し入れておりますが、折り合いがつきませんでした。

次は10:00に、民主、共産、社民、国民新の野党4党国対委員長・政策責任者が会談し、野党が与野党協議を呼びかけるが、与党は欠席。

11:30に、民主、社民、国民新の野党3党国対委員長が首相官邸を訪ね、民主の山岡国対委員長が「政党間協議ができる形を整えていただきたい」と町村官房長官に申し入れる。

この事実から、野党は協議を何度も呼びかけている。しかし、与党が簡単に応じようとしない様子がうかがえる。

今の現状は、従来の与党が衆参を占める状態ではない以上、自民党が参院で過半数割れしていた小渕内閣時のように野党に配慮した国会運営が求められているのに、今の自民党は衆院で三分の二を占める力を背景に横暴な政治を行っているようにしかみえない。

衆院の優越はあるものの、衆参の二院制なのだから、衆院を占める自民党がもう少し参院にも配慮を心がけなければ、何も物事は進まないだろう。来月2日から道路関連法案が参院で審議入りするが、与野党で充分に審議をし、国民の期待に応えられる「国のかたち」を築いていきたい。


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9 コメント

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Unknown (RUI)
2008-03-31 21:28:38
所詮、民主党は「庶民の味方」の顔を作って票を集め、参院の第一党になった今では地方を切り捨てる。
結局は、自民党政権を何が何でも否定し、夢物語を語って国政のトップを取ることを最終目的にしてる。
そのためには、庶民がどんなに苦しい目にあおうが自分たちのためなら「些少なこと」。
そんな連中が、政権を取ったとしても、ろくな政治はできんでしょう。
貴方は、党の勉強会で教えてもらったことをそのまま垂れ流しているだけ。自分の足で歩いて、この国を十年後、二十年後どうするか、ビジョンを書いたことないでしょう。言われるがままなんだから。
宮崎の人たちに向けて、TVにでて「次の選挙では大都市の票だけが必要です。あなた方は必要ありませんから、死ね」とおっしゃればよろしい。
宮崎に多くいる、建設業の人たちに失業しろ、生活保護を貰え、受取額の多い生命保険を教えてあげるから自殺をするか一家心中をしろといいなさい。
あなた方、民主がしようとしているのはそういうことです。
夢理想だけでは、現実社会は生きていけませんよ。
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Unknown (たこ)
2008-04-01 02:46:52
いずれにしても、今回の騒動で宮崎の道路整備は遅れることは間違いなし。一般財源化になると何にでも使える制度になるわけだから、財政需要の多い自治体、つまり都会の自治体により多くの予算が配分されるシステムになることは間違いない。道路特定財源のままなら、道路整備の遅れた宮崎のような地域に配分されていたはずなのに。これまで宮崎県民は貧しい所得の中で都会よりも多くの負担をしてきたが、これは都会の道路を整備することに使われてきた。ここで、一般財源化すれば、財政需要の少ない宮崎への配分は少なくなることは必至。東九州もようやく完成の目途も立っていたのに、これでいつできるかお先真っ暗。これでは、宮崎の浮揚も企業誘致もありえない。自分で自分の地域の首を絞める政策に賛同している国会議員など全く不要。政党人なので党の方針を擁護することはわからないわけではないが、宮崎県民から選ばれたあなたは、宮崎の浮揚、宮崎県の利益の立場に立った発言を国政の場でしてもらいたいものだ。
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PFI??? (neko)
2008-04-01 02:53:57
宮崎のような交通需要の少なく、採算のとれないところで、赤字覚悟でPFIで投資する気前のいい、投資家なんかいないよ。全国的にみてもPFIで成り立つような道路は既に有料道路方式で整備済み。残された高速道路は、採算のとれないところばかり。こうした道路は採算はとれないが、必要な社会資本であるため、これらを整備するために、税金で整備する無料の新直轄方式が採用されたんですよ。それぐらい勉強してから、ブログに書かないと信用なくしまっせ。
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コメントありがとうございます。 (いつき)
2008-04-01 12:13:41
たこさん、貴重なコメントありがとうございます。

