新幹線新駅問題をめぐって、県と地元自治体との溝が埋まらない――3日開かれた新駅設置促進協議会の正副会長会で、県が初めて計画凍結後の方針を示したものの、メンバーの各市長から異論が相次ぎ、具体的な話し合いには入れずじまい。最終結論を出す期限まで2カ月足らず。予定地の土地区画整理事業など課題を積み残したまま、時間だけが過ぎてゆく。
「新幹線新駅問題の解決に向けた県の方針」。この日、県からA4判の表裏1枚の文書が市長らに示された。「巨額の投資を避け、県民負担の最小化を図ることが最善の選択」と凍結をうたい、JRと地元が結んだ「現行協定類の終了」をもって凍結に至るとした。
予定地の土地区画整理事業については、「都市的土地利用がふさわしい地域」と認め、栗東市を支援する姿勢を示した。地域振興策は、正副会長会議で方向性を示し、県や関係市などで「南部地域振興会議」(仮称)を設けて話し合うとした。また、約39億円ある県の新駅施設整備促進基金は当分据え置く。
事業費については、周辺5市がこれまで支払った工事負担金を県が負担。JR側から仮清算された返戻金を除くと計約2900万円になり、本清算によって減る可能性もあるという。栗東市については、負担金から返戻金を引いた約1億6千万円と経費を加えた額に対し、県の責任分を負担するとしている。
しかし、各市長からはこうした支援策よりも、県の姿勢に対する意見が相次いだ。
山田亘宏・守山市長は「このままでは事業は中止になる。JR側に(地元との)基本協定を一定期間凍結してもらうよう、申し込めないものか」と提案したが、嘉田由紀子知事は「JR側は覚書の期限延長を認めないのではないか」と否定的な見方を示した。
谷畑英吾・湖南市長は、県に凍結に伴う損失額を示すよう求め、「それが凍結か否かを議論する前提条件」とした。県の方針について、山崎甚右衛門・野洲市長からは「新駅は利便性が低いという表現は消してほしい」との意見が出た。
国松正一・栗東市長は「県が凍結を主張することで、市や地権者は混乱している。県の責任を明確にするべきだ」と主張した。
(9月5日付け朝日新聞の報道)
http://mytown.asahi.com/shiga/news.php?k_id=26000000709050003