一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

タイトル戦初登場棋士の第1局の結果

2023-11-09 00:17:24 | データ
第36期竜王戦七番勝負に伊藤匠七段が登場したが、第1局は精彩を欠いて負けた。読者コメントにあったが、タイトル戦初登場棋士の第1局は、成績があまりよくないらしい。
こういうときは、実地検証である。ほかの棋士のタイトル戦1局目はどうだったのか。30年前まで遡り、調べてみた。
下はタイトル戦初登場側から見た星。カッコ内は第2局以降の星である。

1995年 第66期棋聖戦 三浦弘行五段●(●●)羽生善治棋聖
1996年 第54期名人戦 森内俊之八段●(●●○●)羽生善治名人
1996年 第37期王位戦 深浦康市五段●(●○●●)羽生善治王位
1997年 第10期竜王戦 真田圭一六段●(●●●)谷川浩司竜王
1998年 第11期竜王戦 藤井猛七段○(○○○)谷川浩司竜王
1999年 第47期王座戦 丸山忠久八段●(○●●)羽生善治王座
1999年 第12期竜王戦 鈴木大介六段●(●●○●)藤井猛竜王
2001年 第26期棋王戦 久保利明六段●(●○●)羽生善治棋王
2002年 第15期竜王戦 阿部隆七段千千●(●○○○●●)羽生善治竜王
2003年 第51期王座戦 渡辺明五段●(○○千●●)羽生善治王座
2005年 第18期竜王戦 木村一基七段●(●●●)渡辺明竜王
2009年 第57期王座戦 山崎隆之七段●(●●)羽生善治王座
2010年 第51期王位戦 広瀬章人六段○(○●●千○千○)深浦康市王位
2012年 第83期棋聖戦 中村太地六段●(●●)羽生善治棋聖
2011年 第60期王将戦 豊島将之六段●(○●●○●)久保利明王将
2013年 第54期王位戦 行方尚史八段●(●○●●)羽生善治王位
2014年 第27期竜王戦 糸谷哲郎七段○(○●○○)森内俊之竜王
2015年 第63期王座戦 佐藤天彦八段●(○○●●)羽生善治王座
2016年 第87期棋聖戦 永瀬拓矢六段千○(●○●●)羽生善治棋聖
2017年 第42期棋王戦 千田翔太六段○(●○●●)渡辺明棋王
2017年 第75期名人戦 稲葉陽八段○(●○●●●)佐藤天彦名人
2017年 第88期棋聖戦 斎藤慎太郎七段●(●○●)羽生善治棋聖
2017年 第58期王位戦 菅井竜也七段○(○●○○)羽生善治王位
2018年 第3期叡王戦 金井恒太六段●(●●●)高見泰地六段
2018年 第3期叡王戦 高見泰地六段○(○○○)金井恒太六段
2020年 第45期棋王戦 本田圭五段●(○●●)渡辺明棋王
2020年 第91期棋聖戦 藤井聡太七段○(○●○)渡辺明棋聖
2022年 第7期叡王戦 出口若武六段●(●●)藤井聡太叡王
2023年 第94期棋聖戦 佐々木大地七段●(○●●)藤井聡太棋聖
2023年 第36期竜王戦 伊藤匠七段●(●●?)藤井聡太竜王

伊藤七段と、ともにタイトル戦初登場だった第3期叡王戦を除く27名中、初戦を勝ったのは8名しかいなかった。読者コメントにあった通り、初タイトル戦で初戦勝利は相当厳しかったようだ。
ちなみに、初戦勝利の8名のうち、5名がタイトルを奪取している。
また初戦を負けた場合、タイトル獲得は、0名(!!)となっている。
つまり、初戦を勝てば、6割2分の確率でタイトル獲得。負ければアウト、ということだ。これはけっこう斬新なデータではなかろうか。
まあもっとも、この30年は羽生九段の全盛時にあたり、若手棋士がタイトル戦に出ても、おいそれとは獲れなかった事情はある。
この27名と、第3期叡王戦の金井六段を含めた28名のうち、最終的なタイトル獲得は17名に上った。実力があれば、やがてタイトルが付いてくるのだ。
ただ、現在は藤井竜王・名人が高い壁になっているので、タイトルを獲るのは相当難しくなっている。
若手棋士はこれから大変だ。
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2 コメント

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よくわからないのですが。 (将子)
2023-11-10 20:45:36
とても面白い考察で、楽しく拝見させて頂きました。

ところで、将棋のことがよくわからないので、変な質問なのかもしれませんが、2018年の第3期叡王戦が2回あります。これは2回あったということですか?

バカみたいな質問かもしれません。そうでしたら、ご無礼お許しください。
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第1期と同じ> (一公)
2023-11-10 22:18:55
>将子さん
叡王戦は第2期まで一般棋戦で、第3期からタイトル戦に昇格しました。
それで第3期は、第2期優勝の佐藤天彦先生を含め、全棋士でトーナメント戦(予選・本戦)を行いました。
その決勝七番勝負に勝ち上がったのが、金井先生と高見先生でした。どちらもタイトル戦初登場だったので、両方の立場から書いたわけです。
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