たこさんの危惧されてる事は充分に理解できます。政府も一般化を打ち出した以上、地方にも充分な予算配分の制度をつくるのが政治の知恵なのではないでしょうか。私の考えは所得の低い宮崎だからこそ、一般財源化するなら、つじつまのあわなくなる暫定税率をやめて県民に還元すべきだと考えます。たこさんの言われるように、私は宮崎県民に選ばれました。宮崎の事を考えるのは当然です。

nekoさん、コメントありがとうございます。

nekoさんのイメージされてるPFIは従来の機構のようなものが行う有料道路方式の事だと思いますが、私の述べてるPFIは、DBFO方式で設計から建設、財務まで落札した民間業者が管理し、通行料を利用者から徴収するのではなく、政府(自治体)が交通量に応じて通行量を支払う方式です。この方式だと契約が切れれば、その道路は国に償還されますし、新直轄方式より安く高速道路をつくれます。
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Unknown (コバ)
2008-04-02 12:00:50
 一般財源化した場合、地方への分配が減少する、ということでは困りますが、そうでなければ地方の裁量権が発揮でき良いと私は考えます。ただ暫定税率の撤廃は税収が減少するのは確実ですから、この分の補填が問題だと思います。この問題は確かに道路を造るための財源での徴収ですから一般財源化すれば撤廃しなければ整合性がなくなる、という理屈は分かるのですが、現状ではこの税収が地方の歳入に大きく関わっているわけですからここの解決がなければ支持を得にくいようなも思えます。
 私はこの問題は法人改革等の歳出削減を合わせて行わねば現状の解決にならず、民主党がこの点、具体的は改革と数字を出してくれば説得力があると思うのですが。整合性云々などという理屈では国民の不安感は拭えないでしょう。(自民党が税収不足で大変な事になるとアナウンスしてるわけですから)
 どのような方法を取っても歳出削減となれば既得権益者との戦いとなりますから、その辺の覚悟も明確に、具体的にアピールしてもらいたいと思います。
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いつきさんへ (たこ)
2008-04-09 00:49:40
レスありがとうございます。でも一般財源化して、暫定税率もさげて、どのようにして地方の道路整備を進めるのか、具体案が全く見えません。暫定税率をなくすと国・地方で2.6兆円の財源がなくなるんですよ。その財源がなくなってどのように道路整備するのか?当然年金とか、福祉とかの財源もいりますよね。そこの具体案を示してもらわないと直ぐに民主党の言われることに賛同できない。単なる人気とりの責任のない発言だと思います。PFIで成立する道路なんてもう残っていません。特に交通需要の少ない宮崎の道路にリターンを求めて投資する投資家なんていませんよ。それが成立するとおっしゃるなら、外山先生が投資して実践して証明してください。無責任な発言はやめてもらいたい。単なる人気とりの無責任な発言なら、テレビに出ているいい加減な評論家と同じ。実現性、現実を見て、時には国民に厳しい選択を示すことこそ、今の政治家に求められていることだと思いますが、いかがでしょうか?
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コメントありがとうございます。 (いつき)
2008-04-09 22:01:44
たこさんへ、コメントありがとうございます。

暫定税率がなくなると、2兆6000億の財源がなくなるのは事実です。しかしながら、暫定税率がなくなると道路が整備されなくなるという考えは安易な考えではないでしょうか。

既に予算編成を終えている地方においては、今年度あてにしていた財源がなくなるのは事実です。

年度末などに予算を使い切る為に無駄な道路工事をしてるのも事実でしょうし、国単位でいえば、やはり中期計画を見直さないといけない。そうした中、今年度においては道路特会等の繰越金を割り当てれば捻出は可能です。

たぶん、たこさんのイメージするPFIと私のイメージするPFIに隔たりがあると思います。イギリス等で行なわれているPFI事業を参考にしていただけると少しは理解していただけるものだと思っております。
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British PFI?  (たこです。)
2008-04-17 02:38:28
というのはどういうスキームですか?どう考えても、交通量の少ない宮崎の道路でビジネスが成り立つとは考えにくい。それが成り立つBusiness Modelというのはどういうものなのでしょうか?イギリスでもロンドンのような都会で成立している例では?
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2010-06-02 (D.D.S.)
2010-06-02 21:08:53
過去ログへのコメントです。
与党は無事民主党になりました。
しかし、ガソリン税等暫定税率廃止は、なし。
というか廃止されたようですが、ガソリン価格は同じです。廃止隊長の毎週日曜日、山形屋前で、街頭演説していた川内議員でさえ・・・?
現実は厳しいですね。
今日は、8か月で鳩山代表と小沢幹事長が政治と金等で国民が耳をかさなくなったとのことで辞任表明。
正直、民主も自民も一緒でした。だって、人間だもの・・・       みつお
ただ、民主であらずんば人であらず等の報道は残念。
労組を排除するといった、前原さんくらいの民主はたのもしくもありましたが、外山先生は党派に関係なくがんばっていただきたい。
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