イワシの翻訳LOVE

はしくれトランスレータ「イワシ」が、翻訳への愛をつれづれなるままに記します。

Put your hands up

2009年06月03日 23時28分29秒 | Weblog
「有朋自遠方来 不亦楽:朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや」

友人が遠方から訪ねてきてくれる。こんな喜ばしいことはない――。孔子の有名な一説ですが、昨日まさにそんな光景に立ち会うことができました。通っている翻訳学校のクラスの卒業生の方が、授業に飛び入りで参加してくださったのです。ご三名はかつて同じ先生の下で勉強されていたことがあり、現在は今をときめく翻訳者としてご活躍です。たまたま僕がとある会で面識を得て、それがきっかけで、お忙しいさなかにお時間を割いて遊びに来てくれることになったのでした。数年前、同じ先生の授業を受けていた先輩と席を並べて授業に参加できるのは、とても感慨深いものがありました。連綿と続く翻訳の世界の学びの場。昨日お会いしたご三方はもちろん、ものすごい数の先輩たちが歩んできた道を、おぼつかない足取りながら、こうやって自分も歩んでいるのだなあと、しみじみとしてしまいました。あらためて、翻訳道の奥深さと素晴らしさを実感した一日でした。

その後の飲み会では先生がいつもの2.5倍くらいご機嫌でした。やはり孔子ならぬ講師としては、昔の生徒が訪ねて来てくれることほど嬉しいものはないと思います。講師冥利につきるのではないでしょうか。そうやって慕われる先生も素晴らしく、そして独り立ちした後もいつまでも師への尊敬を忘れない生徒の想いも素晴らしい。これを美しき師弟愛と言わずしてなんと言えばよいのでしょうか。人生、なかなかこういう場に立ち会えることはありません。非常に貴重な経験をさせていただきました。

「翻訳学校に通う」動機は、そのほとんどが自発的なものだと思います。義務教育でもないし、学歴が欲しいわけでもない。ただ翻訳を勉強したい、という気持ちでみんな学校に行く。そういう風に自分で手を挙げて自発的に選択した場であるからこそ、そこでの人間関係も少しだけ特別なものになるのではないかと思うのです。生徒同士は、同志だったり、ライバルだったりする。先生に対しては、憧れだったり反面教師だったりする。だけど、なんというか、やっぱり運命共同体なんですよね。そして今回、ご多忙にも関わらず、手を挙げて授業に参加していただいた諸先輩方の行動力、一歩踏み出す力を目の当たりにして、素直に感動してしまいました。僕も、勇気を持って手を挙げていきたいと思います。なぜここまで「手を挙げる」にこだわるのかというと、帰りに道に坂本龍一の「Put your hands up(ニュース23のテーマ)」をずっと聴いていたからなのでありました。強引ですよね。

それにしても翻訳は奥深い。昨日の課題でもあり得ない誤訳を連発してしまいました。「誤訳ごめん」で、もうこの業界から「お役ご免」になりそうな予感を激しく感じています。道は果てしなく遠いけど、頑張らなくては!




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2 コメント

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お世話になりました! (卒業生YあるいはT)
2009-06-04 00:52:44
イワシさん、きのうはお世話になりました。
久しぶりに先生にお会いする機会をつくって下さったこと、とても感謝しています。
本当にありがとうございました。

わたしたちが乱入したことで、生徒さんたちが先生とお話しする機会を奪ってしまい申し訳なく思っていますが、自己チューな卒業生3人は帰り道でも「楽しかったね~」を乱発しておりました。

もうイイ年になってしまったわたしたちに対して「親のような気持ち」とおっしゃって下さる先生……う~ん、ありがたいデス。
「出来の悪い子ほどかわいい」という言葉に縋りつつも、精進しなければ……と心に誓った夜でした。

深い深い翻訳の世界、同門の弟子として一緒に進んでいきましょう!!
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ありがとうございました! (iwashi)
2009-06-04 01:16:10
卒業生YあるいはTさん

コメントありがとうございます!
翻訳道という茨の道を進み続け、自らの世界を切り開いていかれた伝説の諸先輩ご三名に参加いただき、感激もひとしお、そして緊張しまくりでした。

お忙しいところご参加いただきありがとうございました! 十分なもてなしもできず、すみません。だけどこれは先生のあっさりしたキャラクターによるところも大きいかと思われますのでどうぞご容赦ください(^^)

昨日は本当に楽しかったですね!またの機会にぜひ!

未熟な後輩ですが今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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