おはようございます。
アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
2022年6月2日の日本経済新聞の「なやみのとびら」でうちのカミさんが感心して切り抜いていた名回答の記事がありました。
《妻が食事を作るにあたり、「何が食べたい?」と聞かれることがあります。この質問に対するベストな答えはあるのでしょうか。特に何でもいいときは困ってしまいます。(大阪府・40代男性)》が質問。
これに対して俳優の平岳大(ひら・たけひろ)さんが見事な回答をしていたのです。
https://www.nikkei.com/article/
DGXZQOUD231YQ0T20C22A5000000/
平さんの回答をそのままコピペするわけにもいかないので、妻の立場、夫の立場で望ましい答えを考えてみませんか?
(考えタイム)
その際の切り口として次のことを考慮に入れてみましょう。
アドラー心理学では行動の「状況」「相手役」「目的」から迫ります。
(1)状況・・・・妻が夫に対してそのような質問をするのはどんな状況(TPO)なのか?
(2)相手役・・・・妻が子どもに対してでなくあえて夫を選んだのは?
(3)目的・・・・妻の質問の言葉そのものではなく、その背後にある目的は?
世の夫の大多数はきっと、「『なんでもいいよ』と優柔不断な答えしか出てこないのではないでしょうか?」と平さん。
冒頭に次のことを書きながら妻がこの質問をする「状況」を考えてみることを勧めます。
質問者された人が一般的な会社員さんだとすると「『何食べたい?』と聞かれるのは休日か、もしくは会社に行ってない週末の夕方ではないでしょうか?」と推測します。
次に、平さんの回答にはありませんが、家族のニーズを探るならば、子どもがいるならば子どもに聞いてもいいはずですが、わざわざ夫を「相手役」として聞いたことにはそれなりの理由があるはずです。
子どもに聞いて仮にハンバーグとかカレーの答えが出てきたとしたら、どちらかを作らなければなりません。
夫ならば、違う反応があるかもしれません。
ここに(3)の「目的」が関連してきます。
このことで妻が相手役として夫を選んだ目的が推測できます。
平さんは妻の「何が食べたい?」という質問の真意を理解して、次のように回答します。
「もちろん個人差はあると思いますが、毎日食事を作っている妻の身になって考えると、この質問の真意は『今からできれば買い物に行かずに、時間も手間もかけず簡単なもので済ませたいわ』という、実に現実的な『助けてー』ではないでしょうか。もしくは、『私も週末感を味わいたい』というリクエスト。もし子育てなどしていたら、なおさらでしょう」
平さんが考えるポイントアップにつながるお勧めの返答は「今晩は外に食べに行こうか」です。
その理由、妻は恐らくご飯を作るのが面倒なのだと見抜き、こう続けます。
「考えてみてください、ご飯を作るのが面倒でなくて、アイデアも体力もあったら、この質問は出ないはずです」
誰にだってそんな時があると共感し、背景・目的を見抜きます。
まさにアドラー心理学的な回答ではありませんか。
恐るべきは、もう1つの配慮を加えています。
経済的な負担のことで妻が自責の念にとらわれることのないように、「じゃ、どこ行きたい?」と妻に聞かないよう留意。
「妻やお子さんの特別なリクエストがないのであれば、近所の安い店がいいのではないでしょうか?」とまとめます。
平幹二郎さんを父とし、佐久間良子さんを母とする平岳大さん、あなたはアドラー心理学の立場からしても名カウンセラーです。
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