【毎日新聞特集「湖国再発見】:統計から/3 新エネルギー産業拠点へ】
◇県が後押し、大工場集中--全国で3位
高速道路が縦横に走り、大都市圏にも近い県内には大工場が林立する。全事業所に占める従業員100人以上の割合は、本社機能が集中する東京と神奈川に次ぎ全国3位。同じく3位の人口増加率、同1位の住宅増加率の源泉だ。さらにここ数年で、県内は全国有数の新エネルギー産業の研究開発拠点になりつつある。新エネルギーは県内が産業県であり続けるための命綱になりうるという。
昨年10月、長浜市の県立長浜ドームで開かれた「びわ湖環境ビジネスメッセ」。県が98年から始めた環境ビジネスの見本市で、過去最多の305企業・団体が参加した。特に05年から設置した「新エネ・省エネ」分野には最多の56社が出展、延べ約4万人のビジネスマンでにぎわった。県新産業振興課は「『環境事業はカネにならない』と言われた時代から地道に続けてきた努力が、ようやく実を結んだ」と話した。
新エネルギー産業とは太陽電池などの自然エネルギーに加え、温室効果ガスを出さない燃料電池や電気自動車に使うリチウムイオン電池などの分野を指す。限られた電力をIT技術で融通する「スマートグリッド」技術とともに、今後のエネルギー業界を担う産業として注目されている。
県内では、新エネルギー重視を打ち出した米オバマ大統領が当選した08年以降、湖南・湖東地域を中心に進出が本格化。県が07年度から設けた環境分野などでの研究開発施設の建設に最大10億円を助成する補助金にも申請が殺到し、予定の4年間を待たず2年で打ち切った。今のところ10社計約40億円の補助が決まったほか、数社が審査待ちという。
◇異業種から
また、異業種から参入するケースもある。長浜市など県内3カ所に主力工場を持ち、太陽電池のシリコン基板加工を手がけるTKX(大阪市)は、元は1922年から続く砥石(といし)メーカーだった。97年に砥石の粒を使った基板加工事業に参入し、今では年間売り上げの大半を同事業が占めるという。企業の技術支援や大学との連携を取り持つ県工業技術総合センターは「ここ数年の民間のスピードは県も把握できないほど。県内への進出はアクセスの良さに加え、研究拠点である立命館大や龍谷大が近いことが大きいのでは」と話している。【稲生陽】
(4月3日付け毎日新聞・電子版)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20100403ddlk25020396000c.html
◇県が後押し、大工場集中--全国で3位
高速道路が縦横に走り、大都市圏にも近い県内には大工場が林立する。全事業所に占める従業員100人以上の割合は、本社機能が集中する東京と神奈川に次ぎ全国3位。同じく3位の人口増加率、同1位の住宅増加率の源泉だ。さらにここ数年で、県内は全国有数の新エネルギー産業の研究開発拠点になりつつある。新エネルギーは県内が産業県であり続けるための命綱になりうるという。
昨年10月、長浜市の県立長浜ドームで開かれた「びわ湖環境ビジネスメッセ」。県が98年から始めた環境ビジネスの見本市で、過去最多の305企業・団体が参加した。特に05年から設置した「新エネ・省エネ」分野には最多の56社が出展、延べ約4万人のビジネスマンでにぎわった。県新産業振興課は「『環境事業はカネにならない』と言われた時代から地道に続けてきた努力が、ようやく実を結んだ」と話した。
新エネルギー産業とは太陽電池などの自然エネルギーに加え、温室効果ガスを出さない燃料電池や電気自動車に使うリチウムイオン電池などの分野を指す。限られた電力をIT技術で融通する「スマートグリッド」技術とともに、今後のエネルギー業界を担う産業として注目されている。
県内では、新エネルギー重視を打ち出した米オバマ大統領が当選した08年以降、湖南・湖東地域を中心に進出が本格化。県が07年度から設けた環境分野などでの研究開発施設の建設に最大10億円を助成する補助金にも申請が殺到し、予定の4年間を待たず2年で打ち切った。今のところ10社計約40億円の補助が決まったほか、数社が審査待ちという。
◇異業種から
また、異業種から参入するケースもある。長浜市など県内3カ所に主力工場を持ち、太陽電池のシリコン基板加工を手がけるTKX(大阪市)は、元は1922年から続く砥石(といし)メーカーだった。97年に砥石の粒を使った基板加工事業に参入し、今では年間売り上げの大半を同事業が占めるという。企業の技術支援や大学との連携を取り持つ県工業技術総合センターは「ここ数年の民間のスピードは県も把握できないほど。県内への進出はアクセスの良さに加え、研究拠点である立命館大や龍谷大が近いことが大きいのでは」と話している。【稲生陽】
(4月3日付け毎日新聞・電子版)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20100403ddlk25020396000c.html