イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

百年の時の流れのなかで

2008年04月04日 08時31分47秒 | ちょっとシリアス
百年の人生を千年のように生きるな

ということわざが、韓国にあるのだという。いい言葉だと思う。人生は百年しか続かない。だけど、時間そのものは無限だ。その無限の時間に自分の感覚を合わせてしまって、自分の人生が千年も続くような錯覚に陥いる。そして結果的に、今日を、今を真剣に生きる気持ちを失ってしまう。無気力に怠惰に時間を費やして、大切なことを先送りして生きてしまう。百年といっても相当に長いは長い。長いんだけど、やっぱりそれは短い。誰でも、自分の過去を振り返るとき、気が遠くなるほど長い時間が経過したように思えて、でもやっぱりあっという間にここまで来てしまったという感覚を持つのではないだろうか。

千年の悠久のなかにまどろんで 今を駆け抜く君を見ている

もちろん無限の感覚を持つことを否定はしない。時間に追われてあくせくもしたくない。何歳になったらこれをして、10年後にはあれをして、みたいに、あらかじめ未来を限定してしまうような考え方にも窮屈さを感じる。だけど、ときには勇気を持って今という時間の激流の中に足を踏み入れなくてはならない。いつまでも、岸辺に佇んで、流れ行く川面を眺めているだけではいけないのだ。そうしなければ、おそらくあの人はあっという間に僕の前を過ぎ去っていってしまうだろう。一瞬こちらを振り向いてくれるかもしれない。だけどすぐに前を向いて走り出す。「百年」の人生を生きている人の目には、「千年」の時間にある人のことは映らないのだ。

普段、何気なく費やしてしまっている一日という時間は、実はものすごくドラマチックで、豊かで、長くて、心から満足できるものにもなりうる。真実なのか、真理なのか、真剣なのか、ともかく、「真」と呼べるなにかが、確実に一日という短い時間のなかに存在しているのを感じる。そして、そんな大きな手ごたえは、逃げ場のない今という時の流れのなかに身を置いたときに、傍観者ではなく当事者として自らの人生に関わったときに、感じられるのだと思う。

「幸せ」という言葉はあまり好きじゃないから、代わりに「よろこび」を使いたい。もし、自分の人生に何か目的があるのだとしたら、できるだけ多くの人に、たくさんのよろこびを伝えること、与えることではないかと思う。誰かのために何かをして、それをよろこんでもらえる、こんなに嬉しいことはない。自分が大切だったり可愛かったりするのは変えられない。だけど、人生の目的はきっと、小さな保身なんかじゃないはずだ。

限りある時間のなかにいる君に無限の愛を伝えたく今

一日がこんなにも大きくて、感動的で、ずっりしていて、満ち足りたものだということを教えてくれたあの人に。君はぼくに、大きなよころびを与えてくれた。願わくば、ぼくも誰かに同じことを感じさせることができる者でありたい。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も! (ena)
2008-04-04 10:30:46
今日聖書でちょうどにたような箇所を読んだんです。ヤコブ 4:13~ 「聞きなさい。「きょうか、あす、これこれの町に行き、そこに一年いて、商売をして、もうけよう。」と言う人たち。あなたがたには、あすのことはわからないのです。あなたがたのいのちは、いったいどのようなものですか。あなたがたは、しばらくの間現われて、それから消えてしまう霧にすぎません。」

与えられているいのちがいつまでのものかわからない私たちは、明日の計画で忙しくするよりも今日を喜んで感謝して生きよう、と思いました。そのコリアンプロバーブもいい言葉ですね!
返信する
千年に思えた (CoCo)
2008-04-04 11:59:31
昨日、メールが来ました。5月末締め切りの仕事に関して、突然「納品の締め切りは4月末です」と書かれていました。

顔面蒼白になりました。600時間かかるんです。これから4月末まで不眠不休で訳さなければならないのかと思いました。いや、待てよ、これは明らかな契約違反、即刻「やめます」とメールを送ろう……瞬時にいろいろなことが頭をめぐりました。

深呼吸しました。まず何がどうなっているのか知ろう。それで、「どうなってるんですかねぇ~」メールを打ちました。

すぐにメールが来ました――「4月と5月、書き間違えてました」

途端に、5月末が千年先に見えてきました。
同時に、緊張の糸がプチンと切れた音も聞こえました。

あっ、そういう話じゃないですね、今回のエントリー。
返信する
だからこそ (iwashi)
2008-04-04 23:03:58
ena様

コメントありがとうございます!
僕のような俗人は日ごろの俗さの反動でたまに今回のようなことを考えてしまうに過ぎないのですが、常日頃から聖なる言葉に向き合っているena様はすごいな~と思います。

"あなたがたは、しばらくの間現われて、それから消えてしまう霧にすぎません。"...深いですね。

自らは霧にすぎないと理解しているからこそ、今を大切に生き、人を愛することができるのかもしれませんね。
返信する
手に冷や汗 (iwashi)
2008-04-04 23:06:58
CoCoさん

わかりますね~、その感覚。
せっぱつまったときに納期が延びるとたった1時間でも1週間くらいに感じますよね~(^^;
5月末。うん、長いような短いような。
華麗なるラストスパートの予感に早くも手に汗を握っております。がんばってください!
ハラハラ
返信する