【写真:所持が禁止されたダガーナイフ。4日までに警察署に持ち込み、廃棄処分しなければならない】
東京・秋葉原の無差別殺傷事件をきっかけに所持が禁じられた両刃ナイフの回収が進まない。殺傷力の高いダガーナイフの規制が狙いだが、形状が同じ一部のダイバーズナイフも所持できなくなり、琵琶湖に潜る人たちが違法と知らずに持ち続けている可能性などがある。処分の期限が4日に迫る。(堀川勝元)
「必要なのに何とかならないの」。6月、大津署で30代の男性がこぼした。ダイビングの際にナイフを使ってきたが、銃刀法の改正を新聞で知り、署を訪ねたという。
●危険回避の必需品
県内のダイビング用品店によると、ナイフはダイバーの必需品だ。潜水中、酸素ボンベに釣り糸や漁具が絡まって身動きがとれなくなることがある。潮に流されそうになった時、ナイフを海底に突き刺して難を逃れることもできる。スタッフは「安全のため購入を勧めてきた」と語る。
店では2月、規制対象の在庫品をメーカーに返した。ただ、開店からの約20年間で販売したナイフは200本ほど。一方、法改正を問い合わせてきた顧客は数人だけで、「ダイビングをやらなくなり、機材が家に眠っている人もいる。法改正に気づかずにナイフを所持している人は少なくないのでは」という。
●回収わずか44本
所持を禁じた改正銃刀法は今年1月に施行された。以前からナイフを持っていた人も今月4日までには保管品を処分しなければならない。県警は若者が集まるインターネットカフェなどに「ダガーナイフ等の剣はダメ!」と書いたチラシを配り、処分し忘れて「不法所持」に問われないよう注意を呼びかけてきた。
6月末までに県警に寄せられたナイフは44本にとどまる。経済産業省の調べでは、ダガーナイフの年間販売数(国内向け)は約3400本。輸入品を加えると8千本が流通し、数万本のナイフが家庭などに眠っているとみられる。
不法所持は3年以下の懲役か、50万円以下の罰金を科される。県警はナイフを最寄りの警察署や交番で無料で引き取っており、専門業者に依頼して溶解処分する方針だ。規制対象は、刃渡り5.5センチ以上の両刃の剣。鋼質性で先端が著しく鋭いもの、などとする条件もある。問い合わせは県警生活環境課(077・522・1231)へ。
【関連ニュース番号:0906/235、6月28日】
(7月3日付け朝日新聞・電子版)
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