◇「罪を償い、新たな出発を」
県内初の裁判員裁判は10月29日、判決公判があり、大津地裁(坪井祐子裁判長)は強盗致傷罪に問われたブラジル国籍のデ・オリベイラ・カチボ・オトニエル被告(26)に懲役5年(求刑同7年)、ホベルト・ヒデオ・タナカ被告(26)に同3年(同6年)の実刑判決をそれぞれ言い渡した。閉廷後、6人の裁判員のうち5人が会見に臨み、「両被告はしっかりと罪を償い、新たな気持ちで出発してほしい」と思いを語った。【後藤直義、稲生陽、前本麻有、後藤由耶】
◇「任務終えてほっと」
「判決を言い渡します」。坪井裁判長の声が響くと、6人の裁判員は両被告の表情にじっと見入った。ホベルト被告は両手で頭を抱えて涙ぐみ、カチボ被告は裁判長らを見据えていた。
昨年6月、豊郷町のパチンコ店で起きた強盗致傷事件。男性清掃員(当時63歳)にけがを負わせた罪に問われた両被告を裁判官と一緒に裁いた裁判員は閉廷後、男性3人、女性2人が会見に応じ、「任務を終えてほっとしました」と笑顔を見せた。
◇ ◇
「夜にちょくちょく目が覚め、被告の名前が頭に浮かびました」。大津市の無職男性(65)は、自宅でも裁判のことが頭を離れなかった胸中を明かした。判決まで一日、間があったことについて「家に資料を持って帰れなかった。それがちょっと」と残念そうに振り返り、人を裁く責任の重さをにじませた。
法廷には、ポルトガル語の通訳2人が出席した。50歳代の男性は「どうしても表情が読み取れない。言葉の抑揚が分からなかった」と振り返った。通訳に時間がかかったため、別の50歳代の男性は「質問時間が制約されたのでは」と話した。
両被告は、共犯の3被告(ブラジル国籍2人、コロンビア国籍1人)と分かれて審理されたが、50歳代の男性は「最初はどういう犯罪なのか全然分からず、あとから起訴されたのは5人と聞いた。全員を一緒に裁いた方が事件の全体像が見えるのでは」と率直な感想を述べた。
40歳代の女性は「(判決言い渡し時に)ホベルト被告の手が震えているのが見えた。それでも判決はみんなで出した結果。彼のためになれば」と締めくくった。
◇適正な量刑で安堵--若佐一朗主任検事の話
量刑は適正なもので安堵(あんど)した。我々の主張を十分理解してもらえたと思う。今回の裁判は予想外のこともなくおおむねうまくいったが、まだ改善の余地はあるだろう。
◇今後は訴え方工夫--ホベルト被告の弁護をした生駒英司弁護士の話
(懲役3年の判決に対し)強盗致傷罪としては、最大限の考慮をしてもらった。判決文からは裁判員裁判らしさが感じられず、何か一言ほしかった。今後は、裁判員への訴え方などを工夫していきたい。
【関連ニュース番号:0910/224、10月28日;0910/214、10月27日など】
(10月30日付け毎日新聞・電子版:同日付けその他各紙も報道)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20091030ddlk25040376000c.html
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009103000039&genre=D1&area=S00
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20091030/CK2009103002000005.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20091029-OYT8T01248.htm
県内初の裁判員裁判は10月29日、判決公判があり、大津地裁(坪井祐子裁判長)は強盗致傷罪に問われたブラジル国籍のデ・オリベイラ・カチボ・オトニエル被告(26)に懲役5年(求刑同7年)、ホベルト・ヒデオ・タナカ被告(26)に同3年(同6年)の実刑判決をそれぞれ言い渡した。閉廷後、6人の裁判員のうち5人が会見に臨み、「両被告はしっかりと罪を償い、新たな気持ちで出発してほしい」と思いを語った。【後藤直義、稲生陽、前本麻有、後藤由耶】
◇「任務終えてほっと」
「判決を言い渡します」。坪井裁判長の声が響くと、6人の裁判員は両被告の表情にじっと見入った。ホベルト被告は両手で頭を抱えて涙ぐみ、カチボ被告は裁判長らを見据えていた。
昨年6月、豊郷町のパチンコ店で起きた強盗致傷事件。男性清掃員(当時63歳)にけがを負わせた罪に問われた両被告を裁判官と一緒に裁いた裁判員は閉廷後、男性3人、女性2人が会見に応じ、「任務を終えてほっとしました」と笑顔を見せた。
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「夜にちょくちょく目が覚め、被告の名前が頭に浮かびました」。大津市の無職男性(65)は、自宅でも裁判のことが頭を離れなかった胸中を明かした。判決まで一日、間があったことについて「家に資料を持って帰れなかった。それがちょっと」と残念そうに振り返り、人を裁く責任の重さをにじませた。
法廷には、ポルトガル語の通訳2人が出席した。50歳代の男性は「どうしても表情が読み取れない。言葉の抑揚が分からなかった」と振り返った。通訳に時間がかかったため、別の50歳代の男性は「質問時間が制約されたのでは」と話した。
両被告は、共犯の3被告(ブラジル国籍2人、コロンビア国籍1人)と分かれて審理されたが、50歳代の男性は「最初はどういう犯罪なのか全然分からず、あとから起訴されたのは5人と聞いた。全員を一緒に裁いた方が事件の全体像が見えるのでは」と率直な感想を述べた。
40歳代の女性は「(判決言い渡し時に)ホベルト被告の手が震えているのが見えた。それでも判決はみんなで出した結果。彼のためになれば」と締めくくった。
◇適正な量刑で安堵--若佐一朗主任検事の話
量刑は適正なもので安堵(あんど)した。我々の主張を十分理解してもらえたと思う。今回の裁判は予想外のこともなくおおむねうまくいったが、まだ改善の余地はあるだろう。
◇今後は訴え方工夫--ホベルト被告の弁護をした生駒英司弁護士の話
(懲役3年の判決に対し)強盗致傷罪としては、最大限の考慮をしてもらった。判決文からは裁判員裁判らしさが感じられず、何か一言ほしかった。今後は、裁判員への訴え方などを工夫していきたい。
【関連ニュース番号:0910/224、10月28日;0910/214、10月27日など】
(10月30日付け毎日新聞・電子版:同日付けその他各紙も報道)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20091030ddlk25040376000c.html
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2009103000039&genre=D1&area=S00
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20091030/CK2009103002000005.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20091029-OYT8T01248.htm