一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第36期竜王戦第4局(前編)

2023-11-11 00:03:57 | 男性棋戦
10日は今度こそ大野教室(金曜教室)に行こうと思ったのだが、雨が降ってきたこともあり、億劫になって行くのを止めた。ま、私の将棋熱はそのくらいのものである。

   ◇

10日は第36期竜王戦第4局(主催:読売新聞社、日本将棋連盟)。ここまで藤井聡太竜王の3勝で、伊藤匠七段は文字通り後がない。冷静に見て伊藤七段の竜王奪取は絶望的だが、将棋ファンとしては、1局でも多く七番勝負を愉しみたいところである。
第4局の対局場は北海道小樽市。小樽の観光といえば小樽運河、北一硝子を代表するシャレた小物類、歴史ある建造物、手稲山からの夜景などである。豊富な海鮮、LeTAOに代表されるスイーツ群もよい。鉄道マニア的には旧手宮線の廃線跡散策である。ちなみに私は、それをやったことがある。とある枕木に、廃線日の「1985.11.5」と書かれた数字を見た記憶があるのだが、まだどこかに残っているだろうか。
小樽築港近くの由緒ある旅館で、藤井竜王の先手で対局開始。角換わりになったが、これは本命。そこから両者、金を立って飛車を引く、例の形になった。
第4局の立会人は渡辺明九段で、この仕事は初めてではないだろうか。今シリーズの立会人は第1局から佐藤康光九段、谷川浩司十七世名人、森内俊之九段と、いずれも竜王、名人経験者と、豪華だ。
渡辺九段は、藤井竜王の将棋を真横で見て、何を思っただろうか。
いやそれにしても、両者の指し手が早い早い。想定局面に向かって一直線のようだ。昨今は、最終的に指す手が決まっているなら無駄な時間を消費せず、とっとと指してしまうのがお決まりだが、最近はそのスピードが一層早くなった気がする。
そこから双方手待ちを繰り返したが、先手玉は銀矢倉に入城し、後手玉は右玉となった。そして結局仕掛けたのは先手。それでも指し手のスピードは衰えず、かなりの手数が進んだ。
伊藤七段、飛車先の歩を突き捨てる。それを横目に藤井竜王が1筋の桂を取ったのにはビックリした。伊藤七段は当然、8筋の歩を成る。藤井竜王はそれを金で取り返したが、これは先手の8筋の歩がなくなって、常人ではとうてい指し切れない。しかしABEMAのAIは形勢互角を示している。両者、どこまで研究しているのか。ただし、この展開は8筋が負担になって、人間的には先手が勝ちにくいのではなかろうか。
結局、午前中だけで74手も進んだ。これじゃ1日制の将棋である。
ところがこの将棋、午後になってスローペースになる。藤井竜王が56分の長考で金頭に歩を叩くと、伊藤七段が指したあと、藤井竜王は本格的な長考に沈んだ。
そして8筋に歩を垂らす。実に2時間17分の大長考で、新幹線になぞらえるなら、東京から京都に着いている。
これで双方の消費時間に3時間の差がついたが、これが伊藤七段にどれほどのアドバンテージになるのか。
ただ伊藤七段、本局は徹底的に研究した成果か、落ち着いていると思う。
進手後、藤井竜王は飛車と角を刺し違える。私だったらすぐに飛車を取るが、伊藤七段はなかなか指さない。そのままこんこんと考え続け、ついに封じ手になってしまった。
さて封じ手予想だが、伊藤七段が短考で封じたなら△2四同歩だが、1時間6分も時間を掛けたということは、それ以外の手も十分考えたわけだ。「△2四歩▲3二角成」はワンセットだから手順前後も利くが、△2四同歩以外の手で何があるか。考えすぎて、よく分からなくなってしまった。
(つづく)
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